ウェーブ・レジンキット「ブラッカリィ」について原型師&開発担当に聞く!

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現在予約受付中の、ウェーブのレジンキット「ブラッカリィ」。『戦闘メカ ザブングル』に登場する、主人公ジロン=アモスが仇と追う、ティンプ・シャローンが駆るウォーカーマシンが1/100スケールで待望の商品化です。

 

今回は、そんな本アイテムの原型を担当した市野裕己(ノリモータース)氏、ウェーブの企画担当である永見浩士氏に本アイテムについてガッチリとお話をお聞きしました!

レジンキットにおけるデジタルモデリングの在り方や、現在のレジンキット市場について貴重なお話満載となっています。

 

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(右)市野裕己(ノリモータース)…今回の「ブラッカリィ」を始め、多くのキットを手掛ける実力派3D原型師。
(左)永見浩士…ウェーブの企画担当。レジンキット全般や美少女フィギュアを担当する。

 

■ウェーブがレジンキットに積極的な理由

―― まずは永見さんに質問です。ものすごく基本的なことになりますが、2015年現在レジンキットの新シリーズを積極的に展開し始める理由を教えてください。

 

永見: ウェーブは、’80年代後半のロボットアニメとかが好きなスタッフが多くて。ずっと商品化のチャンスをうかがっていたんです。じゃあ、どんな展開で商品をリリースできるか、と考えるとやはりレジンキットなんじゃないかな、と。その頃のロボットアニメって、もちろんプラモデルとしても展開されていましたけど、同じく’80年代から’90年代にかけて華開いたガレージキット(※)のブームの中でも多く立体化されていますから、ファンの方にとっても馴染み深いし、僕達がやりたいと思っているものと相性がいいだろう、と考えました。
(※編注:本稿ではレジン、ソフビ、メタルなど様々なマテリアルを用いた少数生産の組立キットを総称して「ガレージキット」と表記しています)

 

―― 模型誌でもレジンキットの情報の取り扱いもすごく多かった時代ですよね。

 

永見: ただ、その一方で、あえて今レジンキットで商品化する意義は何だろう、という思いもありました。ガレージキットのブームがあってしばらくは、多くのキットが量販店でも普通に流通していたじゃないですか。そのころのレジンキットって、プラモデルと比べるとよりスペシャルなもの、上級者向けというイメージだったと思うんです。でもプラモデルや完成品の質が向上していった結果、メーカー製のレジンキットというものが店頭から姿を消していったんです。そんな流れの中で、ウェーブとしてレジンキットの将来性や価値というものに疑問を感じていた時期があったのも事実なんです。

 

―― それは意外ですね。逆に、その中でレジンキットを作って……となったわけですから、そこには相応の理由があると思いますが。

 

永見: はい。ここ数年、原型師の皆さんの努力や色々な技術の進歩があって、高額の商品でもそれに見合うだけの価値を生み出せるようになった部分が大きいですね。ウェーブではずっと『装甲騎兵ボトムズ』などのレジンキットに取り組んできましたけど、作を重ねるにしたがって、ドンドンと手応えが増していく。その中で、よりポジティブにレジンキットの可能性を信じることができるようになったというのが理由ですね。

 

―― なるほど。

 

■なぜ「ブラッカリィ」からスタートなのか?

―― さて、展開スタートとなった『戦闘メカ ザブングル』のレジンキットシリーズ。現在予約中の第1弾が「ブラッカリィ」、第2弾が「ザブングル」というのは冒険のように思われますが、この理由を教えてください。

 

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 ▲「ブラッカリィ」。1/100スケールカラーレジンキット、価格:32,000円(税抜)、2016年1月発売予定。原型製作:市野 裕己(ノリモータース)。※ウェーブ直営通販店「ビージェイ」限定アイテム。※写真は成型色を活かした未塗装作例です。

 

永見: このレジンキットシリーズに関しては値段や満足感などのバランスを考えて、1/100スケール前後のサイズで展開しようと考えていました。放映当時、1/100スケールのプラモデルでは後期主役機であるウォーカーギャリアと、ブラッカリィが発売されませんでした。ただ、ウォーカーギャリアの1/100スケールキットに関しては近年キット化もされましたけど、やはりそうなるとブラッカリィが欲しくなりますよね。
ラスボスというと変ですけど、劇中でもすごく活躍した機体ですし、印象も強い。なのに立体物がすごく少ない……そう考えるとむしろ商品化は自然な流れかな、と考えています。

