Vol.92

●SYSTEM WEAPON:1

「システム・ウェポン」とは、銃火器の中核となる機関部を中心に、パーツの組み換えによって様々な仕様に変更する方式である。中世期から存在した概念で、宇宙世紀においても一年戦争のMS用兵器に取り入れられた。その後、デラーズ紛争を経てティターンズが設立されると、同組織は主力機開発計画である「TR計画」を立案する。計画の主目的は次世代主力機(RX-123 ガンダムTR-S)の開発であり、機体の掲げる「万能化換装思想(高性能機の装備換装による任務対応)」のもと、任務に応じて様々な部品の組み替えに対応できるよう、その主力携行火器もオプションで換装可能なものが想定された。その開発においてシステム・ウェポン構想が盛り込まれるこことなる。

●BAUVA・XBR-M86-C2 BLASH・XBR-M86b

ティターンズの次世代主力機用の主兵装として開発されたビーム・ライフルで、RX-178 ガンダムMk-Ⅱと同タイプのモデル。Eパック式で、出力調整用のセレクター、腰部ラックに懸架するためのラッチなどを備える。のちにガンダムMk-㈼とともに正式仕様(XBR-M-86-C2)がアナハイム・エレクトロニクス社にわたり、グリプス戦後もその量産モデルが長く使用され続けた。

MSのメガ粒子砲であるビーム・ライフルは、エネルギーCAP技術の確立によって開発された。一年戦争時に誕生したビーム・ライフルは確かに絶大な威力を有していたが、エネルギーCAPを内蔵していたこともあり、打ち切ってしまうと母艦や基地に戻り再チャージする必要があった。
しかし、戦後、エネルギーCAPを外装化した「Eパック」が実用化されると運用性は大きく向上した。このEパックは、歩兵が装備する自動小銃用の箱型弾倉のようなもので、機体やシールドに設けられたハードポイントに取り付けて出撃、戦闘中に交換することで、再チャージをすることなく継戦が可能となる。

●センサー

ビーム・ライフルに取り付けるオプション機器のひとつ。基本的には命中率を向上させるために装備されるが、使用法によっては索敵などにも使用可能である。このタイプのセンサーは、地球連邦軍のほとんどの武器に取り付けが可能な汎用タイプとして設計されている。機体のセンサーと連動しているため、使用時には必ずしものぞき込む必要はない。

●Eパック

縮退寸前のミノフスキー粒子を充填したエネルギーCAPを脱着式にしたもの。携行性が高く、予備のEパックに交換することで、射撃の継続が可能となる。ふたつのEパックを接続したタイプなども存在し、こうしたモデルはマニピュレーターで180度回転させて付け替える。

●XBR-M84a

「コロニー内での反連邦勢力の鎮圧」などを任務のひとつとするティターンズ機で使用されるため、敵基地内や市街地等の狭所での取り回しを考慮しショートバレル化した仕様。機関部とショートバレル、連結したEパックというシンプルな形状が特徴で、本仕様をベースとしてパーツを組み替えることで、様々なモデルへと発展した。

特にRGM-79Q ジム・クゥエルやRX-121 ガンダムTR-1[ヘイズル]などが装備した。

それらの各仕様はT3部隊で運用実験が行われた。

●スナイパー仕様

狙撃任務に特化した仕様で、銃身をロング・バレル化することで収束率と射程を向上させている。後端部に接続したストックは、射撃時にビーム・ライフルの固定を補佐することに加え、アンプリファイ機能の内蔵により、ビームの出力を増幅させる。ジム・スナイパーⅢの主兵装である。

●バイポッド

オプション機器のひとつで、主にロング・バレルの下部に取り付けて使用する。センサーと同じく地球連邦軍の火器であれば汎用的に使用可能である。

●強化モデル

戦後、エゥーゴに接収された秘密衛星要塞基地「SSD」に残された実験データをベースに開発された強化発展モデル。運用試験は、同基地に配備されていた機体で行われている。

また後年、本モデルと似たモデルをRGM-89 ジェガンが装備している。細部の形状こそ異なるが、機関部を中心にオプションを装着する点や、Eパック式である点など、共通項も多くみられる。

こうした点からも、「XBR-M」シリーズが確かな基本設計と高い信頼性を有していたことがわかる。その陰にはT3部隊での試験の積み重ねが生きているといえよう。

●ロング・ヒート・バレル

スナイパー仕様の発展型で、遠距離、近距離の双方への対抗を目的として開発された。ロング・バレルとストックで構成されており、前者は延長バレルという機能だけではなく、下部に装備したヒート・ブレードで近接格闘戦にも対応する。格闘戦時には、ヒート・ブレードが展開、銃剣として使用するほか、銃身の長さを生かして槍としても運用できる。後者のストックは下部に接続用のラッチを備えており、射撃時にMSの肩に固定、輸送時のベロウズ・フレームやドラム・フレームへの接続が可能となっているほか、この部分を介して本体から動力を供給することもできる。

また、[フルドド]の構成パーツのひとつでもあり、ロング・バレルとストックを接続することで、同機のキャノンのバレルとしても使用できる。これは、アンプリファイ機能を有しているためであり、組み合わせによって様々に運用できるシステム・ウエポンの特徴を示してもいる。

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