「大都市に迫る 空想脅威展」好評開催中!六本木ヒルズでガメラの世界を堪能せよ!!

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文・写真●中村 哲(特撮ライター)、羽沢正人

第一作『ゴジラ』で本格的に確立され、日本文化の中でも時を越えて、独自に盛り上がりを見せている特撮映像作品。作品の劇中では、人々の平和を脅かす多数の巨大怪獣や怪人が続々と登場しました。日本特撮の歴史を辿る特別企画『大都市に迫る 空想脅威展』は、それら巨大怪獣や怪人と都市との関係を、実際の撮影で使用された多数のセットや模型とともに振り返る展示です。

 

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本展示は、六本木ヒルズの52階にある、六本木ヒルズ展望台の東京シティビュー(スカイラウンジ)を会場に、2016年9月24日(土)~11月13日(日)までの期間限定で、現在、好評開催中です。

 

なお、本文とキャプション内の平成ガメラ3部作の表記は、下記に省略させていただきました。『ガメラ 大怪獣空中決戦』(95年)⇒『G1』、『ガメラ2 レギオン襲来』(96年)⇒『G2』、『ガメラ3 邪神<イリス>覚醒』(99年)⇒『G3』。

 

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▲『ガメラ 大怪獣空中決戦』
(C)1995 KADOKAWA・NH
※この画像設定の展示はありません。イメージです。

 

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『大都市に迫る 空想脅威展』では、各ブースに分けられた、展示模型、展示パネル、撮影コーナーなど、多彩な内容によって存分に来場者を楽しませる趣向が用意されています。主な見どころは、映画やテレビドラマでの空想脅威を描いた各作品を年代別に詳細に紹介する「空想脅威年表」、ゴジラと並んで日本の怪獣を代表する大怪獣ガメラの世界観を多数の製作資料で振り返る「ガメラ登場!」、1/1000の縮尺の、新宿の街並みを巨大怪獣になったつもりで見下ろせる「怪獣体験ができる!」、一般非公開の1/1000スケールの巨大な東京のジオラマを怪獣の視線で堪能できる「怪獣の目線になれる!」の、4つのコーナーとなります。

 

さらに「ガメラ登場!」のコーナーでは、『G2』における関東近県を舞台とした自衛隊と巨大レギオンの戦闘を、「序」、「発端」、「侵攻」、「絶対防衛線」に分け、2016年の設定で緊急シュミレーションした企画展示「最終防衛線」は、ミリタリーファンならば絶対に見逃せません。

 

なお、会場内は写真撮影がフリーであり、実際の撮影に使用されたミニチュアセットや怪獣の着ぐるみとの撮影ができるフォトスポットが、3カ所用意されています。

 

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▲展示会場で最初に目に入ってくるのは、壊された東京タワーのジオラマ。大展望台の位置に巣を作っていたギャオスを再現しています。『G1』での名場面の一つです。実際にこの東京タワーも製作当時、撮影に使用されたものです。

 

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▲空想脅威年表と題して、悪の組織の歴史が詳細に時代ごとに紹介されています。脅威は巨大怪獣だけではないのです。

 

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▲さりげなく展示されていた陸自のCH-47Jチヌークヘリ。『G2』に登場したのは言うまでもありません。

 

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▲前田真宏氏による『G1』、『G2』、『G3』の各ガメラのデザイン画。

 

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▲2005年ガメラ生誕40周年を記念して、第1作「大怪獣ガメラ」スタッフだった村瀬繼蔵氏が制作した昭和ガメラ。普段は角川大映スタジオにあり、一般に見られる機会は多くありません。

 

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▲『G3』撮影直後に原口智生氏を中心とした造形スタッフによって、限りなく当時の着ぐるみを再現すべく作られた展示用のガメラ。関係者しか入ることができない角川大映スタジオの食堂でイリスと対峙しています。

 

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▲これまで作られたガメラ作品のポスターがずらりと並び、シナリオや貴重な資料も合わせて目にすることができます。

 

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▲このイベントのために作られた15分間のシミュレーション映像は必見です!

