素組みでガンプラ! 【基礎】ホコリ表現などに役立つ塗装法「ピグメント」の使い方 前編

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は車輌などのウェザリングに使う、粉末による塗装法「ピグメント」を紹介したいと思います。

 

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▲HG ガンタンク初期型 (機動戦士ガンダム THE ORIGIN)

 

1 ここでは『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の第2弾キットである「1/144 HG ガンタンク初期型」を使って、ピグメントの使用法を紹介します。ピグメントを使ったウェザリングは、AFV(戦車模型)などの汚しではポピュラーな手法です。そのため、今回はガンタンク初期型にこのピグメントを使用し、スケールモデルのような仕上げを行っていきます。

 

ピグメントとは〈顔料〉を表す言葉でパステルを粉状にしたものです。本来パステルは乾燥した粘着剤を使ってスティック状に固めたもので、10年ほど前までは、このパステルを茶こしや紙ヤスリで粉状に削って、模型のアクセントに使用していました。しかし、パステルを削った顔料には、スティック状に固めるための粘着剤が混入されており、純粋な顔料ではありませんでした。ところが、近年販売されている模型用のピグメントは、この粘着剤が混入される以前の不純物のない純粋な〈顔料〉です。そのため非常に使いやすく、溶剤で溶いて使用する際も優れた性能を発揮します。

 

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 ピグメントを使用する前に、全ての戦車に備わっている〈転輪〉をポイント塗装します。〈転輪〉の外周には、緩衝材としてゴムが装着されているので、このゴム部分を塗装していくのですが、〈転輪〉は1輌につき大小合わせて32個あり、その外周のゴム部分をきちんと塗装することはかなりの労力が必要です。そこで今回は段ボールに両面テープを貼り、その上に〈転輪〉を貼り付けて吹き付け塗装を行います。

 

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 今回はGSIクレオスの「Mr.フィニシングサーフェイサ‐1500・ブラック」を使って、〈転輪〉を塗装します。通常の缶スプレーを使用しても問題ないのですが、この後のピグメントを使用した作業には、通常の塗料より塗膜が強固なサーフェイサーが適しています。近年はグレーだけでなく色の付いたサーフェイサーが発売されているので、このような作業にも適しています。

 

段ボールに貼り付けた〈転輪〉に、一気にスプレーしていきます。これで作業は終わりです。こうすることで〈転輪〉を一つ一つ筆で塗るよりも簡単にゴム部分の塗装ができ、筆で塗装するより100倍くらいのスピードで完了する、オススメの塗装法です。少々黒い塗装がはみ出しても気にせず進めて問題ありません。

 

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 次は〈履帯〉の塗装です。キットの〈履帯〉は表面にパーティングラインが露出していますので、紙ヤスリなどを使い、このパーティングラインを消しておきます。右側はパーティングライン処理前、左側はパーティングライン処理後の写真です。

 

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▲ツヤ消し吹き付け前

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▲ツヤ消し吹き付け後

 

 HG ガンタンク初期型はライトグレーとダークグレーの2色で、ほとんどのパーツが成形されています。そこで〈履帯〉には塗装を行い、本体とは色みを変更しておきましょう。まず下準備として、ツヤ消しクリアーを全体に吹きつけます。

 

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 塗装といっても、それほど大がかりなことはしません。使用するのはGSIクレオスの「Mr.ウェザリングカラー/グランドブラウン」。この塗料は油絵の具に近い成分で、ウォッシングに適した塗料です。これを〈履帯〉に塗っていきます。ツヤ消しを吹いているので、表面がザラザラしているため、「Mr.ウェザリングカラー/グランドブラウン」は適度に染み込んで独特の質感と色みに仕上がります。これで下地処理は終わりです。ウェザリングを施さない場合は、ここで作業を終えてもいいでしょう。

 

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 さて、基本塗装が終わったところで、ここからはいよいよピグメントを使ったウェザリングを行います。今回はGSIクレオスの「ウェザリングパステル」を使用します。まずはサンドとダークブラウンで“土汚れ”を表現します。塗料皿に「ウェザリングパステル」のサンドを適量出し、水性アクリル塗料用の溶剤でペースト状に溶いていきます。

 

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 このペースト状に溶いた「ウェザリングパステル」サンドを筆で〈履帯〉に塗りつけていきます。外側だけでなく〈履帯〉の内側にまで塗布します。このとき、〈転輪〉や内部のフレームにも塗りつけていきましょう。ペースト状の「ウェザリングパステル」サンドが乾燥する前に、パウダー状態の「ウェザリングパステル」ダークブラウンを適度に乗せていきます。色が均一に混じらないようにランダムに乗せていくのがコツです。泥遊びをする感覚で遠慮なく「ウェザリングパステル」を塗りつけてください。

 

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 これで20分ほど乾燥させると「ウェザリングパステル」はツヤ消し状態になり、本当に泥が乾燥したような状態になります。その状態になったら、綿棒などを使って乾燥した「ウェザリングパステル」を擦り落していきます。完全に落とし切ってしまうと雰囲気が出ないので、適度に残すようにしましょう。入り組んだ部分は歯ブラシなどを使い「ウェザリングパステル」を落としていくとよいです。これで終了です。まるで悪路を走行したような〈履帯〉が完成しました。

 

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10 せっかく雰囲気よく〈履帯〉が仕上がったので、もうワンポイントアクセントを加えてリアリティをアップさせましょう。ここでは鉛筆を使用します。使用したのは2B、濃い鉛筆の方がこの作業に適しています。鉛筆を紙ヤスリの上で削り、粉末状にします。この鉛筆の粉を綿棒で、〈履帯〉の凸モールド部分に擦りつけていきます。すると〈履帯〉の地面と接地する部分が鈍い金属色となり、よりリアリティがアップします。写真では綿棒を使用していますが、指先を使用して擦り付けるのが、最も雰囲気がアップする方法です。

 

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11 最後に〈履帯〉の内側に出ている〈センターガイド〉の先端にシルバーをドライブラシすれば、より金属感がアップします。これで〈履帯〉のウェザリング作業は同じです。同じ方法で、ガンタンクの下半身(車体部分)をウェザリングするといいでしょう。

 

次回は上半身のウェザリングを紹介したいと思います。2015年9月中旬に更新予定なので、お楽しみに!!

 

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<関連情報>

バンダイ ホビーサイト
http://bandai-hobby.net/site/

機動戦士ガンダム THE ORIGIN 公式サイト

http://www.gundam-the-origin.net

 

(C)創通・サンライズ

 

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