素組みでガンプラ!リューターを使った鋳造表現【後編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は、「HGUC 1/144 RMS-099B シュツルム・ディアス」使用して、ドライブラシで凸モールドを強調していきます。

 

※バックナンバーもあわせてご覧ください。

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まずドライブラシに使用する筆ですが、今回は2種類の筆を使用します。右は獣毛の柔らかい筆、左はナイロンの筆でコシがあるのが特徴です。

 

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ドライブラシに筆を使用すると筆先がボロボロになってくるので、先端を整えながら作業する必要があります。もっとも簡単で確実なのは、ニッパーで筆先を一刀両断にカットする方法。ハサミだとかなり難しいです。

 

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ここでメインで使用したのは、ガンダムカラーUG10「MSシャアピンク」です。わかりやすくするために、1回目のドライブラシはこの「MSシャアピンク」をそのまま使うことにしました。使用する筆は柔らかい獣毛の筆です。

 

56ドライブラシは筆に含ませた塗料を紙の上で拭きとり、塗料の7割くらいを落としてしまいます。この作業をしているうちに筆先が半分ほど乾いていきます。このときホコリやケバが付いてしまうので、ティッシュではなく、キッチンペーパーを使うといいでしょう。キッチンペーパーは表面に凸凹の加工が施されているので、筆の乾き具合がよくわかり、キットに塗料を乗せたときのシミュレーションにもなるので便利です。

 

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まずは1回目のドライブラシです。「筆がどちらの方向に動いたか?」がわからないくらい力を抜いて、全体に塗料を擦り付けるように乗せていきます。パーツ凸部の大部分に塗料を乗せる気持ちで作業しましょう。なお、筆の痕が見えるとしたら、それはまだ筆が適度な乾き具合になっていない証拠です。筆先が十分ドライブラシになってから作業を行いましょう。

 

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2回目のドライブラシは、1回目の塗料に白を足して明度を上げたものを使用。ただ、白を混ぜただけだとどんどんただのピンクになってしまい、シュツルム・ディアスの基本色から離れていきます。白を混ぜると同時に、オレンジを少量加え調整したものでドライブラシを行います。

 

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1回目に乗せた色の6割位の面積を塗るように心がけます。

 

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3回目のドライブラシは、2回目の塗料にさらに白を加えて明度を上げたものを使用します。同じく少量のオレンジを加えて色味も調整しましょう。

 

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3回目のドライブラシは全体の3割程度、ハイライトを入れるつもりでドライブラシします。

 

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4回目のドライブラシは、白と今回はオレンジではなく黄色を加えた色を使用します。

 

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ここで使用する筆をコシの強いナイロン筆に切り替えて、エッジや凸部を中心にドライブラシを行います。最後のドライブラシは強調したい部分を狙って、意識的にピンポイントで入れていくといいでしょう。

 

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これで完成です。凹部のウォッシングと凸部のドライブラシで、明暗両色によってモールドが強調されているのがわかります。

 

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バインダー裏の鋳造モールドを施していない部分は、キットの成形色にうっすらウォッシング色が付いたものです。鋳造表現部と非鋳造部の色味の違いがわかると思います。ドライブラシで基本色とかけ離れた色になってしまったのではチグハグしたトーンになってしまうので注意しましょう。

 

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4回にわたりドライブラシを施したので、合わせ目もほとんどわからなくなっています。フル塗装を行わなくても、表面加工とウォッシング&ドライブラシで合わせ目を隠せることがわかると思います。

 

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これはドライブラシ中に使用したキッチンペーパーです。決してケチって1枚で作業し続けたわけではありません(笑)。同じペーパーを使い続けることで、段階的な色味の変化を確認しながら作業を進められます。

 

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キット全体にこれだけ派手な表面加工を施したので、パーツ本来の逆エッジやスジ彫り(スミ入れを行う部分)が判別しにくくなっています。そこで最後にWC02「グランドブラウン」でポイントを絞ったピンウォッシュを行い、ディテールの切り替え部分を強調してやります。

 

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表面が凸凹しており簡単に塗料が染み込んでいくので、うすめ液を含ませた綿棒で余分な塗料を拭き取りながら、狙いを定めてピンウォッシュしましょう。

 

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鋳造表現をしなかったダークブラウンのパーツは、エッジ部分にドライブラシを施して太い部分との色味と塗装効果の統一感をとることにします。

 

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ダークブラウンのドライブラシに使用したのはサンディブラウンです。先ほどのように、複数回に分け階調を付けたドライブラシではなく、エッジ部分の強調を狙った1度きりのドライブラシです。

 

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すべてのパーツに鋳造表現をしなかったのは、クドすぎるのとディテールの強弱をつけるためです。幸いにもシュツルム・ディアスは、リック・ディアス比べると基本色(オレンジレッド)の使用箇所が多いので、多すぎず・少なすぎずと、いいバランスになったと思います。

 

完成!

 

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これで完成です。本来戦車模型ではラッカーパテを使って鋳造表現を行うのですが、リューターを使って全体に鋳造表現をモールディングすることで成形色を活かした鋳造パターンを演出できます。リューターで鋳造モールドを付けたあとに、接着材(流し込みタイプと樹脂入りタイプを半々に混ぜたもの)をパーツに塗布することで、鋳造面の表情を変化させることも可能。生物系の模型などはこの方法でテイストの違った表面を作ることもできます。

 

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またビットを変えることで、より細かいシボ加工(梨地加工)のような表面処理も可能です。いろいろなビットを使って実験してみると、思いもよらぬ効果が生まれることがあります。ジャンクパーツや不要パーツを利用して、皆さんも色々と試してみてはいかがでしょうか?

 

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