書籍「マジンガーZ大百科図録」誕生秘話③本書読者に贈るスペシャル・プレゼント!描き下ろし絵物語『マジンガーZ暗黒大将軍 ANOTHER VERSION』

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文●五十嵐浩司(アニメーション研究家)

こんにちは。誕生秘話の第3回目は本書のために、描き下ろされたイラストについて述べて参ります。

 

●偉大な過去の書籍をリスペクトしたカバーイラスト

カバーイラスト、表紙はマジンガーZの内部メカをモチーフにしております。なぜ、あえて内部メカなのか……? それは、1974年7月、劇場映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』の公開に合わせて発売された名著「テレビマガジン増刊 マジンガーZ 大百科号」のリスペクトなのです。もちろん本書のタイトル「大百科図録」も「大百科号」のリスペクトであることは、皆様お気づきの通りです。

 

▲カバー表紙イラスト。マジンガーZの内部メカのイメージは「マジンガーZ大百科号」がモチーフ。背景は初代エンディング・フィルムを意識したもの。

▲カバー表紙イラスト。マジンガーZの内部メカのイメージは「マジンガーZ大百科号」がモチーフ。背景は初代エンディング・フィルムを意識したもの。

 

そして、カバーイラストの裏表紙は、やはり「マジンガーZ大百科号」を意識して人物キャラクターを配置しています。プラスアルファとして、テレビ放送時の番組宣伝イラスト(マジンガーZと兜甲児)のイメージも加えました。この絵は、かつてテレビで何度も見たこともあって、個人的に愛着があるのです。

 

また、この番組宣伝イラストは講談社の「マジンガーZ 大全集」(1988年発行)の表紙にも使用されていました。期せずして、表紙裏も過去のマジンガーZ書籍を意識した物になったわけです。

 

▲カバー裏表紙イラスト。越智一裕さん描き下ろしによる、みさとさんが見られるのが個人的に重要なポイント!!(表紙、裏表紙ともにイラスト/越智一裕)

▲カバー裏表紙イラスト。越智一裕さん描き下ろしによる、みさとさんが見られるのが個人的に重要なポイント!!(表紙、裏表紙ともにイラスト/越智一裕)

 

 

●幻の「準備稿」を元にした『マジンガーZ暗黒大将軍 ANOTHER VERSION』

本書の製作にあたり、『マジンガーZ』の資料捜索を行いました。そこで発見されたもののひとつに、『マジンガーZ対暗黒大将軍』のシナリオ準備稿がありました。準備稿と決定稿(この後に絵コンテを経て、アフレコ台本が最終的に作られます)を比較すると、ストーリーの骨子部分は変わらないものの、細部ディテールに差異が見られます。

 

登場人物、特に神童鉄也(のちの剣鉄也)の描写は大きく変更されていました。実際の映画ですと鉄也は技名以外のセリフはほとんどありません。しかし、準備稿では結構セリフがあり、いささか不敵な『デビルマン』の不動明を想起させるキャラクターになっているのです。なぜ、『マジンガーZ対暗黒大将軍』の剣鉄也に田中亮一さん(テレビアニメ『デビルマン』の不動明役!)がキャスティングされたのか、腑に落ちる瞬間でした。

 

この他、甲児とさやかの抱擁(これは準備稿を経た決定稿、さらに本書収録の絵コンテまで残りました)、ロケットパンチを失い、腕に直接マジンガーブレードを突き刺して戦うマジンガーZ(まるで『どろろ』の百鬼丸!)など、準備稿のみに存在する幻の描写の数々……。それらを厳選して、描き下ろしイラストを用いた絵物語として公開します。

 

描き下ろしイラストを担当するのは、『マジンガーZ Blu-rayBOX』のジャケットイラスト、超合金魂D.C.シリーズの総合監修、最新作映画『マジンガーZ/INFINITY』のオープニング・フィルムの原画を手掛けた越智一裕さんです。越智さんが「マジンガーZ DVD-BOX」のイラストを描かれてから今年で16年。その間、越智さんは当時の映像オリジナルのタッチ、加えて色彩設定を再構築することに執念を燃やしてきました。この『マジンガーZ暗黒大将軍 ANOTHER VERSION』はオリジナルタッチにこだわり続けた、越智さんの協力なしでは構築できなかった企画だと確信しています。

 

▲『マジンガーZ暗黒大将軍 ANOTHER VERSION』の一部をお見せしよう。越智さんの名場面イラストには準備稿のセリフが加えられ、臨場感が増している。さらに名場面に関する説明も右ページの解説記事で詳細に行われている。

▲『マジンガーZ暗黒大将軍 ANOTHER VERSION』の一部をお見せしよう。越智さんの名場面イラストには準備稿のセリフが加えられ、臨場感が増している。さらに名場面に関する説明も右ページの解説記事で詳細に行われている。

 

 

●ロマンアルバムの取材記事再録

最後に、この本には新規のインタビュー記事はありません。それは45年という年月が過ぎていることと、重要な方々が鬼籍に入られているという理由からです。しかし、スタッフやキャストの証言を残したいという気持ちは強く、徳間書店さんの許諾を得て「ロマンアルバム マジンガーZ」(1978年発行)の取材記事を再録しています。

 

原作者の永井豪先生、横山賢二プロデューサー、羽根章悦さん(メインキャラクター設計)、芹川有吾さん(第1話ほか演出)、辻忠直さん(美術デザイン)のスタッフ座談会。石丸博也さん(兜甲児役)、柴田秀勝さん(あしゅら男爵・男役)、北浜晴子さん(あしゅら男爵・女役)、大竹宏さん(ボス役)、沢田和子さん(シロー役)のメインキャスト座談会。そして、他にもスタッフ、キャストのコメントを多数掲載しています。

 

なぜ「ロマンアルバム」を選んだかと言えば、1978年の本だからです。テレビ終了から4年(『グレートマジンガー』終了から数えれば3年、『UFOロボ グレンダイザー』終了からわずか1年)という、テレビ放送に限りなく近い時期の証言は、今にして思えば大変貴重ではないでしょうか? これらの取材記事も、本書に収めた設定資料と同様に後世に語り継がれるべきと考える次第です。

 

では、発売までもうしばらくございますが、その日を楽しみにお待ちください。

 

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▲メインスタッフ座談会(写真上)、メインキャスト座談会(写真下)。この他、初期企画案『アイアンZ』プロット、『マジンガーZ』の番組企画書、全話の予告編集を再録している。

▲メインスタッフ座談会(写真上)、メインキャスト座談会(写真下)。この他、初期企画案『アイアンZ』プロット、『マジンガーZ』の番組企画書、全話の予告編集を再録している。

 

 

 

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DATA

マジンガーZ大百科図録

  • A4判
  • 2018年3月発売予定
  • 定価:4,800円(税別)

 

<目次>

  • 巻頭言 永井豪先生
  • カラー資料で見る 『マジンガーZ』の世界
  • 『マジンガーZ』設定資料集
  • 劇場版設定資料集
  • 劇場映画『マジンガーZ対暗黒大将軍』絵コンテ集

 

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