Vol.59

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[アドバンスド・フライルーII]形態は、素体となるガンダムTR-6[ウーンドウォート]をベースに、「アドバンスド・フライルー」と同じレイアウトで汎用強化パーツを装着した代替機形態である。人型を外れた特殊な機体構成を特徴としており、その運用法はMAと同じく、機体各部に装備された複数のブースターによる加速を利用した一撃離脱戦法を採る。機体の外見上、機能上の最大の特徴である両腕のコンポジット・シールド・ブースターは、高機動時の剛性を確保するために背部に接続されたフレームに半固定される。この固定方式により、変形を行わずにモード変化、高出力ビーム砲による射撃形態と、クローを展開する格闘形態??のみでの運用が可能となった。各モードを使い分けることで、あらゆる戦局への対抗が可能である。ガンダムTR-6の多くの形態がそうであるように、[アドバンスド・フライルーII]形態もまた「対抗兵器」という概念で開発されている。本形態は対Zガンダム系後継機(後のゼータプラス、デルタプラス等)に対応しており、原型機であるギャプランと同様に、大気圏外より飛来するこの敵勢力を高高度で迎撃する任務を担うと同時に、それらを凌駕する能力を与えられた形態でもある。グリプス戦役後の混乱期、ギャプラン系の技術はカラバ等の地上勢力も入手していた。その中で計画された高高度迎撃機も、当形態と共通した半MA的な特徴を持つと言われる。こうした技術継承や収斂進化の結果、用途を同じくする兵器は、必然的に似た形状に辿り着くことが多い。ただし、それらの機体が特定任務に特化した機能や形状に進化したことに対して、ガンダムTR-6は換装により全く異なる別任務に対応できる点が最大の特徴かつ、アドバンテージとなっている。この[アドバンスド・フライルーII]形態に「フルドドⅡ」を装着した状態が、[フライルー・ラーII フルアーマー]形態である。この形態を第2の基点として、両肩と両脚のフルドドIIのドラムフレーム部分に、各種の超重装備を追加で装着することで、[ギガンティック]形態や[クィンリィ]形態等のサイコガンダム系巨大機動兵器に変化する中核ユニットを構成する。

︎ORX-005 GAPLANT TR-5 [HRAIROO-RAH II]FULL ARMOR TYPE

グリプス戦役期にティターンズが運用した可変MAのひとつに、ORX-005 ギャプランがある。大推力による高度な機動性を特徴とする本機は、それを利用した超高高度迎撃機としての運用が想定されていた。しかし、加速時の絶大なGのため、当初は強化人間しか操縦できない機体であった。そのギャプランのハイスペックを生かし、エリアドミナンス機へと改修した機体が、ORX-005 ギャプランTR-5[フライルー・ラーII]である。エリアドミナンス機とは、「領域支配機」とも呼ばれ、単機での敵陣への突入と制圧などを主任務とする強力な機体である。ガンダムタイプのセンサーユニットの採用、肩部へのフルドドⅡの接続、腰部を囲む増加スラスターと隠し腕ユニット、ロング・ライフルの装備などが、ギャプランからの主な改修点として挙げられる。その[フライルー・ラーII]を母体に[アドバンスド・フライルー・ラーⅡ]と同じくTR汎用強化部品を追加装備し、両機の装備を合わせフルアーマー化したのが本形態。アドバンス形態の攻撃力と機動性の強化とフルドドⅡの拡張性の両方の特性を併せ持つ。アドバンスド形態は、ギャプランのMSとMA両形態の中間的な特性を備える。強化されたバインダーシールドの推力を支えるため背中から伸びるフレームで半固定されている。さらに変形機構はロックされており、MS形態のままで変形することなくMA的な高速機動運用が可能。フルドドⅡは、全身に装備された他の強化部品と同じくTR-6を構成する汎用部品のひとつで、強化Gパーツとして各種MSの肩部や腰部に装着することで、ドラムフレームを介して本体と巨大な武装を接続するためのジョイント・ハブとして機能する。TR計画の設計理念である「万能化換装システム」による「機種統合」は、パーツの組み替えによる自軍の既存全MSの後継機となるガンダムTR-6の各形態を生み出すためのものである。[フライルー・ラーII]の場合もここにギガンティックアームを装着することで、サイコ・ガンダム後継機の役割を担う代替交換機へと変化する。それ以外にもファイバーⅡユニット、ダンディライアンⅡユニット等の大型MAサイズのオプションを自在に換装することが可能。それらの複数の装備をすべて装着することで、最終兵器ガンダム・インレの母体としても運用が可能。本形態が、TR-6を除けば、ティターンズが保有する最強クラスの機体である。

