【ガンダムビルドファイターズ連載】完結記念! ガンプラ好きの作者とモデラーが語るビルド外伝(その2)

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600logoGBF_BGtextuer4c<ガンダムビルドファイターズD-Rまとめページ>

 

月刊ガンダムエース(毎月26日発売)連載のガンダムビルドファイターズ外伝『ガンダムビルドファイターズA-R(アメイジング レディ)』がついに完結!

 

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▲月刊ガンダムエース7月号は発売中! A-Rも最終回! タツヤの姿を、その目に焼き付けてください!

 

本連載『ガンダムビルドファイターズD-R』も、最終回として『ガンダムビルドファイターズA』(以下、BFA)、『ガンダムビルドファイターズA-R』(以下、BFAR)に関わったクリエイターによる座談会を敢行! 前回は連載の経緯やそれぞれのプロモデラーが関わった機体を紹介しましたが、最終回となる今回は、模型話からストーリーを振り返った見どころまでをトーク! あなたもぜひ、これまでのBFA、BFARを振り返って、楽しんでください!

 

座談会参加者

  • スタジオオルフェ 千葉智宏氏:シナリオ担当
  • 今ノ夜きよし氏:漫画担当
  • NAOKI氏:メカニックデザイナー/プロモデラー。Hi-νガンダムヴレイブ始め、BFA、BFAR、そして『ガンダムビルドファイターズトライ』登場機体のデザインを手がける。
  • フクダカズヤ氏:プロモデラー。ニャイアシリーズなどを手がける。
  • 朱凰@カワグチ氏:プロモデラー。ゴーストジェガンMAXIMUMなどを担当。

 

 


タツヤで始まり、タツヤで終わったものがたり

ガンダムビルドファイターズA-R/D-Rのたのしみかた

 

編集部――加工の話が出たところで、次はプロのモデラーの皆さんに、材料や工具の話を聞いていきたいと思います。……と、今ノ夜先生も模型を作られますよね?

 

今ノ夜: 僕がオススメしたいのは、アクリル絵の具の保護用ニスですね。ちょっと緩い軸にこれを塗るといい感じの粘度になります。剥げてしまうこともありますが、そうなったらまたつけなおせばいい。

 

――トイの摩耗した関節をリカバリーするのにも使えそうですね。

 

フクダ:軸が緩い場合、僕は相変わらず瞬着を使いますね。逆に穴を広げる場合は、ファンテックという会社の「超硬スクレーパー」を使います。

 

関連記事:鋭い斬れ味はそのままに剛性アップ!ファンテック「超硬スクレーパー」に「タフ」バージョンが新登場!

 

三角錐のツールなのですが、それで穴を広げるわけです。これでだいたい3mmくらいまで広げられるのですが、3.0、3.1、3.2、3.3mmとコンマ1刻みのドリルを使って微調整しています。それ以上大きくしたい場合は「リーマ」という工具で大胆にグリグリやります。

 

朱凰@カワグチ: 穴を開けるにしても、どうしたらいいのか分からない人もいますよね。自分も最初は分からなくて。ピンバイスもいっぱいあるしね。ホームセンターでピンバイスのセットがあると知ったときの衝撃たるや(笑)

 

千葉: 今は100円ショップでも売っていたりするからね。

 

NAOKI: 豆知識ですけれども、模型用以外のピンバイスを買うときは、木工用か鉄用かを注意するといいですよ。刃の付き方が違っていて、木工用だとプラスチックをえぐってしまうこともある。鉄用であれば周囲をえぐらずに済む。

 

千葉: 刃の付き方が違うんだね。それにしても、ピンバイスはよく折れるよね。僕だけかな。

 

NAOKI:折れますよね。

 

千葉: 使っているとだんだん鈍くなってきたりもするしね。

 

――100円ショップの話も出ましたが、工具ってそれなりに高いものもあります。高い/安いってどうなんでしょうね?

 

NAOKI:高い方が、間違いなく性能はいい。

 

朱凰@カワグチ: 模型に使うのであれば、やっぱり、模型店で売っているものが安心ですよね。それでこと足りなくなったら自分で探して工夫したり。

 

千葉: 安い筆は絶対使わないかな(笑)。消耗品ではあるけれど。

 

NAOKI:筆も値段によって消耗の頻度や耐久頻度がありますから、高いほうがいいですね。

 

――工具や材料の話ときて、実際に読者に作っていただければ嬉しいわけですが、BFDRの連載や、BFARを読んで、それを参考に作ってくださった方、いらっしゃいましたね。

 

今ノ夜: ネット上でゴーストジェガンやプリンセスの機体を作ってくれている人がいましたね!

 

フクダ: それに、静岡のホビーショーでも見かけましたよ!

