「PLAMAX KC-01 駆逐艦×艦娘 島風」(マックスファクトリー)を作る<その3>(最終回)

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マックスファクトリーとハセガワによる共同企画“PLAMAX KC-01 駆逐艦×艦娘 島風”。

 

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「艦船模型部分はもちろん、フィギュアもしっかり仕上げたい」という方に向けて、スケールモデルの塗装技術を活かしてこのキットを製作していきたいと思います。

第3回は、艦体の塗装に着手。AFVモデラー流の着眼点に基づく塗装法に注目。そして、いよいよ今回で完成です!

 

「PLAMAX KC-01 駆逐艦×艦娘 島風」(マックスファクトリー)を作る<その1>

「PLAMAX KC-01 駆逐艦×艦娘 島風」(マックスファクトリー)を作る<その2>

 

■モデラー:セメン・イヴァーノヴィチ……フィギュア塗装が得意なAFVモデラー。

http://kpn.sakura.ne.jp

 

■製作・文:セメン・イヴァーノヴィチ

 

三回目の今回は艦体の塗装に入ります。あまり艦船模型を塗装した経験が無いため、技法的には随分とAFVの塗装法に近くなっているとは思いますが、「こういう塗り方でもできるよ」という一例として捉えていただければ幸いです。最終的に自分が満足のできる物になれば、そこまでの過程はあまり重要ではないのですから。

 

フィギュアの塗装は水性塗料のファレホで行いましたが、艦体は基本的にエナメル塗料のハンブロールを用いて塗装しました。日本国内で模型用エナメル塗料と言うとタミヤエナメルが代表ですが、ハンブロールは同じエナメル塗料ではあるものの全く性質の異なる塗料と考えてください。抜群に鮮やかな発色と、ツヤツヤあるいはガサガサになる強靭な塗膜。完全硬化まで(安全を見て)約1日という長い時間こそ必要ですが、今までスミ入れやウォッシング用としてのイメージでエナメル塗料を見ていた方にこそ、ぜひ使っていただきたい塗料です。

 

尚、今回の作例のようにエアブラシでの塗装も十分に可能ですが、
1. とにかく缶の中の塗料を使用する前に攪拌すること(これはエアブラシで吹く時には限りませんが)。

缶の中で塗料が分離しています。攪拌機を使ってでも徹底的にかき混ぜて下さい。
2. 換気に普段以上に気をつけること。

厳密な塗料の成分は解りませんが、混色が可能であること、溶き油で溶けることなどから油絵具に非常に近い性質の塗料です。恐らく身体に良いことだけはないでしょう。
3. 缶の取扱に気をつけ、くれぐれも缶の中に溶剤を入れないこと。
以上3点には気をつけるようにして下さい。

 

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今しがたそんなことを書きましたが、いきなり下地はガイアノーツのサーフェイサーを吹きます。思い出していただきたいのは、エナメル塗料はラッカー塗膜を侵し辛いということです。下地にラッカー塗膜を一層盛っておくことで、塗装に失敗したとしても硬化前ならばエナメル溶剤に浸したティッシュ等で拭ってやることにより比較的簡単かつ綺麗にやり直しが効きます。そんなわけで、自分は基本的にサフにラッカー系を使うことにしています。

 

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全体をサフでコートした後、まずは艦艇色の塗装を行います。使用したのは133番[Satin Brown]。ブラウンという名称はついていますが、非常に赤味の強い色です。これを艦底色として、艦体の下半分に吹き付けます。半日程おいて塗膜がある程度硬化したところで境界線にそってマスキング、艦体色であるグレーの塗装へと移っていきます。

 

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今回艦体色のグレーとして64番[Matt Light Gray]を使用しています。非常にニュートラルかつ鮮やかなグレーでバッチリでした。上の写真では艦体の塗装がほぼ終わっていますが、艦橋構造物はまだ接着されていません。また、甲板もとりあえず置いているだけで、無塗装のままになっていることに注目してください。パーツ割が非常に良く考えられているので、ブロックごとに塗装していくと非常に楽です。

 

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艦船模型は面一つ辺りの面積が多く、のっぺりとした仕上がりになりがちです。せっかく1/350という大スケールですから、甲板や船体側面などは少しキツめに明暗をつけて情報量を増やしてやると良いでしょう。多少ハデかな? と思っても、スミ入れなどの工程でなじんでいくので大丈夫でした。

