レジオンが主戦力として使用している陸上戦艦。アレキサンドリア級宇宙巡洋艦をベースに改良、発展させた艦艇である。レジオンでは、鹵獲したティターンズの装備を改装し、「レジオン仕様」として使用している例が多い。また、改装以外にも火星のアルカディアプラントで設計を変更し、新規に生産されたものも多数運用されている。このグラン・ザンドレル級陸上戦艦もそうした兵器のひとつである。本艦のベースとなったアレキサンドリア級は、旧ジオン公国軍のムサイ級軽巡洋艦を参考に連邦軍系の技術を用いて建造された艦艇である。レジオンの使用するMSなども同様で、例を挙げればザクの再設計的な要素を持つRMS-106 ハイザックや、RMS-154 バーザムなどのモノアイを持つティターンズ製MSは、元を辿ればジオン公国の技術を源流として生まれたものである。つまりレジオンにとってティターンズの装備は、連邦軍から鹵獲したものではなく、ジオン公国を起源とする技術が、本来の持ち主の元に帰ってきた——「里帰り」と評されることもある——のだと考えられていた。そのため、レジオンは鹵獲したティターンズの装備を積極的に導入し、量産と配備を進めたのである(これは、かつてジオン残党狩り部隊が、敵への「嫌がらせ」という心理的効果を狙い、ジオン的な外観を持つMSを使用したことに対する、狩られる側であったジオンによる意趣返しの意味もあった)。レジオンはジオン残党組織ではなく、火星の地で新しく生まれ変わった組織であると、総帥であるアリシアは説いた。そのため彼女は、レジオンにはかつてのジオン公国軍の兵器は組織に相応しくないと考え、ティターンズ鹵獲兵器で武装した。それとは対照的にジオンマーズは、ジオン公国の思想や伝統を重視し、それを兵器の外観にまで求めた。このように相容れない思想を持つがゆえに、ジオンを祖とするふたつの組織は火星の覇権を巡って内紛を続けたのである。
ムサイ級の流れを受け継ぐアレキサンドリア級の改修艦で、外観と内部機構の両方に、ジオン系艦艇の特徴が色濃く見られる。改修にあたっては、船体中央部の主格納庫を前後に拡張し、MS搭載量が数倍に増加している。発着ハッチは艦首に設けられるなど、チベ級と似た構造を採用、また、両舷へのメインノズルの配置はムサイ級からの伝統を引き継ぐと共に、丸型のタンクを半内蔵式にするレイアウトは、ムサカ級へと連なる構造が見て取れる。推進器としてミノフスキークラフトを搭載しており、ホバー機構と併用することで、陸上戦艦として運用される。飛行禁止令下の火星では、本艦に限らず、あらゆる兵器に対し飛行を行うことが出来ぬような制限が課せられているが、宇宙からの外敵の襲来等、有事の際には船体下部に設けたホバーユニットを切り離して、大気圏離脱が可能である。本艦はレジオンの主力艦として運用され、鹵獲改修艦と合わせて二桁を超える数が配備されている。艦ごとに艦橋部の形状が異なっており、様々なバリエーションが存在する点も特徴と言える。火星に存在する全5箇所の重要拠点(宇宙港、プラント、市街地、火口、氷河秘密基地)を中心に配備されており、一例として4番艦の「クラーク」は、「輝ける星作戦」時にはアリス特務隊を乗せ、アルカディアブラントの防衛に配備されていた。
アレキサンドリア級のひとつで、TR計画の各機材のテストを行うT3部隊に配備された。実験部隊への配備に際し、ペイロードや艦内設備の拡大と拡充が図られ、MSの搭載数がアップしている。こうしたアレキサンドリア級のMS空母化は度々試みられ、レジオンのグラン・ザンドレル級や後のガウンランドにも見られる特徴である。当初はコンペイトウの周辺宙域でTR計画の各機材のテストを行っていたが、T3部隊の実戦部隊化に際し、前線にも派遣されるようになった。なお、アスワンにはTR-6 インレ専用の搭載母艦への改修プランも存在していたが、グリプス戦役の激化に伴い、改修が実際に行われることはなかった。
ティターンズ結成直後に就航した宇宙巡洋艦で、ドゴス・ギアが就航するまでは、ティターンズの旗艦を務めた。MS誕生以前の連邦軍艦艇と異なり、MSの運用を前提としており、建造にあたってはジオン公国軍のムサイ級などを参考している。そのため、艦首上下に計4つのカタパルトを持つなど、極めて高いMS運用能力を持つ点も特徴と言える。艦体構造も特殊で、艦橋や機関部、艦首部は支柱で連結された三脚構造を採用している。