Vol.20

一年戦争に敗れたジオン公国軍のキシリア派勢力が火星において興した独立勢力。U.C.0080年代初頭から数年間、火星を支配したが、ティターンズ残党を率いるアリシアらレジオンに敗れ、地下への潜伏を余儀なくされた。それ以降、事実上ゲリラ活動を行っていたが、インレ完成を機に火星の覇権奪還を企図し、インレ奪取作戦に参画する。
別派閥ジオン残党アクシズとは協力関係にあり、両軍が使用するMSの設計が共有されている理由や、アクシズの急速な軍備拡大と地球帰還の背景には、火星プラントの工業力の支えが存在したことが伺える。

火星独立ジオン軍の主力量産型MS。旧ジオン公国軍の代名詞ともいえるMS-06「ザクⅡ」の正当な後継機として開発されたAMX-011「ザクⅢ」。本機はその陸戦仕様で、火星重力下では不要な空間用装備が排除されている。生産は火星プラントにて行われた。元来、ザクⅢは装備の換装によって異なる任務に対応するというコンセプトを持つ機体だったために、こうした使用環境に合わせた仕様変更が容易であった。また、実戦を経験していない新兵にジオン意識を植え付け、さらには高揚させるために、かつてのMS-06 ザクにより近づけたシルエットとなっている点も特徴。
敵対するレジオンが使用する主力量産機RMS-106「ハイザック」が、祖を同じくするMS-06の地球連邦軍製の後継機であることは、両組織の抱えるそれぞれの軍事・思想的背景を象徴している点で興味深い。

火星独立ジオン軍の熟練兵向け局地戦用重MS。AMX-009 ドライセンの火星陸戦仕様で、ザクⅢと同じく、空間用装備を排除し地上戦闘用に特化した機体。両肩にはスラスターに代わり、走行用の大型ブースターを搭載している。背面左右のホバー推進ユニットは、ザクⅢと共通の装備である。本機とドライセンは、かつてのMS-09 ドムとMS-09R リック・ドムのような関係にあり、見方を変えれば、本機に空間用装備を追加した汎用形態がドライセンであるとも言える。正統なるジオンの系譜を標榜するジオンマーズにおいては、リック・ドムⅡ(ツヴァイ)に続くドム系MSの系統に連なる機体として「ドムⅢ(ドライ)」と呼称されている。搭乗パイロット達はかつて愛機とした旧ドムに近い戦闘運用の可能な大型火器を好んで使用した。 なお、地下潜伏後のチェスター艦隊全機には、陸上におけるゲリラ戦での迷彩効果のあるデザートカラーへの再塗装が施された。