 

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艤装品も同様に仕上げて行きます。とにかくキット全体に非常に繊細なモールドが入っていますから、面の構成を意識して水平な面は白を加えて明るくし、角度がついている面や垂直面は元の色のまま。リブやノッチのように一段飛び出た面はさらに明るく。そして最後にディテールを浮かび上がらせるために10番[Gloss Service Brown]でスミ入れ。ディテールがグっと立ち上がってくるような感覚を覚えます。

 

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さてちょっとしたワンポイント。艦橋側面の舷灯を塗り分けてみましょう。グレーと茶色ばかりの艦体の中、非常に効果的なワンポイントになります。

もちろん赤、緑でベタっと塗ってしまっても目立つのですが、さらに少しだけ背伸びして、電球が入っているように見えるように塗ってみてはどうでしょうか。赤ならば暗い赤から鮮やかな赤、そしてオレンジ→黄色とグラデーションをかけてやると、1/350というスケールのおかげもあり実際に光っているかのように錯覚させられます。緑も暗めの緑から黄緑→黄色へとグラデーションをかけてやりましょう。かけた労力に見当っただけの結果が待っています。また、この写真でも構造物のエッヂ部分には非常に明い色が置かれていることがわかると思います。

 

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艦体は大きいですが、ひたすら上記の通りに繰り返していくだけです。丁寧にコツコツ焦らずと作業していけば、必ず完成に辿りつけるでしょう。

それではここからはスタジオで撮影した完成写真です。

 

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「島風、出撃しまーす!」

 

艦船と艦娘の島風を並べて飾れるというところが大きなポイントとなるこのキット。

既製品のフィギュアと違い、塗装の仕上がりなどを艦船と揃えて作ることができるので、一体感はバッチリですね。

 

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AFV塗装的仕上げということで、従来の艦船模型よりは、印象として明るくくっきりとした仕上がりになったかと思います。

艦娘の島風も、皆さん基本的にはゲーム中のイラストと同様に明るくメリハリの付いた塗装で仕上げたいかと思いますので、その意味では艦船と艦娘の見た目を揃えたい人には向いているやり方かもしれません。

 

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スタジオで光を十分に当てるとよく分かりますが、先ほど解説した舷灯の塗装は、本当に色を(グラデーションで)置いているだけです。これが自然光や室内灯などでは、上手くなじんで光っているように見えるんです。

 

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艤装や鎖、甲板のディテールは非常に精緻で、スミ入れやウェザリングが良く映えてくれるので、とても作りがいのあるキットです。

 

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艦娘(フィギュア)部分の島風の仕上がりはいかがでしたでしょうか?

第1回記事でも触れましたが製品にはデカールなども付属しますので、「キャラの表情までは描けない!」という人も、ご紹介した立体映えさせるためのポイントを参考にしつつ、ぜひゲーム画面から飛び出した島風を可愛くリアリティ溢れる仕上がりを目指してチャレンジしてみてください。

 

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▲ちんまいサイズの連装砲ちゃんがまた可愛いです。

 

 

腕に自信のある方は空中線や手摺りを追加すれば、さらに完成度の高い島風を作り上げられますし、艦船模型にはあまり手を出したことがない、という方が手を出しても、きっと完成させられるキットです。付属の島風のフィギュアも出来はピカ一。ぜひ今からでも買って、作ってみてください。

 

 

<DATA>

PLAMAX KC-01 駆逐艦×艦娘 島風

【艦隊これくしょん -艦これ-】
■PS・ABS組み立て式プラスチックモデル
■艦娘:1/20スケール、駆逐艦:1/350スケール
■サイズ:
艦娘全高:約100mm、駆逐艦・全長:約370mm
■艦娘原型:浅井真紀
■制作協力:ハセガワ
■発売元:マックスファクトリー
■販売元:グッドスマイルカンパニー
■商品仕様:水転写デカール、ホイルシール付属
■価格:7,800円(税別)
■発売中
※組み立てにはニッパーとプラスチックモデル用接着剤が必要となります。別途お買い求めください。
※塗装には市販のプラモデル用塗料をお使いください。

※掲載している作例にはテストショットを使用しておりますので、実際の製品とは異なる場合がございます。予めご了承ください。

 

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