【平成ガメラ4KBlu‐rayボックス発売記念】「ガメラ時代と現在~特撮表現の移り変わり」村川聡×松本肇×田口清隆

更新日:2016年7月21日 19:27
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日本の特撮怪獣映画のターニングポイントとなった作品と言われ、今なお多くの特撮&怪獣ファンを魅了する、金子修介監督と樋口真嗣特技監督の名コンビが手掛けた平成ガメラ映画の3部作。この3部作と『小さき勇者たち~ガメラ~』の4作品を新たに4Kでデジタル復元し、合わせて1,000分にもおよぶ映像特典を収録した豪華なBlu‐rayBOXが、7月22日(金)にリリースされることがここに決定!

 

これを記念して、ユナイテッド・シネマ豊洲を会場に、「平成ガメラ 4K デジタル復元版」の4K特別上映が、7月2日(土)~7月22日(金)の3週間のみの期間限定で開催されています。

 

7月2日(土)~7月8日(金)の、平成ガメラ映画の第一作『ガメラ 大怪獣空中決戦』、7月9日(土)~7月15日(金)の第二作『ガメラ2 レギオン襲来』に続く、7月16日(土)~7月22日(金)の期間は、第三作の『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』が上映されています。各回の上映には、新作『GAMERA』の1分バージョンの特別映像が合わせて上映され、全入場者には、『ガメラ』劇レア“ポジフィルム”がプレゼントされるという、ガメラファンなら絶対に見逃せない豪華な内容となりました。

 

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d▲全入場者に配布された、平成ガメラ映画の激レア“35ミリのポジフィルム”が封入された特製封筒。何のシーンのポジフィルムであるかは、中身を見てのお楽しみだ。

 

さて、『ガメラ 大怪獣空中決戦』のトークショーでは、女優の中山忍さんと金子修介監督。『ガメラ2 レギオン襲来』のトークショーでは、真鍋尚晃氏、大橋明氏、福沢博文氏らの3人のガメラのスーツアクターと、特撮班のチーフ助監督・神谷誠氏をゲストに、それぞれデラックスなトークが行なわれました。

 

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そして、7月19日(火)の20時から開催された『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』のトークには、村川聡氏、松本肇氏、田口清隆氏ら3名の、ファイナルトークを飾るにふさわしい方々をゲストにお招きしてのものとなりました。今回もそのトークの中から、主要なものをピックアップしてレポートしましょう。

 

なお、トークの司会は第2回に続いて、今回のBlu‐rayBOXのライナーを担当された岩佐陽一氏が担当されました。

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司会まずはそれぞれ、自己紹介をお願いします。

 

村川:こんばんは、今日はようこそいらっしゃいました。『ガメラ 大怪獣空中決戦』(以後、『ガメラ1』)と『ガメラ2 レギオン襲来』(以後、『ガメラ2』)では撮影助手、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(以後、『ガメラ3』)では撮影を担当しました村川聡です。よろしくお願いします。

 

松本:こんばんは、松本肇です。『ガメラ1』と『ガメラ2』では、ビジュアルエフェクトスーパーバイザーの肩書きで、合成とCGを統括していました。この2作ではカタカナの肩書きが長かったので、『ガメラ3』では、視覚効果の漢字四文字でクレジットされることとなりました(苦笑)。本日は、よろしくお願い申し上げます。

 

田口:『ガメラ1』~『ガメラ3』の頃は高校生でした、田口清隆です。今日は皆さん、楽しんでいただけることかと思います。よろしくお願いします。

 

03▲村川聡氏。1960年生まれ。東京映像芸術学院の在籍中から、テレビの現場やビデオエンジニアを担当し、20代でカメラマンとなった。平成ガメラ3部作には、全作に撮影パートのスタッフとして関わった。

 

04▲松本肇氏。1963年生まれ。横浜放送専門学校(現・日本映画大学)卒業後、飯塚定雄、中野稔、高野宏一らが発足させたデン・フィルム・エフェクトに入社し、数々の作品を手掛けて視覚効果の腕を磨いた。

 

05▲田口清隆氏。1980年生まれ。幼少期の特撮作品の鑑賞から特撮に興味を持ち、自主映画『G』や『長髪大怪獣ゲハラ』が認められ、『ウルトラマンX』や『ウルトラマンオーブ』のメイン監督として活躍する。

 

司会それでは村川さんと松本さん、『ガメラ1』に関わられたきっかけと、撮影前のディスカッションについてお聞かせください。

 

村川:実は、あまりディスカッションの記憶がありません。当時は雨宮慶太監督の『ゼイラム2』(94年)を撮影部の一式がやっていまして、その撮影が延び延びになって、ガメラサイドからは「いつ来るんだ?」との矢の催促で。とりあえず自分のみがガメラの現場に投げ込まれまして、機材の手配やテスト撮影のメニュー作りをやりました。自分が入った頃には、主要なことがだいたい固まっていて、逆に皆の状況に追いつくのが大変でした。

