電脳世界が現実に? 「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」発表会レポート
映画『攻殻機動隊 新劇場版』の公開を記念したイベント『攻殻機動隊 REALIZE PROJECT』が6月12日に開催。『攻殻機動隊』で登場するさまざまなガジェットを本格的に再現するプロジェクトが発表されました。
同プロジェクトは、作品の舞台となる2029年が近づく今、日本を代表する企業や研究者、製作委員会が一体となって発足。作品世界での「電脳」「人工知能」「義体」「機械」「都市」といった設定を、現実世界での実現に向けたニュースや特集による情報発信、コンテスト・ハッカソンによる研究開発支援などを行っていきます。
実行委員長を務めるProduction I.G代表取締役の石川光久さんは、「2029年に近づけば近づくほど、原作者である士郎正宗さんの未来を見る目が本当にすごいと感じる」と絶賛。さらにプロジェクトの一例として、写真家の桐島ローランドさんが84台の一眼レフを駆使し、3Dスキャンデータを用いたアバターを作ることができる新技術「AVATTA(アバッタ)」を紹介。AVATTAで作成した3Dモデルにはアバターの衣装を変更したり、ポージングを自由に設定できます。
▲3D草薙素子のモデルは、カリスマコスプレイヤー・グラビアアイドルプロデューサーのうしじまいい肉さん、モデル・レースクイーンの有馬綾香さんが務めています。
さらにトークセッションでは、『攻殻機動隊 S.A.C.』の神山健治監督と、『攻殻機動隊 新劇場版』の脚本を手がけた冲方丁さんが登壇。「攻殻機動隊の世界はどこまで実現できているか?」をテーマに、慶應義塾大学の稲見昌彦教授、南澤孝太准教授とともに公開ブレストを実施。作中では電脳技術や人工知能が浸透している近未来が描かれており、神山監督は「脳が直接ネットワーク化するというのが電脳化の概念でしたが、今はスマホで複数の人と同時に会話するとかがリアルに起こっているわけで、僕はそれで電脳化の第一段階は完了したと思っています」と評価。
一方で、義体・ロボットの発達に伴う恐ろしさとして、「軍事転用とかの怖さより、ロボットたちに今まで自分たちがしていた仕事を奪われてしまう怖さに最近気づきました。」と、生々しいコメントも。
発表会ではそのほか、攻殻係数という独自アルゴリズムを用いて現実世界がどれだけ「攻殻」に近付いているのか可視化する企画や、独自取材や情報のキュレー ションなどを行う攻殻関連NEWSの配信、注目を集めた個人や団体などを表彰するthe AWARD事業など、様々な概要が判明しました。
「攻殻機動隊 新劇場版」は6月20日から全国公開。なお、プロジェクトの詳細や、ハッカソンの参加要項は、公式ホームページで発表予定なので、こちらもチェックしてみてくださいね。
▲こちらは会場内で実演されていた、電極を取り付けた腕と同じ動きを左側の手がトレースして動くガジェットです。応用次第では作中での「義体」に繋がりそうな技術ですね。
<関連情報>
「攻殻機動隊 REALIZE PROJECT」公式サイト
(C)攻殻機動隊 REALIZE PROJECT 2015