「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズ再始動!タカラトミー開発者インタビュー!!

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インタビュアー●RED染谷/文・写真●浅井 渚

1983年にサンライズ(当時は日本サンライズ)が制作、リアルロボットの最高峰とも称されるアニメ作品『装甲騎兵ボトムズ』。タカラトミーの「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」は、2005年に初登場しました。劇中に登場する全高約4メートル前後のロボット、AT(アーマードトルーパーの略称)を1/48スケールに統一して立体化した精密完成品モデルです。

 

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2008年以降は沈黙していましたが、2016年秋に開催された「第56回全日本模型ホビーショー」会場で再始動を発表後(⇒「アクティックギア」ストライクドッグや、ダイアバトルスV2 宇宙機動仕様などを展示!【2016第56回全日本模型ホビーショー速報レポート】タカラトミー)、2017年6月よりリリースを開始しました。

 

第1弾「AT Chronicle Ⅰ クメンの砲火」では、ファン待望の「ストライクドッグ」が新規金型で商品化! “クメンの戦い”を再現できるよう、既発売の主人公・キリコが乗り込むAT「マーシィドッグ」、クエント人の傭兵であるル・シャッコの「ベルゼルガ」を加えた3機セットで発売。「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」発売当時からのファンはもちろん、新規のファンをも獲得。その同行が注目されています。そこで今回は、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」の再始動を記念して、タカラトミーの歴代開発担当者とマーケッターの方々にお集まりいただき、本シリーズの企画や開発についての裏話をお聞きしました。

 

Ph01_edited-1写真左より……タカラトミー 開発チームの幸 日佐志さん、赤木謙介さん、國弘麻衣さん、松崎雄二郎さん、前田典秋さん、サンライズの渋谷誠さん。

 

――2005年より発売され、「手のひらサイズでありながらも緻密な仕様、劇中のATの動きを可能な限り再現する!」ということをコンセプトとして企画・開発されたアクションフィギュア「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」。まず始めに、本シリーズの企画当初の頃のお話から聞かせてください。

 

前田:企画当時、『装甲騎兵ボトムズ』の人気がマニアの人たちの間で再ブーム化していまして、他社さんからは主役メカである「スコープドッグ」を中心としたモデルが発売され、1/1スケール(全高約4メートル)のATを作る企画なども動いていました。そういった状況の中で、初回放送当時のメインスポンサーだった弊社(当時はタカラ)としても、何かこの“大きな波”に乗れる企画を提案すべきだと考えたんです。大きなサイズのものはすでに他のメーカーさんから商品化されていて、どれも完成度の高いアイテムばかりでしたが、気軽にたくさん買える値段ではありませんでした。そこで、弊社が発売するトイは、社会人が気軽に購入できる価格帯がいいのでは……。とすると、サイズは小さい方がいいのかな……と。小さいサイズでは、弊社では「ミクロマン」や「ダイアクロン」といったヒット商品を世に送り出した実績がありますから、そういったコンセプトに『ボトムズ』のキャラクターはハマるんじゃないかと思ったのが、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」の最初の発想でした。

 

松崎:シリーズの立ち上げは2005年。僕が入社1年目くらいの頃でした。実質的な始まりは、1983年に発売された「デュアルモデル」シリーズの復刻版、「リバイバルデュアルモデル」シリーズで、パッケージイラストは、『ボトムズ』のメカデザイナー、大河原邦男さんにお願いすることができました。これは、幸さんが、サンライズさんが制作したアニメ「勇者シリーズ」等を通じて大河原さんとお仕事をされていた縁もあって実現した企画でもあります。大河原さんとお会いした時、「実はボトムズの新しいトイの商品化を予定しているんです」と、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」のこともお話ししたら、すごく喜んでくださいました。当時はなかったタイプのトイでしたし、特に新規金型で商品化するという点に興味を持っていただけたようです。

 

前田:確か「デュアルモデル」の復刻版は、最初に「スコープドッグ」を発売して、次に「ブルーティッシュドッグ」、そして「レッドショルダーカスタム」と続いたんですよね。その後に発売されたのが「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」でした。

 

松崎:はい。「デュアルモデル」の復刻版も結構頑張って作りました。1983年の初回放送当時に発売した「デュアルモデル」シリーズは、足の裏の「グライディングホイール」の位置がアニメ設定と少々異なる位置(逆)に取りつけられていたので、「この機会に直しちゃえ!」と、思い切って修正を行い、できるだけアニメの設定に近いイメージにしました。

 

前田:僕が当時から思っているコンセプトは、各ATで求められる必要十分のギミックを盛り込むこと。小さいサイズの商品なので、足部側面のターンピックなんて、再現しても非常に小さな可動であまり意味がないように見えるかもしれませんけど……、それが「スコープドッグ」たらしめる特徴的なギミックだと思ったから、どうしても再現したかったんです。腕部の「アームパンチ機構」も、完全とは言い切れなくても、この手のひらサイズながら、腕の伸縮もできます。その他にも様々なATとして求められるギミックを盛り込んだつもりです。そして、ATならではの降着ポーズへの変形。その頃に発売されていた他社さんの商品で降着姿勢をとれるものは少なく、このサイズでそれができるというのは“明確な差別化”になると思ったので、そこには特にこだわりました。

 

――1/48サイズでありながら、「劇中でもっとも印象的だから」という理由で降着ポーズを再現させるのは、確かに手のひらサイズの可動フィギュアや変形ロボットトイにも定評のあるタカラトミーのお家芸、とも思えます。この1/48というサイズでの商品化については?

