『ガルパン』より「IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!」(プラッツ)を作る<その3>

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モデラー●柳生圭太(ランペイジ)/編集・文●電撃ホビーウェブ編集部

昨年11月に公開されて以降、ロングランヒットを続ける『ガールズ&パンツァー 劇場版』。そんな『ガルパン』を観て、戦車模型を作りたい! と思った方も多いと思います。

 

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▲せっかく作るんだし、これぐらいは作ってみたい! って思いますよね。大丈夫、このページを見ればきっと作れる(ハズ)!

 

前回、電撃ホビーウェブでは柳生圭太氏による作例をお届けしましたが、第3回目となる今回は、その作例がどのように製作されたのか、をたっぷりの写真と共にお届けします。

特に、AFV模型は未経験でどのように塗装していいのかわからない! という方は、このページをご覧いただければもう怖いものなし。そう、戦車模型は怖くない!

 

※これまでの製作の過程は、以下のバックナンバーをご覧ください。

 

IV号戦車D プチあんこうチーム付き限定版です!」(塗装編)

製作・文:柳生圭太(ランペイジ)

 

 

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●塗装前の状態/下地作り

塗装ですが、色がジャーマングレーで塗り分けが必要ないパーツは全部接着しています。車外装備品は塗り分けが多いので、別に一色一色丁寧にマスキングしつつ塗装し、終わったら接着していきます。

このあたり、人によってはウェザリングの行程なども考えてすべて取り付けた状態で塗る場合もあり、正解というものはありませんが、個人的には別々に塗って後で合わせるほうが楽だと思っています。

 

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▲塗装前の状態がこちら。転輪や起動輪、誘導輪の他、一部のOVM以外は取り付けずに塗装しています。

 

塗装はまずは全体を黒く塗っています。僕はGSIクレオスの「Mr.フィニッシングサーフェイサ1500(ブラック」を使っています。

 

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▲下地塗装に使用するのは、「Mr.フィニッシングサーフェーサー1500(ブラック)」。いわゆる、黒立ち上げ塗装となります。良く振った後で、素早く往復させるように塗装していきます。

 

▲車体下部を塗り終わった状態。垂れるほど吹いてしまうのは問題ですが、スプレー塗装では特に、乾く前に少し厚吹きしすぎた?と思う程度でも、溶剤が揮発すれば全体的に引き締まります。

▲車体下部を塗り終わった状態。スプレー塗装では写真程度にしっかりと塗装しましょう。少し厚吹きしすぎた?と思っても溶剤が揮発すれば塗膜は引き締まってちょうど良くなります。

 

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▲塗り残しのないように塗っていきます。砲塔の下部や、今回はハッチを開ける前提ですので、砲塔の内部も忘れないように。

 

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▲DS素材製の履帯も同様にサフを吹き付けていきます。履帯はダンボールに貼り付けた状態でテープで固定し、転輪は見えない裏側に持ち手用の軸を穴をあけて塗装。

 

サーフェイサーの乾燥後はいよいよ基本塗装に入っていきます。

 

●塗料混色

使用する塗料はGSIクレオスの「ガールズ&パンツァーカラーセット あんこうチームVer.」から、「大洗グレー1」と「大洗グレー2」を使用。

 

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▲まずは専用のシンナーをボトルに直接(!)注ぎ、撹拌。

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▲少し青みが欲しかったので「326番 ブルーFS15044」を少量投入。

 

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▲「大洗グレー2」には「GXホワイト」を少量追加し、「大洗グレー1」との色の差を強調しています。

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▲完成した色を試し吹きしつつ、色調を調整していきます。また、この時にハンドピースの調整も行います。

 

従来の模型ハウトゥではハンドピースと塗装対象の間は20~30センチ程度離すことが推奨されていますが、僕は繊細な塗装が可能となる10センチ未満の距離で塗装しています。その分、塗料はかなり薄く希釈してあります。

 

●基本塗装・その1

戦車模型、とくにドイツ戦車は面が大きく、基本色をそのまま載せるだけでは「のっぺり」とした仕上がりになってしまいがちです。1/35スケールの模型としてメリハリのある雰囲気を再現するための塗装方法をご紹介します。

まずは「大洗グレー1」から塗装していきます。

 

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▲まずは調整した「大洗グレー1」を、失敗しても大丈夫な車体底面から塗装。ディテールとディテールの間の面を埋めるように色を置いていきます。ハンドピースと塗装対象の距離と色の乗り方に注目。

 

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▲車体下面で雰囲気がつかめたところで、砲塔や車体にとりかかります。

 

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▲足回りは履帯や転輪がつくとほぼ見えなくなることや後のウェザリングの影響を考えるとそこまで神経質になる必要はありません。

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▲塗装を進めて、ある程度まで色が載った段階で次のステップへ進みます。ちなみにダイナミックに手でもって塗装していますが、これは薄い塗料を細吹きしているため、塗った端から乾燥していくため。

 

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▲かなり細く吹きつけられるようハンドピースを調整し、ディテールを避けつつさらに塗装を進めていきます。