 

今ノ夜: ホビーショーでは白いシュバルツリッターを作っていた方もいて、M91とバトルしていました。

 

千葉: そういう刺激になれば嬉しいですね。ゴーストジェガンも組み替えすればいいだけなので、「俺のレナート兄弟はこんな感じだ!」と組むとか。ザクアメイジング・ラピッドも、読者が組み替えできるようにというコンセプトがありました。

 

▲ザクアメイジング・ラピッド(製作:フクダカズヤ)

 

 

NAOKI:ザクアメイジングの余剰パーツやアメイジングブースターを使ってできる形態ですよね。

 

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▲ザクアメイジング・ラピッドは、「HGBF 1/144 ザクアメイジング」と「HGBF 1/144 アメイジングブースター」に入っているパーツだけで製作可能。詳しくは関連記事へ!

 

関連記事:【ガンダムビルドファイターズ連載】ザクアメイジングの簡単ミキシング攻略法!(その2)

 

 

千葉: さらにビルダーズパーツも使えないか? ということになって、「ビルダーズパーツHD MSマリン02」を使ったザクアメイジング・マリンタイプも登場しました。

 

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▲ザクアメイジング・マリンタイプ(製作:高田里史)

 

――ビルダーズパーツもたくさんリリースされていますからね。記事は、それをどう使うか? という情報を提供できたのがよかったと思います。劇中でも大活躍でしたし。

 

千葉: たとえばミキシングをやるにしても、ガンプラを2つ買ってきて組み合わせよう……だけだとギャンブルだから。うまくいくかどうか、わからないですからね。そういう意味でお手本になったのではないかと思います。

 

――ミキシングのコツみたいなものはありますか?

 

千葉: 余剰パーツは捨てないで取っておいて、新しく買ってきたガンプラと接続してみるのがいいと思います。そこからだんだんコツがつかめるわけだから。

 

朱凰@カワグチ: ミキシングは、子供の頃のブロック遊びのノリでしょうね。決め打ちで「この形が欲しい!」となってしまったら、組み合わせるよりも自分で作った方が早かったりしますから。

 

NAOKI: 最初に「このボディとこの腕を組み合わせたらカッコイイ!」と思っても、意外とサイズ感が違ったりするから、現物合わせでいろいろやってみて、偶然カッコイイのが出来ちゃった! というのも楽しいと思う。

 

朱凰@カワグチ: 慣れてくれば理想の形もできるでしょうしね。

 

――ミキシングでは複数のガンプラを組み合わせるわけですが、プロモデラーの皆さんは普段、キットは何個買われますか? 大人の読者も多いと思うので、いわゆる“大人買い”したほうがいいのでしょうか?

 

千葉: 最近は失敗しても、店頭に行けばすぐ買えるからね。まあ量産機だとたくさん欲しくなるかも。

 

フクダ: ドムなら3機買ったり、チームを構成する機体をまとめ買いすることもありそうですが。押しているMSなら3つ買ったこともありますかね。

 

NAOKI: 必ず作ろうって思っているキットは2つかなあ。

 

こころに残る名場面は?

 

――さて、またストーリーの話に戻って、最終回や全体の構成についておうかがいしたいと思います。

 

千葉: 最終回のオチを考えたのは2年くらい前です。

 

今ノ夜: 『ガンダムビルドファイターズトライ』の、3on3につながる形で終わるというのはもう連載当初からありましたね。

 

千葉: 3on3で戦うというオチを最後に、その途中をどう割っていこうか? ということでストーリーを作りました。テーマとしては、世界大会の第6回と第8回大会(『ガンダムビルドファイターズ』は第7回)を描くことになったのですが、レディとプリンセスをもう1つの軸にしました。本編の『ガンダムビルドファイターズトライ』が若い世代になったので、若い人達の話も描こうよと。途中でレナート兄弟が大活躍して予定が押したりしましたが(笑)。

 

フクダ: クランシェ★アスタに「★」マークが入ったタイミングではすでに、メイジンが太陽でレディが月、プリンセスが星というお話はありましたよね。

 

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▲クランシェ★アスタ(製作:フクダカズヤ)

 

 

千葉: そうですね。構成としてはBFAのほうが、どこに向かっていくのか分からずにやっていた部分はありましたね。BFARは大会主体だったので。

 

今ノ夜: あとは、タツヤを主人公にできたのはよかった。タツヤはアニメ本編では最初にザクアメイジングに乗りますが、最終的には何でも乗るスタンスになって。

 

千葉: BFAではHi-νガンダムヴレイブなので、本編でザクアメイジングに乗っている人がガンダムに乗るのか? 的な心配もあったんだけど、後々アメイジングエクシアが出てきたり。それにアメイジングズゴック(『ガンダムビルドファイターズ GMの逆襲』に登場)にも乗って、“複合武器の人”という点では、レヴシリーズもあるし、本編と外伝とで共有できてよかったなと思います。

 

――みなさん、思い出に残っているシーンはありますか?

 

NAOKI: 自分としてはHi-νガンダムヴレイブが活躍した場面には思い入れがあります。

 

千葉: メカニックデザインとしてはHi-νガンダムヴレイブが最初?

