素組みでガンプラ!航空機キットの製作方法【前編】

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超基本からちょっとしたワザまで、ガンプラを素組みで作る“コツ”を、プロモデラー・桜井信之氏が指南する本コーナー。

 

今回は「U.C.ハードグラフ・FF-X7 コア・ファイター」を使用して、航空機キットの簡単フィニッシュの方法を紹介します。
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U.C.ハードグラフシリーズのコア・ファイターは、ガンプラ中最大の航空機モデル。航空機キットとしても1/35という縮尺はかなり珍しく、非常に細部まで再現されているのが特徴です。そのためスケールモデル的なアプローチでポイント塗装を施し、よりリアルな仕上がりとなるよう製作してみましょう。

 

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まずは仮組みをして、全体像を見ながら製作ポイントを確認。模型用に再構築された設定に基づき、全体に繊細なスジ彫りやディテールが施されているのがわかります。

 

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これらのディテールもただ情報を増やすだけのスジ彫りではなく、“編隊灯” “チャフ・フレアディスペンサー”“ライトニングアレスター”など、軍用航空機には通常備え付けられている装備が再現されています。全体の面構成も“R.C.S(レーダー反射断面積)を取り入れたアレンジがされており、スケールモデルのような設計に。

 

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スジ彫りだけでなくパーツ同士の組み合により“ブリードエア排出口”や“インテークベーン”も大変細かく再現されていて、製作意欲が湧き上がる仕上がりとなっています。

 

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航空機モデルはコクピットから製作していくのがセオリーなので、まずコクピットから作業開始。このコクピットもスケールモデルテイストで作られています。ここはコアブロックにチェンジした際、シートとコンソールが回転するように設計されています。

 

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正面のコンソールはダークグレーのパーツとクリアパーツで構成。デカールを貼って仕上げるのもいいですが、メーター類がクリアパーツで成形されているので簡単に電飾を施すことができる設計となっています。

 

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サイドコンソールも非常に細かな彫刻が施されているので、今回は付属のデカールは使わずに黒でスミ入れし凹部を引き締めて、凸部はライトグレーでドライブラシを行いディテールを強調しました。シートの革部はマホガニーで塗装して、材質の違いを再現しています。

 

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コンソールとシートのポイント塗装が終わったら、コクピットを組み込み機首周りを組み立てます。航空機モデルの場合、コクピットは機首に組み込んだあとでは塗装がしにくいので、必ず最初に塗装作業しておくことが大切。コクピットが上手に仕上がると気分も盛り上がり、本体の製作にも気合が入るので(笑)、丁寧に作業しましょう。

 

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その後、全体を組み上げながらスジ彫りにスミ入れ。 機首・本体・主翼・尾翼などブロックごとにスミ入れを行い、最後に全体を組み上げていくようにしましょう。スミ入れがバッチリ決まるとキット全体に施されたモールドが強調され、U.C.ハードグラフシリーズの醍醐味が伝わってきます。

 

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ここからは現用戦闘機に見られる<タッチアップ“跡”塗装>を施してみましょう。タッチアップ塗装とは、機体表面の塗装が擦れて剥がれた部分にスプレーなどで補修塗装を行うことです。まずは「マスキングゾル」を使用し、新たに補修塗装をした(と考える)部分に筆で細かく塗っていきます。翼端やパネルラインの周辺などにランダムに塗りましょう。

 

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次に黒や茶系のアイシャドーで、先ほど「マスキングゾル」を塗布した周辺に色を加えていきます。

 

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実機でのタッチアップ塗装はスプレーやスプレーガンが使われるため、補修塗装で塗料を吹き付けた外縁部はスプレーミストの飛び散りのためザラザラに。このザラザラした部分にホコリやゴミが溜まりやすくなり、補修塗装をした周辺は逆に黒ずんでしまいます。その状態を再現するのが<タッチアップ“跡”塗装>です。

 

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アイシャドー以外にも、GSIクレオスの「ウェザリングライナー」などを使って黒ずみを再現してもいいでしょう。ペン状態で塗りにくいときは、サンドペーパーなどで「ウェザリングライナー」の芯を削り、パウダー状のものをすりつけてもOK。ほかにも「ウェザリングパステル」のようなピグメントを使用するのも1つの方法です。

 

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「マスキングゾル」の周辺を黒ずんだ状態に塗装できたら、ピンセットなどで「マスキングゾル」を丁寧に剥がしていきます。

 

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成形色を活かし基本塗装をしていないので、「マスキングゾル」が剥がしにくい場合はセロテープなどを使って剥がしてもOK。ただしアイシャドーや「ウェザリングライナー」で塗った黒ずみまで剥がしてしまわないように注意しましょう。なお、塗装をしている場合は、塗膜が剥がれる恐れがあるのでこの方法は危険です。

 

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実機においてのタッチアップ塗装は、あくまでも塗装が剥がれ露出した地金の保護にあります。そのためタッチアップ部の周辺が汚れても本来の目的とは関係がないため、このような汚れ方をしています。

 

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この辺りは航空自衛隊の戦闘機の写真などを参考にするといいでしょう。実際に航空自衛隊の戦闘機などは、初めて見る人には衝撃的なほど汚れているので驚かれると思います(笑)。しかしこの独特の汚れが実際の戦闘機汚れです。

 

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<タッチアップ“跡”塗装>を全体に施した状態。現用戦闘機と異なり、赤・青・白の派手な色で構成されたコア・ファイターも、このウェザリングを施すことで独特の味が加わっています。今回は空軍機的な汚れを加えてみましたが、洋上で使用される海軍機は潮風や海水に晒され、さらに変わった汚れ方をしています。どんなウェザリング塗装も実際の物を見て研究し、模型に施すのが大切です。

 

次回はキャノピーやランディングギアなど、ほかのパーツの仕上げ方法を紹介します。

 

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