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飛行が禁止されている火星では、飛行が可能な本機は他の機動兵器に比べ、圧倒的に有利である。それは、ジオンマーズとティターンズ残党によるインレ奪回作戦、「輝ける星作戦」での戦闘でも証明されている。特にオリンポス山の火口基地で発生した労働者たちによる暴動を鎮圧する際に有利に働いた。この暴動はジオンマーズの扇動によって起こったもので、労働者たちは建機用MSを用いている。暴動の鎮圧にあたっては、アリス親衛隊の強化人間たちが搭乗する10数機の[アドバンスド・フライルーII]が、アリシア総統が駆るリハイゼの護衛機として共に出撃。上空からの一方的な対地飽和攻撃で地上部隊を制圧するなど力を発揮した。なお、この強化人間たちは、火口基地で建設中のレジオン本拠地にある「アリシアの繭」と呼ばれる塔の最上部に備えられた球体の施設(「インレのゆりかご」と呼ばれるインレ用大型ブースターの内部に備えられた、惑星間航行用の居住施設をアリシア専用の王宮として転用した設備)内にて調整された。その後、エレノアの離反による衛星攻撃に対し、コンポジット・シールド・ブースターに搭載したIフィールド等を全開にしたうえで、機体そのものを盾にしてリハイゼを護った。この戦闘で、部隊は壊滅したが、強化人間たちの身を挺した活躍により、アリシアの命は守られたのだった。

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ガンダムTR-6各強化形態を重力下で運用する際、本体の自重を支えるために堅牢な脚部が必要となる。その場合、ガンダムTR-6は素体([ウーンドウォート])の脚部を折り畳み、そこへ既存機の脚部を装着する。実験部隊であるT3部隊での試作機の運用実験時には、ガンダムTR-1[ヘイズル]の脚部が使用されていた。この時に用いられた[ヘイズル]の脚部は次世代主力機であるガンダムTR-S[ヘイズル・フレア]の脚部の試作部品であり、完成後はその部品を汎用強化パーツとして使用する計画であった。その後の開発計画の変更に伴い[ヘイズル・フレア]の簡易型であるバーザムの脚部での運用へと変更された。なお、レジオン親衛隊による実際の運用時には、それに倣ってバーザムの脚部およびホバーパーツが装着されている。

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火口基地における労働者達の暴動に参加したバケットホイールエクスカベーター型サイコガンダムMK-Ⅱ(レジオン建国戦争時使用された機体から、武装を取り外して掘削用装備を搭載した)は、新たにインストールされたガンダムTR-6用に調整された新型の強化人間人格知能OS(BUNNyS・C・Aタイプ)と、搭乗するトリスタン一派の強化人間であるミズノの連動により、通常の3倍もの能力を引き出されレジオンの前に立ちはだかった。これを撃破するために親衛隊のグロリア副総帥機は、[アドバンスド・フライルーII]形態で出撃。当初は射撃モードでの上空からのアウトレンジ攻撃を実施した。しかし強化人間同士の戦闘は膠着状態に陥り、ファンネルを使用するも無効化されている。そうした状況に業を煮やしたアリシアの命令を受けたグロリアは戦いの早期決着のため、コンポジット・シールド・ブースターをクローモードにした格闘形態に変形、リスクの大きい高速格闘戦をミズノに挑んだのだった。アリシア総帥を崇拝するグロリアや、同じく彼女をベースとする強化人間たちとそのアドバンスド・フライルーII親衛隊機は、全員がその命をアリシアに捧げたのだ。

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