「イデオンはまともな神経じゃ作れなかった」富野監督が劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I』先行上映会に登場!

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去る2019年9月14日(土)、国立映画アーカイブ(東京都中央区)にて、劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I「行け!コア・ファイター」』の先行上映会がおこなわれました。

 

▲伝統の「ぴあフィルムフェスティバル」にて先行上映されることになった『ガンダム Gのレコンギスタ I「行け!コア・ファイター」』。

 

これは「第41回ぴあフィルムフェスティバル(PFF)」の招待作品部門として上映されるというもので、会場には富野監督の手によってあらたに生まれ変わった『Gのレコンギスタ』をいち早く観たいというファンが長蛇の列を作っていました。

 

▲トークショーに登壇した富野由悠季監督(右)とPFFディレクターの荒木啓子さん(左)。

 

さらに本編上映終了後、富野監督とPFFディレクターである荒木啓子さんが登壇してのトークショーが開演。開口一番「(フィルムフェスティバルに招かれて)とても驚いているし、あきれています。『Gのレコンギスタ』という巨大ロボットものがここで上映されるとは思っていなかった。呼ぶのが25年遅いよ」と富野節が炸裂し、観客の笑いを誘っていました。

 

そして、本イベントが常に日本映画業界に寄り添ってきたPFFということで、トークテーマは自然と映画論へ。「ガンダム3部作をやって実写映画からも声がかかると思ったけど、まったくなかったのでやっぱり世間はこういうものなんだなと思った。僕はルーカスより仕事をやっているかもしれないけれど、ルーカスより上だなんて誰もいってくれないもん。映画には恨みつらみしかない。ただ、恨みつらみがあったからやってこれた」と話す富野監督でしたが、自身の学生時代、虫プロ時代などを振り返りながら話していくうちに、話題は『伝説巨神イデオン』へ。

 

「ガンダムで成功した気分があったときに、イデオンという素っ頓狂なデザインを持ってこられて、これでやってくれといわれたわけです。それで困ったのが、自分にはガンダム以上の物語を作ることができないぞと。なので、それこそ作品と心中するつもりで作りました。これは“皆殺しの富野”につながる話で、作品の登場人物がぜんぶ死んじゃうって、作家としては一番やっちゃいけない手法なんですよ。(皆殺しをしたことで)これ以降作家として仕事をやっていけるか見えなくなった部分があったので、そういった意味でイデオンは“自殺感覚”がありましたね。これで最後だなと思っていました」と当時の心境を吐露しつつ、「こんなの(今の)俺には作れないもん。まともな神経だったら作れない」と振り返っていました。

 

▲「今度は自殺感覚なしでイデオン程度のものが作れたら、キューブリックに勝てるかもしれないという野心はあります(笑)」と語る富野監督。

 

トークショー後半では観客からの質問コーナーも実施。「近年見られるキャラクターありきの物語の製作方法についてどう思われますか?」という質問に対しては「正直あきれています。キャラクター学科なんてものを置いている学校もあると聞いて、本当にやめていただきたい。そういう教え方ではしょせんワンパターンにしかならない」とバッサリ。

 

また、子供から(劇中でラライアがチュチュミィを見て喜ぶシーンを指して)「どうして宇宙にいった人は、水を見ると薬になるんですか?」という鋭い質問が飛ぶと、会場からは感嘆の声が。それに対して富野監督は「宇宙では水をそんなに自由に使えないんですよ、きっと。だからああいう水っぽいものを見ると、うれしいなとか、ホッとするとか感じるんじゃないかと思います。我々が地球上で当たり前に感じている『じっとりしてる』とか『しめっぽい』とか、そういうものは意外と気持ちいいんじゃないかと思いますね。宇宙にいったことがないのでこれ以上説明できませんが、おじさんはあのセリフがすごく気に入っています」と真摯に回答。

 

▲「『Gのレコンギスタ』に登場するMSはどうしてこれまでのガンダムやジムと違って丸っこいの?」という質問に対して、「デザイナーが違うからです」と富野監督らしいストレートな返答をする場面も。

 

最後は「希望としては来年か再来年までに完結させたい。というのは、僕の余命の問題がありますから(笑)。なんとか目の黒いうちに次期作までいきたい」と語り、予定時間を大幅にオーバーしたトークショーは終了。鳴りやまない拍手のなか、富野監督は会場を後にしました。

 

▲富野監督は「『Gのレコンギスタ』で世直しをしたいとも考えている。30年後、50年後にこの作品を見た子供たちが回答を出してくれるかもしれない」と未来へ向けて熱いメッセージを送っていました。

 

劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I「行け!コア・ファイター」』は2019年11月29日(金)より、全国23館にて2週間限定上映予定。ぜひとも劇場に足を運び、最新の富野監督ワールドを堪能しましょう!

 

作品情報

劇場版『ガンダム Gのレコンギスタ I「行け!コア・ファイター」』

  • 公開日:2019年11月29日(金)より2週間限定上映
  • 上映劇場:【東京】新宿ピカデリー/イオンシネマシアタス調布【神奈川】イオンシネマ港北ニュータウン【千葉】イオンシネマ幕張新都心【埼玉】MOVIXさいたま/イオンシネマ春日部【栃木】MOVIX宇都宮【新潟】イオンシネマ新潟南【宮城】MOVIX仙台【北海道】札幌シネマフロンティア【愛知】ミッドランドスクエアシネマ/イオンシネマ名古屋茶屋【三重】イオンシネマ津南【石川】イオンシネマ金沢フォーラス【大阪】なんばパークスシネマ【兵庫】神戸国際松竹【京都】イオンシネマ京都桂川【和歌山】イオンシネマ和歌山【岡山】イオンシネマ岡山【広島】イオンシネマ広島西風新都【香川】イオンシネマ綾川【徳島】イオンシネマ徳島【福岡】イオンシネマ福岡
  • 配給:バンダイナムコアーツ、サンライズ

 

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