 

:元々は、「勇者シリーズ」のトイの復刻もあって、社内的でも「またサンライズさんと何か新しい商品企画がやれるのではないか……」という動きが出てきたんです。そうしたら、「やっぱりボトムズっていいよね!」という話になって……(笑)。で、今やるならどういうものができるだろうか、という話をしながら、まず始めに当時人気だった「デュアルモデル」の復刻版を発売することになりました。それと同時に、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」の商品化企画も進んでいました。

 

前田:メインの商品は「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」でしたが、再ブーム化の兆しが見えてきたタイミングだったこともあり、1日でも早く「タカラトミーからもボトムズの商品が出るよ!」と、発表したかったんです。「デュアルモデル」の復刻なら、比較的時間をかけずに発売できそうだったので、まずはそこで盛り上げておいて、その後に新商品の「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」に繋げていく……という展開を考えていました。

 

松崎:当時は、小さくて精巧なものが流行し始めた頃で、そのサイズの完成品に需要があったんです。それに、このサイズのATだったらたくさんコレクションしたくなると思ったんですよ。価格も、最初は1,500円くらいの設定で、複数体集めれば「1小隊」が作れる、ということを提案しました。スケールモデルとしての商品展開を狙っていましたから。

 

前田:最終的には1,600円になったんですけどね……(苦笑)。サイズは、ATはスケール感が大事だと思ったので、他のスケールモデルと並べられるサイズで考えた結果、1/48に決まりました。

 

――このサイズの中に、ATのさまざまなギミックを盛り込むというのは至難の業だったのでは?

 

:とりあえず、「このギミックを入れたい!」というアイデアを松崎がまとめたんです。それから、先ほどの話のように、手に取りやすい、改造したり色を塗ったりするのもためらわなくていい、あえて壊したジオラマなんかも作りやすい、たくさん集めて小隊を作って飾れる……ということで、最終的には「価格を安くしよう」という考えにまとまりました。

 

前田:松崎が、値段に合わないようなハイエンドな企画を挙げてくるんですよ(笑)。そのまま作ると2,000~2,500円の商品になってしまうので、そこをどうやって削れば製造コストを安くできるか悩みました。そのどこかのタイミングで、「半完成品」でもいいんじゃないかという話になって……。

 

:やはり、ある程度はユーザーに組み立ててもらう部分を残してもいいから、「値段を抑える」……というのが大きなポイントでした。特に主人公機で人気のある「スコープドッグ」は、その後も機体装備のバリエーションが続くのは分かっていましたし、しかも、シリーズ化されれば、「スコープドッグ」よりもサイズが大きいH(ヘビー)級のATである「ストライクドッグ」や「ラビドリードッグ」の商品化も考えられます。そう考えると必然的に値段を高くするわけにはいかなかったんです。なるべく購入しやすい価格設定にして、ユーザーの皆さんに「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズをバッチリ揃えてもらおう、という意識が強かったですね。

 

――では、生産コストの問題などでオミット(省略)されたギミックもあるのでは?

 

前田:「スコープドッグ」に関しては、オミットされたところはないと思います。

 

:今だからこそいえるんですが、最初の試作品を作る過程で一度大ナタを振るわれ、結構厳しいものになってしまったんですよ。太腿部も大きく肉抜き(生産コストを考慮して部品形状の過度な肉厚は行わないようにする作業のこと)されてしまい、「これじゃダメだ!」という事態に陥ったことがありましたが、その時、サンライズの渋谷さんのひと言で救われました。「このままじゃダメです」と言ってもらえたので、「著作権元の監修者さんからダメ出しされたのだから、ちゃんと指示された通りに修正しないと!」と、どさくさにまぎれて(笑)、なるべく元の仕様に戻してまとめたという感じです。

 

――そうした開発チームの意気込みが、実際の商品にしっかりと反映されたのですね。ちなみに、「アクティックギア」というネーミングには、どういった意味が込められているのでしょうか?

 

前田:元は「アクティブギア」という名前でした。それを、「アーティスティック」+「アクティブ」=「アクティック」という造語に、「おもちゃじゃない」という意味も込めて「ギア」という言葉を付けました。ネーミングに込められた意味に沿ったアイテムになったと思います。

 

――そして、2005年5月、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」第1弾の「スコープドッグ」が発売されました。当時のユーザーからの反応はいかがでしたか?

 

松崎:発売してからの評価は、久々に新規商品だったということもあって、おおむね良好でした。

 

:初回放送当時のメインスポンサーだった弊社が『装甲騎兵ボトムズ』の新商品を発売することは、やはり、リアルタイムでアニメを観ていたユーザーの方々の気持ちとしては大切なことだと思うんです。その分、期待も大きいでしょうから、それにある程度応えるきちんとした商品を出さなきゃいけませんが、ブーム再燃のあのタイミングでこのサイズでこのクオリティで、そしてあの値段で発売したからこそ、『ボトムズ』が好きな人の心を動かす商品になったんだと思います。やっぱり、『ボトムズ』という作品自体が当時のタカラのカラーっぽいと思うんです。「スコープドッグ」は、ファンの間では「スコタコ」と呼ばれていますが、顔の真ん中に3つのレンズがある斬新なデザイン! それまでのアニメロボットの演出にはなかった降着姿勢というアイデア、そして油汚れが実に絵になるAT達に僕としては“タカラ的な泥臭さ”というのを感じます。

 

――ちなみに、当時発売されていたラインナップの中で、最も人気のあった商品は……?