 

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▲着ぐるみと同じ型から抜かれて制作された『G1』、『G2』、『G3』の各ガメラのレプリカヘッド。

 

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▲東京の各名所を破壊した様々なウルトラシリーズの怪獣たち。

 

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▲巨大怪獣の気持ちになってジオラマとともにモニターに映し出せる記念写真スポットもあります!

 

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▲1/1000スケールの東京ベイエリアを一望できるのはまさに圧巻! 近くで見ると、ビル一つ一つの窓をはじめ、細部もリアルに表現されていることがわかります。そして悪魔王ゼノンがそれらを見下ろす!!
(C)1972-2016 Go Nagai/Dynamic Production All Rights Reserved.

 

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▲巷で話題になっている豊洲新市場にガメラが出現!!

 

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▲7月に豊洲の劇場で見られたソルジャーレギオンが、角川大映スタジオからここ六本木にも登場。もちろん『G2』で使用された着ぐるみスーツです。

 

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▲角川大映スタジオ食堂でG3ガメラと向き合っているイリスも出展。これは実際に撮影で使用されたものを展示用に改修したもので、左右の胸が交互に点灯するギミックも健在です。

 

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▲『G1』で使用されたギャオス飛行タイプ(通称「飛びギャオス」)も展示。たくさんのソルジャーレギオンの上を飛行するシルエットが映し出される憎い演出です。

 

『大都市に迫る 空想脅威展』の出口から、フォトラウンジの先に進むと、ガメラやゴジラなどの古今東西の特撮関係の書籍を勢揃いさせたブックカフェがあります。ここではお気に入りのフードやドリンクを楽しんだり、特撮関係の書籍を手にとって読むことができるという、本展示に駆けつけた特撮ファンにとっては嬉しい趣向のカフェです。ちなみに、カフェメニューの提供時間は、11時00分から22時00分(ラストオーダー21時30分)までとなっており、現在、『大都市に迫る 空想脅威展』の特別コラボメニューも発売されています。

 

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▲ガメラ作品をはじめとする多数の書籍が用意され、自由に読むことができるスペースです。

 

『東京シティビューラウンジ』内のブックカフェラウンジでは、本展とガメラのコラボメニューを発売しています。1日限定20食の「ガメラバーガー」(1,280円・税込)は、シュー生地をメインの材料に使ってガメラの頭部や胴体、両手両足を表現。内部にはローストチキンやトマトサルサをサンドしており、一番下にはトマトで火炎を噴いて飛行しているさまを見事に表現しています。なお〝火を噴く辛さ〟のハラペーニョもアクセントになっており、食べ応えのあるバーガーとして完成されています。

 

また、「ガメラのグリーンスムージー」(800円・税込)は、美容と健康に良いとされるヘルシーなドリンクで、小松菜とバナナ、ミルクのほか、スーパーフードのチアシードも入っており、グラスの縁のパイナップルは、ガメラの甲羅に見立てた粋なデコレーションとなっています。

 

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▲ブックカフェラウンジでのコラボメニュー。ガメラバーガーはボリュームたっぷりなので満腹間違いなし! お子さま用には辛さを抑えたケチャップベースのアレンジもしてくれるそうです。ほどよい甘さのスムージーとの相性もバッチリです!!

 

本展示の開催を記念して、これまでさまざまな空想特撮映像作品で「空想脅威」を誕生させ、描写されてきた監督の方々をゲストスピーカーとしてお招きしたトークイベントが、同会場内のフォトラウンジにて開催。

 

その第1回として、10月22日(土)の20時00分からおこなわれた、平成ガメラ3部作の特技監督や『シン・ゴジラ』を監督された樋口真嗣氏と、株式会社KADOKAWAの代表取締役専務・井上伸一郎氏の両氏をゲストとして迎えた豪華なトークショーを、ここでは樋口氏のトークを中心にピックアップしてレポートします。

 

なおトークの司会は、本イベントの企画者であり、森ビル株式会社メディア企画部部長・矢部俊男氏が担当されました。

 

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司会:『大都市に迫る 空想脅威展』のトークイベントということで、さまざまなお話をお聞かせください。まず、樋口監督にお聞きしたいのは、『G2』で最終決戦地が足利に設定されましたが、その理由を。

 

