Vol.59

MS-14J.zm GELGOOGⅢ ゲルググⅢ(ジオンマーズ仕様)

U.C.0080年代後半、火星を拠点とするジオンマーズは、地球圏への侵攻を目指したアクシズ(のちのネオ・ジオン)との協力関係を構築していた。それはチェスターJr.艦隊の派遣などにみられる直接的な共同に加え、MS開発といった技術的なものにまで及んでいた。特に後者は有益で、技術系譜を同じくしながらも、それぞれの戦術や運用環境に合わせた機動兵器̶̶ジオンマーズではリーベン・ウォルフやフェンリス・ヴォルフなど̶̶が生み出されることとなった。旧ジオン公国軍の伝統を強く意識するジオンマーズでは、こうした新型機とは別にかつてのジオン公国軍の象徴でもあったザクの後継機であるザクⅢ(R型)、ドムの後継機としてドライセン(ドムⅢ・ジオンマーズ仕様)を採用していた。この流れの中で、ゲルググの後継機を求める声が挙がることは当然でことであった。
アクシズではゲルググの近代化改修機としてMS-14J リゲルグを開発した。リゲルグは、アクシズにおいては新兵の訓練用などに使用された。また、改修機とは別に新たに製造された機体も運用されており、これらは特に指揮官機として用いられている。一方、ジオンマーズでは、旧来機の改修では満足せず、リゲルグの設計データを基に、ゲルググの後継機の新規開発を進めることとなった。こうした経緯で開発・完成した機体が、このMS-14J.zm ゲルググⅢ(ジオンマーズ仕様)である。
本機は、主にエースパイロットや指揮官用の高級機として位置付けされ、先行して完成した機体群は、主にチェスターJr.艦隊に配備され、アクシズを支援するために地球へと送られたのだった。その後、本格的な生産が行われるはずだったが、レジオン建国戦争の勃発に伴い、生産計画は遅延することとなる。

︎量産機カラー

本機はビーム・ライフルを主兵装とするが、指揮官機と一般機では異なるタイプ̶̶指揮官機用のビーム・ライフルは連射性能が強化されていた̶̶が用意された。腕部にはビーム・ガンを装備するほか、頭部にはバルカン砲が内蔵されている。バックパックはリゲルグと同系統のものを採用しているが、装備したミサイル・ポッドは可動式の大型タイプを左右に搭載、装弾数も増加している。格闘兵装では、ビーム・ランスを装備。これはストックを連結することでビーム・ナギナタとなる。それ以外には大型のサイズのシールドを有している。
このようにゲルググⅢ(ジオンマーズ仕様)は、武装を含め総じて極めて「ゲルググ的」なシルエットを特徴とする。それは、旧ジオン公国の伝統を重視するジオンマーズの思想を体現したものといえる。
また、その外観や機構に後のネオ・ジオン指揮官用MSなどとの共通点が多く見られる。これは地球圏に残された機体が、開発の際に参考になったものとも考えられる。

MS DESIGN by KENKI FUJIOKA ©創通・サンライズ