 

松本:僕も『ゼイラム2』をやっていまして(苦笑)、村川さんは先に抜けたんですが、僕は木所(寛)さんと小物撮りの最終日の徹夜明け後に、ガメラの特撮部の制作さんがハイエースでその現場に迎えに来てくれました。それで、木所さんと一緒に荷台に寝たまま東宝ビルドに着きまして、オールスタッフに参加したとの思い出があります。ですので、ディスカッションには参加せず、絵コンテだけはできたものが次々と送られてきて。いざ撮影が始まると、「福岡ロケに一緒に行って、合成カットの立会いをして来てください」と言われて、初めての金子組に送り込まれ、そういうドタバタの中でスタートしたとの印象があります。

 

司会今回のトークでは、田口さんはファン代表といった感じの立ち位置ですね。

 

田口:『ガメラ1』の頃は、東宝の平成ゴジラ映画に対して大人の人たちの反応が今一つでしたが、自分はこの頃のゴジラ映画が大好きで、「何で大人はそういう感じなんだろう」と思っていましたので、『ガメラ1』はちょっと「フンッ!」(苦笑)といった感じでしたが、続く『ガメラ2』を観てゴジラへの思いが完全に引っくり返されて、「やっぱりガメラは凄いな」(苦笑)と思いました。

 

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a▲『ガメラ2 レギオン襲来』より、札幌市内のビルに巣くう草体に向けて、必殺のプラズマ火球を放つガメラ。昭和時代の各作では本物の火炎で表現されたが、平成ガメラではハイレベルなデジタル技術で見事なまでに処理された。

 

司会続いて、『ガメラ1』での作業上の思い出を。

 

村川:『ガメラ1』のメインカメラマンは木所さんで、自分の担当はBカメでしたが、以前に『ゴジラVSビオランテ』の応援をやっていまして、当時はゴジラ映画へのフラストレーションも多分にありました。仕上がった画を見て、「このガメラはゴジラとは一味違うな」と思いました。

 

松本:平成ガメラ作品では、スタッフから「デジタル合成をやりたい」と言われまして試行錯誤をしました。そんな中で、木所さんが監督をやられていたゲーム映像の中で、怪獣が炎の玉を飛び出すシーンをフォトショップで処理するのを日本エフェクトセンターが担当しまして、それを見て、これがガメラの吐くプラズマ火球に生かせると思って樋口特技監督に進言しました。当初、樋口さんらは、ブルーバック合成等のなじみの良いものにデジタル合成を使いたいと思われていたんですが、人物合成はイマジカさんが三色分解のブルーバックの技術を研究されていましたので、昔ながらのケミカル処理で成立するとの自信がありました。

 

司会田口監督には、平成のゴジラ映画とガメラ映画の特撮の違いについてお聞きします。

 

田口:平成ゴジラ映画の特撮の魅力は、広大なセットの中での爆発シーンを、ダイナミックに撮影していたことだと思うんですが、平成ガメラの特撮は、1カットにどれだけケレン味のあるカメラアングルを駆使して見せるとか、1カットにどれだけ情報量を詰め込むのかとの演出でした。そういうものを実写で見れるということが、凄く新しいというか面白いというか、そういうところが革命的なことだったんだと思いますね。

 

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司会特撮班の一日の作業の流れについてお聞かせください。

 

村川:平成ガメラの撮影現場は、絵コンテの雰囲気でカメラをセッティングするところから始まりまして、それに対して美術部がミニチュアを置いてレイアウトを決めて、その場に怪獣を入れて動きをチェックします。その動きを見てOKならば、そこから本格的に美術部の飾り込みがスタートしますが、『ガメラ1』の撮影ステージとなった東宝ビルトは何より狭いステージでしたから、各パートが一斉に作業をすることができないという状況でした。順番から言えば、ミニチュア、照明、撮影部の明るさのバランスチェック、もう一回怪獣の動きのチェック、火薬の仕込みという、朝の9時から始めまして、本番がかかるのは15時過ぎで、どんなに早くても一日3カット撮れれば……との感じでしたね。

 

司会ポストプロ担当の松本さんは、現場での対応はどんな感じでしたか?

 

松本:撮影で合成が絡むシーンは、必ずその現場に立会いました。本編と特撮の合成絡みの撮影がバッティングする時には、行ける優先順位を決めました。『ガメラ1』ではイマジカの灰原(光晴)さんが一緒にやってくれましたので、二人で分担して処理しました。時には二人一緒に立会いをしたこともありまして、本編班の吊り橋のシーンのロケは二人で行きました。この撮影は、本当に暑かった思い出があります。

 

司会田口さんは、テレビのウルトラマンシリーズの新作の監督として知られていますが、テレビと映画の特撮の決定的な違いは何ですか?

