好調続く玩具業界 2018年のキーワードは“グローバル”「DX超合金魂 コン・バトラーV」など受賞の日本おもちゃ大賞2018発表授賞式レポート

2018年6月5日(火)、東京国際フォーラムにて東京おもちゃショー2018記者発表会&日本おもちゃ大賞2018発表授賞式が行われました。本稿では、そのレポートをお届けしていきます。

 

 

 

東京おもちゃショー2018記者発表会

まずは、6月7日(木)から10日(日)にかけて東京ビッグサイトを会場に催される、東京おもちゃショー2018の記者発表会から。はじめに一般社団法人 日本玩具協会の会長・富山幹太郎さんから挨拶があり、玩具の国内市場規模が4年連続で8,000億円を超え、好調が続いていることや、2017年度の商品動向について振り返りました。

▲一般社団法人 日本玩具協会 会長 富山幹太郎さん

 

同協会見本市委員会委員長の戸所正信さんからは、東京おもちゃショー2018の概要が説明されました。

▲日本玩具協会 見本市委員会 委員長 戸所正信さん

 

過去の入場者推移に触れつつ、2018年の動員数目標を発表した後は、昨年は開催できなかった各種ステージイベントを復活させることや、スムーズな移動を確保する動線などのホールプランについて説明がありました。

 

同協会見本市委員会専門委員の伊吹文昭さんからは、近年の業界トレンドについてより詳しい発表がありました。

▲日本玩具協会 見本市委員会 専門委員 伊吹文昭さん

 

2017年度は大きなシェアを持つトレーディングカードゲームが前年比83.8%と苦戦したものの、8,000億円の市場規模を維持できた最大の要因は女児向け玩具の好調にあるとのこと。「リカちゃん」の売り上げが3年連続で大きく伸び、新製品の「レミン&ソラン」が加わったことで盛り上がった抱き人形&お世話人形や、「ぷにジェル」「ウーニーズ」などの女児向けホビー商品もヒットしたと情報を整理。雑貨ジャンルの「びっくら?たまご」では他業界を開拓したことや、他業界企業とのコラボアパレル商材も売り上げが伸びたそうです。

 

そんな背景を受け、東京おもちゃショー2018はキーワードに「グローバル」を掲げ、業界が注目する「サプライズトイ」が会場に集合するとのことです。謎の毛玉が驚きの変化をする「WHO are YOU?」や、「うまれて!ウーモ」が世界で大ヒットしていることを挙げつつ、日本発のおもちゃでも世界60の国と地域で販売されている「シルバニアファミリー」や、同じく70の国と地域で販売されている「ベイブレード」、30の国と地域で販売されている「ナノブロック」など、世界的に影響力のあるシリーズの最新商品に期待が寄せられていると発表されました。

 

そのほか、新しい技術やアイデアが盛り込まれた最先端おもちゃに、成長を続ける女の子向けジャンルでは「ヘアアレンジ遊び」「メイキング」「変身」などをキーワードにした新商品、一方の男の子向けでは「復活」「シリーズ初」をキーワードとする大型IPが登場。知育玩具では、2020年より必修化される小学校のプログラミング授業を見据えた「STEM(ステム)」に注目が集まっているといいます。ゲームカテゴリーでは「野球盤」「人生ゲーム」など周年を迎えたロングセラーゲームの新商品、「究極の逸品」という言葉がふさわしいハイターゲット向けアイテムなど、各ジャンルの玩具を表すキーワードを発表していきました。

 

 

日本おもちゃ大賞2018発表授賞式

ここからは、日本おもちゃ大賞2018の発表授賞式に切り替わります。審査会の様子を収めたVTRを上映した後は、日本おもちゃ大賞 実行委員会委員長の奥山嚴さんが登壇しました。奥山さんからは審査基準やフローについて説明があり、いよいよ各部門の大賞が発表されます。

▲日本玩具協会 日本おもちゃ大賞実行委員会 委員長 奥山嚴さん

 

