Vol.43

RMS-106M-2 [AQUA HIGH-ZACK] アクア・ハイザック

ハイザックをベースにした水中用MSとして開発されたRX-106M マリン・ハイザックだが、地球連邦軍が水中でのMS運用に消極的だったことにより、数機が試作されただけに留まった。一方でティターンズは、水中戦力の配備に際し、地球連邦軍とは異なる方針を採った。ティターンズは「地球圏の守護者」を組織の理念としていたこともあり、それを果たすためには装備の換装であらゆる状況──当然、水中戦にも対応可能な万能MSの開発が必須であった。この方針に沿った万能MSの開発計画である「TR計画」の一環として、水中用の強化装備の開発と実験を進めたのである。アクア・ハイザックは、T3部隊でテストが行われた試作機であり、実験形態のひとつでもある。本形態は、地球連邦軍より譲渡されたマリン・ハイザックをベースに、水中用Gパーツ「アクア・ハンブラビⅡ」を装備した形態にあたる。ドッキングにはハンブラビⅡ側のサブアームを使用し、現場での合体と分離が可能となっている。なお、アクア・ハンブラビⅡは汎用の強化装備であり、アクア・ハイザック以外にも、マラサイやバーザムをはじめとしたティターンズ製、ひいては連邦製MSにも装着が可能。換装を行ったMSの特性を、水中戦特化型へと変化させる。

[レジオン仕様]

マリン・ハイザックは、前述の諸事情により、グリプス戦役期に本格的に配備されることはなかった。しかし戦後、ティターンズ残党によって火星にもたらされた本機の設計データがレジオン軍に活用された。レジオンに多数が配備されているハイザックからの流用が可能だったこともあり、レジオン仕様のマリン・ハイザック(形式番号「ARZ-106HZM」)へと改修が行われた結果、インレ地下氷河基地周辺を監視するパトロール部隊へと配備された。単体での性能は二線級だが、非常時には水中での戦闘能力強化ユニットである「アクア・ハンブラビⅡ」と組み合わせ、アクア・ハイザックとして使用することが可能。これにより機体性能は大幅に引き上げられ、第一線級の水中用MSへと変貌を遂げる。簡単な改修で多数の生産配備が可能な点と併せて、パトロール任務には充分以上に役立つと判断された。なお、同じくインレ基地に配備されているアクア・バーザム(アクア・ハンブラビⅡとバーザムが合体した形態である)の場合、左右に2基のシールドブースターを装備し、高い機動性を誇るのに対し、アクア・ハイザックが装備するシールドブースターは1基のみで、これは安定性を重視した結果と言える。搭乗するパイロットの素養──バーザムは特務のエリート、マリン・ハイザックは一般兵──を考慮した装備構成とも言えよう。レジオンでの本機の形式番号は「ARZ-106HZM-2」、配色は組織のシンボルカラーの「赤」となる。

AMX-008M [GA-ZOWM] ガ・ゾウムマリンタイプ ティターンズ残党使用機

ジオンマーズが使用する水陸両用MS。かつて協力関係下にあったアクシズが想定していた地球侵攻・降下作戦用に開発された機体がその元である。ジオンマーズ支配下の火星は、アルカディアプラントの生産力で、アクシズの戦力を後ろから支えていた。しかし、戦局の変化によってそれらの兵器は不要となり、火星に多数死蔵されることとなった。ガザMやガゾウムM等の水中用MSの設計データやパーツもそのひとつであり、時を経てインレ奪回「輝ける星作戦」において流用されることになった。本機はニールをはじめとするティターンズ残党兵が、インレ奪回作戦の本命である地下氷河基地突入部隊に参加した際に、ジオンマーズから借り受け、使用した機体である。ジオンマーズの兵が使用する機体との識別方法は、ティターンズの象徴であるファイティングイーグルの意匠を持つ頭部のブレードアンテナ──バーザムと同様の装備──である。このブレードアンテナは、ティターンズであることを忘れない彼らの誇りの証とも言える。また肩には、本来であれば敵同士であるティターンズとジオン、両組織のエンブレムが併記される。本機に限らず、突入部隊が使用するガ・ゾウムマリンタイプは全機、両腕に絶大な威力を持つハンドミサイル・ユニットを装備している。これは、本機の設計元のひとつともなったハイゴッグと同様の装備である。この装備は、水門や戦艦などの道中に立ち塞がる障害を排除するためのものだが、作戦失敗時にはインレそのものを破壊するための装備でもあった……。