多数の新作が春に向けてスタンバイ! 隆盛を誇るTRPGの雄、ドラゴンブックが発表会を開催!

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12月16日に開催された、ドラゴンブック新作TRPG発表会。国内のTRPG市場、その一翼を担っているドラゴンブック。今回は初春に登場するラインナップの多くが発表となりました。完全新作、人気作品の続編・新展開、発売直前作品の多岐展開発表と、とにかくその内容は盛りだくさん! 1時間半にも及んだ発表会の全容をお届けいたします。

 

まずはじめに発表となったのは、TRPG界の巨星、グループSNEの贈る新作TRPG、『ダイス・オブ・ザ・デッド』!

 

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ホラーRPGではありますが、「極限状況でのサバイバルとそのドラマ」を強く押し出したスタイルでホラーが苦手な人でも安心して楽しめる一作。舞台は「ゾンビ細胞」が蔓延しつつある首都・東京。プレイヤーは「ゾンビ細胞」を獲得してしまった人となり、ゾンビになってしまう恐怖と、それゆえの異能の力の間で苦しみながら戦います。記憶が混濁し過去が甦る「フラッシュバック」という、アクシデンタルなシステムも搭載。ルールに従ってゲームを進めればゾンビモノによくあるイベントが効果的に演出されます。判定にはD6を多数振って、出た目をマスターを含めた全員で割り振る「ダイスドラフト」という駆け引きのあるシステムを採用。「自分に有利な目が欲しい、でもGMに有利な目は渡したくない……」といった、熱い駆け引きが発生します。

 

<DATA>
ダイス・オブ・ザ・デッド
■B5版ルールブック
■2016年4月20日発売予定
■3300円(予価/税抜)
■監修:安田均 著:大井雄紀/グループSNE
■カバーイラスト:藤井英俊

 

『ダイス・オブ・ザ・デッド』は、TRPGだけでなくボードゲームでも展開が予定されており、崩壊のゼロアワーを描いたTRPG版の後日談であり、ポストアポカリプスの世界となっています。ゾンビ細胞の爆心地となった東京に向け、新型爆弾が投下されようというまさにその瞬間の物語。プレイヤーは細胞の脅威を廃し、爆弾投下を阻止しなければならないという、こちらもこころ躍るストーリーです。ボードゲームにはより贅沢なコンポーネント(コマやマップなどの内容物)が付属しますが、これはTRPG用のサプライとしても機能する嬉しいアイテム。両方揃えて楽しみたいところですね。

 

<DATA>
ボードゲーム版 ダイス・オブ・ザ・デッド
■ボードゲーム
■2016年4月発売予定
■価格未定

 

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次に控えしは、TRPGの「深夜番組枠」担当を自称するインコグ・ラボの新作、『ドラクルージュ』。太陽が失われた吸血鬼が支配する世界が舞台という、なんとも退廃的な魅力に溢れた作品。シナリオの目的も「優雅に、耽美に生きること」というこれもそのものずばり。姫の寵愛を得るために思索と嘆願、権謀術数を巡らせるような、政治劇と感情の機微をシステム化した、インコグ・ラボらしいゲームに仕上がっております。代表の江島さんは、「(インコグ・ラボは)深夜番組のような作品を作り続けてきたけれど、ドラゴンブックはいってみれば日曜日夕方のゴールデンタイム。そのゴールデンタイムに、深夜番組を流すような作品をこれからも作りたい」と作風への気概と意気込みを語りました。

 

<DATA>
常夜騎士譚RPGドラクルージュ
■B6版ルールブック(リプレイ同梱)
■2016年3月19日発売予定
■1600円(予価/税抜)
■著:神谷涼/インコグ・ラボ
■カバーイラスト:晩杯あきら

 

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そして人気作品、『アリアンロッドRPG 2E』に新展開が発表! いままでに発売された多数のルールブックのデータを俯瞰したうえで新要素を組み合わせた、ニュー・ベーシック。基本ルールブックの改訂版がついに登場します。さらに、この基本ルールブックの改訂版は新要素として「異世界からの訪問者」が登場! これはいわゆる「現代日本からファンタジー世界に巻き込まれてしまったキャラクター」を再現するための革新的なルール。10年以上現役であり続けた、盤石な王道ファンタジー・ゲームであるアリアンロッドに、現代日本やそのほかさまざまなかたちで、アナザーワールドから闖入者が登場します。本作のファンタジーとしての地盤がどのように変化していくのか、これは楽しみです。3月に基本ルールが、さらに4月この新要素をフィーチャーしたリプレイが、そして5月に「ストレンジャーズガイド」と呼ばれる、訪問者にフォーカスをあてたサプリメントが発売。「表現の幅をとにかく広げていきたい」という一方で、「現代人にファンタジー世界の恐ろしさを教えるような展開もできます」とのこと。マイケル・ムアコックの著作や、『ナルニア国物語』から連綿と続き、現代ではVRMMOものなどにも変容しながら読者の心を掴み続けている「異世界もの」。アリアンロッドならではのアプローチに期待したいところですね。キービジュアルは現代を感じさせるキャラクターが描かれ、ライフパスも拡張したものが用意されます。

