『ムーン・ウォーカーズ』これが月面着陸映像捏造の真相だ!?

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「都市伝説」あるいは「トンデモ」系のネタ、みなさんお好きですよね? 表向きにはアポロ11号は月面着陸を成功させたということになっていますが、世の中にはあの映像はニセモノだ! と信じて疑わない人も少なくないようです(?)。とすれば、その映像はどのように作られたのか、という裏事情を詳細に描いたのがこの作品です。これを観ればそんなアナタのモヤモヤもきっとスッキリするハズです!
※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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文/百鬼

■ストーリー

1969年、アポロ11号が人類初の月面着陸を目指して宇宙空間を飛んでいる、ちょうどその頃。ソ連への対抗意識から、是が非でも成功させなければならない合衆国は、失敗した時のリスク回避のため、極秘裏に“月面着陸成功”の映像を製作するミッションをスタートする。そして、その映像を製作するため、ベトナム帰りのCIA諜報員キッドマンに白羽の矢を立てた。彼の任務は『2001年宇宙の旅』を監督したスタンリー・キューブリックにその映像を製作するよう依頼し、完成させることだった。ところが、ロンドンに着いたキッドマンは、ちょっとした行き違いで、売れないバンドのマネージャー、ジョニーをキューブリックのマネージャーと勘違いし、映像製作のための大金を渡してしまった……。

 

■解説

いまだに熱狂的な信者も多い都市伝説“実はアポロ11号の月面着陸はなかった!”説を、まさにそのまま映画化。あの見事な宇宙映像は、“名匠S・キューブリックの手によるもの”説に従い、CIAの腕利き諜報員がミッションにチャレンジするという内容なのだ。しかし、世の中そうはやすやすと行かないもので、キューブリックも知らない堅物諜報員が、あっさりと騙されてしまうということからはじまる大騒動。時代背景は、まさに60年代後半。しかも、モードの最先端英国では古き良き60年代から、ついにサイケデリックな時代へとダイブしたちょうどその頃。

そこで、結局ニセモノと知りつつも、キッドマンはあるサイケの殿堂で映画撮影に臨むはめになり、そこで英国式ヒッピー文化に触れてしまうのだ。しかし、ドラッグとフリーセックスなサイケ人と交わることによって、仕事一筋キッドマンの中でもダイナミックな化学反応が起きてしまうという感じだ。

 

この堅物キッドマンを演じるのは、ロン“ヘルボーイ”パールマン。いつも怒っているような風貌だが、じつは本作で本当に怒っているというシーンもあるそうだ。序盤でとある事件のために、キッドマンが派手なアロハを着るはめになるのだが、ものすごく気に入らなくてマジギレしているらしいぞ。鑑賞のときには、ちょっと気にして観ると面白いかも。それにしても、このいかにも不器用そうなパールマンがCIAの腕利きを演じるところからして、いかにも失敗しそうなミッションになってしまうわけだが、アクションシーンになると、けっこう納得な人選だったりもする。

 

本作は英国が舞台だけど、実際の製作国はフランスとベルギー。ハリウッド風味にチャレンジした作品だけど、ユーモア的には英国風味というブレンド品になるので、アクションシーンは少々ハードさが目立つ。けっこう地味に残酷シーンが満載だったりもするので、スマートなハリウッドセレブ風では力不足。やっぱりここはパールマンくらいのガタイとデカイ頭が必要だったというわけなのだ。

 

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一方、キッドマンをダマしてしまう売れないバンドのマネージャーを、ルパート“ロン・ウィーズリー”グリントが演じる。『ハリポタ』のロン君も、少々ダメ男クン気味だったが、本作のジョニーは完全無欠のダメ人間。しかし、サイケに触れて、どんどん“ダメになっていく”キッドマンとは対照的に、なぜかどんどん“マトモになっていく”ダメ男ジョニーを好演している。やっぱりこのデコボコなコンビ具合が本作の見どころのひとつなのだ。

 

コンビといえば、ジョニーの“相棒”レオンがやっぱり最高だろう。演じているのは、アイルランド出身の若手の注目株ロバート・シーハン。まったく似てないニセ・キューブリックになったり、肝心なときにドラッグで気を失っていたり、随所でロクなもんじゃない感を見事に演じている。本作の笑いどころは、だいたいレオン絡みなので、彼の動きは要チェックだ。

 

とにかく、キッドマンやジョニーたちキャラクターのドタバタぶりと、時代背景でもあるサイケデリックな世界。特に、サイケ関係はなかなかな再現度だ。そろそろサイケデリックを知らない世代も多いだろうから、この映画を観て、ちょっとサイケ方面に目覚めてみるというのも一興かもしれないぞ!

 

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ウィーズリー坊やの面影残りまくりなルパートだが、中身はちゃんと大人。本作ではなかなかキワドイセリフも連発だ。ハリポタ女子は気を付けて観るが良い。左側がキューブリックコスのR・シーハン。どうでしょう、これじゃただのブルース・ブラザーズコスでしょう。

 

 

<DATA>
ムーン・ウォーカーズ
監督:アントワーヌ・バルドー=ジャケ/製作:ジョルジュ・ベルマン
出演:ロン・パールマン、ルパート・グリント、ロバート・シーハン、スティーヴン・キャンベル・ムーア、ほか
配給:日活、CAMDEN
上映時間:94分
11月14日全国ロードーショー
⇒上映スケジュールはこちら

 

 

<関連情報>
映画『ムーン・ウォーカーズ』公式サイト
http://moonwalkers-movie.jp/

 

 

(c) Partizan Films- Nexus Factory – Potemkino 2015 

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