『ウルトラマンフェスティバル2015』アフターレポート ハヤタ&ダン&フジ隊員登場! スペシャルレジェンドナイト
8月30日まで開催された『ウルトラマンフェスティバル2015』には、数多くの豪華なゲストが出演しましたが、今年のラストとなるイベント『スペシャルレジェンドナイト』では、『ウルトラマン』でハヤタ隊員=ウルトラマンを演じた黒部進さん、フジ・アキコ隊員を演じた桜井浩子さん、『ウルトラセブン』でモロボシ・ダン=ウルトラセブンを演じた森次晃嗣さんを招いたスペシャルトークショーが行われました!
イベントでは、撮影当時の思い出が語られました。『ウルトラマン』の科学特捜隊の制服は目にも鮮やかなオレンジ色でしたが、これは初のカラー作品であることから、「目立つ色を」と選ばれたのだそう。黒部さんは当時は少々恥ずかしく、『ウルトラセブン』でのウルトラ警備隊の制服はシックでうらやましかったとのこと。
そしてなんと、黒部さんと森次さんが、ファンの前で生変身を披露! この日は特別に、ウルトラマン&ハヤタと、ウルトラセブン&ダンが同時に並んでくれました。貴重なシーンを見ることができ、ファンからは大きな歓声と拍手が!
▲黒部さんと森次さんも、自分が変身した姿であるウルトラマンやウルトラセブンと並ぶ機会は少ないためか、感慨深げに握手。
さらに、シークレットゲストとして、数々のウルトラマンシリーズでメガフォンを取った飯島敏宏監督が登場! 飯島監督いえば、『ウルトラマン』の第2話「侵略者を撃て!」の監督として有名ですが、この回は超有名宇宙人であるバルタン星人が初登場した回でもあります。というわけで、飯島監督をエスコートして来たのは、そのバルタン星人!
飯島監督は、『ウルトラマン』を撮影していた頃、8ミリフィルムに本編の映像を写して家に持ち帰ったそうで、今回その貴重なフィルムを持参。他に、撮影当時から長く使用していたという、使い込まれた台本カバーも見せてくれました。
フィルムの中身は、飯島監督による『ウルトラマン』16話「科特隊宇宙へ」。バルタン星人(二代目)が登場する回で、ケースにもウルトラマンとバルタン星人の姿が。
まさに伝説級の方々のトークショーに加え、なかなかお目にかかれないレアな品々まで見ることができ、ファンにはサプライズだらけのイベントとなりました。
イベント前に行われた記者会見には、『ウルトラQ』で戸川一平を演じた西條康彦さんも登場。「飯島監督に会いに来ただけだったんだけどな(笑)」という西條さんも交えての、和やかな会見となりました。
――1966年から始まったウルトラマンシリーズも来年で50年。ウルフェスも今年で25回目となりました。出演者の皆さんは、これだけ愛されているシリーズに、どのような思いをお持ちでしょうか?
黒部:僕は、50周年まで生きていないと思っていたんです。幸い、健康で50周年を迎えることができ、感慨もひとしおです。それだけすばらしい作品を残すことができたのは、出演者の僕たちだけでなく、支えてくれたスタッフの皆さん、関係者の方々のお陰です。何と言ってもファンの方があっての作品ですから、大変感謝しております。
桜井:黒部さんに全部言われてしまいましたが(笑)、50周年というと、人間が0歳から50歳になったという大変な年月ですから、その時期にこうして皆さんとウルトラの仕事を一緒にできるということを、非常に嬉しく思っています。
森次:『ウルトラマン』が来年50周年ということは、『ウルトラセブン』は再来年が50周年ということになります。再来年までもつかな……? と、少々心配ですが(一同笑)、僕も元気に50周年を迎えたいと思っています。こんなに愛される作品になるとは思っていませんでしたが、『ウルトラQ』があって『ウルトラマン』があって『ウルトラセブン』があるわけですから、先輩たちが作ってきたものがいい流れになり、いい作品になったのだと思います。僕は店を開いているんですが、最近は中国など海外からのお客様も大変多いんです。それも、10代から20代の若いファンがとても多い。海外でも盛り上がっているのはありがたいことですね。
西條:『ウルトラQ』が円谷プロの第一作で、いろいろ苦労して作って、『ウルトラマン』や『ウルトラセブン』につなぐことができた。みんな元気でこれまでやってこられたのは、すばらしいことだと思います。これからもウルトラをよろしくお願いします。
飯島:僕は『ウルトラQ』から入ったんですが、いつも『ウルトラQ』から『ウルトラマン』に変わる時、『ウルトラQ』の終わりを撮っていて、これで終わりだと思っていたら、『ウルトラマン』でもやってくれと言われたんです。そして、『ウルトラマン』を撮り終わったら、『ウルトラセブン』の途中で声をかけてもらった。そういうことで、何だかんだで円谷プロに呼び戻してもらえて、ウルトラに関係してきたんです。そうやって、一番長い間、監督をやっていたのが僕でしょうね(笑)。まさかこんな歳になるまで関われるとは思っていませんでした。願わくば、ウルトラマンが永遠に続いていって欲しいですね。
――50年を経た今でも、子供から大人まで愛されているウルトラマンシリーズですが、その人気の理由は何だと思いますか? そして、『ウルトラマン』という作品は、何を伝えようとしていたと思いますか?