 

<DATA>
アリアンロッドRPG 2E ルールブック①改訂版/ルールブック②改訂版
■ドラゴンブック(文庫)
■2016年3月19日 2冊同時発売予定
■価格未定
■著:菊池たけし/F.E.A.R.
■カバーイラスト:佐々木あかね

 

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人気のロボットものTRPG『メタリックガーディアンRPG』。新EXルールブックは追加ロボットがルールとして多数用意されます。人と一体となってその力を発揮する『オリハルコン級』、重力を操るラスボス感溢れる機体『グラビトロン級』、そして民生品として一般の人でも扱える『ブレイヴ級』。どこかで見たような、でも新しいロボットたちをアナタのセッションに加えてみてください。

 

さらに、複数勢力の侵略と第五帝国の襲来、コロニーの破壊により戦線が拡大していく物語。『サードワールドウォー』を描いたキャンペーンサプリメントも付属。こちらはシナリオが合計18本の超大型キャンペーンとなっており、大箱好きなら要チェックです。このサプリメントに登場する、『オリハルコン級』の活躍を描いた機械生命体と小学生主人公の邂逅と融合を描いたリプレイ「メタリックガーディアンRPGリプレイ・エグゼクス 黙示録の勇者、誕生!」が刊行されます。

 

<DATA>
メタリックガーディアンRPG EXルールブック サードワールドウォー
■B5版ルールブック
■2016年2月20日発売予定
■価格未定
■著:藤田文人・林啓太/F.E.A.R.
■カバーイラスト:久壽米木信弥

 

メタリックガーディアンRPG リプレイ・エグゼクス 黙示録の勇者、誕生!
■ドラゴンブック(文庫)
■2016年3月発売予定
■価格未定
■著:林啓太/F.E.A.R.

 

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そして、発売中となる『神話創世RPGアマデウス』。怪物の引き起こす”神話災害”に、神の子”アマデウス”となって立ち向かう、現代を舞台にしたTRPGです。基本ルールブックにはリプレイも同梱。2月にはKADOKAWAを舞台にしたリアルゲームも開催予定。インガを溜めながらクリアを目指す、テーブルトーク版のルールにのっとったリアル冒険ゲームになる予定とのことです。

 

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アマデウスはTRPGを楽しむための、台詞やダイスアプリとして機能する専用連携アプリも配信中。また、3月には追加ルールブックの発売も発表。テーマは北欧神話となっており、北欧神話らしい野趣溢れる世界観で、ラグナロクがテーマ。アマデウス同士の戦闘など、新システムも盛りだくさんです。

 

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さらに、ホビージャパン社から発売中のラストクロニクルとのコラボレーションも発表。”ラストクロニクル神群”として参戦。「架空の神」としての登場で、これらが収録されている神群とどういった絡みを見せるのかも楽しみなところ。

 

<DATA>
神話創世RPG アマデウス
■B6版ルールブック(リプレイ同梱)
■発売中/12月19日発売
■1600円(税抜)
■著:河嶋陶一朗/冒険企画局
■カバーイラスト:PALOW

 

神話創世RPG アマデウス02 旋血ラグナロク
■B6版ルールブック(リプレイ同梱)
■2016年3月19日発売
■1600円(予価/税抜)
■著:河嶋陶一朗/冒険企画局
■カバーイラスト:伊藤真美

 

ドラゴンブック副編集長・細野君郎氏によると、現在のTRPGはニコニコ動画などによるリプレイ動画ブームもあり、10代の若い層と30代を中心としたベテラン層がふたつの山になっている、とのこと。今後の発展のためにも、若い層への受け皿と、ベテラン層へのサプリメントを同時に展開していきたい、と意気込みを新たに語られていました。次回発表会は春ほど、とのこと。ますます活況のTRPG界、そしてドラゴンブックの今後にも注目です!

 

●『神話創世RPG アマデウス』体験会のレポート!