 

前田:やっぱり、主人公機でもある「スコープドッグ」ですね。最初に発売されたアイテムだったこともあり、一番売れて、再販もしました。その次は、「ベルゼルガ」だったと記憶しています。

 

:「ベルゼルガ」は、「スコープドッグ」の成功があったからこそ商品化できたアイテムで、かなりわがままをいって作らせてもらいました(笑)。「スコープドッグ」が好評だったので、次の商品はもっといいものを“ケチらずに作ろう”ということになりました。松崎の仕事の練度も上がってきていたので……(笑)。

 

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▲「べルゼルガ」について熱く語る幸さん。

 

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▲乗降用のハッチはAT頭部ごと開閉。ハッチを開いてコクピットに“座りポーズ”のフィギュアを搭乗させることができるのも本品の魅力のひとつ。

 

松崎:そういった意味では、「ベルゼルガ」にはとても思い入れがあります。設定画稿の立ち姿がかっこいいので、立体化に際しては、本体と湿地帯用の装備の「スワンピークラッグ」とのバランスを考えた結果、パーツを引き出して大きくするギミックを採用し、アニメ設定との矛盾が発生しないように配慮しました。あと、ATを搬送する輸送機「AT-FLY(エイティーフライ)」から吊すことができるように、肩の部分にフックを付けました。

 

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▲「AT-FLY」。AT1機を牽吊して空輸する一人乗りのヘリコプター。

 

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▲「AT-FLY」と「ベルゼルガ」。肩のフックによって吊られていることが分かる。

 

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▲自分が担当した商品と久しぶりに対面した松崎さん。「AT-FLY」のサイズがお分かりいただけるかと思います。

 

 

:「AT-FLY」って、劇中では細部を少しごまかしてATをぶら下げている感じに見えるんですよね……(一同笑)。肩のフックの追加等や「AT-FLY」とのリンクはそういったアニメ設定にない矛盾点についてもうまくまとめた商品だと思います。

 

前田:「ベルゼルガ」は、当時他社さんから発売されていた商品で降着ポーズをとれるものがひとつもなかったんです。降着機構と「スワンピークラッグ」が干渉して、矛盾が生じるからだと思いますが、そこを上手くまとめているのも本品の大きなセールスポイントでした。

 

――ところで、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」の商品化にあたって、アニメ『装甲騎兵ボトムズ』をご覧になったと思いますが、作品全体、そしてATの印象についてはいかかでしょう?

 

松崎:僕はリアルタイムではアニメを見ていなくて、見始めたのはこの仕事がきっかけでした。27歳の頃で、「この作品は、単なるロボットアニメじゃないんだな」という異質な感じを受けました。主役メカであるATがあまり活躍しない話もあったり、ハードなストーリー展開で、独特の雰囲気がありますよね。この先も、こういった作品はなかなか出てこないんじゃないかと思います。

 

:僕は、80年代のロボットアニメブームに少年時代を過ごしたので、登場するメカニックが大河原邦男さんのデザインだということも知った上で作品を見ていました。「あのガンダム!」、「あのガッチャマン!」、からの「スコープドッグ」なので、「ダグラムの次はこうきたか!」と思いましたし、同時期に『銀河漂流バイファム』のデザインもやってらっしゃいましたから、「バイファムをやりながらこういう仕事もできるのか、大河原さんって凄い人だなぁ……」とも思っていました。デザインもこれまでなかったタイプで、スーパーロボットのような“ヒーローフェイス”ではないし、『機動戦士ガンダム』を代表とするリアルロボットの路線でもない。不思議な魅力を持ったデザインですよね。僕は大分県の出身なんですが、地元の模型店で、「バイファム」を買うか「ボトムズ」を買うかで悩んだりしたこともありました、「ボトムズ」はTV放送されていませんでしたが(笑)。

 

赤木:僕は、社会人になるまではロボットアニメにはほとんど触れていなかったんです。子供の頃に『魔神英雄伝ワタル』を見ていて、『トランスフォーマー』の担当になってからは『トランスフォーマー』のアニメを見ましたが、どちらの作品もロボットがしゃべったり、主人公と意思を交わすような作品で、僕がイメージしていたロボットアニメは、そういう関係性の印象しかなかったんです。でも、『装甲騎兵ボトムズ』は、ロボットが本当にただの兵器として扱われている(乗り捨てられている)し、作品自体の雰囲気も暗い……。言い方が悪いですけど、主人公が乗り込むロボットが雑に扱われている様子を見て、「これがリアルでかっこいいロボットアニメなんだな!」と気付かされました。

 

國弘:私もロボットもののアニメは大好きで、『装甲騎兵ボトムズ』は学生時代に見ました。当時はヒーロー然としたロボットがたくさん出てきたところに、『機動戦士ガンダム』というミリタリー性を前面に押し出した作品が登場し、「こういう展開ってアリなんだ!」と、大きな衝撃を受けました。さらに、それをぐっとミリタリーに寄せたのがボトムズでしたけど、私はどうしても女心があるものですから、ミリタリーに寄りすぎるとちょっと引いちゃうところはあって、でもそれくらいに思わせるほどのすごいアニメだとは思っていました。その後、主人(タカラトミー開発チーム 國弘高史さん)が家でビデオを見ていたので一緒に見たんですけど、ずっと主人公のキリコ・キュービィーの顔が変わらない(笑)。笑わないし怒るのもないし、ほくそ笑むなんてこともない、表情のない主人公ですけど、だからこそ周りにとても色が付いて見えるというか、動いて見えると思うんです。いちいち激高する敵の司令官だったり、ずるい商人だったりが出てきて、そこに人間性が見えたり、戦争という状況が関わってきて、どうなっていくのか……という、まさに戦争をアニメにした人間くささを感じます。見れば見るほど発見のある、スルメみたいな作品だと思います。あと、ATが乗り捨てられていくという、従来のロボットアニメにはまったくなかった概念がすごいですよね。トラックや戦車と同じようにロボットを扱うという作品は、いまだにあまりないというか、ボトムズの先にも後にもないと思います。

