超合金魂GX-70マジンガーZ 第1回――超合金魂の原点「マジンガーZ」に今立ち返る

本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

文●アニメーション研究家:五十嵐浩司

この連載は、超合金魂20周年を記念して製作されている『超合金魂GX-70マジンガーZ』の、企画立ち上げから完成までの道のりを、リアルタイムでお届けしていく連載である。

 

chougoukin_20160729_01

 


 

超合金魂GX-70マジンガーZ。このアイテムは超合金魂、ひいては超合金そのものとしても異例となる、2年以上の月日を費やして開発されたものであった。

 

初代超合金魂GX-01マジンガーZは1997年12月より発売され、わずか3週間で5万個を販売した。そこから20年目の2017年を記念するアイテムとして、新たな超合金魂マジンガーZの商品企画が生まれたのは必然と言えるだろう。それは、DX超合金魂マジンガーZの発売(2012年)からすでにブレインストーミングが始められていたという。

 

chougoukin_20160729_11

▲1997年12月に発売されたGX-01マジンガーZ。超合金魂第1号である。(写真協力/超合金Walker)

 

20周年記念の超合金魂マジンガーZの方向性が固まったのは、2014年の春頃だった。そこで打ち出された方向性とは、1970年代に放送されたテレビアニメーション版を再現することだ。アニメーション版と一口に言っても、テレビの『マジンガーZ』は2年間放送されていて、その間にスタイルも様々に変わっている。そこで企画チームが見出したのは、「東映まんがまつり」で上映された劇場映画に登場するバージョンを立体化することだった。これならユーザーが求める最大公約数を想定できる……。「東映まんがまつり」上映作品、特にロボットアニメのオールタイム・ベストとしても名高い『マジンガーZ対暗黒大将軍』のマジンガーZを再現するために、企画は動き始めた。

 

chougoukin_20160729_05

▲TVアニメ用の基本設定。マジンガーZのスタイルはこの絵が元になっているが、映像では徐々によりスマートに変化していく。

 

chougoukin_20160729_06

▲前期エンディング映像で描かれていたマジンガーZの元となった設定画。宮武一貴氏の内部図解イラストがベースになっている。

 

chougoukin_20160729_07 chougoukin_20160729_08

chougoukin_20160729_10

▲『マジンガーZ対暗黒大将軍』のマジンガーZがコチラ。今回の「超合金魂GX-70」はこの姿を再現することを旗印に始まった。この作品では後頭部が青く塗られているため、GX-70はそれを踏襲している。

 

スケッチ、原型と順調に進行する中で、企画チームに一つの迷いが生まれる。超合金魂の企画チームは初代の野中剛氏から数えて5代目。ありのまま言ってしまえば、マジンガーZをリアルタイムで体験している世代ではない。それゆえ、自分たちが本当にリアルタイム世代が納得できるマジンガーZを作れるのか? という疑問に到達してしまったのだ。この疑問をクリアするための模索を行う中、超合金魂の2代目担当だった田中宏明氏(現・バンダイキャンディ事業部)から一人の男が紹介される。

 

その人物とは越智一裕氏である。越智氏は『マジンガーZ』のDVDボックスのパッケージ、ジャケットイラストを手掛けており、徹底的にアニメーションの雰囲気を再現する姿勢を持っていた。そのこだわりはタッチだけでなく、カラーリングにまで及ぶ。また、『永井豪まんが外伝 ダイナミックヒーローズ』というフルカラーコミックの作者でもあり、夢のヒーロー共演を創作している。

 

かくして超合金魂企画チームと越智氏は邂逅し、越智氏はGX-70マジンガーZの開発への協力を快諾する。その時点で、GX-70の開発スタートからほぼ1年が過ぎていた。ここからさらなる1年が始まろうとしていた。

 

chogoukin_20160724_01

 

関連情報

 

電撃ホビーウェブ関連記事

 

(C)ダイナミック企画・東映アニメーション

上に戻る