旧ジオン公国軍が開発したMA-08 ビグ・ザム。地球連邦軍の拠点であるジャブローを攻略するために開発されたこのMAは、戦局の悪化に伴い宇宙要塞ソロモン攻防戦に投入された。戦闘の結果、撃破されはしたが、地球連邦軍艦隊に大打撃を与え、対艦隊、そして拠点防衛においても威力を発揮することを証明した。そして、一年戦争、ジオン公国の後継組織においてもそのコンセプトを引き継いだ機体が建造されることとなる。それがハマーン・カーンの率いたネオ・ジオンが開発したAMA-01X ジャムル・フィンと、それをベースとしてジオンマーズが建造したAMA-01S ビグ・ザムールである。前者は未完成な状態で戦線に投入されたが、後者はビグ・ザムのコンセプトを継承しつつ可変機構を備えるなど、より高い運用性を有した機体として完成した。ビグ・ザムールの変形した状態は「高速格闘戦形態」と呼ばれ、股間部に折りたたまれていたパーツが機首として展開される。なお、このパーツは本機の主兵装である2門のハイ・メガ粒子砲の収束器として運用され、長距離砲撃にも対応可能となった。また、地上では歩行に用いられる脚部は、高速格闘戦形態では前方に展開され、格闘戦用のクロー・アームとして運用される。ビグ・ザムと本機の最大の違いである脚部が逆関節となっている点も、クロー・アームとしての運用を考慮した結果である。変形時におけるこうした武装構成と機体形状は、かつてのMA-05 ビグロとMA-06 ヴァル・ヴァロのように高速での一撃離脱が主な戦闘法となる。実際に、フォボス宇宙港戦に投入されたビグ・ザムールは、小惑星に配備されたガンダムTR-6拠点防衛形態[クインリィ]と格闘戦を繰り広げた。
エンドラ級宇宙巡洋艦は、小惑星基地アクシズを拠点とするジオン残党勢力アクシズ(のちのネオ・ジオン)が建造した宇宙艦艇である。旧ジオン公国軍の主力艦艇のひとつであったムサイ級軽巡洋艦を系譜に属する艦艇で、MSデッキやMS用カタパルトの設置に加え、コムサイを装備する。それらに加え、バリュートによる大気圏突入能力を備えるなど、より高い運用性を有するに至った。また、アクシズではネームシップであるエンドラのほか、サンドラやミンドラ、エンドラⅡなどの運用が知られている。なお、巡洋艦に分類されるエンドラ級だが、地球連邦軍の戦艦クラスの全長を有する。この点がかつてのムサイ級との違いとなっている。アクシズと協力関係にあったジオンマーズにおいても、エンドラ級は使用されている。同組織で運用されているエンドラ級は、他の兵器と同じく「ジオン」的な構造や意匠を持つ点を特徴とする。それが艦隊の左右に配置したエンジンブロックなどで、これは旧ジオン公国軍のムサイ級を意識したものといえる。こうしたエンジンブロックのレイアウトがなされている艦艇としては、ティターンズが使用したアレキサンドリア級や、後にクロスボーン・バンガードが使用したザムス・ガルなどが知られている。ジオンマーズで運用されたエンドラ改(エンプラ)級は、一番艦のエンプラをはじめ10隻以上がチェスターJr.艦隊に配備され、アクシズ支援のために地球圏へと派遣された。数隻を残して火星に帰還したが、火星降下作戦中に火星の防空システムであるエレノアの砲撃によってその大半が轟沈している。そして、離反した元アクシズ勢力を中心とする残存艦艇はムンスキーの指揮により降伏することとなった。