『破幻のジスタチョコ』木下ともたけ氏インタビュー!

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今巷で注目の食玩(お菓子付き玩具)『破幻のジスタチョコ』。電撃ホビーマガジン編集部では、キャラクターデザインを手がけた木下ともたけ氏と、バンダイ企画担当の方にインタビューを行いました! 今回はホビーウェブでの掲載にあたり、誌面では掲載しきれなかった内容も加えた補完版としてご覧ください!

 

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『破幻のジスタチョコ』

木下ともたけ&バンダイ企画担当 インタビュー

 

有形ブロックとしての面白さにハマるファンが多いと聞くこの『破幻のジスタチョコ』。しかし、注目はそのデザイン! この『ジスタ』のデザインを手がけているのは、『GUNDAM WAR』をはじめとする、ガンダム関連のイラストなどを担当している木下ともたけ氏。説得力のあるリアルなメカデザインとして定評のある氏の持ち味は、この『ジスタ』でも遺憾なく発揮されています。今回はそんな『ジスタ』の魅力を、本誌初公開で掲載した初期デザインを交えて語っていただきました!

 

<PROFILE>

木下ともたけ

メカニックを中心としたイラストレーター。ガンプラのパッケージアートをはじめとしたガンダム関連商品や書籍イラストを手がける。

 

企画担当 宮脇 純

バンダイキャンディ事業部 玩具菓子チーム。これまでにも『神羅万象チョコ』など数多くのヒット商品を世に生み出してきた。

 

 

インタビュー:電撃ホビーマガジン編集部(2014/9/30)

※インタビューで語られる画稿は電撃ホビーマガジン2014年12月号に掲載されています。

 

 

—木下さんがデザインを担当することになった経緯を教えてください

 

宮脇 純(以下、宮脇):木下さんとは以前から色々お仕事をさせていただいていて、代表的なところだと「ガンダムADAPT」などでデザインをお願いしました。今回の『破幻のジスタチョコ』についても、メカというところにこだわりがあって、特にブロックトイとして「凸(でこ)」と「凹(ぼこ)」を自然にメカデザインに落とし込むということができる適任者は木下さんしかいないと。オリジナルメカとして子供から大人まで魅了するリアリティのあるデザインを描くことが凄く上手い方ですので。

 

—デザインを描く上で気をつけたのは?

 

木下ともたけ(以下、木下):実際立体になるとデザインがそのまま上手くいくわけではないのですが、凸凹の要素に囚われてしまうとあまり複雑な形ができなくなるので。基本的に僕はデザインを担当させていただいて、立体になった後の嵌合(かんごう)とかは全てお任せしたほうが上手くいくかなと。

 

宮脇:でも色々とチェックはしていただいていますけどね。手厳しく(笑)。

 

木下:そうですね。例えば山田とかは、本当は肩と腕とモモは全て穴を開けて欲しかったんですよ。ただ、厚みとか耐久力とかを考えると開けられないということに……。

 

宮脇:製造上どうしても穴を開けるスペースが取れなくて。稲葉と藤堂もそうなんです。

 

木下:デザインと凸凹どちらに重点を置くかは悩みましたね。完全なオリジナルキャラクターの商品を生み出すのってチャンスでもあり、ハイリスクでもあり。下手なものを出したら一発で終わりますからね。

 

宮脇:当時『ダンボール戦機』が人気を博しておりましたので、そういう意味では木下さんや、パッケージデザインのホンキートンクさんと共にちょっと意識はしていました。

 

木下:どうしても人型であると似てしまうので、極力、 頭身が近いという構造以外で被る部分は排除しようと。そういった中で生まれたのがケンタウロス型の井上や、人類がいない世界観設定だったんですよね。

 

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▲『ジスタ』の原型となる最初期のデザイン案。この時点では凸凹の嵌合はあまり多くなく、名称も『チョコブロッカーズ』というものでした。

 

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▲最初期のデザイン案を受けて描かれた木下氏の初期ラフ。どちらかと言えば近未来的なデザインで、車輪やプルバックなどのギミックが考えられていたようです。

 

—主人公(藤堂)の誕生秘話などあれば

 

宮脇:主人公のデザインを煮詰めていく中で、武者はまだなかったなと。人気のある要素ですし、この方向性で進めることにしました。藤堂としてブラッシュアップされる前の試作がこちらです。

 

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▲試作段階の藤堂(右)と、製品版の藤堂(左)。試作は角飾りや盾などが、より武者らしい容姿をしています。また、特徴的な巨大な左腕は、この段階ではまだありませんでした。

 

宮脇:立体物としての見栄えをどうしていくか、検証期間が長かったです。

 

木下:日本ならではの武者を目指してデザインしました。ただこれだとイメージ的に弱かったんですよね。

 

宮脇:主人公としてのボリュームがもっと欲しいかなと。試作段階のカッコイイスマートな武者より、もう少しアクが強い「何だろうこれ?」っていう、パッと見たインパクトが必要じゃないかって。

 

