Vol.23

胴体部の構造

ドラムフレームを中心とした胴体の構造は、設計の原型機であるTR-Sに近く、特殊な部品構成は省略された変形機構の名残りとも言える。ウイングバインダーはTR-Sへの装着を想定した飛行用強化パーツであり、他にもオプション換装式の股間装備、背面ドラムフレームを介してグランユニットの装備が可能と共通点が多い。TR-Sの簡易設計型がバーザムであるのに対し、その発展完成形として完成したのがTR-6となる。

地球連邦軍系主力MS開発とTR計画

本図は、純粋な連邦軍製の主力機であるジム系MSから、当時代におけるその到達点であるジェガンに至る開発経緯と、その中でのTR計画機の関わりを示したものである。ジェガンの上半身やバックパックの形状などには特にガンダムMk-Ⅱの影響が垣間見えるが、これはグリプス戦役での技術的フィードバックが顕著に表れたものと言っても過言ではない。一方で、ジェガンの下半身の構造は、大腿部の重装甲化による腰部装甲の省略や、それに伴う脚部の形状が、これまでの連邦軍系MSとは大きく異なっている点が特徴である。これは、TR系列機やバーザムの影響があったためと考えられることを、本図は指し示している。

プリムローズ2

胸部複合装甲の下にプリムローズを内蔵する。ウイングバインダーは腰部ドラムフレームに接続され、MS時にはテールスタビレーターとして機能する。胴体にハイエンドタイプの強化パーツを搭載することで、ヘイズル・アウスラのように既存の第二~第三世代MSを凌駕する性能を獲得。なお、胸部や胴体に機体能力を大幅に強化する中核ユニットを搭載する機構は、RX-78-2 ガンダムでのコア・ファイター(学習型コンピュータ搭載)に通ずる。

レジオン軍での強化仕様

TR計画で開発された各種の強化パーツは換装システムによって制御されるため、TR-6と既存MSとの間に強い互換性を持つ。TR-6に既存MSの部品を装着できるということは、裏を返せば既存MSをTR-6のパーツで強化可能であることを示してもいる。レジオン軍仕様のバーザムは、肩部バインダーや脚部ホバーユニット等、全身に亘って積極的に強化パーツを装備し、能力の向上を図っている。こうした相互補完は、TR計画が想定しながらもグリプス戦役時には叶わなかった正規の運用法であり、レジオン軍においてその能力が活用された。

ARZ-154 BARZAM

通常、火星でのレジオン軍MS部隊の行軍はホバーを用いるため、脚部ユニット増設などの改修が加わっている。これは元来の換装システムの範疇であり、基本的に原型機と同じで、高い汎用性を保っている。レジオンでの配備状況は、主にアリス特務部隊で使用されている。特務部隊は、特定基地に属さず任務に応じて火星各地に派遣されるコマンド部隊で、アリシアのクローン強化人間部隊であるアリス親衛隊に次ぐ総帥直属のトップエリート部隊である。この部隊に選抜されることはレジオン兵にとって最も名誉なことであると言われる。また、ジオンマーズとの内戦に勝利をもたらしたTR-6 ガンダム・タイプはレジオン建国の象徴的機体として恐れと共に慕われており、そのガンダムと系譜の近いバーザムを使用できることもレジオン兵にとっては栄誉のひとつである。

RMS-154 BARZAM

RMS-154 バーザム(ティターンズ仕様)

グリプス戦役末期にティターンズが開発したMSで、ハイザックやマラサイに代わる主力機として一般兵を中心に配備された。TR計画の一環である「機種統合計画」において、ジム系のアップデート機として少数が量産されたヘイズル・アウスラに次ぐ次世代主力機(TR-S ヘイズル・フレア)完成の遅れから、その簡易型的な仕様として開発された。世代の変化に合わせて設計を変更し、強化パーツの装着母体をガンダムMk-Ⅱにしている点が特徴である。一例として、バルカン・ポッドなど、既存機との互換性が高い点が挙げられるが、これはTRシリーズで開発された換装システムを実装していためである。その配備状況からTR計画の完成形であり、主力機となる予定だったTR-6の開発の遅れが窺える。