マジンガーやゲッターとデザイン上のリンクも!ダイナミック企画とのコラボ作品『猟界のゼーレン』制作陣座談会(後編)柳瀬敬之氏・海老川兼武氏も参加!

更新日:2017年2月7日 20:56

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『猟界のゼーレン』は、電撃ホビーマガジンにて、2013年11月号より企画が開始された、オリジナルロボット企画です。現在は、単行本3巻が刊行されているほか、電撃ホビーウェブにて漫画、フォトストーリー、外伝小説『エウロパの涙』、ガレージキットを展開中! 今回は、本編がいよいよクライマックスを迎えたことを記念し、クリエイターの皆さんにお集まりいただき企画当初から現在まで、その思いを語っていただく座談会後編! ゲッターやマジンガー世界とゼーレンの関わり合いなど、ディープな話題に突入していきます!

 

座談会参加者

早川正……本企画の構成、漫画原作、小説執筆を手がける。

曽我篤士……本企画の漫画を執筆。

柳瀬敬之……メカニックデザイナー。主にWSO側のメカニックデザインを担当する。

海老川兼武……メカニックデザイナーとして本企画に参加。主にレムリア側のメカニックデザインを手がける。

柳生圭太……合同会社ランペイジ代表兼原型師。プロモデラーとしても活躍する。本企画の立体物を作成。

永井一巨……ダイナミック企画取締役。本企画立案者のひとり。

栗原宏……不知火プロにて、本企画の立案や漫画編集などを行う。

吉川大郎……電撃ホビーマガジン編集部員としてスタート時に本企画のページ構成などを行う。現在はフリーライター/編集。

(聞き手:編集部)

※敬称略

 

 

オマージュ作品とゼーレン デザイン上のリンク

 

(座談会前編に引き続き、オマージュ作品とゼーレンの関わり合いの話題から……)

 

海老川:漫画の最初のコマにゲッターが描かれていたので、そこで何となく世界観が分かった人はいたかもしれないですけれどもね。

 

早川:ダイナミック的な世界観との関わりはどうなるのかというところで、「ヤーグアール」のドリルがあって、「ズーロン」が出てきて「これが2と3だ!」と、逆行してやっていった感じです。ただ、いまだに「フリーゲン」が「ステルバー」だって、誰も気付いていないかも(笑)。

 

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海老川:ニュアンスは拾って、色もステルバーカラーにしていますけれどもね(笑)。どこまで使わせていただくかということは、結構悩みました。露骨に出し過ぎても新しいものを作っていく意味がなくなってしまうので。

 

柳瀬:面白みもないですからね。『マジンカイザーSKL』を見て、「このへんの基地とかは拾った方がいいのかな」とか。早川さんから、そこは気にしなくてもいいよっていう話もあったような。

 

早川:当初は設定などは細かいところを作っていなかったので、それがあるように作っていかねばならなくて。WSOのベースは国連軍ですが、モロに国連軍とすると「いつの国連軍?」という話にもなってしまうので、見ている人には「国連軍が発展したものかな」と思っていただければと考えていました。そうしたらだんだん『マジンカイザーSKL』のWSOじゃないですか? という声が大きくなってきたので、少しずつ歩み寄ったという。

 

――気付かれるかどうかのニュアンスを探っていった感じですね。

 

早川:そうですね。気付く人が気付けば楽しい……という作りにしていますが、作品自体はパロディではないというところでしょうか。

 

海老川:モロという意味では「マシンザウラー」がありました(笑)。これは即バレでしたね。

 

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栗原:マシンザウラーは、確か早川さんからの発注ではなくて海老川さんがイメージで描かれたラフがあったんですよね。ほかの機体のラフの中にちょこっと描かれていた。

 

吉川:しかも全力で走っていたんですよ! すっごい怖かった(笑)。

 

永井:尻尾でバランスを取ってね。

 

柳瀬:クリーチャー系でいうと、マシンビーストのアルマジロとかもありました。

 

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海老川:デザインワークスでフヂロウさんに描いていただいたものですね。ケルパーもそうです。

 

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柳瀬:ケルパーはほとんどフヂロウさんですよね。テロリスト側のメカも。

 

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海老川:マシンビーストは、フヂロウさんが描いてくださったものに、こちらで赤ペンを入れて「こんな感じでどうですか?」とやりとりして詰めていったり。クジラ型などはそうでした。

 

 

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永井:目のようなアイコンをいれたのも、打ち合わせ中に描き足したものでしたよね。

 

――マシンビーストのデザイン的な方向性は?

