『ノック・ノック』キアヌ・リーブス×イーライ・ロス監督で贈る、身近で起こりそうなコワい話

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ホラー映画の作り手として、今もっとも注目される人物の1人イーライ・ロス監督の最新作です。主演はなんと、キアヌ・リーブス! キアヌ、こんな映画(失礼!)に出演して大丈夫なのか? という心配をよそに、観客の嗜虐性を満たしてくれる展開があれやこれやと用意されている模様です。それから、あらすじを読んで、アレッと遠い記憶の映画を思い浮かべた方、それなりのお年ですね。キャストにも懐かしい顔が見られますよ!

※一部解説にネタバレを含んでます。

 

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ストーリー

建築家のエヴァンは、芸術家の妻カレンと可愛い2人の子供に囲まれ、郊外の邸宅で幸せな人生を送っていた。ある日、家族旅行に全員で出かけるはずだったが、エヴァンは仕事の都合が入ってしまい、後から合流することとなってしまった。

 

折しも豪雨となってしまい、エヴァンは大音量でステレオをかけながら仕事をしていた。しかし、旅行先からカレンが電話をしてきたことで、玄関のノックの音に気付いてしまう。

 

不審に思いながら玄関を確かめると、そこにはずぶ濡れになった2人の若い女性が立っていた。彼女らはこの近所のパーティに出席するために遠方から来たと言うが、道に迷ってしまったのだというのだ。

そして、雨でスマートフォンが濡れてしまったので、PCを貸してほしいというのだ。SNSで友達に連絡がつくはずだと訴える。

 

エヴァンは少し不審に思いながらも、ちょっとした親切心と若い女の子という安心感から、彼女たちを家の中に招き入れてしまった……。

 

02

 

 

解説

このところ、ハズレなしのキアヌ・リーブス主演最新作。この映画ももちろん、大当たりな作品だ。しかし、『ジョン・ウィック』で新たな境地を見出したキアヌだが、本作も新た過ぎる境地に挑戦。なんと、本作のキアヌはものすごくカッコ悪く、しかも、あきれるほど弱い!!

 

基本的に妻カレンや子供たちにデレデレな善き夫というだけでも、キアヌらしからぬ設定だが、そんなにも奥さんを愛していながら、若く淫らな女性の誘惑にもカンタンに引っ掛かるようなだらしのなさ。2人の女の子の肉体の魅力に簡単に溺れて、今回の不幸を招いてしまうのだ。

 

あの“最強ジョン・ウィック”と同じ顔を持ちながら、あっさり罠に嵌められ、縛り上げられ、オモチャにされてしまう。一生懸命に脱出を試みるけど、運と手際の悪さでジタバタしているだけにしかみえない。

 

仕舞には涙ながらに女の子たちに許しを請うくらい情けない。しかも、その時の表情がまた、これまで見たこともないくらいにカッコ悪い。

 

この段々破滅に向かっていくキアヌの表情七変化が一番の見どころなのだ。

 

キアヌをとことんまで追い詰める女の子たちだが、意外にそれほど憎めない。それは、この娘たちも現代社会が生んだ被害者ともいえなくもないから。

 

人とのつながりはSNSやブログなど、電脳世界が中心で、実社会とのつながりが薄いのだろう。自分たちが“犯罪”を犯しているという自覚もかなり薄い。かといって、根っからの悪党には程遠い。エヴァンの人生を無茶苦茶にするのも、彼女たちにとってはゲームでしかない。

 

つまり、彼女たちは彼女たちなりに“リスク”を負っているつもりなのだ。ゲームに勝つか負けるか。すなわちエヴァンがゲームに勝てば、自分たちの負け。

それでも構わない。負けたら“リセット”して新しいゲームを始めるだけ……。

 

身に覚えのある男の子には、とにかく恐ろしい映画だろう。だけど、身に覚えのない男の子たちも、ちょっと前まではエヴァンも同じキモチだったということを忘れないように……。

 

 

03ぐるぐる巻きにされて、女の子たちのゲームに付き合わされるエヴァン。解答ミスでもれなくパイオニアのヘッドホンから脳髄直撃の爆音が鳴り響く仕掛け。見ての通り、お腹も緩んでタプタプな中年男性役というあたりも、キアヌには大きな挑戦だったのだろう。

 

04左がジェネシスちゃん。演じるのはロレンツァ・イッツォ。本作を製作したイーライ・ロス監督の奥さんなのだ。かの“食人族映画”『グリーン・インフェルノ』でも、ロス監督のもとでヒロインを演じていたことは記憶に新しい。右の子はベルちゃん。演じるのはアナ・デ・アルマス。キューバ生まれの美人さんなのだ。ジェネシスちゃんが、頭は良いけどちょっとサイコな感じで、ベルちゃんは、ようするに少々頭のユルイ感じの子という印象……!?

 

05平和だった頃のエヴァン一家。奥さんのカレンは芸術家で、家の庭にも得体の知れない“芸術”がいくつか置いてある。右側のジェイクさんは、カレンの芸術関係の人で、今回かなり可哀そうな目に遭ってしまう。演じるのは『グリーン・インフェルノ』でもロス監督と一緒に仕事をしたアーロン・バーンズ。もちろん、カレン役のイグナシア・アラマンドも『グリーン・インフェルノ』に出ていたぞ。ようするにロス一家にキアヌが合流した映画なのだ。

 

ちなみに本作の製作にも名前を連ねているコリン・キャンプさん。そう、彼女こそ『地獄の黙示録』に登場したプレイメイツなのだ。しかも、本作の原作でもある1977年の『メイク・アップ』にはずぶ濡れ美女の1人としてキャスティングされていたのだ。あれから数十年……。本作にもあるシーンでちょっとだけ出演しているのだけど、あのお色気路線まっしぐらだったコリン(昔の表記ではコリーン)には、もっともそぐわないというか、逆に、だからこそのベスト配役で登場だ。そういえば、本作の主人公もレコード収集が趣味。もちろん、『メイク・アップ』へのちょっとしたオマージュだったりするのだ。

 

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DATA

ノック・ノック

  •  監督・脚本・製作:イーライ・ロス/製作:キアヌ・リーヴス、コリーン・キャンプほか/出演:キアヌ・リーヴス、ロレンツァ・イッツォ、アナ・デ・アルマス、アーロン・バーンズ、コリーン・キャンプほか
  • 配給:日活、東京テアトル
  • 上映時間:99分
  • 6月11日より全国ロードショー

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関連情報

 

(C) 2014 Camp Grey Productions LLC

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