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▲試作段階の藤堂の初期設定デザイン。この時点でかなりカッコ良く仕上がっていますが、主人公としてさらなるブラッシュアップが進められました。

 

木下:デザインを生み出す時、そのキャラがどんな動きをするのか? どんな物語を紡ぐのか? を想像しながら描くのですが、そこで思いついたのが大きな左腕です。物語の鍵となる主人公がまさにそのまま“鍵を持つ者”として生まれたわけです。

 

宮脇:他には、木下さんのデザインの色味をそのまま商品に落とし込むことが難しかったので、どういう風にまとめていくか難儀しました。成型色と一部の彩色でものとしてちゃんと見せられるかどうかがポイントでした。

 

木下:当然主人公はそうやって色々考えたんですけども、後はわりと自由度高くやらせていただけるので楽しいですね〜。

 

宮脇:量産兵とケンタウロスは最初からラインナップに考えていて。あとは合体用に鳥も、と。最後にデザインをお願いしたボスは、最初は春日さんだったんです。

 

木下:最後の最後にボスにはライバル的なカッコイイ龍みたいなデザインのものをということで、稲葉が生まれました。山田と井上が人気だって聞いたときは嬉しかったですね。

 

宮脇:当初あった戦国ベースからたくさんいそうな兵士のデザイン足軽・騎兵が、山田などの量産機の原点ですね。

 

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▲武者という方向性が決まった後の各キャラのラフデザイン。ここで藤堂をはじめ、山田・井上・鳥丸の原点となるデザインが決まっていきました。

 

—組み換え遊びとしてこだわった部分は?

 

木下:こだわったキャラクターは武器丸ですね。元々は武器を換装させたブロック遊びだったので、武器だけで構成させるものがあればいいなと思って。なるべく余りが出ないよう全身何かに使えるようにって。

 

宮脇:これのデザインの一番素晴らしいところは、何と言っても頭ですよね。これで勝負あったかなって(笑)。

 

木下:昔小中向けの漫画を連載してたんですけど、毎回毎回編集長に言われていたのが「もっとウ○コチ○コしろっ!」って。当時は実感なかったですが、兄に子供ができて確信に変わりましたね。最初は茶色にしようと思っていたんですが、さすがにそれはやり過ぎ……でクリアーの黄色ってことで。ねっ!

 

宮脇:ねっ! じゃないでしょ……(笑)。ドリルです。ジェットドリルです。

 

木下:正直デザインした時は、本体はあまり組み換え遊びとしては考えてなかったんですよ。キャラとしてカッコ良ければいいなって。そしたら発売後になって、ネットでこれを見た瞬間「はぁ!?」って思って。なんじゃこりゃーってビックリしたんですよ。

 

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▲第一弾に登場した鳥丸と武器丸と藤堂の左腕を組み合わせた通称「鳥丸バイク」。ネット上で公開されて以降、その秀逸な組み合わせに多くの方が心奪われた。

 

—こういう組み合わせは想定外?

 

木下:微塵も考えてなかったですね。やられました。

 

宮脇:「ブロックウェポンシステム」と銘打った通り、武器ブロックをコンセプトにしておりましたので。

 

木下:この鳥丸と武器丸と藤堂の左腕だけでバイクができるっていう天才的発想! こういう風にお客さんが受け取るんだって知ったときに、嵌合のピンと穴を全部合わせたほうがいいんじゃないかなって思いはありました。

 

宮脇:嵌合の径の違いって部分の話をすると、こういうバイクをはじめとした遊ばれ方をしているのって、関節パーツに「胴体(※武器パーツの径と異なる)」をつけたりしてるんですよね。ただ、人形本体においては各パーツの保持能力や人形単体としてちゃんと可動しやすくすることを第一に考えた設計にしていたんです。その中で井上と山田の色違いVerは、腕を取り替えると肘を曲げたり伸ばしたりのポーズが楽しめますよと。これぐらいはちょっとした本体組み換え遊びとして面白いかなと思いつつ、まさかお客さんがここまでやるとは……。

 

木下:これは本当に参りました……「ムカつく〜……(笑)」。

 

宮脇:その言葉の使い方、間違ってますよ(笑)。武器丸の頭をタイヤというものに置き換えるっていう発想がまずなかったです。元々武器丸の頭の空洞って、もしもの誤飲時の気道確保用の穴だったんですよね。

 

木下:そうそう、山田の頭とかも気道確保用にでっぱりを作らないといけなくて、デザイン的に誤魔化そうとフックを作ってみたらあら不思議、カッコ良くなって。偶然にも制約がプラスに働いたって感じですね。

 

—第2弾のコンセプトや見どころは?

