Vol.59

●TRシリーズ開発系統図

本図はTRシリーズのうち、ガンダムTR-1、ギャプランTR-5の発展を示したものである。TR計画機のなかでも、ここで解説する2機種は多数のバリエーションを有しており、その多様性に特筆すべきものがある。この多様な発展は、[フルドド]や[プリムローズ]といった支援機との合体によってなされたものも多く、その組み合わせは様々な機能を機体に付与する結果となった。

●[インレ]の構成部品の実験形態

ここで開発する2機種の[インレ]の開発における役割は、[ヘイズル]が各種オプションや管制ユニットの開発、[フライルー]と[ファイバー]が高機動による弾道兵器としての運用特性の確立であった。これらの機体のテストで得られたデータは、[ウーンドウォート]や[インレ]を構成する各パーツの開発に反映された。

RX-121-1+FF-X29Ax2 GUNDAM TR-1 [HAZEL-RAH]SECOND FORM

[ヘイズル改]に2機の[フルドド]が合体した形態。[フルドド]と合体したことで、第2世代MS相当の性能を獲得しているが、MSとしての汎用性は低下することとなった。
また、本形態にブースターを装備した「クルーザー・モード」(右上)では、MA的な機体特性を有しており、その戦闘力は第三世代MSに匹敵する。

RX-121-1 GUNDAM TR-1 [HAZEL CUSTOM]

損傷を受けた[ヘイズル]を、予備パーツとジム・クゥエルのパーツで修復した機体。修復に合わせて強化も行われた結果、機動性や運動性が向上、さらにコクピットの換装によって操作性も大幅にアップしている。また、腰部装甲への多目的ラッチの増設によって、様々なオプションの装着が可能となり、多様な形態をとることが可能となった。これにより[ヘイズル]の拡張性が向上し、さらなるバリエーション展開がなされるに至った。

RGM-79Q GM QUEL

デラーズ紛争後に設立された地球連邦軍の特殊部隊、ティターンズの初期の主力機。ジム・カスタムをベースとし、センサー類の強化に加え、脚部に対人用のセンサーが設置されている。また、腕部にムーバブル・フレームの前身的な構造が採用されている。また、頭部をガンダムタイプのものに換装することで、ガンダムTR-1[ヘイズル]として、ティターンズ・テスト・チームで運用された。

MP-X86 MOBILE POD [PRIMROSE]

[ヘイズル]用の緊急脱出ポッドとして開発された機体。
分離時にはパックパックを推進器とすることで、自律航行も可能となっている。また、オプションの装備によって機能の拡張が可能な点とも特徴といえる。[ヘイズル]の胴体部を[プリムローズ]に換装することで、[ヘイズル・アウスラ]と呼称される。

RX-121-2P GUNDAM TR-1+FF-X39A [HAZEL OWSLA-RAH II]

[ヘイズル・アウスラ]に[フルドドⅡ]を装着した形態。
開放型バレル・キャノンやミサイル・ポッドをなどを装備し、高い火力を有する。

RX-121-2P GUNDAM TR-1 [HAZEL OWSLA] with GIGANTIC ARM UNIT

[ヘイズル]に接続した[フルドドⅡ]のドラムフレームに、サイコガンダムの腕部を取り付けた形態。高い攻撃力を獲得したが、機体重量が増加したことで機動性は低下している。また、この腕部は敵巨大MSとの格闘戦のために装備されたものだが、その制御を行う強化人間人格OS「BUNNyS」の実装が遅れたため(一説にはサイコミュともいわれる)、想定した運用はできず、5連装ビーム砲を利用した移動砲台というデモンストレーションモデルのひとつに終わった。

次世代主力機開発の実験機

「TR計画」では当初、全機能を単一の機体に集約した次期主力機の開発が目指された。ガンダムTR-1がその中枢ともいえる機体で、[ヘイズル・アウスラ]を経て次期主力機[ヘイズル・フレア]が開発される予定であった。しかし、最終的に[ウーンドウォート]の開発へと計画は変更されている。

ORX-005 GAPLANT TR-5

キャプランを改修し、TR-5とした機体。主な改修点はガンダムタイプの頭部への変更、ムーバブル・バインダー・シールドではなくシールド・ブースターに変更されている。また、武装もロング・ブレード・ライフルを装備する。
MA形態への変形も可能で、その際は両腕にシールド・ブースターを装備し、推進器とする。

ORX-005 GAPLANT

地球連邦軍の運用した可変MAのひとつで、開発はオークランド研究所が担当した。両腕に装備するムーバブル・シールド・バインダーによる突出した加速力が特徴で、この装備、および本機は[ヘイズル]のシールド・ブースターの機能を発展させたものといえる。大気圏内用の機体で、高高度迎撃を主目的としていたが、ブースターを装備することで、成層圏までの上昇が可能であった。
また、その加速力に通常のパイロットが耐えられなかったため、開発は強化人間を擁するオーガスタ研究所に移された。「TR計画」においては、TR-5の素体となった。

ORX-005AD+FF-X39A GAPLANT TR-5 [ADVANCED HRAIROO]

キャプランTR-5[フライルー]を素体として、TR計画系の汎用強化パーツを装備した形態。機動性や運動性、火力などが大幅に向上しており、「領域支配機(エリアドミナンス機)」の完成系とも言われる。その総合性能はガンダムTR-6を除いてトップクラスであり、「戦術級」とも評される戦闘能力を有した。

ORX-005+LRX-007 GAPLANT TR-5 [FIVER]

[フライルー]をコアユニットとして、複合防御バインダーなどの各種強化装備を装着した機体で、「弾道軌道による敵拠点への超音速侵攻」をコンセプトとする。2機のMS──[ヘイズル改]イカロス・ユニット装備、[ロゼット]強化陸戦形態──を搭載して出撃することで、小隊としての運用が可能。運用データは、ガンダムTR-6[ウーンドウォート]ファイバーⅡ形態の開発に利用された。

RX-124IL GUNDAM TR-6 [WONDWART] INLE FORM

[ファイバーⅡ]と[ダンディライアンⅡ]が合体した形態で、ガンダムTR-6の「決戦仕様」とも称される。全高100mを超える超大型の機動兵器であり、単機で戦局に影響を与えるほどの戦闘力を持つことから「戦略兵器」に分類される。大型かつ複雑なシステムのため、上半身のコアMSが火器管制を、下半身のコアMSが機動の管制をそれぞれ行う。

ORX-005+FF-X39A GAPLANT TR-5 [HRAIROO-RAH II]

ギャプランTR-5[フライルー]に、[フルドドⅡ]を接続した形態。シールド・ブースターがムーバブル・シールド・バインダーに換装されているほか、腰部に補助ブースターやスプレッドビームなどを内蔵した強化スカートを増設。このスカートには隠し腕ユニットを備えられている。肩部のクロ̶ユニットは、内部にビーム発振器を備えており、ロング・ブレード・ライフルを接続することで、ビーム・キャノンとしても運用可能。これらの装備による高性能により、「領域支配機(エリアドミナンス機)」というカテゴリーが与えられた。

RX-124 GUNDAM TR-6 [WONDWART]

「TR計画」の集大成であり、次期主力機開発の完成系ともいえる機体。本機を素体として、各種強化パーツを装着することで、様々な任務や運用環境に対応する。可変機構を有しており、MA形態への変形が可能。

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