 

前田:僕は小学生くらいの頃のリアルタイム世代で、登場人物よりもロボットそのものに注目しちゃうんです。「ローラーダッシュ」や「ターンピック」を地面に打ち込んで瞬時に方向転換したり、「アームパンチ機構」など、それまで見たことがなかったアクションにすごく魅力を感じました。なぜか「スコープドッグ」はそんなに好きになれなかったんですが(笑)、「ストライクドッグ」や「ベルゼルガ」は、たまらなくかっこよく見えました。「スコープドッグ」の存在があったからこそ、際立って見えたんでしょうね……。そんんこともあって、今回の「アクティックギア」再始動の第1弾として「ストライクドッグ」が選ばれたことはとても嬉しいです。

 

DSC_7598各アクティックギア商品は設定資料カードが1枚付属していることもファンにとっては嬉しい仕様でした。アクティックギア AG-V05「スコープドッグ レッドショルダーカスタム」(1/48スケール、2006年発売)に同梱されていた専用ファイルに収納することができました。

 

DSC_7602これがその専用ファイル、表紙の片面は英字、もう片面はギルガメス文字で表記されているのもファンにとっては嬉しい配慮でした。

 

DSC_7442専用ファイルも商品と同じく手のひらサイズで持ち運びが便利なサイズ!

 

――今日は、『装甲騎兵ボトムズ』の著作権元であるサンライズの渋谷誠さんにもインタビューのアドバイザーとして来ていただいていますが、渋谷さんから見た、アクティックギアの印象は……?

 

渋谷:初回放送当時のスポンサーだったタカラトミー(当時はタカラ)さんとの仕事であること、そして、新規の商品企画も用意されているということで私も期待していました。商品についての興味はもちろんですが、開発担当者が幸さんと松崎さんだったので、「ベテランと新兵が一緒にやってきたぞ!」という印象があり、当時のことを今もよく覚えています(笑)。

 

:僕はそのために松崎に同行していたようなもので、松崎一人で渋谷さんのところに行かせたら絶対に返り討ちにあってえらいことになると思ったので(一同笑)。実際に話が進みだした後は、松崎一人でも全然問題なかったですけどね……。

 

渋谷:松崎さんは打たれ強かったので、それがたぶん商品に反映されたんでしょう(笑)。もしかしたら、打たれたことに気付いてないのかもしれない。

 

松崎:いえいえ、気付いてますよ!? でもよく「壊れないおもちゃ」って言われます(一同笑)。

 

:最初はやっぱり怖かったですよ。『ボトムズ』について猛勉強中でも、サンライズさんにお邪魔した際に的外れなことを言ってしまったり、専門的な用語をいわれても理解できなかったりするのではないかと……。

 

渋谷:『ボトムズ』はあの頃、上り調子のところだったんです。10万円のDVD-BOXが発売される時期でもあり、いろいろなサイズの商品があれば、ユーザーが手に取りやすいだろうと思いました。実際に「アクティックギア」の企画をいただいて、そのコンセプトなどがドンピシャだった。それと、ペーパークラフトが印象深いんですけど、あれは誰が作ったんですか?

 

前田:僕です。新製品を出すなら、大型店でも商品を続けて置いてもらえるようにしたいと思って、「アクティックギア」を乗せて飾れるジオラマシートを作りました。自分でハサミで切って組み立てることができる、格納庫に見えるような背景を使った簡単なジオラマでしたが、「こういう遊び方ができますよ!」と、提案するのと同時に、プレミアム感も狙っていました。「アクティックギア」を使用したジオラマコンテストも開催したことがありました。

 

赤木:2007年に開催された「ワンフェス」で「アクティックギア」と「デュアルモデルツヴァイ」を使ったジオラマコンテストを実施したことがあり、その企画を渋谷さんに提案したときに、「そういった企画に参加したことはあるの?」って聞かれたんです。「ないです」と答えたら、「まず2回ぐらい自分で参加して、どうやったら応募したくなるか、参加する人たちの気持ちを知ってからもう一度この企画を持ってきてください」といわれ、それから1回も作ったことがない戦車のスケールモデルを作ってコンテストに応募したんです(一同笑)。その結果、思い出に残るし、「参加賞」ってやっぱり必要なんだな……と考え、「アクティックギア」のジオラマコンテストで、ドッグタグをイメージした参加賞を配布することを思いついたんです(笑)。

 

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▲商品企画のアイデアやジオラマコンテストの実施など、全力投球で挑んだ戦友(アクティックギア)を感慨深く見つめる赤木さん。

 

渋谷:実はその頃、戦車のプラモデル作りがマイブームで、もっと仲間を増やしたかったからでもあるんですけどね(一同爆笑)。赤木さんはものすごく真面目で、プライドをくすぐるとそれに対して真剣に攻めてくるんです(笑)。

 

赤木:えぇ、そんな裏話があったんですか……(苦笑)。コンテストの開催に至るまでには、いろいろと試行錯誤しました。参加者にとって、この人からコメントをもらえたら嬉しいだろうな……と思った一人、主人公・キリコを演じた声優の郷田ほづみさんに審査員として参加していただいたのもそういった考えがあったからでした。

 

――多くのラインナップが発売されていたため、バリエーション豊かなジオラマが作れたのではないかと思います。商品のラインナップはどういった基準で決められていたのでしょうか?
 

