Vol.35

RX-124 GUNDAM TR-6[WONDWART RAH2] ガンダムTR-6[ウーンドウォート・ラー2]

ウーンドウォートが両肩と両腰部に2機のフルドドⅡを装着した形態。TR-6の中でも極めてシンプルな武装形態だが、フルドドⅡとの合体によりウーンドウォートの突出した機動性とパワーウェイトレシオがより強化され、本機の得意とする一撃離脱戦術向きの機体特性がより顕著化する。そしてフルドドⅡ後方に備えられたドラムフレームは、巨大な武装を接続するためのジョイント・ハブとして機能し、本形態を核に大型オプションを自在に運用可能となる。「TR計画」の設計理念である「万能化換装システム」による「機種統合」は、パーツの組み替えによる自軍の既存全MSの後継機を生み出すためのものである。この換装によりTR-6は大型MAの役割を担う。

RX-124AKH Ⅱ GUNDAM TR-6[ADVANCED KHEAR Ⅱ] ガンダムTR-6[アドバンスド・キハールⅡ]

キハールⅡにウェポンコンテナやハイ・メガ・キャノンなどで構成された「アドバンスドユニット」を装備させた強化形態。これらのTR強化パーツはキハールⅡのMS/MAの両形態に対応している。さらに、各形態の共通規格としても設計されており、換装も容易なほか、デッドウエイト化を避けるためにパージすることも可能。本形態は、TR-6 クィンリィを構成する要素のひとつである。ウーンドウォート・ラーⅡとの合体時(=TR-6 クィンリィ)は攻撃・防御用武装を搭載した武器コンテナ、ジェネレーター、ブースター、AMBAC肢等の機能が一体となった複合兵装=巨大なバインダーとして機能する。戦局に応じて自由に分離や合体が可能で、バインダーとして運用する際は、本体側の制御により無人での使用も可能である。こうしたMS自体を強化部品として使用する柔軟な運用方法が成立するのは、組み換えを前提として極限までユニット化されたTR-6の機体構造の完成度、自由度の高さ故である。

拠点攻防用MA

要塞などの軍事拠点の防衛や攻略は戦略上、極めて重要なものである。これは宇宙世紀の戦争でも同じであった。一年戦争においてジオン公国軍が、地球連邦軍の本拠地であるジャブローの攻略用として開発したMA-08 ビグ・ザムは、ジオン公国軍の宇宙要塞ソロモンの防衛戦に投入され、味方の撤退を援護したほか、地球連邦軍艦隊に大打撃を与えたことで知られる。戦後、地球連邦軍はこのビグ・ザムで得た戦訓から、拠点防衛用の機体として「ガンダム開発計画(GP計画)」においてRX-78GP03ガンダム試作3号機を開発した。本機はデラーズ紛争最終局面におけるコロニー落下阻止作戦において単機で多数のMSを撃破したほか、デラーズ・フリートの巨大MA、AMA-X2 ノイエ・ジールと一騎打ちを行っている。しかし、デラーズ紛争への関与により、ガンダム試作3号機を含むG 計画機は登録を抹消されることとなった。ティターンズはその設立にあたって「GP計画」の余剰予算を流用している。さらに、その際に同計画の技術を入手し、TR計画に反映させた形跡が見られる。試験運用を行った実験小隊をして「小型デンドロビウム」と言わしめたヘイズル・ラーの巡航形態をはじめ、ヘイズル用として開発された多数の強化オプション、そしてこのクィンリィなど、複数のTR計画機にその影響が見受けられる。実際に、MSをコアユニットとした機体管制や複数のウェポンコンテナ、多目標への同時攻撃能力、Iフィールドによる高度な防御力、そして大推力を備えるクィンリィは、ガンダム試作3号機の後継となる形態を意識したものだと推測される。こうした類似点を持つことから、仮にGP計画が抹消されていなければ、TR-6の命名法則--TR-6の各形態は対応する原型機の名称に「Ⅱ」をつけて呼称される。ハイザック 代替機「ハイザックⅡ」等--に従い「デンドロビウムⅡ」という名称が与えられた可能性も考えられる。一方でサイコ・ガンダム系のモビルフォートレス形態も拠点防衛用として、似た能力を有している。その代替を務める機体が、今回紹介しているクィンリィ系の各超重装形態である。また、その後も戦乱のターニングポイントとなるような重要拠点の攻防には、こうした巨大MAは幾度も投入された。特にMSをコアとしてMA、もしくは武装・機動ユニットを管制するという方式を採用した機体に、クィンリィなどとの技術的な類似点が見られる。

RX-124 GUNDAM TR-6[QUEENLY]  RX-124 ガンダムTR-6[クィンリィ]

TR-6の超重装形態のひとつで、拠点防衛を担う機体。ウェポンコンテナ、ハイ・メガ・キャノン、大型ウインチキャノン等を搭載したアドバンスド形態のウーンドウォート・ラーⅡをコアとし、両側に2機のアドバンスドキハールⅡをバインダーとして接続。これにより3機分の強化ユニットが1機のMAに搭載される武装構成となり、多目標への同時攻撃をはじめ、極めて高い攻防力を獲得するに至った。オプション装備として、ダイダロスユニットの装着により陸戦運用時にも対応する。機体上部に設置されたウェポンコンテナが冠を想起させることから、「クィンリィ(女王)」と称される。このクィンリィに、ギガンティック・ユニットを組み合わせた形態が「フルアーマー形態」である。サイコ・ガンダム系とクィンリィの長所を備えた本形態は、機動兵器として考えられうる最上クラスの性能を持つ。本機のさらなる上位形態であるインレは、MSやMAといった機動兵器の枠を超えた戦略兵器であり、戦争の趨勢を決するような決戦以外に投入されることは極めて稀である。強力すぎる戦力と費用対効果以外に、政治的な影響力をも有するがゆえであり、それは旧世紀における核抑止の概念に近いものと考えられる。フルアーマー形態を含めたクィンリィは、インレの投入が不能ないち局面での戦いに備え、それに代わって勝利を確実にする力を与えられた形態と言える。そして後に火星での建国戦争に投入された際には、戦場においてその名に違わぬ力を発揮し、レジオン興国の道を切り開いたのである。――火星の女王は、玉座から敵を見下ろし、その力を揮い、征服し、統治する。