ボーイズ・トイ部門では、エポック社の「野球盤3Dエース モンスターコントロール」が大賞を受賞。9カ所に投げ分けができる「3Dコントロールピッチング機能」や投球コースの球速が表示できる「スピードガン電光掲示板」、高低の打ち分けができる「3Dスラッガー機能」など、勝負の駆け引きを盛り上げる工夫が評価につながりました。

 

ガールズ・トイ部門では、セガトイズの「しゅわボム カップケーキベーシックセット」が大賞に。スイーツ型のバスボムを手作りできるという商品ですが、バスボムに含まれているアレルゲン・卵白を使用しない新素材の開発から始めたとのこと。小学生からの「癒やされたい」という声の多さに驚き、お風呂でゆったり癒やされるようなアイテムとして何度も検証を重ねたそうです。

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エデュケーショナル・トイ部門大賞は、学研ステイフルの「カードでピピッと はじめてのプログラミングカー」。パソコンを介さず、命令を入力可能な10種類のカードで車を走らせるおもちゃとなっています。前進・右折・左折・ヘッドライトやハザードの点灯など、なんと50個までの命令を書き込むことが可能で、ルーチンを構築する概念を楽しく簡単に学べるようになっています。

 

障がいを持つ子、そうでない子もともに楽しめる点が審査基準となる共遊玩具部門では、タカラトミーの「トミカ4D」が大賞を受賞。ルーフ部分を長押しすることで、エンジンの駆動感を再現した振動がスタート。待機中のエンジン音が鳴るほか、タイヤの回転に合わせて走行音や、ランダムでクラクションの鳴る音が流れます。これらの臨場感を味わえるギミックを盛り込みながら、従来のトミカと同じサイズに仕上がっている点も特徴的です。

 

コミュニケーション・トイ部門では、50周年を迎えるタカラトミーの「人生ゲーム タイムスリップ」が大賞を受賞。50周年にちなんで1968年にタイムスリップしたり、50年後の未来を想像した内容となっています。過去に実在した建物や話題がゲーム中に盛り込まれていて、親子でのコミュニケーションを楽しみながら遊べるのが特徴です。

 

ハイターゲット・トイ部門では、BANDAI SPIRITS(バンダイスピリッツ)の「DX超合金魂 超電磁ロボ コン・バトラーV」が大賞に。作中の合体機構を完全再現しているだけでなく、音声が鳴る仕組みやパッケージにもこだわり抜いたアイテムとなっています。受賞者コメントでは、全く新しい合体コンセプトのもと生み出されたコン・バトラーVの背景について言及され、2017年に亡くなられた玩具デザイナー・加藤大志さんを始めとする、多くのスタッフの魂が込められたアイテムであると力説されました。

 

最後のイノベイティブ・トイ部門では、タカラトミーアーツの「おせっかいなスマート貯金箱 バンクワン 100円玉専用/バンクニャン 500円玉専用」が大賞を受賞。おせっかいなおしゃべりで貯金を促したり、Wi-Fi接続環境でその日のニュースや天気を教えてくれるなど、いわゆる「IoT」が活用された貯金箱となっています。「スマートスピーカーが意志を持ったらどうなるか?」という企画コンセプトのもと開発され、本当に生きているかのような動きとおしゃべりが楽しめる点が評価されました。

 

各大賞の発表が終わった後、前年度ヒット・セールス賞に「変身ベルト DXビルドドライバー」、特別賞に「アンパンマンシリーズ」が贈られました。

 

最後に、日本おもちゃ大賞2018 審査委員長の北原照久さんが総評するなか、最終決定となる3次審査は甲乙つけがたい場面が多く、僅差となったものも少なくなかったことが明かされました。各メーカー担当者による熱意が込められたプレゼンについて回想し、その情熱や努力、進化を感じたとエールを贈り、式を締めくくりました。

▲日本おもちゃ大賞2018 審査委員長 北原照久さん

 

 

 

DATA

東京おもちゃショー2018

  • 開催日:2018年6月7日(木)~10日(日)
    【7・8日】商談見本市(バイヤーズデー)
    【9・10日】一般公開(パブリックデー)
  • 会場:東京ビッグサイト西1~4ホール

 

 

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