:ラインナップは最初に私が大まかに決めました。どうしても、もっと大きいアイテムを出したいとか、新しいATをどんどん出したいというのは、なかなかうまくいかないところもありましたけど、ほぼ最初の計画通りでした。基本を買いそろえていって、周辺も買って、楽しんでもらえるように……という感じは、1年目は何の問題もなく進んだと思います。

 

赤木:僕は2006年の秋ぐらいから担当したんですけど、その頃にはもう自由にできなくなっていました(笑)。「これは出したいけど2007年にしよう」というように、先を見据えた商品ラインナップに変わってましたね。

 

前田:「AT-FLY」を発売したことで、他のメーカーさんとことなる商品ラインナップを作ることができました。このサイズだからできたことだと思います。

 

:このサイズなら「AT-FLY」も商品化できるし、それを出すことで“クメン編”に登場したATも欲しくなるという流れが作れるので、早めに入れようとは思っていました。それと、「AT-FLY」を買ってもらえるくらいユーザーがたくさんいるなら、まだまだこの先もシリーズを続けていけるぞ、と、悪いいい方をするとユーザーの皆さんを試した商品かもしれません。

 

前田:「AT-FLY」の商品化は結構大変でした。これを出したら次にこのATを出して……と、二毛作三毛作を想定し、上司のOKを取り付けた覚えがあります(笑)。値段も少し高くなってしまいますしね。いろいろな計算をたくさんしていました。
:安くしよう、とはいっているけど、これでそれなりの売り上げも取れて、プレイセットとしても成立して……というところをひたすら追いかけていました。その頃、いい感じの『ボトムズ』人気の波が来ていたけど、他社からもいろいろと発売されていたので、その分アクティックギアでしかできないラインナップにして、ユーザーに認めてもらおうと考えていました。

 

國弘:設定資料や、ディスプレイ用のネームプレートが付いていたりするのも特徴で、コレクションを飾りたい人へのちょっとした気づかいは大切だと思います。

 

:本当に安くしたいならこういうのもやめればいいんだけど、でもこういうのはやめない。やめずに、ユーザーが集めたくなるようなものにしたかったんです。設定資料にたくさんボトムズの情報を入れて、この後に出したいラインナップの情報をわざとらしく入れて(一同笑)。

前田:ある程度は先々まで決めてましたからね。結構考えてやってましたよね(笑)。

 

――最終的に、当時は何年までシリーズが展開されていたのでしょうか?

 

松崎: いったん終了したのは2008年頃だったと思います。『ペールゼン・ファイルズ』のDVDと一緒に商品を出させて頂いたのが最後ですね。

 

:開発部署が、弊社のボーイズ事業部からホビー事業部へと移り、社内的な事情もあって、そこでいったん区切りとなりました。

 

――それから10年以上が経ち、今年の6月、ファン待望の最新アイテム「ストライクドッグ」が発売となりました。何が再始動のきっかけとなったのでしょうか?

 

國弘:前田さんが「やろう!」っていいました(一同笑)。

 

前田:僕は赤木から常々「なんでアクティックギアやらないんですか?」っていわれてて。
僕も、「ストライクドッグ」が好きだったので、最初に立ち上げたときにいつか出したいと思っていたんですけど、これを出したらユーザーが満足して終わっちゃうんじゃないか……と思って、出すタイミングを見極めようとしていたんです。でも、出すより前にシリーズが終わってしまったので、心残りになっていきました。だから、「いつかやりたい」と思いがずっとあって……。それで、アクティックギア10周年に当たる、ということで、金型の有無などを調べて、「今ならやれるかも」と感じたところだったんです。

 

國弘:ちょうどハイターゲットの部署がきちんと設立されて、商品展開を本格的にやり始めることになって、会社もその後押しをしてくれるところでした。アクティックギアの最後の商品が出てから約10年でキリもいいだろうということで、本格的にやらせてもらえるんじゃないか……という考えはありました。タイミング的には、そういういろんな条件が揃っていたんだと思います。

 

前田:でも、一番の思いは、やっぱり「ストライクドッグを出していなかった」という思いが根底にあるんだと思います(笑)。

 

松崎:僕も気になってはいて、やりたいとは思い続けていました。2007年の7月まではやるつもりでいたんですけど……。今回、やっとみんなの悲願が叶ったという感じですね。

 

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▲松崎さん持参の当時のアイデア帳。「ストライクドッグ」や「ラビドリードッグ」の設定画も貼られています。

 

前田:ガレージキットの祭典、「ワンダーフェスティバル」の会場で、「アクティックギア」のサイズと仕様を意識した「ストライクドッグ」のキットも見かけたこともありましたから、そういった現実が、社内で企画を提案する際にも「待ってくれているファンがいるんです!」という説得材料にはなったと思います。あと、赤木が背後から「やれ!やれ!」と言っていたことも影響しています(笑)。

 

國弘:金型は残っているんだし、発売しない手はないという感じだったんですが、ちゃんと調べたら、思ったほど金型が揃ってなかった……(苦笑)。

 

前田:でも、単に復刻しただけではいけないと思ったんです。再始動するなら、何か“新しい驚き”がないとダメなんです。「アクティックギア」のファンなら確実に響くであろう、衝撃がなければいけない。そこで。新規金型での「ストライクドッグ」を発売するのがストだと思いました。

 

――再始動するにあたって、以前のシリーズのデザインを担当されていた幸さんから、何かアドバイスされたことはありましたか?

