Vol.28

[FORT APACHE] サンドアングラー級潜地空母 フォートアパッチ

無法者チェスターが率いるジオンマーズ残存艦隊のうち、サンドアングラー級潜地空母の3番艦。なお、艦隊旗艦である1番艦の艦名がフォートアラモ、2番艦がリオグランデである。後のレウルーラ級と共通する艦体設計を有しており、多数のMSを運用するためのMS空母として建造されている。中央の格納庫は拡張式で、蛇腹状の部分で艦体を倍程にまで伸縮可能で、内部には巨大MA1機——1番艦にはアッザムを、3番艦にはヘリオス——を搭載可能な構造を持つ。インレ奪回作戦である「輝ける星作戦」における3隻の役割は、1番艦、2番艦がアルカディアプラントで陽動戦を実施、3番艦が本命として地下氷河に突入する。砂漠でのゲリラ戦を主戦術とするチェスター艦隊は、全MS、全艦艇がサンドカラーで統一されている。しかし、今回の作戦で氷河に突入する3番艦はマリンカラーに変更された。この再塗装は「死化粧」を連想させるとチェスターは嫌ったが、作戦の完遂を目指す3番艦艦長の決意により実行された。しかし、それは3番艦の行く末を暗示するようであった。

[MAN-08S-M HELIOS MARINER] ヘリオス・マリナー

ジオン公国軍のNT専用MAエルメスを、ジオンマーズが発展・開発したヘリオス。このMAはレジオン建国戦争初期に猛威を振るったが、オメガ、アリシアらの駆る「インレの翼」が投入されたことで敗北を喫し、操縦可能なNTを失うこととなった。これ以降、秘蔵されていたヘリオスだが、インレ奪回作戦に投入するために水中用に改造された。それがこのMAM-08S-M ヘリオス・マリナーである。ヘリオス・マリナーの改造にあたっては、機体の気密と各部推進器の水中への対応が図られた。特に左右のバインダーには、電磁流体誘導推進器(MHD)が搭載れている。この機器は、ガザ・M(マリナー)やガ・ゾウム・Mと同様に、かつてジオンマーズと協力関係にあったアクシズの、地球侵攻作戦のために開発されていた水陸両用MAから流用されたものである。なお、MHDとは取り込んだ海水を電磁コイルで推進機関に誘導し、それを拘束で噴射することで推進力を得るシステムである。ヘリオスの流線型の胴体形状は水中での機動でも有利に働いたことで、水中用への改造とMHDの搭載に繋がったことは想像に難くない。TR-6を中核としたレジオンのNT(強化人間)への対抗戦力であると同時に、ヘリオス・マリナーにはインレの奪回が失敗した際の戦闘と破壊も任務に入っている。パイロットはインレ奪回作戦に参加するティターンズ残党の強化人間(ツキモリ)が務める。ティターンズとジオンマーズの協力によってヘリオスは、レジオン打倒の切り札——希望の星として蘇る。

[MAN-08S HELIOS] ヘリオス

一年戦争期、ニュータイプ(NT)の軍事転用に積極的だったジオン公国軍は、専用の機動兵器を開発・運用した。その中のひとつMAN-08 エルメスは、特にサイコミュ式遠隔攻撃端末ビットを用いたオールレンジ攻撃で、コンペイトウに駐留する地球連邦軍艦隊に大打撃を与え「ソロモンの亡霊」の異名で恐れられた。エルメスは一年戦争の終盤に失われたが、戦後、火星において再起を図るジオン残党キシリア派(ジオンマーズ)に属する、元フラナガン機関のスタッフを中心に後継機の開発が進められた。こうして開発された機体が、MAN-08S ヘリオスで、本図はその巡航形態である。基本的なシルエットはMAN-08 エルメスに似ているが、一体型だった外装が中央の胴体部と左右のバインダーの3ブロックに分割されている。機首にメガ粒子砲を、胴体にはコクピットとサイコミュを搭載、後端にはエルメスが「とんがり帽子」と呼ばれる由来となったサイコミュ送受信アンテナを備える。この送受信アンテナは起倒式で非使用時には本体内に格納される。左右のバインダーは可動式で、表面には拡散メガ粒子砲やミサイル等の武装をはじめIフィールド等を搭載、裏面は推進器およびビット・コンテナとなっている。これらの改良は、エルメスでの欠点でもあった近距離での戦闘能力の不足をカバーするためのものであった。また、独立可動式のバインダーの採用により、防御力と機動性・運動性を獲得するに至った。こうしたバインダーの形状や機能は、ネオ・ジオン系MAに見られる共通の特徴である。

[海原を往くNT専用MA]

地球の大部分を占める海を制するために、水中用MAという極めて限定的な兵器にサイコミュ・システムを搭載した「NT専用機化」計画は、一年戦争時にすでにMAM-07 グラブロ等においても検討されていた。地球再侵攻を目論む各ジオン残党勢力下でも研究は進められ、ヘリオス・マリナーもそうして生まれた機体である。蓄積されたデータや技術は「遺産」として残され、後年のAMA-X7 シャンブロの開発と完成へと繋がっていく。