 

宮脇:精度の高いABSを使っているので、遊べる有形ブロックとして面白くなおかつ第1弾と組み合わせた時に、「こういうこともできるよね」っていうものを用意したいなと考えておりました。第2弾に限らず今後もそういうところは大事にしたいなと。

 

木下:見どころは兄弟合体ですね! 大きい物が欲しいなと思ってたんですけど、「1個で」となると限りがあるので、2体でより大きい物をと。第2弾のボス的な存在ですので。

 

宮脇:あとは古川ですね。ライオンタイプなんですけど、木下さんのいいところが出ていて「これ獣形態に変形できるのかな?」って想像力を膨らませてくれるんですよ。商品は変形できないんですけど、4足歩行で動くことを想定したようなデザインになっていて。

 

—公式ホームページに登場していた竹村、竹村(孫娘)、松本などは商品化の予定は?

 

宮脇:ひとつの弾にラインナップするジスタには限りがあるんですけど、物語を展開していくにはちょっと限界があるので、ストーリー上必要なジスタを木下さんに描いていただいております。

 

木下:僕としてはホームページは本当にジスタチョコが好きな人が見てくれている場所だと思っているんですね。だから商品にはなってないけどそこにはほぼ日本の人口に匹敵する無数のジスタが存在するんだよ〜、キミ専用のジスタが有るんだよ〜って思いで。それに商品化前提じゃないので、より自由に楽しく描かせてもらってます。

 

宮脇:商品がないところでもジスタの世界がどんどん広がっているんだよっていうイメージを持っていただければ嬉しいですね。

 

—今後の展開について

 

宮脇:現在企画進行中ですので、楽しみにしていただければと。見どころとしては、有形ブロックとしての発展性と広がりを見ていただきたいです。あとは木下さんのデザインですね。量産兵以外も見ていただきたいなと思いつつ……。ストーリー的にはこの不運な主人公がどうなっちゃうのかっていうのが見どころですかね。

 

木下:そこですよね。あと、チョコが何のために存在していたのかとか。

 

—量産型は今後も出てくる……?

 

木下:当然です! できることなら量産型だけでやりたいくらいです!!

 

宮脇:今後もちょいちょい量産型登場の予定はありますので、お楽しみにしていただければと思います。ただ、主人公は「藤堂」です(笑)。

 

―今後企画中のキャラなど

 

宮脇:ラインナップとして量産機の人気があったので、その辺りが活躍するような設定なども木下さんとホンキートンクさんと一緒に考えていってます。

 

木下:可変タイプとかはやってみたいですけどね。でもそうしちゃうと他と組み換えができなくなってきちゃうのかなぁ~……。

 

宮脇:第2弾の蠍丸って尻尾が動くんですよ。これがちょっとヒントというか、こういうものを繰り返していくと組み換えパーツを前提とした変形みたいなものも作れるんじゃないかなって。ジスタのコンセプトを崩さずに変形ギミックを入れるために、こういう積み重ねの中でギミックを模索していければいいかなと。第1弾などでできなかったこともフィードバックしつつ、デザインに活かしていきたいですね。

 

—電ホビ読者に一言!

 

宮脇:個人的にはホビー誌でありながら良い意味でニュートラルというか、なおかつ『A.O.Z』みたいにハードにグッとくるものもあって、色々な物が詰め込まれているのが魅力的だと思うんですよね。その中で、ジスタはわりと敷居低く楽しめる部分があると思いますので、こういう「鳥丸バイク」のような自由な遊び方をしてくれる読者の目に留まってくれることを願っています。

 

木下:食玩という特性上、ずっと売場におかれている物ではないので、誌面で興味を持っていただいた方は発売日にはぜひお菓子売り場で探していただけると嬉しいです!

 

(9月30日 バンダイ本社にて)

 

 

凸凹パズルにハマる!

編集部でも第2弾のジスタでフリーダムに遊んでみました! 宮脇氏がおっしゃっていたように経に違いがあるので全てがくっつくわけではないのですが、それゆえに思い描いていた通りの組み合わせがハマった瞬間の興奮は得難いものがあります。ぜひこの楽しさを自分の手で味わってみてください。

 

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「巨大合体」をテーマに、ひたすらくっつけてみました。

大きなケンタウロスのような形になっており、頭部~胴体が古川、前足に戦回丸、後足に蠍丸、腰からお尻にかけては松沼兄弟を使用しています。

各部のつなぎに、それぞれの武器パーツなどを使用していて「くっつきそうだけど、くっつかない」「手当たり次第に試していると、思わぬところがくっつく」といった、本当にパズルのような面白さが楽しめます。

 

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上の「巨大合体モノ」を作っているそばで、編集部のスケールモデル担当が「俺も俺も」と組み上げた一作。

「これは確かに時間を忘れて没頭するな……」とつぶやきながら、空中支援メカなるものを作り上げていきました。

 

 

早くも来年3月には第3弾の発売が予定されている、この『破幻のジスタチョコ』シリーズ。

ご興味を持たれた方は、ぜひお手元でこねこね遊んじゃってみてください!

 

 

<DATA>

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「破幻のジスタチョコ」第2弾

■彩色済み人形1セット/全6種+3種

■ブロックチョコ3個入り

■価格:300円(税抜)

■発売中

■発売元:バンダイキャンディ事業部

 

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<関連情報>
破幻のジスタチョコ 公式サイト

 

 

(C)BANDAI

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