 

柳瀬:早川さんから指定がありました。

 

早川:機械獣が野良化したものという設定です。デザイン的には、なんとなく化石化した表面を持っている機械の獣で、誰が作ったのかは分からない。

 

海老川:本当に鉄くずが固まっているような感じです。

 

早川:目を入れていただいたのも、最初はなかなか倒せないから、目印になるコアを作ってもらったんです。アルマジロなどは刺せばなんとかなるというサイズ感で戦っていたんですけれども、だんだん大きくなってきたので。

 

――曽我さんは、漫画にするにあたって気をつけた点はありますか?

 

曽我:レムリア側のメカですね。手癖で描いてしまうと人間に近いバランスになってしまうので、アンバランスさを活かすようにしています。

 

永井:メカニックデザインというよりも、原作(シナリオ)の文量が多いから、それをこのページ数に入れるのは絶対入らないですよ! と思っていました(笑)。

 

早川:特に最初は文量も探りながらだったから、多かったです。

 

曽我:70枚(200文字原稿用紙換算。映像の場合は、目安として2枚で1分程度となる)とか……。

 

栗原:ただ、曽我君との打ち合わせで「入らないときは、早川さんなら次回にうまく回してもらえるから大丈夫」と言った覚えがあります(笑)。

 

早川:毎回すごいと思いますよ。よくこんなに綺麗に圧縮できるなと。

 

曽我:手数のかかるアクションシーンを、なるべく1コマで描いたりとか、そういう小細工(笑)を。スピード感を殺さないように、一連の流で描くとか。

 

早川:そういう苦労も絶えないんだなあ(笑)。

 

――見せ場のコマがあるから省略された感はないですよね。

 

曽我:こぢんまりしたコマ割りは、なるべく避けました。

 

 

ハイディテール画稿から始まった立体化企画

 

――立体作品については、苦労はありましたか?

 

柳生:連載当初は、Zeed-01のハイエンドモデルを1年かけて製作するという計画でした。1カ月ごとに、頭を作ったり次は胴体だ……みたいな。そのために柳瀬さんに該当する部分のハイディテール画稿を描いていただいて。贅沢な企画でしたね(笑)。

 

 

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▲柳瀬氏によるハイディテール画稿。

 

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▲製作途中の写真も、随時掲載されていきました。

▲製作途中の写真も、随時掲載されていきました。

 

▲完成した1/35のZeed-01。

▲ハイディテール画稿をもとに完成した1/35スケールのZeed-01。

 

その後、本体が一回できたから、それを使って商品化しようという話や、バリエーション(ゆきうさぎ)なども作ろう、レムリア側も3体作ろう……といった展開になってきました。

 

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▲1/48スケールのZeed-01(右)と、そのバリエーションであるゆきうさぎ(左)。

 

▲ゆきうさぎは、劇中通りのカバーも製作されています。

▲ゆきうさぎは、劇中通りのカバーも製作されています。

 

▲アードラー。

▲アードラーの立体作品。

 

▲ヤーグアール。

▲ヤーグアールの立体作品。

 

▲ズーロンの立体作品。

▲ズーロンの立体作品。

 

▲ウートガルザも立体化されています。

▲ウートガルザも立体化されています。

 

 

いずれにしても、メカニックデザインの段階で、形としては破綻がないから立体にするのはやりやすかったですね。調整するとしても、たとえばZeed-01は細かいモールドをたくさん入れていただいたのですが、塗装の際にデカールがモールドとぶつかる箇所があったら、デカールの大きさを変えたりはしました。脚も、腕と同じ蛇腹構造なので、ポーズを付けやすいように工夫したりはしています。そういえば、レムリア系は脚が地面に突き刺さるので(笑)、そこは苦労しましたね。

 

海老川:レムリア側は基本的に重力制御で浮いていますからね(笑)。

 

柳生:あとは……パーツ同士がすごく細いところで繋がっていたりもするので、強度的な苦労はありました。フリーゲンは巨大な羽根を1点で支えているので、金属線を入れてはみたものの撮影時に「ピキピキ」っとイヤな音がしたりして(笑)。

 

一同 笑い

 

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▲柳生氏により立体化されたフリーゲン。

▲柳生氏により立体化されたフリーゲン。

 

 

柳生:ともあれ、破綻がないから強度や可動した際の調整を少しアレンジすれば大丈夫でした。形状については言ったとおりですが、色は問題がありましたね。パソコンでやりとりをしているから、見ているモニタの環境によってちょっとずつズレていくという。

