合わせ目消しをマスターしよう!【冬休み特別企画】マイスター関田の実験プラモLABO Vol.001

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文・構成●マイスター関田/ロゴデザイン●くまくま団/編集●電撃ホビー編集部

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電撃ホビーマガジンに連載された「マイスター関田の実験プラモLABO」は、プロモデラーであり、新宿の模型ファクトリー店長でもあるマイスター関田が、愛犬ホセとの掛け合い形式で、プラモデル作りのハウトゥを紹介する記事でした。電撃ホビーウェブでは、冬休み特別企画として連載の中から選りすぐりの記事を掲載! プラモデル作りのレベルアップに、お役立てください!

 


 

合わせ目消しをマスターしよう

プラモを作る際、パーツ同士の合わせ目を消すのは、玩具っぽさを払拭し完成度を高めようとするなら避けて通れない工作だ。もちろん、合わせ目を消さずにそのままフィニッシュするのもプラモ作りの楽しみ方として十分にアリだが、消すのと消さないのでは完成後の満足度は大きく変わってくるだろう。今回は合わせ目消しの方法の中でも、現在主流となっている「セメント系接着剤」と「瞬間接着剤」を使用した消し方に注目し、それぞれの長所を活かしたた使い分けと段取りまでを見ていこう。

 

 

合わせ目消しの方法を選択する3つのポイント!

  • 使用する接着剤のメリット・デメリットを知っておく。
  • パーツの形状・合わせ目の周囲のディテールを把握する。
  • 一つの方法にこだわらず、パーツごとに合った方法を選択する。

 

 


登場人物

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%e3%83%9b%e3%82%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b301-%e6%9b%b4%e6%96%b0%e6%b8%88%e3%81%bfホセ……マイスター関田の元で修業を積む模型店員見習い。モデラーとしても初心者だが様々な課題にぶつかりつつ成長中。

 

 


 

%e3%83%9b%e3%82%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b301-%e6%9b%b4%e6%96%b0%e6%b8%88%e3%81%bfマイスターは合わせ目消すときに何使ってます?

 

 

 

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%e3%83%9b%e3%82%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b307-%e6%9b%b4%e6%96%b0%e6%b8%88%e3%81%bf統一したほうが良くないです?

 

 

 

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%e3%83%9b%e3%82%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b307-%e6%9b%b4%e6%96%b0%e6%b8%88%e3%81%bf2種類?

 

 

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%e3%83%9b%e3%82%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b304-%e6%9b%b4%e6%96%b0%e6%b8%88%e3%81%bfなるほどー。せっかく合わせ目消したのにバラバラになったらショックですもんね。こんなに使い勝手がいいなら、全部瞬着でいいんじゃないですか?

 

 

 

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▲“こんなパーツ”。合わせ目に、蛇腹状のモールドなど、複雑な凹みディテールが存在している。

 

 

 

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▲「あああっーーー!!!」。蛇腹の凹みに瞬着が流れ込み……。

▲「あああっーーー!!!」。ディテールの凹みに瞬着が流れ込み……。

 

 

 

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%e3%83%9b%e3%82%bb%e3%82%a2%e3%82%a4%e3%82%b3%e3%83%b301-%e6%9b%b4%e6%96%b0%e6%b8%88%e3%81%bfなるほど、段取りってやつですね。

 

 

 

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 瞬着を使った消し方

マイスターとホセの会話にあるように、同じ瞬間接着剤でも特性に大きく差があり、使い分けることが重要だ。ここでは液体の粘度と硬化後の削りやすさに注目したい。粘度が低くサラサラしていれば簡単に合わせ目に流し込むことができ非常に有利。硬化後の硬さは削る作業にダイレクトに影響が出る。様々な瞬着を使い比べて自分にベストなチョイスをしよう。そして、瞬着最大の長所「待たずにすぐ削る」を実現するには瞬着硬化剤の存在が不可欠。スプレータイプがオススメだ。吹き付ける量は少量で問題ない。吹き付けるとパーツの表面が若干ながら溶けてしまうので注意。特にクリアーパーツは一瞬で曇る。

 

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▲瞬着をパーツに着けるときは、どこかに出してから金属線で持っていくのがオススメだ。木製と違い、金属線なら瞬着が浸み込むこともなく、太さを変えることで量も簡単に調節できるので便利だ。

 

 

マイスターおすすめの合わせ目消し用瞬着

ウェーブ「瞬間接着剤×3Sハイスピード」(写真左)他のグレードと比べて粘度が低く合わせ目に流し込みやすい。また、硬化後の硬さも削りやすい。ただし、接着力は若干弱め。コニシボンド「アロンアルファ木工用」(写真右)「瞬着×3S」を流し込む前にこれでしっかり接着する。木工用とはいえPSやABSとの相性が良く、接続ピンに少量付けるだけで強力に接着してくれる。粘度が高く合わせ目消しには向かない。

 

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▲ウェーブ「瞬間接着剤×3Sハイスピード」(写真左)と、コニシボンド「アロンアルファ木工用」(写真右)。

 

 

セメント系を使った消し方

余計なところに流れ込むリスクも少なく、接着力も強いし、乾燥後削りやすい等メリットは多い。まずはパーツの貼り合わさる部分を確認し、それぞれに2回ずつ塗る。1回だけでは十分に溶ける前に乾燥してしまうことが多いので、なるべく多めに2回塗ろう。また、塗った後すぐに貼り合わせるのではなく、20~30秒待ってから貼り合わせるのがオススメだ。これは接着剤がパーツを溶かす時間を取るためで、接着効果が高まり、合わせ目を消す溶けた部分を十分に確保できる。

 

 

▲各種セメント系接着剤。性能に大きな違いはないが、自分好みの製品を探してほしい。

▲各種セメント系接着剤。性能に大きな違いはないが、自分好みの製品を探してほしい。

 

 

待ち時間による「ヒケ」検証

セメント系接着剤の溶剤成分は十分な揮発まで時間がかかる。早めに削ってしまうとその後も揮発が続き、合わせ目の部分がヘコむ「ヒケ」が起きる。そこで、待ち時間を検証した。なお、ヒケが分かるようにサフェーサーを吹いた後ヤスリがけをしている。

 

 

接着後

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▲接着した後の状態。パーツが溶けて盛り上がっているのが分かる。

 

 

6時間後

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▲ヤスリがけしている最中にまだ乾いていないところに到達してしまった。問題外だ。

 

 

1日後

▲ヤスリがけしてからしばらくして、合わせ目の部分にヒケが確認できた。乾燥は不十分だった。

▲ヤスリがけしてからしばらくして、合わせ目の部分にヒケが確認できた。乾燥は不十分だった。

 

 

3日後

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▲ヤスリがけ後時間が経っても合わせ目に変化はなかった。十分に乾燥できていた。

 

 

なぜラッカーパテを使わないのか?

ラッカーパテはPSへの食付きもよく、合わせ目消しの素材としてポピュラーだ。だが、乾燥時間はセメント系と変わらず、乾燥後も若干削りにくいことから、スピードを重視するなら瞬着が有利だし、作業性を重視するならセメント系で十分といえる。よほどのこだわりと慣れがない限りはオススメしない。

 

 

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