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さて、ここからは『神話創世RPG アマデウス』体験会のレポートとなります。マスターは著者の河嶋陶一朗さんその人が務めてくださいました。プレイヤーは私を含めて4人。それぞれがゼウスの子(ギリシア神群)、アマテラスの子(ヤマト神群)、バステトの子(エジプト神群)、そしてニャルラトテップの子(クトゥルフ神群)と、バラエティある面子です。彼らはまだアマデウスになりたてのひよっこ。その彼らに試練として、「オリュンポスにある試練の塔を登る」ことが課せられました。彼らは若いながらも、果敢に試練へ立ち向かいます。

 

・やはり熱いインガシステム
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場に溜まる「インガ」によって、プレイヤーもGMも少しづつ状況が過酷さを増すインガシステム。ダイスを振ればインガは溜まってしまうため、物語が進めば、局面は双方にとってシビアになっていきます。しかし、そこを少しづつコントロール出来るのが素晴らしい魅力。今回はプレイヤー4人でのセッションでしたが、誰かがダイスを振るたびに
「どのダイスをインガにしよう」「今回は妥協してGMに少し有利に……」「このインガならプレイヤー全員がひとまず楽になりますね」といった、熱いトークが起こります。一度溜まったインガは、「瞑想」というアクションで少しだけ取り去ることができますが、有利なインガも無くなってしまうため、これも一筋縄ではいきません。ダイスを振るときだけでなく、振ったあとにも緊張感がある。さらに、その溜まったインガによって物語が加速していく、かなり楽しいシステムに仕上がっていました。

 

・ランダムイベントの豊かさ

ランダムイベントのチャートはかなり豊富で、しかも”突飛”。良い意味での超展開が、場所と時間に関わらず展開するそのさまは、非常に楽しいもの。(地上100階に飛び込んでくる小鳥や、試練の塔に現れるスケルトン・ウォーリアーのチンピラなど)神話とは決して荘厳なだけでなく、突飛で、想像を超えた側面を必ず持っているもの。このランダムイベントにはそんな面白さが溢れています。同時に、シナリオとの整合性をとるのはプレイヤーやマスターの腕の見せ所。物語派にもシステム派にも、楽しい”神話”の土台が簡単に作れる嬉しいシステムでした。

 

・”物語”を意識したボス戦
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ボス戦は、大きく分けて偵察と戦闘のふたつのフェイズに分かれています。ボスはパラグラフと呼ばれる物語を模した場所に、「脅威カード」という行動を表すカードが置かれるをとるという少し奇抜なルール。まず、プレイヤーは偵察してこのボスの行動を(可能な限り)丸裸にしていきます。そして、判明した脅威をもとに各自が作戦を立て、最適の行動を相談無しで決定。全員が一丸となってボスをばらしにかかります。戦略性も非常に高いので、ひとつのアクションごと、判定ごとに手に汗を握ります。また、この「ボス戦=物語の解体」というルール、遊んでみると実にスリリング。一度体験してみてほしい、新しいボスバトルです。

 

・裏表のある”予言”システムで大逆転も
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プレイヤーには、ゲーム開始当初に目的を記したカードである”予言”が配られます。この”予言”は、裏にもうひとつ、予言の真実が記されており、これはゲームがある段階に至ったり、固有の条件を満たすことで発動できるもの。プレイヤーのサイコロを操作したり、あるプレイヤーの判定を有利に導いたり。実際のプレイでも、決戦で大失敗(!)したダイスを、予言の真実を使って大成功に変えるという超ファインプレーも産まれていました。「仲間の目的が分からない」というサスペンスと、「いつ、どのように真実を明かそう」という切り札を握った感覚は本作ならではです。

 

改めて、この『アマデウス』をプレイしてみて感じたことは、神話というものにたいして真っ正面から取り組んだシステムである、ということでした。神話は決して、一面的なものではありません。長く親しまれる物語がすべてそうであるように、滑稽だったり、破天荒であったり、暴力的であったり、そういったさまざまな要素を広い受け皿として擁しています。そんな”神話”を、いかにTRPGで再現するか、ということに全力で挑んだ野心作。奇しくもそれは、もはや神話と化した黎明期のさまざまなTRPGが持っていた躍動感にも通じるものがありました。まだまだこれからが熱い『アマデウス』、第一作が発売されたばかりの、いまがプレイのチャンスです。ぜひ、気になったマスターやプレイヤー諸氏は手に取ってみてくださいね。

 

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最後に、茶目っ気たっぷりにアプリを紹介してくださった著者の河嶋陶一朗氏。アプリなどの展開もあわせてシステムを楽しんでみたいものです。

 

<関連情報>
富士見書房公式 TRPG ONLINE

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