 

―― たしかにユーザー視点で考えると、待望の立体化といえるかもしれませんね。

 

永見: あとはスケジュールの問題もありますよね。色々なアイテムを今夏、一気に発表しましたけど、1体目は色が付いた状態でキャラホビ2015に間に合わせたかったんです。ただ、スケジュールとしてかなりタイトだったんですが、「ブラッカリィ」なら市野さんにお願いしているし、何とかなる、と(笑)。

(関連記事はこちら⇒みんな気になるウェーブの「今後のラインナップ」についてキーマン二人にインタビュー!

 

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▲市野氏がウェーブで手がけたアイテム達がこちら。手前から「スコープドッグ ターボカスタム[サンサ戦]キリコ機(スペシャル版)」「スコープドッグ[サンサ戦]リーマン機」「ツヴァーク(デラックス版」「ベルゼルガイミテイト」。

 

―― 市野さんは「ブラッカリィ」をお願いします、とお話があったとき、どうでしたか?

 

市野: ブラッカリィはカッコイイですからね。お話があったとき、即答で「やります!」と答えました(笑)。さきほど永見さんは時間がない中で……とおっしゃいましたけど、自分としてはそこまで無茶なスケジュールではなかったかな、と。監修などもありますが3ヶ月以上あればまぁ出来るでしょう、と思っていました。なので、原型師としての立場としてはそこまでタイトだったイメージはないですね。

 

永見: それは市野さんならではかと思います(笑)。

 

市野:自分はデジタルで造形していますので、1ヶ月で最初のデータができて、修正が入ったとしても2ヶ月でデータが完成、立体に起こして収めるというのでも3ヶ月もあればいけちゃうんですよ。

 

■レジンキットとデジタル造形

―― 今、デジタルという言葉が何回か登場しましたが、市野さんはデジタル造形の経験が長いんですよね。

 

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市野: 長いというか、もともと最初の原型からデジタルで造形していました。当時はまだ3Dではなく、2DCADでしたが。その後は3Dに移っていきましたね。最近は、「トイズアップ!(※)」最新号でも記事になっていましたが、デジタル造形の割合がかなり増えているそうですね。

(※編注:トイズプレス社発行の“作る人造る人作る人読本”。)

 

永見: ただ、デジタルって万能なイメージがありますけど、そうでもないんですよね。この前もある原型師にデジタルで造形されていたアイテムを「カラー分割してください」って気軽に話したら、「僕が使っているソフトだとそれは難しい」といわれました。

……市野さんも途中でソフトが変わっていますよね?

 

市野: ポリゴン系のソフトを使用していた時期もあったのですが、玩具やガレージキットを設計するのはやや不向きだったので、最近はCAD系のソフトばかり使っていますね。フィギュアなどであればポリゴン系のソフトの方が良いのかもしれませんけど。

 

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永見: あとは手作業とはまた勘所が少し異なりますよね。今回の「ブラッカリィ」では頭部コックピットを再現しているんですが、細かい部分ですし、やっぱり大変なのかな、と思っていたらそうでもない、と。むしろ大変なのは手首だったといわれて驚いた記憶があります。

 

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市野:そうですね。CAD系のソフトだと曲面を作るのが苦手なんですよね。あそこは最後に作ったというのもあるんですが、少し時間を多めにもらって作りました。

 

永見: でもどれぐらいかかるんだろう?と思ってたら「2日ください」って。「2日で出来るの!?」と思いましたけど(笑)。

 

市野:(笑)

 

永見: で、本当に2日後に上がってくるんですよ。すごいな、と(笑)。

とはいえ、決してデジタルだから簡単にできる、ということじゃなくて、やはり平面に描かれた絵をどう捉えるか、そしていかに3Dの立体に起こすってすごくセンスがいることだと思うんです。そういう意味では塗装における筆とエアブラシの関係と一緒ですよ。あくまで便利な道具、ツールのひとつということだと思います。
また、実際には全てがPC上で完結するわけではありません。ブラッカリィも何回も出力しては整形して組み立て、それを市野さんと検討して修正、という行程を行っています。実際版権元さんに監修をもっていくまでにも相当修正しましたよね。