 

田口:一番の違いは、撮影のカット数ですね。先ほど、平成ガメラはどんなに頑張っても一日3カットとのお話がありましたが、ウルトラマンでは一日20カット以上をこなさないと作品が成立しません。ですので、時間をかけてミニチュアセットの密度を、限界まで高められることができた平成ガメラの現場が、とても羨ましく思いますね。

 

司会平成ガメラのポストプロの作業の変化についてお聞かせください。

 

松本:日本の映画界におけるデジタル技術の変わり目は、1994年なんです。それまでの合成はオプチカルしかなかったのですが、この年は東宝の『ヤマトタケル』や『ゴジラVSスペースゴジラ』、『ノストラダムス 戦慄の啓示』が作られまして、これらの作品でデジタル技術が駆使されました。当時は1コマをスキャニングするのに600円くらいかかっていましたが、2000年の頃にはデジタル技術の発達と普及で、徐々にその値段が安くなって行きました。ですから、『ガメラ1』から『ガメラ3』のポストプロの現場で、デジタル技術のウエイトが大きくなっていったのは当然の流れでしたね。

 

c▲京都駅構内で繰り広げられる、ガメラとイリスの最終決戦。両怪獣がこの構内になだれ込む、手前に長峰や浅黄らがいるカットは、正にデジタル合成の見せ場となった。『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』より。

 

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司会話は変りまして、それぞれお気に入りのガメラ映画をお教えください。

 

村川:それは、昭和時代の『大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』(67年)ですね。この作品は原体験で、人が喰われるのもショックでしたね。

 

松本:僕も村川さんと同じで、最初のギャオスですね。何よりギャオスが口から放射する超音波メスが子供心にもカッコ良かったですね。『ガメラ1』では、ギャオスが超音波メスを吐く際に、宇宙戦艦ヤマトの波動砲のタキオン粒子みたいなタメや、周囲の空気も歪んで集めるという描写に、樋口特技監督が特にこだわっていました。

 

田口:自分が北海道出身でしたので、自分にとって身近な場所であった札幌が舞台となった『ガメラ2』が良かったですね。特に劇中で印象的なのは、最終決戦の足利付近にガメラが飛来してスライディングし、レギオンに対してプラズマ火球を3連射するところですね。

 

b▲仙台で見事に復活を遂げ、レギオンとの最終決戦を展開すべく足利付近に着地するガメラ。このシーンは『ガメラ2 レギオン襲来』の劇中の中でも、特に田口監督のお気に入りだという。

 

司会それぞれ、平成ガメラ3部作の魅力は何だと思われますか?

 

村川:単純に映画として面白かったんじゃないのかと思います。当時の自分たちにとっては、喉がカラカラに乾いている時に差し出された、一杯の冷たい水なのではなかったのか……という解釈でしたね。

 

松本:何より僕らは作っている側で、ただただ完成に向けてガムシャラにやっていただけですが、これだけ皆さんに支持される作品に関われたことは、自分の中でも実に良かったと思っています。

 

田口:こんなに贅沢なミニチュア特撮をやれたのは、平成ガメラ3部作ならではだと思います。現在ではこのレベルのミニチュア特撮はやれません。現在の目で見ても、飽きることのない特撮カットの連発は、見事としか言いようがないですね。

 

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司会それでは最後に、会場の皆さんに一言お願いします。

 

村川:これまでのリバイバル上映ではフィルムでしたが、今回は4Kの高画質での上映となりました。この後に上映される『ガメラ3』はドルビーSRの作品ですので、良い映像と良い音質の『ガメラ3』を存分に楽しんでいただければと思います。

 

松本:自分たちが一生懸命に作った作品が何年もの時を経ても、お客さんに支持されて見続けてもらえるということは、非常に幸せなことだと思います。本日は、本当にありがとうございました。

 

田口:ガメラ、ゴジラ、ウルトラと、今年は怪獣ファンにとっては、久々にホクホクとなれる当たり年となりました。この状況を可能な限り維持しつつ、今後も新たな怪獣映画が作り続けられれば、平成ガメラ映画のような傑作が誕生することもあると思います。スタッフも観客の皆さんも、皆で一緒になって盛り上げられればと思っていますので、よろしくお願いします。

 

司会皆さん、本日はご多忙の中、ありがとうございました。

 

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第1回~第2回のトークと同様に、予定の30分を10分以上オーバーした今回のトークも、なかなか実現することの難しい、豪華な3人のゲストの組み合わせによるものでありました。聞き応えに溢れた多彩な内容の数々は、来場者にとっても満足のいく非常に貴重なものであり、見事に平成ガメラトークの有終の美を飾るものとなりました。

 

なおトークの終了後には、劇場のロビー内に展示されたG3ガメラやソルジャーレギオンのプロップの前で、記念の撮影が行なわれました。

 

15▲ユナイテッド・シネマ豊洲での、「平成ガメラ 4K デジタル復元版」の4K特別上映の上映記念ポスター。本画像は、3回のトークショーに参加された全ゲストのサインが入った、実に貴重なものである。

 

 

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2016年7月20日(水)

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