 

NAOKI: 『ガンダムビルドファイターズトライ』と同時進行だったので、そのあたりは微妙ですね。ただ、デザインが先に決まったのはHi-νガンダムヴレイブだったかな。アメイジングレヴもあったし。ほかはやっぱりアメスト(アメイジングストライクフリーダムガンダム)もありますけれど、シュバルツリッターかなあと。劇中同様に、ボックスアートに城が描かれているのもよかった。

 

フクダ: BFAだと、やっぱりニャイアアストレイがタツヤの攻撃を受け止めたシーンですね(BFA単行本第5巻収録:ヤナの駆るニャイアアストレイが、タツヤの紅の彗星を受け止める)。紅の彗星が、ああやって受け止められたことがなかったし、自分が作った作例という意味でも思い入れがあります。BFARでは、自分が作った作例ではありませんが、アクセルレイトジンクスが粒子の上を滑ったことにすごくビックリして(BFAR単行本第4巻収録:ゴッドシャッフルガンダムのシャッフル同盟拳の上をアクセルレイトジンクスが滑る)。

 

朱凰@カワグチ: 作例をやらせていただいたのですが、あのスキーは肩にも付けられるようになっていて、そっちがデフォルトかと思っていたら「違う、脚に付けるのか……」となって驚きました。

 

フクダ: あのあたりからパトリック・マネキンの出番も増えましたよね。

 

千葉: 実はアニメ本編で、敗者の中に名前だけは入っているんですよ。第6回大会では海老川兼武さんの画集に収録されているパトリック専用ジンクスに乗っていて、次は専用機で、ということでデザインしてくださったんです。HHイメージングビルダーズでは、彼のキャラデザイン画まで掲載されたんですよね。

 

――朱凰さんは?

 

朱凰@カワグチ: 僕はカバーにまでなったゴーストジェガンMAXIMUMですね。

 

――カバーになった登場シーンはカッコよかったですよね。強烈でした。

 

今ノ夜: あれは、左半身がゴーストジェガンM=ナイトロなので、左半身だけが青く光っているんですよ。

 

フクダ: 「シーン」という意味では、ストーリーと関係ないところなのですが、個人的に楽しんでいたのがBFAに出てくるモヒカンのキヨタカくんですね。彼は大柄な割に食堂でサンドイッチ食べていたり、作るモノも細かかったりして、チョコチョコやっている。で、彼の傍らには必ず帽子をかぶっている女の子がいて、最終的にキヨタカはお寺にいるのですが、そこでもやっぱり帽子の女の子がいるっていう。彼のストーリーが毎回気になりました(笑)。サブキャラや背景のMSにいろいろなネタが仕込まれている。

 

朱凰@カワグチ: モブ(背景)のMSも読み応えがあって面白いですよね。巻末の登場MSリストも読み込んでしまいます。

 

千葉: それで言うと、漫画だからできる模型というものがありまして。1/144のガデラーザとかね(BFA第3巻収録:人間よりもデカい!!)。ガデラーザと指定したのは私なのですが(笑)。

 

今ノ夜:ガデラーザと聞いて、「はーい」と答えたのですが、「ガデラーザでけぇ!」って(笑)。

 

フクダ: あれは大工さんの仕事ですよね(笑)。

 

朱凰@カワグチ: 戦艦と変わらない大きさですからね。

 

――最後に、ストーリー全体を振り返るといかがでしょうか?

 

千葉: BFARは大会を描いて、個々のキャラクターにフューチャーしながら進んできたわけですが、編集部とも話し合って、最終に向けてタツヤの話に収束しました。BFAから読んできてくださった方には、読んでよかったなと思っていただけるのではないかと思います。

 

NAOKI: 僕も、タツヤのお話だったなあと。最初から読むと感慨深いなと思いました。

 

今ノ夜: 最終回を読んでいただければわかるのですが、BFAの単行本第1巻で描いた、ヤナとタツヤのシーンを引用しているんです。このシーンは最初からけっこう好きで、BFA、BFARってなんだろうって思った時、このシーンに集約されているよなと。好きな気持ちを忘れないでがんばっていけば、いつか好きなことができるっていう。

 

千葉: 最後にヤナが美味しいところをもっていったね(笑)。

 

今ノ夜: あはは! あとはプリンセスですね。プリンセスでは次世代の話を描きましたが、実はタツヤも次世代から影響をうけているんだぞっていう。若い人達ががんばっているのを見て、俺もがんばるぜっていう雰囲気を出したかった。

 

朱凰@カワグチ: それって僕らもそうですよね。ネットに上がっているいろいろな人のアイデアを見て、すごいなあと思いながら作ったりして。

 

今ノ夜: いろいろな考え方、テクニック、才能を持っている人が相互に影響を与え合うのが、クリエイティブといいますか、何かを作る仕事かな、と思っているので。BFARでは、いろいろな考え方の人がぶつかり合いながら相互に影響を与えて、業界全体が盛り上がって行くんだぞ、みたいな世界を描ければよかったなあというところです。

 

――最終回を機に、BFA、BFARを最初からまた読み返していただくと、まだまだ楽しみがあるということですね。本連載もWeb上で公開されていますので、ぜひバックナンバーをご覧いただいて、読者の皆さんのガンプラライフが充実したものになれば嬉しいです。本日はみなさん、お集まりいただいてありがとうございました。

 

 

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