Vol.59

AQUA HAZE’N-THLEY II

アクア・ハイゼンスレイⅡ(オメガ・ザビ仕様)
ハイゼンスレイⅡに複数のアクア・ハンブラビⅡを装着した形態。腰の両側に[フルドドⅡ]を装着する方式は「ラー第2形態」と同じで、股間部のマルチコネクターポッドから、ドラムフレームとベロウズフレームで構成されるマルチ可動フレームを介して、腰部左右にアクア・ユニットを装着する。同じくマルチ可動フレームで接続された複数の水中用シールドブースターも、サブ・アームによって保持される。両腕にはハイドロジェットを装着したコンポジット・シールド・ブースター(サイコブレードによる遠隔無線誘導式になっており、主に水中戦用のモビルビットとしての運用を前提とした)と、2丁のバハル・ライフルを装備する。[フルドドⅡ]をはじめとしたTR汎用強化パーツ群は、戦況に合わせて装備を組み換えて運用する自由度を有している。その複雑な換装機構や運用はBUNNySによって管制・管理される。
本機は、当時のレジオンのリーダーであるオメガ(およびアリシアたち)が搭乗した彼ら専用の仕様である。彼が潜行しての水中戦よりも、高速で水上を移動し、単機で敵陣に突入、水上戦を行うという戦法を選んだための装備型式となる。これはオメガ自身が本機を組織のフラッグシップ機として認識しており、それに相応しい形態を選択した結果であった。U.C.0080年代後半、レジオン建国戦争時におけるジオンマーズの氷河拠点攻略戦において運用された本機は、拠点の陥落に大きく貢献した。また、この攻略戦では、本機以外にもアクア・ユニットを装備したマラサイをはじめとするブラックヘアーズ仕様のMSが投入され、ジオンマーズのMS部隊を翻弄した。

氷海航路

人類が増えすぎた人口への対応策として、宇宙へと生活圏を求め始めた旧世紀の末期。その動きに呼応して地球連邦政府が生まれ、その主導のもと、様々な移民先が検討された。結果、移民計画は、L1からL5の各ラグランジュ・ポイントへのスペース・コロニーの建設が主流となり、「宇宙世紀」の幕が開けることとなる。スペース・コロニー以外にも月、火星、金星、アステロイドベルトや木星など様々な開拓計画が検討されたが、そのなかには地球圏を離れ、新天地を外宇宙に夢を求めた者たちもいた。後の「トライステラー」である。
スペース・コロニー以外に実現性が高く、実行された計画が存在する。そのひとつが「火星移住計画」である。火星の地表に都市が建設され、そこは後にスペース・コロニー群であるサイド1からサイド7に対応するかのような形でサイドA——アルカディアと呼ばれるようになった。
そして火星への移民者たちは、自分達の第2の故郷となるこの地での生活環境の向上を目指して、その開拓のために様々な手段を模索した。そのひとつが、火星極地の地底に存在する氷河を利用することである。氷河を溶かして水を生み、果ては大気をも生成し、テラフォーミングを行う、という壮大な計画が試みられた。また、地中に眠る希少物質の採掘や、オリンポス火山の熱エネルギーを利用した発電計画といった火星の開拓計画も同時に試みられた(なお、これらの施設は後にジオンマーズに引き継がれている)。
しかし、地球から遠く離れた火星においても、地球圏の動乱と無縁なわけではなかった。後に一年戦争と呼ばれることとなるジオン独立戦争とその経過が、火星にどのような影響を及ぼしたかはこれまでにも説明したが、それらの動乱の結果、サイドAはキシリア派ジオン残党組織——ジオンマーズの支配下に置かれた。ジオンマーズは、地球圏からの残党討伐軍に備えて火星のプラントを活用して各地に軍事拠点を建造するなどの武装化を推し進めた。そして、開発中の地下氷河にも拠点を建造した。そして、そして地下氷河の拠点はレジオン建国戦争において陥落、後に[インレ]の建造拠点として再利用されることとなった。

︎ARZ-124HB Ⅱ M [AQUA HAMBRABI Ⅱ]

アクア・ハンブラビⅡ
[フルドドⅡ]に「アクア・ユニット」と呼ばれる水中用強化装備を装着した形態。単体では水中用MAとしての機能を有するほか、Gパーツとしての機能も持つ。MSとの合体時に水中用MSとしての機能を付与し、アクア・ユニットを腰に装着した場合は水上、肩に装着した際は水中が主な運用領域となる点が特徴。「輝ける星作戦」時には地下氷河基地における[インレ]防衛の任にあたり、ジオンマーズ・ティターンズ連合軍による基地への強襲を防ぐといった活躍を見せた。

ARZ-154M AQUA BARZAM (RE-ZEON capture specification)

アクア・バーザム
ARZ-154 バーザムとアクア・ハンブラビⅡが合体した形態。背部に[フルドドⅡ]を、両肩などにアクア・ユニットを装着することで、水陸両用MSとしての運用が可能となった。頭部にゴーグルを装着することもあるが、これは水中での運用が事前に決定している場合となる。銃身の周囲に4本のハープーンを装備したバハル・ライフルを主兵装とする。なお、青い機体色の地球連邦軍仕様に対し、赤い機体色は火星レジオン軍仕様であり、アクア・ハンブラビⅡと同様、地下氷河基地における[インレ]の防衛などに配備された。

ARZ-124 GUNDAM TR-6 [AQUA WONDWART](RE-ZEON capture specification)

アクア・ウーンドウォート
アクア・ハンブラビⅡを装着した[ウーンドウォート]。MS形態とMA形態では機体特性が変化する点が特徴で、前者ではその形態を生かした水中での戦闘や作業を、後者では航行や対艦攻撃などが主な運用法となる。ドラムフレームにはサブ・アームが装着されており、アクア・ユニットの脱着や位置変更に用いられる。主兵装はコンポジット・シールド・ブースターに装備したビームキャンで、水中での発射も可能。アリシア親衛隊の一員で、地下氷河基地における[インレ]の護衛の任務に就いたフェリシアに用意されていた強化装備形態である。

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