『メガゾーン23』80年代が一番いい時代だった――10年越しに作るプロトガーランド&GR-2 ガーランド【趣味でプラモデル】

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電撃ホビーウェブ編集部員&モデラーたちによる趣味で作ったプラモデルを思い出と共に語るコーナー「趣味でプラモデル」! ロボット、キャラクター、ミリタリー、カーモデルなどの様々なジャンルから自由気ままに紹介していきます!

 

今回は1986年に発売されたOVA作品『メガゾーン23 Part II~秘密く・だ・さ・い~』にて登場するプロトガーランドとその量産機GR-2 ガーランドをお届け! この『メガゾーン23』は根強いファンに支えられ、2015年にはBD-BOXが、2017年4月に第1作~3作のBDが単体商品として発売されました。さらに、アルカディアから完全変形ギミック(マニューバクラフトからマニューバスレイブへ)が搭載された「1/24スケール ダイキャストモデル ガーランド」が2017年12月に、フリーイングから「E=Xガーランド」が2018年に発売予定となっており映像だけでなく立体物も熱い展開を魅せています。今なお高い人気を誇る本作品を、10年前にも作例を担当した桜井信之氏に語っていただきます。

 

※バックナンバー

 


#5箱目 ウェーブ 1/32 プロトガーランド/GR-2 ガーランド

 

今回は1985年3月9日にOVA作品として発表され、現在でもコアなファンから支持され続けている『メガゾーン23』シリーズより『メガゾーン23 Part II~秘密く・だ・さ・い~』にて登場するウェーブ製1/32 プロトガーランドとGR-2 ガーランド(以下GR-2)を製作しました。

 

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ドリーミング・ジャーニー~プラモ化までの道のり~

『機動戦士ガンダム』の大ヒット以後、アニメーションに登場するメカは変形・合体などを行うより、人型兵器としてのリアリティを追求したものが主流となっていました。しかし、1982年に放映された『超時空要塞マクロス』に登場した可変戦闘機VF-1バルキリーの出現によって、アニメ界では変形メカが見直されるという現象が起こります。VF-1バルキリーは現用戦闘機が持つリアリティと、アニメーション特有のロボット兵器を両立させたアニメ史に残る名デザインでした。そのため、模型業界も従来のプロポーションや可動の追求に加え、“変形”という要素を製品として成立させるための試行錯誤を始めます。

 

1983年は『機甲創世記モスピーダ』に登場するアーマーバイク/ライドアーマーや可変戦闘機レギオス、『超時空世紀オーガス』の戦闘ドリファンドなどのプラモデルが続々と発売され可変プラモがシーンを賑わせていたため、翌年1984年に発表された『メガゾーン23』からも変形メカ・ガーランドが発売されるだろうと誰もが期待していました。……しかし模型ファンの期待とは裏腹に、ガーランドのプラモデルが市場に並ぶことはありませんでした。

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悲しみのメロディー~ガレキは発売するがプラモは…~

模型に関する『メガゾーン23』の商品展開は当時大変寂しいものでした。アートミックが自社ブランドとしてラーク(現・ウェーブ)と共同製作した1/32 ガーランド、1/32 ハーガンがガレージキットとして発売されたのみで(マニューバクラフト時のガーランドもあったと記憶しています……)、『メガゾーン23 Part II~秘密・く・だ・さ・い~』が発表された際も1/32 プロトガーランド、1/32 ヴィルデ=ザウが同じくガレージキットとして発売。しばらく後に1/32 GR-2が発売されましたが、B・Dの愛機ザーメ=ザウや00(ゼロゼロ)ハ―ガンなどは結局発売されることはありませんでした。

 

これらのレジンキットはガレージキット黎明期に発売された商品のため、現在のような遠心成形や真空脱法成形などという高度な注形法で製造されてはおらず、いわゆる“手流し成形”のため膨大な数の気泡が存在しており、当時苦労しながら作った覚えがあります。しかしこれこそが本来の意味での“ガレージキット”で、マスプロメーカーがインジェクションキットを発売しないのであれば“オレが作る!”という当時の模型シーンの熱さを感じることができる商品でした。
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最高にGOOD HUMOR~リバイバルブームにのって~

時は流れ21世紀に入ると、各模型メーカーが80年代アニメのメカをリニューアルしたキットが登場し始めます。バンダイのマスターグレードシリーズのヒットがその火付け役でしたが、ハセガワが新設計のバルキリーを発売したこともこの現象に拍車をかけたといえるでしょう。80年代のアニメプラモブームから約20年が経過し、形状の追求、関節の可動システム、組み立てやすさや色分け成形などがこの20年間で蓄積され、進化した技術をつぎ込んだこれらのキットは、それぞれが“決定版”ともいえる完成度となり、放映中のアニメプラモに並ぶセールスを記録していました。

 

そんな中ウェーブから1/32 プロトガーランドとGR-2が発売されます。『ファイブスター物語』を中心に金型技術を磨いていったウェーブが発売したこのキットは、ガーランドのキット化を待ち望んだファンにとっては奇跡のキットであると同時に、ラーク時代に『メガゾーン23』の立体商品を唯一手掛けた同社のガーランドへの熱意を感じることができるキットといえるでしょう。
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レッドゾーン・ファイター~進化したガーランド~