 

市野: デジタルの強みって発注や指示を反映するのが楽な点だと思うんですよ。メーカーさん側から見ても、アナログの原型を直せっていうよりもデジタルのデータに赤を入れるほうが気が楽でしょう。やはりメーカーさんには修正を入れていただいて、お客さんが欲しいと思ってくれるものに仕上げるっていうのは重要だと思うんです。そういう意味では修正はドンドンいただきたいですね。

 

永見: 修正多くてすみません……。でも、この作業も大変なんですけど、画面で見るのと実際の立体になったときの印象が全然違うこともありますし、これをキチンと最初のうちにやるのとやらないのでは完成度が全く違うんです。

 

市野: でも実際にいただいた修正を反映していくとすごく良くなっていくのがわかりますから、そういう意味では修正のやりがいがあります。

 

■レジンキット「ブラッカリィ」の魅力について

――少し話が横道に逸れてしまいましたね。現在予約受付中の「ブラッカリィ」について教えて下さい。

 

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※写真は成型色を活かした未塗装作例です。

 

永見: はい。『ザブングル』が放送されて30年以上経つわけですが、その間にロボットデザインの流行りって変わってきたと思うんですよね。ウェーブとしては、今、お客さんが求めているのは、アレンジの効いた造形よりもオーソドックスなスタイルではないか、と考えています。なのでこのアイテムもお客さんの欲しいものを商品化することに注力しましたね。ブラッカリィにおけるそれは何だろう、と考えると、恐らく設定画であり、劇中のイメージだろうと。それを大事にしています。

 

―― 劇中のイメージ、といいますと?

 

永見: 例えば、全高の問題があります。ブラッカリィを立体化するときには大きさの問題が発生するんです。設定通りの全高で作ると1/100のギャリアや他のウォーカーマシンと較べるとかなり小さくなってしまうんです(※)。
(※編注:設定全高は、ウォーカーギャリア:18.6メートル、ブラッカリィ:16.5メートルとなっている。)

 

市野: 最初は設定通りのサイズでモデリングしていたんですが、それを1/100にすると頭部がすごく小さくなってしまって。コックピット内部にティンプ達がどう考えても収まらなくなるんですよ。ウォーカーマシンは頭部にコックピットが収まっていることが多いので、そういう部分が見えちゃうんです。

 

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※写真は成型色を活かした未塗装作例です。

 

―― プロポーションのことを考えると、じゃあ頭を大きくします、で済む話ではないですからね。

 

永見: 設計段階でそれを市野さんから指摘されて、アニメを実際に見返してみたんです。でもギャリアやザブングルと戦っているシーンを見ても小型なメカという描写はされていないんです。なので、今回の「ブラッカリィ」に関しては他の1/100スケールのザブングルやウォーカーギャリアと並べて、ほぼ頭の高さが同じになるようにしています。

 

―― 設定とアニメを見た時に抱いたイメージに齟齬が起きた時には、アニメから得たイメージを大事にするということなんですね。

 

永見: 全身のディテールについてもそうですよね。設定画だと結構ツルッとしたデザインなんですけど、劇中でもアップのときはウォーカーマシンも結構細かなディテールが描かれていたりするんですよ。なので市野さんにはその辺りを踏まえつつ、重機的なイメージでアレンジとディテールアップをしていただきました。

 

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※写真は成型色を活かした未塗装作例です。

 

市野: そうですね。……逆にイメージに引っ張られてしまうことも多かったんですけど(笑)。実は最初、背中のローターの羽の数が今よりももっと多かったんですよ。

 

永見: ありましたねー。監修のときにファンの数大丈夫? と指摘されたので、ちゃんと設定と劇中を確認して修正していただきました(笑)。重機っぽいイメージでアレンジしていく中で、ローターの羽もこれぐらい細かなほうがリアルじゃないか、と勢い余ってしまうんですよね。アレンジするにしても、そこはまずはキチンと設定を咀嚼してからじゃないといけないな、と思ってブレーキをかけさせてもらいました。

