『ファイブスター物語』殺戮・蹂躙・破壊!A.K.Dの究極戦闘兵器L.E.Dミラージュ!!【趣味でプラモデル】

更新日:2017年9月15日 12:55

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作品製作・製作文●桜井信之/編集●電撃ホビー編集部

電撃ホビーウェブ編集部員&モデラーたちによる趣味で作ったプラモデルを思い出と共に語るコーナー「趣味でプラモデル」! 積んでいたプラモや中古で見つけた珍しいキットなど、ロボット、ミリタリー、カーモデルなどなどジャンルを問わずに自由気ままに紹介していきますよ!

 

第2回目は前回と同じく1986年から『月刊ニュータイプ』で連載している漫画『ファイブスター物語(以下FSS)』にて登場する「L.E.D ミラージュ重装版」をお届け! このモーターヘッド(以下MH)は天照が自身の騎士団であるミラージュ騎士団用に制作した騎体。その中でも、ミラージュを象徴し最も恐れられていたのがこの「L.E.Dミラージュ」となります。FSSに必要不可欠な本騎体の発売当時の状況や思い出を、第1回目から引き続き電ホビのMHマイスターこと桜井信之氏に語っていただきます。

 

※バックナンバー

 


#2箱目 ウェーブ 1/100 L.E.Dミラージュ重装版

前回に引き続きFSSのキットを作りました。ウェーブ製「L.E.Dミラージュ重装版」です。本キットはこれまでも何度か製作しましたが、軽装版やブーメランユニットばかりで、なぜか重装版で完成させたことがありませんでした。というわけで、この機会にL.E.Dミラージュの基本形といえるフレームランチャー&リザーブユニットを装備した状態で作ることにしました。せっかくなので今まで作ったことがなかった、『ニュータイプ1988年5月号』の表紙に描かれた“アイシャ・コーダンテ騎(マーキングIII・ヘルメットに花模様のマーキング(カービング)入り”で仕上げることに。ついでに今まで取り付けたことがなかったチンガードも装着してみました。

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#2 Pearl Light Of Revolution

L.E.Dミラージュは各メーカーから最も多くキット化されたMHであると共に、FSS初のガレージキットが発売されたのもL.E.Dミラージュでした。それもそのはず、L.E.DミラージュはFSSを象徴するデザインで主役ともいえる存在だからです。なおFSS初のガレージキットもウェーブから発売され、本キットと同じ1/100スケール・重装版でした。原型を担当されたのは佐藤直樹氏で、フレームユニット・ベイルも付属のフル装備のレジンキットなのに、価格は1万円を切る(たしか9,800円……しかも消費税などなかった時代・笑)という奇跡のような出来事でした。それでもまだ10代だった僕には高価なキットだったので、一大決心で購入。つたない技術でしたが、丁寧に……そして大切に作ったことを覚えています。

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設定資料集との戦い

1988年7月にイラスト集にして公式資料の「CHARACTERS 1 MIRAGE」、間髪入れず同年8月に「CHARACTERS 2 COLUS」(トイズプレス刊・絶版)が発売されました。それまでは『ニュータイプ’86年9月号』の付録の設定資料集と毎月ニュータイプに連載された本編だけが唯一の資料(情報)だったため、「CHARACTERS 1 MIRAGE」に掲載されたL.E.Dミラージュの各部設定、「CHARACTERS 2 COLUS」のMHの作動方法図をFSSファン……特に造形に関わる人は、文字通り“穴が開くほど”この2冊を見たものでした。

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その後、1989年6月「JOKER3100」(1989年発表)が発売され、ついにL.E.Dミラージュのフルバックスタイル(背部正面)が発表されます。これは革命的な出来事で、「CHARACTERS 1&2」と「JOKER3100」の情報を加えた「L.E.Dミラージュ・JOKER3100版」のキット開発が各ガレージキットメーカーで急速に進むことになります。なお「JOKER3100」ではL.E.Dミラージュのスネの黒ラインが女性像のレリーフであることが明かされ、さらに赤のペイント部分も単なる赤のベタ塗りではなく、様々なものが描かれたステンドグラスのようになっていることがわかりました。このころからMH造形家たちの挑戦と苦悩、そして終わりなき戦いが始まります。「この設定・イラストをなんとか再現できないものか」と……。

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ウェーブのMHマイトが編み出した答え

そして1991年の秋、ウェーブが同社としての“回答”を発表します。本金型を使用し可動モデルとしてのインジェクションキット「1/100 L.E.Dミラージュ」、今回製作したキットです。最初はノーマルの軽装版として、その後フレームユニットを装備した重装版を発売。発売当時はそれぞれ12,800円・14,800円とインジェクションキットとしては高価でしたが無理もありません。本キットはプラモデルではなく“インジェクション成形のガレージキット”で、版権許諾も“ガレージキット”として申請されていました。原型製作は先のFSS初キットを製作した佐藤氏。発売当初は頭部のレーザーカッター・マスク、手首はホワイトメタル製。重装版のリザーブユニットはソフトビニールで成形されていましたが、現在はこれらのパーツもインジェクションパーツに置き換えられ、価格も半額以下に改定され現在も販売されています。

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MH造形が与えた技術革命

永野氏が続々と発表するデザインと、それを立体化しようと挑む造形家たち……。1990年代、デザイナーとモデラー間で行われた“セッション”が、模型業界の造形レベルを何段階もステップアップさせたことは間違いありません。さらに、造形面以外にも革命的なことがありました。それはフィニッシュワークです。

 

それまでのリアルロボットの定番仕上げといえば、“コーションマークにツヤ消し+ウェザリング”でした。しかしこれがFSSの世界観には今ひとつ似合いません。造形家たちの共通イメージはスーパーカーのようなノンウェザリング・グロス仕上げでした。しかもL.E.DミラージュはVer.3までは“プラチナシルバー&ホワイトパール”だと記載されているので、それまでキャラモデラーの多くが未経験だった“メタリック&パール塗装”を行うようになりました。このころを境に模型用のパール顔料も進化していきます。造形技術・塗装スキル・マテリアルの進化……。そういう意味でも90年代は、この真珠色のロボットが興した革命時代だったといえるでしょう。

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過去のL.E.Dミラージュ作例を振り返って

最後に『電撃ホビーマガジン2011年11月号』に掲載した同じウェーブ製「1/100 L.E.Dミラージュ」と『電撃ホビーマガジン2014年8月号』に掲載のボークス製「1/100 L.E.DミラージュVer.3・インフェルノナパーム」も掲載します。

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▲電撃ホビーマガジン2011年11月号掲載L.E.Dミラージュ カーレル・クリサリス騎

 

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▲電撃ホビーマガジン2014年8月号掲載 L.E.DミラージュV3

 

『電撃ホビーマガジン2011年11月号』は当時再始動を記念してFSS特集を掲載。記念すべき第1話の“カーレル・クリサリス騎”として製作。改造箇所は手首のアーマーを「JOKER3100」以前のスタイルに戻すと共に、左前腕のダメージを受けた装甲に形状変更。 ディテールアップとして、一体化している脚部イレイザーエンジンカバーやバラストアーマーを分割成形しました。

 

「KNIGHT FLAGS」発表以降のスレンダーなL.E.Dミラージュも当然好きなのですが、この当時の“太目で無骨なL.E.Dミラージュ”も魅力的で捨てがたいと思っているのは僕だけではないと思います。今回、関節等のガンメタル部分の青味を強くしているのは、あの当時に郷愁の想いを込めての色選択です。いかがだったでしょうか? ではまた。

 

次回は『超時空要塞マクロス』をご紹介予定! 乞うご期待! 

 

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