[プリムローズ]を胴体ユニットとする[ヘイズル・アウスラ]は、ヘイズル系の母体であるジム・クゥエルや、次世代化改修化を受けたジムⅡなどのガンダム̶̶ジム系連邦製MSの標準規格と同型であり、トランスパックシステムにも同様に対応している。MSとの合体時、変形した[プリムローズ]はホリゾンタル・イン・ザ・ボディ方式で胴体部を構成する。このため、MS形態でのバックパックの形態によっては、分離時と合体時で推進方向に違いが生じる。TR-1型のバックパックの場合は、上部のブーストポッドの可動により推進方向を変化させるが、トランスパック型の場合は旧来型のバックパックとなるため推進方向が限定されるという欠点もあった。ティターンズ・テスト・チームでの運用時は、TR-1型のバックパックが使用され、それを基点として各種強化パーツの運用試験が行われている。一方、トランスパックシステム型のパックパックはブラックヘアーズにおいて運用試験が行われている。「万能化換装システム」の開発と実験を主眼としていた同部隊では、[ケルデルク]をベース機として装備の換装の運用実験を行っていた。そして、その上位発展機である[ケルデルク・アウスラ]において[プリムローズ]のマルチ・トランスパックシステムが開発されることとなる。
このマルチ・トランスパックシステムとは、バックパックとMS本体の背部の接続部分の間にスペーサー状のジョイントパーツを装着することで、トランスパックシステム未対応の地球連邦軍MSとの装備に互換性を持たせるシステムである。このジョイントパーツはベロウズ・フレームの先端部のアームと同等の機能を有している。アーム先端部の大型クロー状のサブアームで、MS本体とバックパックをホールド、アーム部のコネクタ̶を介し動力や操作系を接続する方式をとる。
そしてこの機構により、分離時にはジョイントパーツがバックパックごと可動して推進方向を変化させることが可能となった。同システムは、ブラックヘアーズによる[ケルデルク]にて行われた実験によって技術やOSのデータが蓄積されていった。
こうした技術は、後のガンダムTR-6が装備する全地球連軍製の装備や、手足パーツの換装による代替機形態への対応にも用いられた。このように、マルチ・トランスパックシステムはガンダムTR-6の「万能化換装システム」の一部であり、「TR計画」の換装システムを支える技術的なベースのひとつとなっている。
キャノン砲搭載型のパックパックを装着した[プリムローズ]を胴体ユニットとした[ヘイズル・アウスラ]。中距離支援を目的としたトランスパックのバリエーションで、手持ち火器もグレネード・ランチャーを装備したものとなっている。次世代主力機完成までのつなぎとして一定期間ながら生産されたアウスラは、トランスパックシステムによってバックパックを換装することで旧式化した地球連邦主力機であるジムⅡの代替機として運用された。また、この中距離支援仕様に加え、レドームを搭載したEWACタイプや、ハイザックのバックパックを装備した高機動タイプなど、代表的な3種の仕様が用意された。これらを任務に応じて換装、または異なるタイプを装備した複数機で小隊を編成するといった運用がなされた。
また、トランスパックを装備した[プリムローズ]はMSの胴体から分離することで、能力は限定されるものの独立したモビルポットとして各種任務での運用が可能となる。類似する運用例として、MSの補佐代役として一年戦争にて投入されたボールやオッゴなどが存在。