 

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▲あえてマダラに、平面部分でもどころどころ下地が見えるように塗装することで、間延びを防ぐことができます。

 

さらに塗装を進めて、基本塗装第1段階は終了です。

 

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なお、この細吹きの状態であれば、転輪もマスキングテープ無しで塗り分けることができます。どうせ汚すんだからはみ出ても気にしないでOK。どうしても気になる人はハミ出た部分を筆でクルっと塗ってください。

 

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▲転輪は戦車模型ビギナーにとって鬼門のひとつですが、この通り。

 

●塗装・その2

ここからは基本塗装の第2段階として、色を混色済みの「大洗グレー2」に変更、塗装していくこととなります。

 

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▲塗料を混色済みの「大洗グレー2」に変更して、再度ハンドピースを調整。

 

ここではリアパネルを例に、「大洗グレー2」の塗装方法をご紹介。

 

▲「大洗グレー2」は上の写真のように、ハンドピースを上下に動かすようにして”ふわりと載せる”ように塗っていくのがコツです。

▲「大洗グレー2」は上の写真のように、ハンドピースを上下に動かすようにして”ふわりと載せる”ように塗っていくのがコツです。

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▲塗装後の状態。明るい「大洗グレー2」の下からところどころ濃い「大洗グレー1」が見えているのがわかります。上下にハンドピースを動かすことで、重力方向に「流れ」を感じさせる塗装となりました。

 

この要領で全体の塗装を進めていけば、基本塗装は終了となります。

 

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ただ、グレー1色をベタ塗りしたのではえられない、“表情のある”基本塗装になったのがわかっていただけるかと思います。しかもホントにババッと塗ってるうえに、塗料もかなり希釈しているので乾燥も早く、本体で30分も掛かっていません。

この後のウェザリングのことを考えて、この段階ではイメージよりも若干薄いかな? という感じで仕上げるのがコツです。

 

●ウェザリング

ここからが戦車模型としては最もキモな、ウェザリング行程に入ります。本来はこの段階で各他の塗り終わった部品も全部接着しておいた方が良いのですが、今回はこのまま進めています。

タミヤの「スミ入れ塗料 ダークブラウン」「ブラック」を使用したウェザリングを進めていきます。

 

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▲基本塗装の上からタミヤ「スミ入れ塗料 ダークブラウン」を塗装していきます。モールドやディテールの周囲を中心に色を置いていく感じです。

 

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▲さらに暗くしたいところ(写真ではボッシュライトのカバー)は「スミ入れ塗料 ブラック」を流し込んでいます。

 

▲「スミ入れ塗料」塗布終了。この写真だけ見ると不安になるビジュアル(笑)となっています。

▲「スミ入れ塗料」塗布終了。一見すると不安になるビジュアルが特徴的。

 

一通り、「スミ入れ塗料」の塗布が終了した後は、柔らかい筆にエナメルシンナーを含ませたモノで上下(重力方向)に伸ばしていきます。面の角ほど残るようにするとカッコイイぞ!

 

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▲エナメル溶剤を含んだ筆で載せた「スミ入れ塗料」をなじませていく。この際も重力方向をイメージして筆を動かすのがポイント。

 

なお、『ガルパン』劇中ではそこまで戦車が派手に汚れることはあまりないので、ほどほどにしておいたほうがより“それらしく”仕上がるようです。やり過ぎて汚くなったと感じたら、本体色を塗ってリセット!エナメル塗料の上からラッカーでも気にしない。大丈夫だから。

 

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▲少しやりすぎてしまった……という場合はエナメル溶剤で拭き取るのではなく……。

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▲再度「大洗グレー2」を上から載せることで……。

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▲調整することができます! トライ&エラーが容易なのは嬉しいですね。気に入る表現ができるまで挑戦しましょう。

 

納得いくまで作業したら、デカールを貼りマークソフターでしっかり密着させます。デカールが乾いたらつや消しクリアーを全体に吹いて周りとツヤを馴染ませつつ、今までの塗装をガード。これで基本的な塗装とウェザリングは終了です。

 

この後は泥やホコリの表現を行って行きます。使用するのはGISクレオスの「Mr.ウェザリングカラー」で、ブラウンやホワイトをジャバジャバ流してはふき取ってホコリを追加しています。泥ハネは筆を指で弾いてスパッタリング。結構表情が付いてカッコイイですよ。この辺りのテクニックの紹介はまた後日。

 

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塗装に重要なのは「リアル」かではなく「カッコイイ」かどうか。

もちろん人によって好みはあるし明確な基準があるわけでもない。だからこそ製作者の今まで生きてきた「人生」がにじみ出ます。最後にタミヤのウェザリングマスターAでモールドを浮き立たせて完成!!

 

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DATA

IV号戦車D型 プチあんこうチーム付き限定版です!

■1/35スケールプラスチックキット

■発売中

■価格:7,400円(税抜)

■発売元:プラッツ

 

関連項目

『ガールズ&パンツァー』公式サイト

プラッツ

 

(C) GIRLS und PANZER Projekt

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