樋口:『G1』では、福岡ドームに始まり、木曽山中での戦いを挟んで、クライマックスでは東京の街中での怪獣対決を描きました。そもそも脚本の伊藤(和典)さんの初稿シナリオでは、隅田川のリバーシティをギャオスの巣として予定していましたが、ロケハンしてたら地元から撮影もままならないと反対されて、他にないかとさまよううちに東京だったら東京タワーだろう、と。

 

井上:東宝の『ゴジラ×メガギラス G消滅作戦』(00年)でも、反対を受けて丸いのがついているビルの破壊ができませんでしたね(笑)。

 

樋口:そうですね。それで、ギャオスの巣の場所が東京タワーに変更され、その後のガメラとギャオスの戦いは、東京タワーから秋葉原を経て、浅草の浅草寺を決戦の舞台にしようと思っていたのですが、ロケハンに行った金子(修介)監督が東京らしくないと難色を示したので、最終的に麻布十番になったんです。そういうことで、東京の街の破壊はだいたいやり尽くしちゃったので、2作目では変化を付けた場所でと考えていました。当時、作品のキャンペーンに行くと、郊外の〝イオンモール〟や〝ららぽーと〟の中にシネコンが入っていて、その周辺には大きな国道と靴の流通センターなどがあり、それらは日本のどこにでもある、多くの方々の原風景だと思ったんです。そういうこともあって、『ガメラ2』では足利を最終決戦場に選んだんです。

 

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司会:続いて、どんな気持ちで街を壊しているのかお聞かせください。

 

樋口:逆に、司会の矢部さんはどうなんですか?(笑)

 

司会:自分は森ビルの会社で壊しているというか、〝既存との戦い〟ですね。時には自分でも何をやっているのか、わけがわからなくなることがありますけれども、そうではない〝既存の概念〟みたいなものと戦いたいなと街の中で思ったり……。ですから頭の中に、悪の組織とハードが妄想で一緒に入っているのかもしれません。

 

樋口:悪の組織も、意外と本人たちは悪いことをしていないと思っていますからね。こっちのほうが正しいというか、正論を言っているんですよ。悪の組織はコツコツと積み上げて、計画的にやっている場合が多いんですよ。

 

井上:『仮面ライダー』(71年~)のショッカーの組織は、途中で首領がショッカーに見切りをつけて、南米から自分が呼んできた秘密結社ゲルダムと合併させ、名前もゲルショッカーにして、要はM&A(企業の合併買収)をしているんですよ(笑)。それから『ロボット刑事』(73年)のバドーは、犯罪組織として悪いロボットをたくさん作って、悪人に貸して犯罪を起こさせて世界征服の資金調達をする。悪のレンタル屋さんですね。

 

司会:話を元に戻しまして、映画の中の街の破壊も、協力的なところもあれば、非協力的なところもありますよね。

 

樋口:『G2』の札幌では、すすきの地区の四つ角の三箇所とその並びに、四大酒造メーカーの看板がありまして、ミニチュアでの撮影に当たっては、「看板を代えろ!」と文句が来るのかと思っていたら、お酒の会社はそれぞれが看板を大事にしてるように見えるのに、どこからも文句はなかったですね。逆に唯一、レギオンの草体が巣を作る「ロビンソン」という百貨店のビルだけが「ダメです」と言ってこられました。ビルの屋上から巨大な花が開いて、けっこうめでたいんですけどね(笑)。

 

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司会:今後、壊したい街はどこですか?

 

樋口:それはロケハンした時に、食べ物が美味しいところが良いですね(笑)。だから札幌や博多が餌食になったんですね(笑)。

 

司会:今や話題の、豊洲の新市場はいかがですか?

