TR-6のバーザムⅡ形態。元は機種統合計画においてジム系をはじめ、ヘイズル・アウスラやバーザムといった地球連邦軍系量産MSの代替後継機として用意された形態。TR-6素体の四肢を折り畳み、アウスラやバーザム系の四肢部品を装着している。
レジオンにおいてTR-6は特別な機体であり、王族(支配者)であるアリシアやその関係者以外の搭乗は許されていない。しかし、親衛隊のダイアナを救うという手柄を立てた(とされる)ことで特殊部隊に入隊したウェンディに特別に下賜された。これは未だに暗躍するジオンマーズに対するプロパガンダ、国民の戦意高揚の意味も大きい。
元はキハールⅡ形態として運用されていたダイアナ機であったが、ウェンディ使用機となるにあたって、他の特務部隊機とのバランスを取るために、キハールⅡのパーツを取り外し、バーザムⅡ形態で使用されている。キハールⅡに比べ総合性能では劣るが、ウェンディのような未熟なパイロットには扱い易い仕様と言える。また、機体色はレジオン国民を背負う意味を込めて、火星を象徴する赤に再塗装が施されている。
そうして黒うさぎから赤うさぎへと生まれ変わったTR-6は、やがて火星の空を虹に染める。
TR 計画の一環として行われた計画で、パーツの共有による生産・整備ラインの統合や操作系の統一などを主な目的としていた。既存機のパーツの組み替える――ハイザックⅡ形態は公国軍系主力機、バーザムⅡ形態は地球連邦軍系主力機など――ことで代替後継機となる。従来機からTR-6への機種転換を容易にすると共に、性能を均一化することで一般パイロットにも操作し易くするといった目的もあった。なお、これらのパーツの統合と制御はBUNNySによって行われる。
ウェンディ機の場合は、火星プラントで増産されたバーザムのパーツを装着しているが、TR計画機ではTR-1の四肢が装備される予定であった。外装は異なるが機構・機能的には同等のため、能力に大きな差異はない。
飛行禁止令下の火星上空を周回する監視衛星「エレノア」とサイコミュリンクを繋ぐ装置。巨大なブレード状のアンテナを展開することで、ミノフスキー粒子の影響を受けないサイコミュ通信を行い、エレノアとリンクを構築し、情報や攻撃といった支援を受けることが可能となる。
キハール系に見られるサイコミュリンク用のブレードアンテナと同等の機能を有したシステムで、僚機EWAC機と連携し、戦場の情報を俯瞰的に統制するために開発された。なお、ブレードアンテナが展開したサイコミュの発動時には敵だけでなく味方にも大きな心理的影響を与える、ガンダム・タイプMSへと変身する。プラント奪回作戦においては、「オメガの嵐」で視界を奪われた際に使用されている。これにより、敵の位置情報を得たことで戦局を挽回した。
TR-6素体は機体の小型化を前提に設計されている。その一例は腰部の装甲様式にも見て取れる。従来、巨大人型兵器であるMS は、腰部(股関節部)の脆弱性という問題を抱えていた。一般的にはスカート状の装甲で該当箇所を覆い、耐弾性などを向上させていた。しかし、一部の特殊用途機――軽量化を必要とする強襲用MSや水流抵抗を減らす水陸両用機、木星圏といった特殊環境下での運用機、ユニット移動する可変MA――には当てはまらず、TR-6も同様に極限まで排除する必要があったことから、大腿部の装甲を大型化することで腰部(股関節部)の装甲を兼ねるという構造が採用された。しかし、これらは例外であり、U.C.0080年代後期におけるMSの巨大化傾向の中で、スカート状装甲は採用され続けた(例外として、ジェガンが挙げられるが、本機はバーザムⅡの流れを汲むためである)。
この状況はMSの小型化という技術的進化によって変化する。地球連邦軍は従来型MS を小型化するに留まったが、木星圏やザンスカール帝国といった既成概念に囚われぬ新興勢力では大腿部装甲をはじめとする脚部装甲を大型化した機体が多数開発された。これは、かつて傍流とみなされたTR-6の小型機の装甲様式が勢力を超えて結実した結果と言えるだろう。
小型化により最小限の装甲しか持たないTR-6素体の胴体防御用のユニット。ハイザックキャノン、陸戦用ロゼットで実験された複合増加装甲の制式採用版と言える装備で、左右にミサイルランチャー、中央に防御用スプレットビームを搭載する。
グランユニットとセットで装備される標準胴体用装備で、ティターンズ製の既存MSとも互換性を有するほか、グランマルス、グランザック等も装備する。