 

市野: 逆にこちらから指摘したときもありましたよね。背中のローターの大きさとか。

 

永見: ……ウォーカーギャリアの背面ローターが大きいじゃないですか。自分があのイメージで、ブラッカリィもローターが大きいっていうイメージがあって、もっとローターを大きくしてくださいってお願いしてた時期があったんです。でもギャリアと違って、ブラッカリィは胴体とローター部分が直結しているので、胴体の幅を超えてローターの直径を大きくすることはできません……と市野さんに指摘されました(笑)。

 

市野:そういうエピソードは多いですね。僕は、ずっとブラッカリィのライフルのデザインはギャリアのものと同じなんだけど色がグレー1色だと思い込んでいたんです。で、納品日にパーツを成型色ごとに分けて梱包していたんですよ。『ザブングル』を流しながら。

そこでブラッカリィのライフルも、ギャリアのライフルと同じツートン配色だということに気がついて(笑)。いや、でもどこかで一度ぐらい全部グレーのライフルがあったんじゃないか? 1回でも出てくれば作り直さなくてもいいんじゃないか? と思って、その後ずっとアニメをチェックしたんですけど、出てこないので諦めて分割しなおしました(笑)。

 

永見: 僕も「サンライズ作品はライフルがグレー」という先入観がなぜかあって気がついてませんでしたね(笑)。

 

―― 昔の作品って見返してみると、意外とそれまで抱いてたイメージと違う……ということは多いですよね。

 

市野: その中でも当時アニメを見た人たちが抱く“ブラッカリィのイメージ”がそのまま形になるように心がけましたね。誰もがブラッカリィはこういうイメージだろう、という形にもっていく。ガレージキットは原型師の色が強くでるものですけど、出しすぎても広く受け入れられるものにはなりませんからね。

 

―― それってすごく難しいことだと思うんですよ。誰しも自分のイメージというものがあるでしょうし……。

 

永見: 市野さんも、ウェーブも、そして版権元さんも、それぞれのブラッカリィのイメージというのがあるんですけど、その中でキチンとそれぞれの話を咀嚼しつつ、その上で自分のイメージを提案してくれる市野さんのような方は本当にありがたいです。そうやって作ったブラッカリィのイメージがお客さんにも受け入れてもらえると嬉しいですね。

 

市野: 原型師としてクレジットされていますけど、そういう意味では皆で作り上げていったものだと思います。

 

―― さて、「ブラッカリィ」の製作時に苦労したポイント、こだわった部分を教えてください。

 

市野: ブラッカリィは、直線的なデザインでありながら、曲線・曲面が要所要所にあって、その間の変化の部分がすごく苦労しましたし、こだわりましたね。ボディのラインも直線的なんですけど少しだけアールが入っていたり。脚のラインも結構修正が入りましたよね。

 

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▲初期のモデリングに対するウェーブによる修正指示。各面のラインのつながり方に多く指定が入っているのがわかります。

 

永見: 最初はもっとスネの側面がゴツゴツとしていましたので、滑らかな面にしてもらいましたね。やはりこのあたりの滑らかさ、色気は大事だと思いましたので。

 

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※写真は成型色を活かした未塗装作例です。

 

市野: あとは、肩関節の可動やヒジの可動にはかなりこだわりましたね。肩装甲は上手く逃がすことができて、本体側を切り欠くことなく大きく可動させることができていますし、ヒジの部分は蛇腹状のカバーがついているんですが、この部分を引き出して曲げることで、ヒジ関節の蛇腹状のディテールと可動域を両立させることができました。

 

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▲肩およびヒジの可動。プロポーションやディテールに影響を与えることなく、可動範囲が確保されています。とくにヒジ関節は引き出し式となっており、見た目のイメージ以上に可動する上、蛇腹状のディテールも見事。

 

 

永見: このあたりは作ってみては設計変更、調整の連続でしたね……。それだけに可動範囲はすごく広いですよ。

 