黒部:何を伝えたかったんでしょうね?(一同笑) 一作目の『ウルトラマン』というのは画期的な作品だと思っています。子供たちへ、思いやり・勇気・かっこよさなどの、“ヒーロー像”を植えつけたのがウルトラマンだったんじゃないでしょうか。彼(ウルトラマン)に、子供たちの抱くものが全て詰まっている。それが一番の要素だと思います。
桜井:『ウルトラマン』は、『ウルトラQ』を踏まえて、カラー映像になったり、作品としてブラッシュアップされていき、クリエイターの方たちやプロデューサーの方たちが「この方向だ」と確信したと思うんです。見ている方々にも、その“魂”のようなものが、知らず知らずのうちに伝わったんだと思います。クリエイターの方向性が正しかったんでしょうね。
森次:ウルトラマンがあってウルトラセブンという新しいヒーローが生まれたわけですが、50年前の子供たちには、『ウルトラセブン』は内容も分からず、ただミステリアスで怖いものだと感じたんじゃないかと思うんです。でも、ある程度の年齢になって見た時に、社会性などの奥深い部分が分かってくる……というのが、『ウルトラマン』と『ウルトラセブン』の違いだと思います。『ウルトラマン』は子供たちに対しても分かりやすいドラマで、大人になって見て新たな発見があるのが『ウルトラセブン』なんじゃないですかね。あと、何よりヒーローが格好いいですよね。誰が演じたのかは知りませんけど(一同笑)。
西條:『ウルトラQ』はモノクロで、暗い話も難しい話もあった。それが『ウルトラマン』ではカラーになって明るくなって、いろんな部分で変わった。これは、テレビ業界が変わったのと同じなんですよね。あの頃、オリンピックでカラーテレビが普及して、ウルトラもモノクロからカラーになって、ものすごく派手になった。ちょうどあの時代が、テレビ業界に自信がついた頃だったんだと思います。そういう、時代を反映した作品だというところが魅力なんでしょうね。
飯島:やっぱり、みんな夢中になって作っていたんです。テレビ映画を初めて作って、カラー化も初めて……と、初めてづくしで、スタッフが一丸となって作った作品だから、愛され続けているんじゃないでしょうか。その中で何を伝えようとしたかと言えば、テーマソングにある通り、すべて“宇宙の平和”でしょうね。ウルトラマンシリーズは、どの作品もみんな、平和を願って作られていると思います。
――本日はお忙しい中、ありがとうございました。
<プロフィール>
【黒部進】(くろべ・すすむ)
1939年10月22日生まれ。富山県出身。1966年『ウルトラマン』で、主人公のハヤタ隊員=ウルトラマンを演じ、国民的ヒーローに。以後、テレビドラマや時代劇などで活躍中。『ウルトラマンティガ』でレナ隊員を演じた吉本多香美は実娘。アートプロモーション所属。主な出演作:『ウルトラマン』、『ウルトラマンマックス』、『ウルトラマンメビウス』(テレビ)、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(映画)ほか。
【森次晃嗣】(もりつぐ・こうじ)
1943年3月15日生まれ。北海道出身。1967年『ウルトラセブン』のモロボシ・ダン=ウルトラセブン役を好演し、現在までウルトラセブンを演じ続けている。俳優業のかたわら、神奈川県藤沢市でカフェレストラン「ジョリー・シャポー」を経営、シャンソンライブなども行なっている。オスカープロモーション所属。主な出演作:『ウルトラセブン』、『銭形平次』、『仮面ライダー剣』、『ウルトラマンマックス』(テレビ)、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(映画)ほか。
【桜井浩子】(さくらい・ひろこ)
1946年3月4日生まれ。東京都出身。1961年、オール東宝ニュー・タレント1期生となる。1966年『ウルトラQ』に、カメラマン・江戸川由利子役で出演。続く『ウルトラマン』では、科学特捜隊の紅一点であるフジ・アキコ隊員を好演。現在にいたるまでの特撮ヒロインの先駆けとなった。現在はコーディネーターとして円谷プロダクションに所属。主な出演作:『ウルトラQ』、『ウルトラマン』、『ウルトラマンマックス』(テレビ)ほか。
【飯島敏宏】(いいじま・としひろ)
1932年9月3日生まれ。東京都出身。1965年、円谷プロ最初のテレビ作品である『ウルトラQ』の監督を担当。その後も、『ウルトラマン』『ウルトラセブン』など、歴代ウルトラシリーズを数多く手がけている。千束北男のペンネームで脚本も執筆しており、大人気キャラクターとなったバルタン星人が登場する『ウルトラマン』第2話「侵略者を撃て」では、脚本と監督の双方を担当している。主な担当作:『ウルトラマン』、『ウルトラセブン』、『怪奇大作戦』(テレビ)、『ウルトラマンコスモス THE FIRST CONTACT』(映画)ほか。
【西條康彦】(さいじょう・やすひこ)
1939年2月20日生まれ。東京都出身。1966年『ウルトラQ』で、主人公・万城目淳の助手である戸川一平役を演じる。その後もウルトラマンシリーズや特撮作品に数多く出演し、近年では『大決戦!超ウルトラ8兄弟』にも出演している。主な出演作:『ウルトラQ』、『快獣ブースカ』、『ウルトラマンマックス』(テレビ)、『電送人間』、『大決戦!超ウルトラ8兄弟』(映画)ほか。
<関連情報>
円谷ステーション-ウルトラマン、円谷プロ公式サイト
ウルトラセブン
http://m-78.jp/ultraman-bd/ultraseven/
総天然色ウルトラQ