Vol.59

RX-124HS GUNDAM TR-6 [ADVANCED WONDWART]HAZE’N-THELEY ll FORM

●RX-124 ガンダムTR-6 [アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態/ブラックヘアーズカラー
RX-124 ガンダムTR-6[ ウーンドウォート]の全身に専用の強化パーツを装備した形態が、「ハイゼンスレイⅡ形態」である。「高速戦闘形態」とも言われ、「機種統合計画」におけるRX-110 ガブスレイの代替後継機にあり、MSZ-010 ZZガンダムをはじめとしたエゥーゴのZ計画の次世代機を仮想敵としたその対抗形態にあたる。
本来、ガンダムTR-6は「機種統合計画」と「万能化換装システム」による柔軟な換装と運用を特徴とするが、このコンセプトは軍上層部には理解されなかった。そこで開発陣は、最強の万能機(=ガンダムタイプMS)として本形態を用意したのである。フラッグシップ機として用意されたという経緯もあり、コストは度外視されたほか、各種装備の高性能化、分離合体機構なども備えるに至った。
また、この変形機構は、MA形態以外に、中間形態と呼ばれる形態をとることが可能となっている。これは原型機となったガブスレイと同様に、脚部がクローアームに変形した形態である。上半身はMS形態のまま、脚部のみをクローアームにした本形態は、近接格闘に秀でるという特性を持つ。
本機の分離と合体は、MS形態時の背骨にあたる2基の背部ドラムフレームが、接合部より上半身と下半身に分離合体することで行われる。分離時は、上半身が高速戦闘機であるトップファイター「ストロベリーⅡ」、下半身が重格闘戦機であるボトムファイター「ニルドルハインⅡ」に変形する。ストロベリーⅡ、ニルドルハインⅡともに緊急脱出コクピットとしてプリムローズⅡを搭載。分離時に必要な搭乗員は2名、または1名とBUNNySによる自動操縦で、合体時は1名のみで操縦可能である。
カテゴリ分類的には特殊なハイエンド形態である高速戦闘・ハイゼンスレイ形態用の強化パーツ群(頭部増加センサー、胸部増加ハイメガ粒子砲、肩部増加武器コンテナ、腰部増加バインダー、脚部増加クローアーム等)は、ティターンズ・テスト・チーム(T3)部隊に配備された際に、他の汎用強化・アドバンスド形態用パーツ群(フルドドⅡ、ウインチキャノン、ウエポンコンテナ、サイコ・ブレード等)と分類されずに運用された。そのため、位置付けとしてのフラッグシップ機(の専用名「ハイゼンスレイⅡ」)ではなく、ガンダムTR-6のアドバンスド形態の一種として扱われ、本来の強化形態の命名法則上の分類通り「アドバンスドウーンドウォート」と呼称された。これが本形態の名称が複数存在する原因であり、戦争末期時の配備状況や上層部の機体コンセプトへの無理解が、命名法則の不徹底と混乱へと繋がったのである。戦後、SSDが鹵獲したTR計画機とデータを再整理した際に、そのポジションから「ガブスレイH」と分類、呼称された。SSDが考案した新たな命名法則については、今後、解説していく。
T3部隊以外にもトリスタン特務大佐が指揮するジャミトフ直属の特殊部隊であるブラックヘアーズ(黒い野兎の意)等でも極秘運用されており、火星にわたった機体が鹵獲され、リハイゼへと改装された。なお、この「アドバンスド」という名称は、ウエポンコンテナをはじめとする各種汎用強化パーツを装着した形態に付される名称である。しかし、グリプス戦役末期の混乱から本形態にも「アドバンスド」と付けられたという経緯がある。そのため正式名称である[ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態とは別に、当時は[アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態とも呼ばれることなった。

︎ARZ-125 RE-HAZE

●ARZ-125 リハイゼ
宇宙世紀におけるこれまでの戦乱の中で、ジオン残党勢力がガンダムタイプMSを運用した例が多数知られている。様々な手段でジオン残党が手に入れたガンダムタイプMSは、ジオン風の意匠が施され、組織の象徴として運用された。火星で活動するレジオンが使用したリハイゼもその一例と言える。
このリハイゼは、レジオンが鹵獲したガンダムTR-6[アドバンスド・ウーンドウォート]ハイゼンスレイⅡ形態を改装した機体である。サイコミュやジェネレーター直結式の大口径メガ粒子砲を装備した第四世代MSに分類され、総帥であるアリシア・ザビの専用機として運用された。改装にあたっては装甲が流線形の物に換装されており、原型機と比較して重厚なフォルムとなっている点が特徴。なお、MA形態時の機首部センサーをはじめ、各所にネオ・ジオン系MSの外見的な特徴が見られる。また、肩部は原型機であるハイゼンスレイⅡ形態と同じくウエポンコンテナとなっており、トライ・ブレードをはじめ、ファンネル、ミサイル・ポッド等、任務に応じた武装への換装が可能となっている。これらの改装に伴い原型機とは性能傾向が異なる機体となったため、型式番号も鹵獲前の「124HS」から「125」へと新しいものが割り当てられている。また機体各所にはブースターを増設している。このブースターは重力下での飛行用で、ブースターと一体化したリアスカートの採用などもあり、機動性が大幅に強化されている点も特徴といえる。こうした機動性を偏重した改修は、レジオンのアリシア総帥の意志――飛行禁止下の火星の大空を飛翔し、自身が地上の支配者であることを誇示する――が反映された結果である。
なお、外装や装備と比べて機体構造には大きな変更は見られず、原型機のパーツが多数残っている。中枢ユニットもガンダムタイプMS(ガンダムTR-6[ウーンドウォート])が使用されている。
また、MA形態への変形機構を備えており、その大推力を利用した大気圏からの離脱、および再突入能力を有する。このMA形態では、MS形態時の脚部がクローアームとなるほか、機首部にメガ粒子砲が展開されるなど、MAの特性である一撃離脱戦法を主な攻撃法としている。また、サイコミュが搭載されており、ニュータイプ、もしくは強化人間による操縦を前提としている。
時代が下がってU.C.00100年代、火星においてオールズモビルを名乗るジオン残党勢力が、ガンダムタイプMSを運用している。「輝ける星作戦」において、ジオンマーズの少年兵たちがガンダムTR-1やガンダムTR-6といったガンダムタイプMSの持つ力を体験したように、ガンダムの威容はジオンですらも魅了するのだろうか?

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