『ルーム』アカデミー賞他、多数の映画賞を受賞!母と息子がたどる非日常的な物語

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監禁された母と、その息子が外界へと脱出するという、実際に起こった事件を基に書かれたベストセラー小説の映画化作品です。本作は、いわゆる監禁モノにありがちなサスペンスに重点を置いた作品とは一線を画す内容になっているところが、多数の映画賞を獲得したゆえんでもあり、間違いなしの注目作になっています。

事件に遭遇した当事者がどのような状況に直面するのか? 本作を見ればわかるかも!?

※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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ストーリー

ジョイと5歳の息子ジャックは、鍵を掛けられて外界と隔絶された狭い“部屋”の中で、親子2人きりの生活を送っていた。しかし、生まれてからこの“部屋”しか知らないジャックにとっては、ここだけが彼の“世界”だった。“部屋”にあるタンス、歯磨き、トイレ、おもちゃ……すべてが彼の“友達”だった。大人には狭い“部屋”だが、5歳のジャックには広大な運動場だった。時々、深夜になると“部屋”を訪れるオールド・ニックの来る日だけを除いて、そこは彼と母親だけの楽園だったのだ。

 

ある日、オールド・ニックとジョイの間で口論が起きた。ジャックのために栄養のある食料を要求するジョイに、失業したというオールド・ニックは首を縦にふらなかった。さらに翌朝になるとオールド・ニックは“部屋”への電力供給さえも止めてしまったのだ。ジョイは、生まれてから一度も外の世界を見たことのないジャックのために、“部屋”からの脱出を決意する。そうしてジャックに“部屋”の外には大きな世界があるという“真実”を告げた。オールド・ニックを倒して、一緒に外に行こう。こうして、ジャックが大好きな物語『モンテ・クリスト伯』になぞらえた脱出計画を練り上げていく。しかし、そこには母親として息子にできる悲愴な決意が秘められていた……。

 

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解説

原作はエマ・ドナヒューのベストセラー『部屋』。オーストリアで実際にあった事件に着想を得た小説だった。エマは24年という長い年月を監禁された被害者母子の生活と、彼女らが解放後いかに立ち直っていったかに興味をもったそうだ。
本作でも“部屋”に監禁されている前半部以上にじっくり描くのは、ふたりが“外の世界”に救い出された後の生活。サスペンス映画ならば、脱出するまでの極限状態を描くものだが、本当の“極限状態”は、実は解放後にあったのだ……という感じで語られていく。

 

ジョイを演じたブリー・ラーソンは、シンガーソング・ライター出身の若手女優だったが、本作でケイト・ブランシェットやシャーロット・ランプリングなど錚々たる名女優を差し置いて、アカデミー賞主演女優賞を獲得。もちろん、この年のゴールデングローブ賞や全米映画俳優組合賞のほか、世界の映画祭までも席巻しているので、まずは彼女が大きな見どころになるだろう。
“部屋”ではジャックの優しく強い母。“部屋”から出た後は、7年間の不在に自分を見失いかけるひとりの女性。ひとりの人間の中にある多面性を見事に演じ分けるのだ。
しかし、やっぱり一番の見どころは、ジャックを演じたジェイコブ・トレンブレイ君。“部屋”で暮らしているシーンでは、伸ばしたままの髪の毛が腰くらいまであるので、その小さく白い肌と相まって、一瞬女の子に見えてしまうほどの可愛らしさだ。この長い髪の毛が、後半色々と役立ってくることになる。

 

ともかく、この作品は一見ミステリーやサスペンス映画のような感じだが、中盤以降は一転して生還した母子の物語になる。しかも、こっちがメイン。そういうドキドキ感を期待すると肩すかしになるが、違った意味で上質のドキドキ感は味わえると思うので、期待して観ても大丈夫だぞ。
02_03「モンテ・クリスト伯作戦」を絶賛リハーサル中のジョイとジャック。逆「トロイの木馬」作戦でも良いような気がするが、とにかく荷物のふりをして外に出るのだ。ただ、ジョイは、ジャックには「成功すればまたママと会える」と言いながら、それは不可能かもと観念していたのだが……。

 

02_04卵の殻を集めたおもちゃ。ジャックにとって、“部屋”は大好きなママといつも一緒にいられる楽園だったのかもしれない。ところで、この写真を見ても、ジェイコブ君、ほんとに女の子にしか見えないのが見事なのだ。

 

 

DATA

  • 監督:レニー・アブラハムソン/脚本・原作:エマ・ドナヒュー/出演:ブリー・ラーソン、ジェイコブ・トレンブレイ、ジョアン・アレン、ショーン・ブリジャース、トム・マッカムス、ウィリアム・H・メイシー、他
  • 配給:ギャガ
  • 上映時間:118分
  • 公開中

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