『ウルフェス2016』に伝説の科学特捜隊メンバーが集結!奇跡の一夜「レジェンドナイト」レポート!!
ウルトラマンシリーズはテレビ放送開始から今年で50年。その歴史の第一歩が、ご存じ『ウルトラマン』でした。
2016年8月26日(金)、この『ウルトラマン』に登場する防衛チーム“科学特捜隊”のメンバーが、『ウルトラマンフェスティバル2016』に大集結! ウルトラマン=ハヤタ隊員役の黒部進さん、フジ・アキコ隊員役の桜井浩子さん、アラシ隊員役の毒蝮三太夫さん(当時の芸名は石井伊吉さん)、イデ隊員役の二瓶正也さん、ウルトラマンのスーツアクターを担当した古谷敏さん、飯島敏宏監督、そしてウルトラマンシリーズ最新作『ウルトラマンオーブ』のメイン監督を務める田口清隆監督によるスペシャルイベント「レジェンドナイト」が開催されました!!
イベントの直前に、科特隊メンバーの皆さんと古谷さんから、当時の思い出などについて、コメントをいただきました。
ウルトラマン=ハヤタ隊員役 黒部進さん:僕は、撮影が毎日過酷で、大変なことが多かったので、楽しいことというのはあまり思い出せないんです(笑)。しかし、あれから50年もたつというのに、今もこれだけ注目していただけるということは大変幸せです。来年もひとつよろしくお願いします(一同笑)。今日は本当にありがとうございます。
フジ・アキコ隊員役 桜井浩子さん:私は“紅一点”なんて言われますけど、現場でも女性扱いはされていませんでした(笑)。でも、ムラマツキャップ(演・小林昭二さん)中心によくまとまっていて、いいチームだったと思います。今日、キャップがいないのが残念ですが、こうしてみんなが集まれたことは嬉しいですね。
アラシ隊員役 毒蝮三太夫さん:今見ると、よくあれだけ動いて、飛んだり跳ねたりできたものだと思います。でも、当時は体に自信があったからできたんでしょうね。それと、テレビで放送されていた頃、僕が撮影で出かけていて家をあけている間に、子どもたちが家の前で「アラシー!」って叫んで呼んでいたということを、後で聞いたりしました。人気があったんだな、と感じましたね。
イデ隊員役 二瓶正也さん:あの頃、買ったばかりの車で撮影現場に行くのが楽しかった。他には、昼食前に食事のシーンを撮るとき、わざとNGを出してたくさん食べていたことなんかを覚えています(笑)。食べるのにも困っていた時代だったけど、楽しかったと思います。
ウルトラマン スーツアクター 古谷敏さん:僕はいつも、キャストの皆さんの撮影現場を覗いては、あのオレンジ色の隊員服をまぶしく思っていました。科特隊は青いジャケットを着ていることもありましたから、今日は同じ色のジャケットを着てきました。50年たった今、こうして科特隊の皆さんと一緒にイベントに出演させていただけることを、大変嬉しく思っています。
さて、イベントはウルトラ怪獣ロックバンド「ガラモーンズ」の演奏から始まり、楽しい雰囲気でトークショーへ。
トークショーでは、まず科特隊の4人と古谷さん、飯島監督が登場。
プライベートではずっとお付き合いがあるという皆さんですが、イベントなどで科特隊のメンバーが勢揃いするのは50年ぶりということで、客席だけでなくステージ上も大盛り上がり。毒蝮さんと二瓶さんが話しはじめると止まらなくなり、桜井さんが叱って止める……ということが何度も。こうしたかけ合いも、当時と全然変わっていないのだそうです。
そのトークの中から、撮影当時の楽しいお話をご紹介。
さて、「兎に角」と書いて「とにかく」と読むのですが、当時の二瓶さんは、脚本に書かれていたこの言葉が読めず、毒蝮さんに「これはなんて読むんですか?」と質問したそうです。すると毒蝮さんは、二瓶さんをからかって「そのまま、“うさぎにつの”って読むんだよ」と教え、二瓶さんはそのまま信じこみ、本番でもそう読んでしまったとか。もちろん、二瓶さんは監督に叱られてしまったのでした。