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市野: 可動の方に意識が行き過ぎてヒジ関節が細くなり過ぎてしまったこともありましたが、そこはウェーブさんにご指摘いただいたりしました。後は……可動という意味では足首の可動も苦労しましたね。『ボトムズ』に登場するアーマード・トルーパーとかは足首が太いのでいくらでも工夫できるんですが、ブラッカリィの足首は細くて、ポリキャップを入れたりするとラインが崩れてしまうんです。その中で可能な限り可動させたいというウェーブさんからのオーダーを実現できたのは、RCベルグさんのABSレジンがあったからですね。

 

永見: 最近我々が可動レジンキットの関節部分に使用している、特殊硬質レジンですね。我々はこれをABSレジンと呼んでいますが、これのおかげで動かしてもへたらないものができました。

 

―― ウェーブのレジンキットといえばフル可動ですが、レジンキットを可動させることについて、どうお考えなのかお聞きしたいな、と。

 

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▲先に紹介した肩とヒジの可動によって、ダイナミックなポーズジングが可能となっています。

 

永見: ウェーブでは以前から、ずっと可動するレジンキットをやっていたんですけど、やっぱりパブリシティ用に派手なポーズの写真が1カットあるだけで売り上げが大きく変わるんです。ボールジョイントやポリパーツで可動させていたころはお客さんから「可動しなくてもいいんじゃない?」という声が寄せられていたんですが、それでも実際は固定ポーズよりも可動するほうが売れ行きが良かった。
そうして板挟みになって悩んでいた時期があったんですけど、特殊硬質レジンを使うようになってかなり状況は変わってきましたね。ヘタリやガタツキも軽減できて、しかも組み立ても簡単、さらに先ほどの市野さんのお話のように造形の自由度も上がる、といいことづくめですから。なので、最近は原型師の方にいつも「派手なポーズができるようにお願いします」としっかりお願いしています。

 

市野: その辺りの設計も、やはりデジタルで設計することの恩恵がすごく大きいですね。可動設計はポリゴン系よりCAD系のほうが向いていますから。正確だし、楽なので。

 

―― レジンキットも、デジタル造形だけでなくいろいろな技術の進化の恩恵をすごく受けているんですね。そういえばレジンキットで全7色成形というのも冷静に考えると凄いですよね。

 

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▲テストショットを素組みした状態がこちら。塗装せずともこの色分けで仕上がる。パーツの合いも非常に良くサクサクと組み上がるのもポイントです。

 

永見: こちらも、確かにお客さんからは「どうせ塗装するんだからカラーレジンじゃなくてもいい」というご意見をいただくこともあるんです。でも、実際にスミ入れした簡単仕上げをご覧いただいたりすると、「あ、これでいいな」と言っていただけることが多いですね。

 

市野: 最初、僕は頬のリブまで色分けするつもりなかったんですよ。でも永見さんに聞いたら「色分けしましょう」と言われました(笑)。そこまでやりますか、と思いましたね(笑)。

 

永見: どうしてもそのあたりはこだわってしまうので……ごめんなさい(笑)。ザブングルをお願いしている岬光彰さんにも同じような反応を返されました。性格的に、可能なかぎり色分けを全部再現しようとしてしまいまうんですよね。まぁ、どうしても細かなところは残りますが、それでもこの「ブラッカリィ」ではほぼ設定カラーを再現できていると思います。

 

―― こちら、色分けにもこだわる理由とはなんでしょうか。

 

永見: 色分け分割されていることで完成させるまでのハードルが低くなるんですよね。作業が楽しいと思えるウチに完成させることができる、というのは重要で、やはり製作するのが苦行になってしまってはいけないと思うんです。そういう意味では、カラーレジンキットなら時間がないという方でも、コツコツと作業すれば絶対に完成させられますから。それに分割しておけば、しっかりと塗装して完成させたい! という方にとっても、マスキング作業も楽になるなど充分に利益があると思うんです。
その分、原型師さんは可動と色分けでどんどん大変になってしまうんですけど(苦笑)。

 

―― それも含めてデジタルのほうが楽なんですよね?