 

海老川:色の問題は難しいですよね。誌面に載ったときもまた違うし。

 

柳生:アードラーの赤が微妙な色合いですよね。ちょっと紫が入っていたり。

 

海老川:ちょっとマゼンタが入っていますね。でも、作っていただいた立体はすごくいい色でした。あとは誌面で色が潰れなければいいなと思っていました。

 

 

――色については難しい面がありますからね。最後に、ダイナミック企画さんにおうかがいしたいのは、主にマジンガーとゲッターのオマージュが、どのように作品に絡んでいるのか、そしてこれから絡んでくるのか? という点です。いよいよクライマックスということで、世界観のリンクについてお話しください。

 

早川:まずは、マジンガーとゲッターだけに限って話をします。この物語では、マジンガー世界をWSOに、ゲッター世界をレムリアにそれぞれ配置しています。そして、過去の世界が一度崩壊しかけているという設定です。そもそも我々の現実世界では、マジンガーとゲッターという2つの世界は、もともと別の(アニメ)番組として存在していました。これがひとつの番組になって、最終回が同じ日だったらどうだろう? というところから逆算していきました。

 

それこそ、昔の東映アニメのVSテレビマンガみたいな感じかもしれません。そして、崩壊しかけた時から66年で、現在のゼーレンの世界になったということです。その、一緒になった番組を、たとえば、海外ドラマやSF作品もリメイクなどがされていますが、現在のリアリティで続行してみようというのが、『猟界のゼーレン』の仕掛けです。

 

現在のゼーレンの世界の被害状況については、暗黒大将軍(みたいなもの)が出てきていますが、実際に暗黒大将軍が七大将軍を引き連れて地球で暴れ回ったらどの程度の被害になるのかなと考えて換算しています。そうなるとたぶん、それから66年経ったとして……いや、この世界にはゲッターが存在するのでたぶん帝王ゴールもいます。そうなると地球は本当に危ない。

 

過去の被害から逆算したリアルは持たせて世界観を構築して、それを見せたいなという気持ちが、今回のゼーレンのもとになっています。

 

なお、崩壊しかけた状態からWSOが新しい世界秩序を作ろうとしても、いろいろと悪い条件も隠れているし、政治も作り直さねばならない……というところは、『エウロパの涙』で描いています。

 

――エウロパでは、より突っ込んだ世界観を描いていますね。

 

早川:そうですね。ややこしいところは文章で読んでいたければという感じです。エウロパは、ゲッターとマジンガーだけではなくてデビルマンとかも混ざっていますから(笑)。

 

栗原:漫画で読むと分からないのですが、エウロパでは智樹のお母さんがめちゃめちゃ活躍していて、「この人、意外と中核で暗躍してるじゃん」などと楽しめますね。

 

早川:そうやって小説を読んでいただければ、情報量も増えるので好きな人は喜んで貰えるかなと思っています。

 

――オマージュシーンについて、今後の展開予定はありますか?

※本座談会は2016年末に行われました。

 

早川:まだ公開されていないところでは、もう1回ズーロンが見せ場を作ります。そしてそれがカギを握っています。ゼーレンの世界では、Gフォトンというエネルギーと、マジンガーZの超合金Z「オイサースト」との関係性で、暗黒大将軍(のようなもの)の驚異を払えるか? 払うけれども人類はいろいろな罪を被るのか? それとも何となく乗り切れてしまうのか? というシーンがあって、そこにズーロンが絡んできます。

 

曽我:でもそう言いつつ違う展開になっちゃう可能性が……。

 

一同 笑い

 

――本日は、貴重なお話をありがとうございました。読者の皆様にも、ぜひ『猟界のゼーレン』を楽しんでいただきたいと思います!

 

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DATA

猟界のゼーレン

  • シナリオ・構成:早川正
  • 漫画:曽我篤士
  • 企画:電撃ホビーウェブ・ダイナミック企画
  • メカニックデザイン:柳瀬敬之・海老川兼武
  • デザインワークス:フヂロウ
  • キャラクターデザイン:吉村健一郎
  • 編集協力:不知火プロ

 

 

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DATA

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  • 配信中
  • 価格:各570円(税別)
  • 出版社:KADOKAWA/アスキー・メディアワークス

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●『猟界のゼーレン』
舞台は、ある事件によって人口が5分の1に減少してしまった世界。人類は事件をきっかけに「W.S.O」という組織を設立し、各地に出現するようになった謎の生物・魔神獣(マシンビースト)と戦っている。

 

 

関連情報

 

 

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