 

:商品のデザインを始める前に、前田から相談は受けました。僕が特にいったのは、「値段は高くなってもいいよ」ということでした。「アクティックギア」を始めたときは、安くてたくさん買ってもらうために、切り詰めて頑張りはしたんです。しかし当時も、最後まできちんとラインナップが揃った方がユーザーは喜ぶだろうな……と、途中から考えが変わってきていたんです。どうしても、値段を安くして仕上げたので、儲かる商売ではない。だから途中で商品ライン自体が続けられなくなってしまった。それが最大の反省点だったんです。そこで今回は、ちょっと値段が上がっても、待っているファンはきっと買ってくれるので、中途半端なものは出さないほうがいい、という提案をしました。

 

前田:最初に「アクティックギア」を発売した当時と比べれば、ホビー市場もだいぶ様変わりしていて、いい商品のためにはお金に糸目を付けない、という人が増えているようですが、それでもあまり値段が高くなりすぎないよう、価格設定の上限は設けました。

 

stdg新規商品第1弾の「ストライクドッグ」。主人公・キリコのライバル、イプシロンが駆るH級のATをアニメ設定に基づいて忠実に立体化。まさに、満を持して登場したアイテムといえるでしょう。

 

――ギミックなども、当時と同じかそれ以上に凝った作りになっていると思いますが、今回の「ストライクドッグ」で特長的なのは、やはりこの“青一色”のカラーリングだと思います。プラスチックの成形色でこの青を再現するのは、かなり苦労なさったのではないでしょうか?

國弘:とても苦労して、苦労は終わっていないという感じでもあります(笑)。プラスチックの青って、ヒーロー系のロボットに使うなら映えるでしょうけど、ATは兵器だし、絶対に塗装された青だと思うんです。そう考えると、できればもっとプラスチックっぽくない青、濃い青がいいと思います。しかも、このマシン自体が、出て来る話数によって色の印象が違うんですよ(苦笑)。カラーテストを5~6回行っているんですけど、まだやるべきところはあったんじゃないかと反省しています。でも、最終的には重厚感も出て、いいものになったかな……とは思っています。

 

:昔の作品は、特に色に関して悩みますよね。セル画の色に合わせても、昔見たブラウン管の印象とは違う。オリジナルネガからリマスターされたBlu-ray BOXが出たら、ある程度の答えは出るかもしれませんけどね(笑)。

 

國弘:当初はもっと明るい青だったんですけど、商品のサイズが小さいので、明るく塗っ
ちゃうと本当に軽く見えちゃうんです。そこで、影に使うような青に変更したりしました。

 

――続いて、8月には、主人公のキリコが搭乗する「ラビドリードッグ」を含んだ「AT Chronicles Ⅱ クエントの闘い」が発売されるそうですね。「クメンの砲火」から引き続き、2005年当時のシリーズから考えると少々高価なアイテムですが、ユーザーの方々の反応は……?

 

國弘:「ストライクドッグ」に関しては、「待ってました!」という意見が多かったです。
「ラビドリードッグ」は発売されるのが当然みたいな感じでしたね。でも目立つのは、「ツヴァークの完全版」という声です(笑)。いろいろな声を聞くたびに、商品化への期待が高いことを実感しました。

 

at-0012017年夏発売となる新シリーズ第2弾! TVシリーズの物語のラストを飾る、クエントでの戦闘をイメージした「ラビドリードッグ」と「ベルゼルガDT」の新AT2種に、ボトムズファンには定番的に人気のある機体「レッドショルダーカスタム」を加え、商品化のリクエストが多かった「ツヴァーク」の組み立てキットも付属。写真は、「ラビドリードッグ」。

 

DATA

AT Chronicles Ⅱ クエントの闘い

  • 価格:12,000円(税抜)
  • 2017年8月下旬発売予定
  • 対象年齢:15歳以上
  • 発売元:タカラトミー

 

 

at-004 at-007「ラビドリードッグ」は、「ストライクドッグ」の量産試作機に砂漠走行専用の装備を施した機体。設定通り、スコープドックよりも一回り大きく作られています。専用火器・ハンディソリッドシューターが付属。全高約91ミリ。アイアンクローを展開させることで11mm機関砲が出現します。

 

at-006爆雷投射システムを備えた背部ミッションパックは、開閉&スライダー引き出しギミックを搭載!

