素組みでガンプラ! 【基礎】正しいヤスリの使い方を指南する初心者講座 前編

更新日:2016年12月28日 12:00

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超基本からちょっとしたワザまでガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は、プラモデル製作において基本的で重要な道具である「ヤスリ」の使い方を説明します。きれいにガンプラを作るのに欠かせないアイテムなので、初心者の方もぜひ使い方をマスターしてください!

 

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▲MS-06F(J)・ザクⅡ

 

1 今回は『機動戦士ガンダム』に登場する「MS-06F(J)・ザクⅡ」を使って、ヤスリについて説明していきます。用途に合わせて複数のヤスリを使い分ける必要があるので、ここでは代表的なヤスリと、基本的な使用方法を紹介していきたいと思います。

 

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 まずは写真をご覧ください。ニッパーを使って、ランナーからパーツを切り離して組み上げた状態です。どんなに切れ味が鋭く、刃先の薄いニッパーを使用しても、完全にゲート跡を取り除くことはできません。この出っ張ったゲート跡を削り、平滑な表面を作り上げるためにヤスリが必要となるのです。

 

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3 これは基本となる棒状の「金属ヤスリ」です。金属製で、“ヤスリ目”といわれる細い溝が彫り込まれた道具です。この“ヤスリ目”は粗いものから細かいものまであり、刻まれる溝の種類や方向も〈単目〉・〈複目〉・〈波目〉など様々な種類が存在します。棒自体の形状も〈平〉・〈丸〉・〈半丸〉・〈三角〉などが存在し、使用方法や使用箇所によって使い分けるのが基本です。写真に写っているものは最もポピュラーな〈平ヤスリ〉と〈半丸ヤスリ〉、目の細かさは〈中〉、目の種類は〈複目〉の金属ヤスリです。

 

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4 もうひとつ、模型製作に欠かせないヤスリが「紙ヤスリ」です。紙や布などの台紙に研磨粒子を着けた研磨材で、シート状のため平面・曲面のどちらにも対応できるヤスリです。目の細かさは400番(#400)といった数字(粒度)で表され、数字が大きくなるほど粒度は細かくなります。耐水性の有無で種類が分かれており、耐水性のあるものは水を付けながら“水研ぎ”を行うことで目詰まりが起こりにくく、研磨時の摩擦熱による影響を防ぐので耐久性にも優れています。プラモデル製作にはこの耐水性のある紙ヤスリ(耐水ペーパー)を使うのが一般的で、#400・#600・#800・#1000くらいを用いるのがいいでしょう。

 

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5 これは少々特殊となる「スポンジヤスリ」です。基本構造は紙ヤスリと同じく研磨粒子を使っているのですが、紙や布ではなくベースにスポンジが用いられているため、曲面などになじみ、三次曲面の多い対象物を切削するのに適しています。また、対象物に加える力が適度に逃げるため、力の入れ具合で切削力が変わるのが特徴です。写真の粒度〈FINE〉では#240~#320相当の切削力があります。

 

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6 ではヤスリを実際に使ってみましょう。まずは「金属ヤスリ」で、飛び出したゲートを削っていきます。力をあまり入れず一方向に動かし、ゲートの飛び出した部分がなくなる高さまで削っていきます。この時、往復方向に動かさず一方向に動かすのが大切です。動かす速度はゆっくりで構いません。一回一回の切削作業を確実に行い、ゲートがなくなりパーツと同一の高さまで削れたら終了です。模型誌ではこれを「“ツライチ”になるまで削る」と表現しています。

 

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▲#400の紙ヤスリで磨いた状態

 

7 ゲートはなくなりましたが、切削跡が“キズ”となり残っているので、この“キズ”を消していきましょう。この時に用いるのが「紙ヤスリ」で、“削る”というより“磨く”という作業に適しています。この“削る”と“磨く”は、使う道具も作業方法も同じです。目の粗いヤスリで“削る”とキズが付きます。このキズをより細かくして目に見えない細かさまで小さくしていくことが、“磨く”という作業なのです。まずは#400の「紙ヤスリ」を使って、「金属ヤスリ」で付いたキズの周辺を磨いていきます。#400で磨いた状態では、むしろキズが酷くなったように感じますが心配ありません。この後、番手を細かくして磨くことにより、このキズは目立たなくなります。

 

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▲#600の紙ヤスリで磨いた状態

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▲#1000の紙ヤスリで磨いた状態

 

8 次に#600の「紙ヤスリ」で同じように磨きます。#400の時よりもキズが細かくなり、目立たなくなっているのがわかります。この後、番手を#800→#1000と進めていきます。#1000で磨いた状態ではキズがほとんどなくなり、美しい表面に仕上がったのがわかると思います。一気に#400→#1000ではこのキズは消えません。キズを徐々に細く・小さくしていくのがコツなので、徐々に番手を上げて作業を進めましょう。

 

今回は主にヤスリの種類とその使い方を紹介しましたが、次回はより詳しいヤスリの正しい使い方についてお届けしたいと思います。

 

次回の後編は2015年2月12日に更新予定なので、お楽しみに!!

 

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(C)創通・サンライズ

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