 

市野: そうですね。後から分割したりするのも楽ですから。

 

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■最後に

―― レジンキットってハードルが高いもの、というイメージが未だにすごく強いと思うんですが、レジンキットを買うことにためらいを感じているユーザーの方へのメッセージをお願いします。

 

市野:今のメーカー製レジンキットって、10年以上前のキットと比べるとすごく作りやすくなっていると思います。気泡もほとんどありませんし、パーツの合いもすごくいい。細かいすり合わせは当然必要になりますが、それは普通のプラモデルでも同じことですしね。パーツ数もそんなに多くありませんし、ひょっとしたら今のハイエンドなプラモデルよりも作るのは簡単かもしれないですね。

 

永見: プラモデルでも完成品でもそうなんですけど、それぞれに一長一短あると思うんですよ。そして、レジンキットに関して言えば、デジタルという新しい手法が普及してきて、色々な原型師さんが蓄積してきたノウハウを楽しむことができる。そんな最先端を体感することができるのがレジンキットの魅力だとも思っています。今回の「ブラッカリィ」は市野さんに頑張っていただいて、改造なんてしなくても充分カッコイイものを作ることができたと思いますので、ぜひこれまでレジンキットを作ったことがない人にもチャレンジしていただきたいと思います。

 

市野: ぜひ「ブラッカリィ」を作ってほしいですね。
……と思う反面、こういうことを言うと怒られてしまうかもしれないんですけど、最近は別に作らなくてもいいんじゃないかな、とも思っているんですよ(笑)。

 

―― これは凄いメッセージが(笑)。

 

市野: 完成品の写真だってウェーブさんのウェブサイトに掲載されているわけですし。実際は、買うけど作らない方も多いんじゃないかな、と思うんですけど……。

 

永見: 最近は僕も作れていないですね(苦笑)。ここまで話していて何ですが、作らないことを悪いことだと決めつけたくはないんです。買ったから絶対作る必要がある、なんて堅苦しくなっちゃうと辛いじゃないですか。レジンキットって、組立説明書やパーツを眺めてニヤニヤするっていう楽しみ方もあると思うんです。買ったことがある方ならわかっていただけると思うのですが(笑)。

 

―― ある程度の大きさのパーツがゴロリと入っているレジンキットならではですよね。最近のプラモデルは本当にパーツ分割が細かくて中々パーツそのものを味わうというのは難しいかもしれません。

 

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▲フクラハギのパーツ。こだわったという側面のラインもパーツ状態でしっかりと見て取れます。このように、プラモデルのように細かく分割されているわけではないため、パーツ状態でも原型師の造形が結構楽しめてしまうのがレジンキットの魅力のひとつなのです。

 

永見: 僕は完成品のフィギュアのほうも担当しているんです。完成品には完成品の良さはもちろんあるんですけど、やはり金型や素材の都合もあってどうしても原型の魅力を100%伝えるのは難しい。そう考えると、プロの造形、プロの技術をダイレクトに味わえるのがレジンキットの醍醐味ですよ。そうやってプロの技を学んで、ワンフェスやキャラホビなんていうイベントに、自らディーラーとして参加する、その足がかり、最初のステップとなれば嬉しいですよね。

 

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市野: レジンキットは一期一会ですからね。再生産があるともかぎらないし、生産数も少ない。いつ作るかはさておき、とりあえず手にはとってほしいですよ。……凄い結論になってしまいましたが(笑)。

 

永見: まぁそうやって眺めるだけでも充分ニヤニヤでき、幸福感を得られるような素敵なアイテムを作っていきたいですね(笑)。高額商品というところで、年にいくつも買えるというものではないと思いますが、その中のひとつがこの「ブラッカリィ」であればうれしいですね。

(インタビュー:電撃ホビーウェブ編集部)

 

 


>>次ページでは塗装済みの完成見本&

本アイテムの見どころを

改めてご紹介!

 

<DATA>

 ブラッカリィ

■1/100スケールカラーレジンキット

■全高:約180ミリ

■価格:32,000円(税抜)

■2016年1月発売予定/2015年11月30日23:59まで予約受付

■原型製作:市野 裕己(ノリモータース)

■発売元:ウェーブ

>>商品詳細・ご注文はこちらから!

※ウェーブ直営通販店「ビージェイ」限定アイテムです。

 

<関連情報>

ウェーブ

http://www.hobby-wave.com

ウェーブ・プレミアムモデルニュース

http://www.hobby-wave.com/special/wpn/index.html

 

(C)創通・サンライズ

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