 

●べルゼルガDT
at-009フィアナが乗る旧式のべルゼルガを改修・チューンナップした「ポンコツだが上物」なカスタム機。DTは、DESERTTRIPの略称。本品はベルゼルガの大きな特徴となっているパイルバンカー(盾に仕込まれた槍)の射出ギミックや大型化された背部のミッションパック、砂漠用の装備であるサンドトリッパーを再現。専用のマシンガンも付属します。

 

at-011 at-012降着ポーズが可能。乗降用のハッチはAT頭部ごと開閉(バイザーも可動)。コクピットには操縦姿勢のフィアナのフィギュアが乗っています。

 

●ツヴァーク
at-013惑星クエントの首都。ゴモルの街を席巻したシーンが印象深い小型AT。「アクティックギア」シリーズでは初のラインナップ! 新規金型による組立キットで、ランナーパーツ(無彩色)2枚でツヴァーク1体が完成。本セットには、計4枚(2体分)のランナーが付属しています。

 

●スコープドッグ・レッドショルダーカスタム

at-015 at-d-015主人公・キリコが乗った機体として「アクティックギア」シリーズでも人気の高い「レッドショルダーカスタム」を再販! ショルダーロケット弾ポッド、ミサイルランチャー、ガトリング銃など多彩な装備が付属。劇中では、吸血部隊と敵味方から恐れられた精鋭部隊“レッドショルダー”のATをイメージしてキリコの仲間のバニラが赤く塗装した(本来は右肩が赤い)カスタム機として登場しました。

 

前田:「ホビーショー」では試作が間に合わなくて図面だけ展示したんですけど、再始動について、ネットでも話題になっていたのである程度の手ごたえは感じました。

 

國弘:「ラビドリードッグ」の立体化に際しては。以前に弊社から発売された「デュアルモデルツヴァイ」を参考にしています。背中のバックパックに装備された爆雷投射システムはもちろん、爆雷もちゃんと2個付いていて、情景モデルを作るときに爆雷を落としているシーンが再現できるようにアクセサリー類にも気を配って作っています。

 

――さらに、タカラトミーモール限定(※現在は予約終了)で、組み立てキットの「ツヴァーク3機セット」まで発売されました。これには驚いたファンも多かったと思いますが、なぜ「ツヴァーク」はキットでの発売となったのでしょうか?

 

國弘:「ツヴァーク」はたくさん買ってもらうほうがいいし、たくさん欲しい機体だろうから、1個いくらじゃなくて、数体で何千円という計算のほうが買いやすいんじゃないかと思ったんです。そこで未組み立てのキット状態で発売することになりました。いい方は悪いんですが、どちらかというとこれは“オマケ”のようなもので、でもオマケだからこそ安くたくさん買えて、気軽に集められるようにしました。それで、「ラビドリードッグ」とのセットには、「2個付けちゃえ!」みたいな感じの勢いで商品化しました(笑)。ニーズがあることは確かです。まだストライクドッグの試作も何もなくて、図面だけを「ホビーショー」に展示したことがあるんですけど、多くのお客さんから「ツヴァーク欲しいです!」という言葉を聞きました。やることは大体決まってはいたんですけど、やっぱり「ツヴァーク」を商品化して欲しいという人は多いんだな……という確信に至りました。

 

前田:「ツヴァーク」に関しては、これはここまででいいんだけど、足に装備するスキー板や銃が出ている腕が欲しいとか、ユーザーとしてはいろいろ求めると思うんです。でもまずはキットで素体を発売すれば、後から付属品を出すこともできますし、ゆくゆくは“完全版”と名付けられた商品が出るかもしれませんからね(笑)。

 

――そして、待望のシリーズ第3弾についての情報をお願いします!

 

國弘:第3弾は、2017年冬の発売を予定しています。OVA『ザ・ラストレッドショルダー』に登場した「ブラッドサッカー」で、現在、鋭意開発中です。実物は「ワンダーフェスティバル2017[夏]」のタカラトミーブース内で展示予定です。

 

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國弘:サイズは「ラピドリードッグ」と「ストライクドッグ」とほぼ同じで、どっしりと足を大きくして、元のイメージよりかなりガッチリした感じで作っています。想像は難くないと思うんですが、商品仕様はキリコたちの「スコープドッグ」とセットになります。武器も4人分全部付くので、1機のスコープドッグに武器を付け替えて遊ぶことができる、結構豪華なセット内容を予定しています。降着姿勢の時、背部の「ミッションパック」がすごくボリュームがあって、これがこの機体の特徴だと思うんです。でも、そのままだとちょっと邪魔な感じにも見えてしまうで、アニメ設定には存在しない“新解釈(スライド機構を入れて、上に少し押し上げることによって、変形したときに形良くなるようにしています)”を導入しています。

 

DSC_7463_edited-1前担当者の幸さん(右)と現在の担当者である國弘さん(左)。幸「今から発売が楽しみです」 國弘「頑張ります!(笑)」

 

DSC_7658思い入れのある「ストライクドッグ」の商品化が実現したことは、企画当初から関わってきた前田さんにとってもかなり嬉しかった様子。

 

DSC_7459それぞれの思いを語り合う関係者の皆さん。お話のネタが尽きませんが、そろそろこの座談会もフィナーレです。

 

――それでは最後に、再始動を楽しみにしていたユーザーの皆さん、そしてこれから初めてアクティックギアに触れるという新しいファンの皆さんへ向けて、一言ずつメッセージをお願いします。

 

前田:僕はきっかけを作ったにすぎませんが、いったん終了したシリーズが、新たな魅力や個性を持ってリブートするのは、実に稀なケースだと思います。僕は一度担当を外れていますが、現在の担当者である國弘さんが、僕の思いも反映した「ストライクドッグ」に仕上げてくれたてくれたことが何よりも嬉しい。再始動したからには、ユーザーの皆さんが大きな期待をかけてくれていると思います。タカラトミーも頑張って商品化していくので、ユーザーの皆さん、ついてきてくださいね!