 

樋口:あそこは全然面白くないですね。計画的に作られたところは、壊しても気持ちよくないんです。実は壊してみたい建物はありまして、木造建築をちゃんと壊してみたいですね。『シン・ゴジラ』(16年)で残念だったのは、日本民家の瓦が崩れるカットがあるんですが、ミニチュアを作るよりも本物を壊すほうが全然安いだろうと、本物の瓦を敷き詰めてフォークリフトで「ガン!」と、落としてやったんですが、ホンモノは想像以上に丈夫で崩れなかったんです。結局、このシーンはCGを使って処理しました。

 

司会:再び、今後壊したい街は?(笑)。

 

樋口:そうですねえ、あれだけやらせていただいたので満ちたりちゃっているんですよ(笑)。そうそう、知らない間に大阪駅のそばの梅田の周辺が変わっちゃっていて、ちゃんと見てはいないんですが、大阪には大きな鉱脈がありそうです。

 

司会:わかりました。大阪の梅田ということですね! 自分としては、4年後の東京オリンピックの先取りで、渋谷駅の周辺も良いのかなと思いますが…。

 

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司会:引き続き、『シン・ゴジラ』と東京とのテーマで、ゴジラとガメラでは東京の街の破壊に当たって、それぞれ注意していることがありますか?

 

樋口:ガメラは正義の怪獣ですからね。敵怪獣との戦いで攻撃をしますが、流れ弾がビルに当たってしまい、壊すつもりはなくとも壊してしまっていますね。

 

井上:『G3』では、渋谷の街は全滅しましたね(笑)。

 

司会:『シン・ゴジラ』での街の破壊については、いろいろと議論されたと思いますが…。

 

樋口:ひとつ、ゴジラが通過する黄金のコースがあったんです。最終的な活動を停止する地点に行くまでのプロセスで、これが一番良いだろうというのがありました。都心のヒルズ、ミッドタウン、泉ガーデンタワーが全部、同一線上に並ぶコースがあったんですが、その線上に一つだけ邪魔な物件がありまして。それも飯倉と六本木の間に。これをゴジラが壊してしまうと、その後のドラマの展開が……。

 

司会:そうでしたか、あれは弊社のテナントさんなんです(笑)。

 

樋口:「これが壊されると、いろいろと辻褄が合わなくなります」となって。ゴジラの吐く熱線で都心の多数のビルが破壊されますが、そういう理由もあって、劇中ではこの周辺はこれといってゴジラの被害を受けずに助かっているんです。こんなに壊し甲斐のある建物だらけなのに(笑)。

 

司会:『シン・ゴジラ』では、ゴジラの最初の破壊地が蒲田ですよね。何で蒲田だったんですか?

 

樋口:最初はもうちょっと素直に羽田空港のD滑走路を壊して、そのまま京浜運河を経由して品川に行くつもりだったんです。でも、京浜運河は護岸工事がキチンとできているウォーターフロントの感じに仕上がっていて、ちっとも面白くなかったんですよ。何かこれ違うよねということで、それでウロウロしていくうちに呑川を見つけて。まあ、それもロケハン終わりに蒲田で呑みたかっただけなんですけどね(笑)。

 

司会:そういえば、全然関係のないおじさんから許可をもらったそうですね。

 

樋口:ええ。ロケをしていたら、いろんな人から「誰に許可とっているの?」と言われて、「ちゃんと警察や区の許可をとっていますよ」と説明していたら、「俺の許可をとっていない」と、何者かわからない知らないおじさんから言われました(笑)。

 

この後、トークショーの参加者による質疑応答がおこなわれ、バラエティ豊かな質問が樋口監督に寄せられました。今回、樋口監督が語られた貴重なエピソードの数々は、会場に詰め掛けた多数の特撮ファンを満足させる内容のトークショーとなりました。

 

なお、第1回の樋口真嗣氏のトークに続く、第2回のトークは10月28日(金)の20時00分から、ゲストにはアニメーション映画監督の神山健治氏。第3回のトークは10月31日(月)の20時00分から、ゲストに平成ガメラ3部作を手掛けた映画監督の金子修介氏を、それぞれ会場にお呼びしてのトークショーが予定されています。こちらもぜひご期待ください。

 

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▲展示会場の柱にある樋口監督のサインも見逃さないようにしましょう!

 

DATA

空想脅威展

  • 開催期間:2016年9月24日(土)~11月13日(日)
  • 時間:10:00〜22:00(最終入館21:30) ※10/20(木)は10:00〜18:00(最終入館17:00)
  • 料金:一般1,800円、学生1,200円、こども600円、シニア1,500円
  • 問合せ先:03-6406-6652

 

関連情報

 

(C)KADOKAWA 日本テレビ 博報堂DYメディアパートナーズ/1995

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