さて、プロトガーランドとGR-2について解説しておきましょう。プロトガーランドは『メガゾーン23』のラストで大破したガーランドを、主人公・矢作省吾をおびき出すため軍部が修復したもので、劇中で量産化されたガーランドGR-2と区別するため、『メガゾーン23 Part II~秘密・く・だ・さ・い~』ではこの機体をプロトガーランドと呼んでいますが同一の機体です。設定的には脚部を中心に、量産化されたGR-2の技術がフィードバックされていることが読み取れるデザインとなっていますが、それ以上に各部のディテールや線が増え、大変立体映えするリデザインに仕上がっています。カラーリングは1作目と同じ赤を基調としていますが、白で塗られていた部分はダークグレーに変更されたため重厚感が増し、情報量が増えたディテールとの相性がモデラー心をくすぐる姿へと生まれ変わりました。

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アナザー・ブラッド~量産型ガーランドの特徴~

GR-2はプロトガーランドと違い、軍がハ―ガンに代わる兵器として実戦配備した機体です。プロトガーランドとの最大の違いは浮上走行(決して“飛行”ではない)を行う点です。そのため前後の車輪は取り除かれ、代わりに浮上走行用スラスターが各部に設置されています。この特徴は肩や胸、背部のデザインを大きく変化させることとなり、より完成度が増したガーランドの進化を見ることができます。また、グリーンを基調としたカラーリングも軍用機体としての説得力を増しています。

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YOUNG BLOOD~発売当時の作例と見比べて~

この2つのキット、実は発売当時の『電撃ホビーマガジン(2008年9月号)』で作例を担当していました。さらにこのキットのパッケージ用完成見本を製作したのも僕なので、パッケージ用見本と雑誌作例ではアプローチの異なる塗装を行いました。パッケージ用見本はプロトガーランド・GR-2共にオーソドックスな半ツヤ仕上げを行い、逆に雑誌作例では“バイク”ということを意識し、プロトガーランドでは赤を、GR-2は緑のメインカラーを光沢仕上げにしました。

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▲電撃ホビーマガジン2008年9月号に掲載したプロトガーランド&GR-2

 

しかし今考えると、GR-2に関しては軍用兵器で光沢仕上げはちょっとニュアンスが異なっていたかもしれません。加えて使用した緑も茶の入っていない“ビリジアングリーン”で塗装したため、軍用兵器というよりスーパーカーのようなイメージでした。

 

そこで今回GR-2を再製作するにあたって、ミリタリーテイストの強い茶の混じったグリーンを使用。光沢感も“七分ツヤ”程度で仕上げています。注意したのは、茶の混入割合が強過ぎると緑ではなくオリーブドラブによってしまい、軍用ジープのような印象になってしまうので、グラデーションを入れた際に“茶系グリーン”だとわかる程度に留めています。

 

また、改造点としては脚部をよりに開けられるように股関節の角度を変更し、つま先が外側に向いた力強い立ちポーズが決まるようにしています。2008年製作の2体と比べれば、その違いがわかると思います。

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対してプロトガーランドに関してはダークグレーとのコントラストを強くするために、光沢感は作例時よりも強くしています。使用した赤も作例時はスーパーイタリアンレッドを使っていましたが、今回は70~80年代のレースカーでおなじみの“マルボロレッド”を使っています。意図的に光らせるつもりはありませんが、“結果として光って見える”蛍光レッドを狙いました。表面にクリアーを2回ほどコートした後、軽く研ぎ出しを行い、最後にクリアーをもう一度コートしてグロス仕上げを行い、ダークグレーのメカ部分とのツヤ感の違いを強調しています。

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背中ごしにセンチメンタル~現代にも残る“いい時代”の跡~

作品内で描かれている新宿、原宿、六本木、吉祥寺の当時の街並みは、80年代に青春を過ごした僕の世代にはとても懐かしく映ります。また、キャラクターたちが着用するファッションや小物、愛用する煙草や酒類なども、実在する商品が登場している点も見どころのひとつでしょう。矢作省吾の背中に書かれた「SEX WAX(サーフボード用ワックス)」のロゴを見ると湘南海岸の匂いを……。ラッコが着る「W・A・S・P(アメリカのヘヴィメタルバンド)」のTシャツや、ガッツ の胸の「炎(HR/HM専⾨誌“BURRN!の公式Tシャツ)」の文字は小川町のロックショップ〈ダブルデッカー(旧:ロック座)〉や原宿のロック系ファッションのブティック〈BLACK〉を想い出させます。

 

『メガゾーン23 Part II~秘密・く・だ・さ・い~』の冒頭に登場する〈HARD ROCK CAFE〉は、当時名物だった“ゴリラ”の外壁はありませんが現在も営業中です。また、由唯が省吾の情報をタレ込んだ吉祥寺パルコ前の〈赤い電話ボックス〉は撤去されてしまいましたが、周辺の風景は当時の面影が色濃く残っています。さらに、表参道の〈ピアザビル〉は今も健在で、省吾が由唯の電話番号を聞き出した場所の風景は作中のまま現存しています。アニメ界では聖地巡礼が 流行っている昨今、みなさんも『メガゾーン23』の聖地巡りでもしながら、由唯が語る“一番いい時代”だった80年代を懐かしんでみてはいかがでしょうか? ではまた。

 

次回 映画の公開も迫るあのスペースオペラ作品より“銀河系最速のガラクタ”をご紹介! 乞うご期待!!

 

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