 

:話している間もずっと触っていましたが、やっぱりかっこいいんですよ。『ボトムズ』のいいところは、新しくもならないけど古くも感じない、普遍的なロボットとしてのかっこよさだと思うんです。『ボトムズ』はそういうところがあって僕も好きで、子供の頃に好きだったキャラクターの中で、唯一商品化に携わっているアイテムなんです。いろんなキャラクターをやってきましたけど、昔のキャラクターを作り直す機会というのはあまりなかったことなので、とても嬉しかった。一度自分の手から離れても続けてもらえたし、こうしてまた再始動してもらえた。本当はちゃんと全部出したかったという思いが、時間はかかったけどちゃんと現実化できているのが嬉しいです。皆さんに買ってもらえないとまた生産ラインがなくなっちゃうので(一同笑)、皆さんにもぜひ応援してもらって、今まで本品に触れたことがない人にも触ってもらいたいですね。

 

松崎:自分がこの仕事を始めて、一番最初に立ち上げた企画が「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」でした。実際に携わったのは、最初と、商品ラインナップがいったん終了するタイミングで、特に「ストライクドッグ」など、最終的に商品化まで辿り着けなかったアイテムもあり、それがずっと自分としては心残りでした。だから、今回の再始動には両手を挙げて喜びましたし、今も多くの方々が当時の商品を大切に持っていてくださっていることを知ることができて、すごく嬉しいです。現在は、グループ企業のタカラトミーアーツに異動し、別の仕事をしていますが、「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズを応援します!

 

赤木:当時も潤沢な予算があったわけではなく、紆余曲折しながら何とか紡いでいるコンテンツだと思います。第1号商品である「スコープドッグ」の発売から10年経った今、また新しい商品が発売されることに喜びを感じています。「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」は、今後も続いていくシリーズだと思っていますので、ユーザーの皆さんにも全力で楽しんでいただければと思います。もちろん、僕自身も楽しみにしています。

 

國弘:私は、この場に居る皆さんと比べればまだまだ“ボトムズ野郎”歴はずっと浅いので、もっとディープなボトムズ野郎になれるように頑張ります!「ボトムズの先にボトムズなし」というほど、これだけ重みのある作品はないと思います。そういう作品を愛している皆さんと一緒に我々も歩んでいけたらいいな……と思っています。今、さらなる新商品の企画を検討していますが、発表できるのはまだ少し先の話になりそうです。ユーザーの皆さんには、これからも気長にお付き合いいただければと思っています。

 

――タカラトミーの皆さん、本日はお忙しいところ、お集まりいただきありがとうございました。

(2017年7月 東京都葛飾区立石にあるタカラトミー本社にて)

 

 

アニメ『装甲騎兵ボトムズ』に登場したAT(アーマードトルーパー)の魅力を、手のひらサイズに凝縮したタカラトミーの「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズ! 今後の商品展開も楽しみです。新たに巻き起こる“ボトムズ旋風”に、期待大です!

 

プロフィール

DSC_7551●幸 日佐志(ゆき・ひさし)

タカラトミー ボーイズ事業部ボーイズ第一グループ所属。トランスフォーマー玩具開発担当。数多くの「トランスフォーマー」の変形フィギュアのデザインも手掛ける。最新作は映画『トランスフォーマー/最後の騎士王』ムービートイシリーズ。「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズでは、2006年~の第1期を担当。近年のボトムズアイテムとしては「ガガンガン 装甲騎兵ボトムズ スコープドッグモデル」の商品化等も手伝う。

 

DSC_7521前田 典秋(まえだ・のりあき)

タカラトミー 開発チーム所属。2006年に特撮ヒーローもの『魔弾戦記リュウケンドー』の番組制作に携わり、2010年から2015年まで「トランスフォーマー」チームに所属。「トランスフォーマー日本上陸30周年」イベントではプロデューサーを務めた。現在は『ポケットモンスター』関連の商品を担当している。

 

DSC_7563●赤木 謙介(あかぎ・けんすけ)

タカラトミー 開発チーム所属。「トランスフォーマー」や「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズなどのマーケティングを担当後、アジア地域での玩具の企画・販売、赤外線コントローラーを使って、走行&銃撃バトルが楽しめるバトルロボット「ガガンガン 装甲騎兵ボトムズ スコープドッグモデル」の商品化に携わる。

 

DSC_7608●國弘麻衣(くにひろ・まい)

タカラトミー 新規事業部ハイターケット企画部所属。今夏に再始動した「アクティックギア 装甲騎兵ボトムズ」シリーズほか、主にハイターゲット層に向けた商品の企画・開発を担当。過去には『装甲騎兵ボトムズ』のヒロイン、フィアナのドール(國弘さんが手にしている)の開発にも携わっている。エヴァ初号機をイメージしたカラーリングも話題になった「トランスフォーマーマスターピース MP-10 コンボイ モード エヴァ」もこの人の企画。

 

DSC_7576●松崎雄二郎(まつざき・ゆうじろう)

タカラトミーアーツ FV事業部 FV企画部ライフ企画課。2008年以降「ヤッターマン」商品シリーズや、家庭用ゲームソフトの企画・開発を担当。2011年よりタカラトミーアーツにてアミューズメント筐体の開発・プロモーション、食玩商品などの企画・開発を行う。現部署では「バーチャルマスターズ スピリッツ」「VRシューティング スピリッツ」等の液晶ゲーム商品を中心に企画・開発を担当。この10年間で体重が15kg以上増えている。

 

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