二瓶さんや飯島監督は「伊吉さん(毒蝮さん)のイジメだろう」と糾弾しましたが、毒蝮さんは「冗談で言っただけだよ!」と弁明。50年がすぎても、この話の決着はつかなそうです……。
さらに、ムラマツキャップを演じた故・小林昭二さんの思い出も。真面目な方だった、というエピソードが多い小林さんですが、二瓶さんが撮影の朝に挨拶すると、お酒の匂いがただよってくることもあったとか! それでも、撮影の間はキャップとしてしっかりと皆さんをまとめ、科特隊を引き締めてくれたそう。和気あいあいとした楽しい現場だったようです。
さらに、当時の撮影技術についての興味深いエピソードも。
飯島監督がメガフォンを取った第2話「侵略者を撃て」は、ウルトラマンシリーズの中でも超人気の宇宙人・バルタン星人が初登場したことで有名。また、第1話「ウルトラ作戦第一号」よりも先に撮影が行われたため、撮影順で言えば第1回目に当たる、ということも、ウルトラシリーズのファンにはご存じの方も多いはず。
桜井さんは、前作『ウルトラQ』にも出演されていましたが、他のレギュラー陣は何もかもが初めて。もちろん、スタッフの皆さんもまだまだ手探り。そのため、皆さんが「この演技は何のためにやるの?」と、スタッフからの要求を疑問に感じたことも多々あったそうです。
その中のひとつに、毒蝮さんが飯島監督から「アラシ隊員が地面に倒れるとき、持っているスーパーガンを動かさないように」と指示され、「そんな難しいことできない!」と、とても苦労した、ということが。
今回、50年ぶりにその理由を飯島監督にお聞きしたところ、スーパーガンの光線を後から合成するために必要な指示だったのだとか。光線は手書きで合成していた時代、銃が動いてしまうと、何コマ分も描かなければいけなくなり、少ない時間の中ではとても作業が追いつかなかったため、撮影現場で役者さんに気をつけてもらうよう、合成のスタッフから監督にお願いされていたのだそうです。当時は合成技術を説明するのも難しく、監督も今になってやっと分かりやすく説明できた、と話していました。
実は、ウルトラマンの“スペシウム光線”が、両手を交差したあのポーズなのも、これと同じ理由。光線のポーズ自体は、監督をはじめとした現場スタッフがその場で考えたそうですが、後の合成のことを踏まえて「手を安定して固定させられる」という理由で、あのポーズに決まったということです。そして、古谷さんがそのポーズを練習し、両手をピタッと固定するあの美しいポーズが完成!
スタッフの苦労と、古谷さんの名演によりできあがったスペシウム光線。これからもウルトラマンの代名詞として、50年といわず100年、200年と語り継がれて欲しいですね!
そして、ウルトラマンシリーズの新たな1ページを作る最新作『ウルトラマンオーブ』の、メイン監督を務める田口清隆さんが登場。
田口監督は、子どもの頃から何度も『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』、『ウルトラQ』を繰り返し見ており、今でも制作中に行き詰まると『ウルトラマン』を見て考えることが多い、というほどの大ファンなのだとか。
田口監督いわく、「『オーブ』や『X』でも、皆さんがCGだと思っているところも、実は昔と同じ光学合成だったりするんです。予算の都合もあるので、そんなにCGをたくさん使ったりはできません。ミニチュアを使うことも多いですし、今でも50年前と変わっていない部分もたくさんあります。」とのこと。現在好評放送中の『オーブ』にも、50年前からの良き伝統が受け継がれているようです。
イベントの最後に、科特隊の皆さんから「『ウルトラマン』は最高の作品だと思っているけど、それに勝てるような作品をぜひ新しい世代に作ってもらいたい」と、田口監督へのエールがおくられ、50年分のバトンタッチ。
これから先も、最高のウルトラマンシリーズが続くことを願って応援し続けましょう!
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