FA:G「スティレット」について、コトブキヤのプラモデル開発担当にお話を聞きました!

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コトブキヤが展開しているプラモデルシリーズ『フレームアームズ・ガール(以下、FA:G)』。大人気を博した「轟雷」に続くシリーズ第2弾「スティレット」の発売が間近に迫ってきました。

 

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▲「フレームアームズ・ガール スティレット」。

 

今回、電撃ホビーウェブでは、『FA:G』のキットの開発を担当しているコトブキヤの青木将利氏にインタビュー。プラモデルの開発とはどういう仕事なのか?  「スティレット」で改良された部分とは? 『FA:G』ファンのみならず、プラモデルファンにとってもかなり興味深い内容となっていますので、お見逃しなく!

 

■フレームアームズ・ガールを開発するお仕事

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▲青木将利氏。コトブキヤ所属。『フレームアームズ・ガール』の開発を担当している。

 

―― まずは基本的な質問から。青木さんのお仕事である「開発」とは?

 

青木: 原型師が製作した原型を、実際に「プラモデル」という商品に落としこんでいくのが、我々開発の仕事になります。

 

―― 「フレームアームズ・ガール(FA:G)」に関してはどのあたりから関わられたのでしょうか?

 

青木: 私は第2弾の「スティレット」以降のアイテムが担当となります。以前『ホイホイさん』シリーズに関わっていたという理由もありますね。

 

―― 以前もこういった「女の子のプラモデル」に関わられていたんですね。さて、実際の開発のお仕事で、大変な部分とはなんでしょう?

 

青木: 原型師が作った原型の魅力を製品に落とし込む際に生まれる、さまざまなせめぎ合いでしょうか。ユーザーの方は、彩色見本を見てご予約されるわけですから、当然それに近いものを作らなければならない。でも、それはプラモデルとしての組み立て易さ、パーツの大きさやパーツ数、価格、生産個数、発売時期……が許す中で、ということになります。そういった条件の中で、どこまでこだわるか……というバランスが難しいですね。

 

――  バランス、というと、例えば……?

 

青木: 「スティレット」の外装は、「轟雷」よりもずっと曲線が多いんです。曲線って、立体として捉えるのが難しいんですよね。例えば、脚です。金型用データにする際に原型を3Dスキャンしたところ、本来は複雑な起伏があるパーツなのに凄くシンプルな形になって戻ってきましたからね。

そういった部分は、こだわればこだわるだけブラッシュアップできますが、それが金型で生産できなかったり、無駄に分割が細かくなって作りづらくなったり、価格が跳ね上がってしまっては、商品としてはやっぱり駄目なんです。

 

―― なるほど。原型という一点モノを、大量生産のプラモデルの仕様に落とし込むのは大変なんですね。

 

青木: そうは言っても、外装のメカ部分に関しては、今までいろいろなキットで培ってきた経験がありますから特に問題はありません。しかし、女の子部分は気を使いますね。女の子らしいボディラインをどう再現するのか、とか、再現はできたけど今度はそれをどう金型に落としこむのか、とか、そういう部分が多いですね。

あとは中身の構造……可動部分などですね。どうしても体型が細くて小さいので、ちょっとした可動部分を入れるにしてもいろいろと気を使います。場所によってはコンマ何ミリ、という話になりますし。やっぱり一番大事なのはイラストをいかに再現するか、という部分だと思うのですが、可動の都合でスタイルを変えるわけにもいきませんから、タイトになるのは避けられませんね。

 

■「スティレット」について

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▲テストショットを組み上げたもの。タンポ印刷されたフェイスパーツなども準備万端で発売を待つばかり。

 

―― さて、もうすぐ発売となる「スティレット」ですが、下半身周りの構造が変更になったと聞きました。

 

青木: 変更というほど大きなものではありませんが、少々改良を施しました。以前「轟雷」を作ったときに、股関節のポリキャップ(PC)が削れてしまう、(設計で想定していたよりも)奥に入り込んでしまう、という声を頂戴しました。「スティレット」に関しては股関節のPCに加えて、ABS製パーツのパーツも同梱していますので、お好みで使い分けてもらえるようになりました。

合わせて、PCを使用した時に削れないように、モモパーツの受け部分の形を見直し、形状を修正しています。また、股間の軸パーツも少し肉厚を変更して、奥までPCが入り込まないようにしています。これは多分、ノギスで測らないと分からない部分ですけど(笑)。

やっぱり実際、製品としてリリースしてみてわかる部分というのはあるもので、そういう部分の改良を「スティレット」では行いました。

 

―― 微調整とはいえ、コスト面では結構大変そうな感じも受けますが。

 

青木: 金額というよりは、手間の部分が大きいですね。例えば先ほどのABS製の股関節パーツですが、関節がABS同士の接続になるので調整により時間がかかるんです。PCであれば軟質パーツになるので、渋みの調整はやりやすくはあります。

見えないところではありますが、こういうところをキチンとしていくことがメーカーとしてのコトブキヤのあり方と、考えています。

 

―― ほかに「轟雷」から進歩した部分というのはありますか?

 

青木: 「轟雷」の前腕はヒジ関節を左右から挟み込む構造だったのですが、今回は後から前腕を差し込めるような構造としています。これでかなり塗装仕上げがし易くなったかなと思いますね。残念ながらヒザ関節のほうは、強度と構造的な問題で挟み込む構造にはできなかったんですけど。

また、ここは原型段階での変更になりますが、スカート部分のパーツ構造が大きく変わっています。「轟雷」では一体の部品で成形されていたんですが「スティレット」ではサイド部分が分割・可動になって太モモの可動を妨げないように変更されました。足を上げたポーズがかなり自然に決まるようになりました。

 

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―― 結構、構造面でも変わっている部分は多いんですね。

 

青木: 後は、パンツの作り込みもアップしています。

 

―― パンツ?

 

青木: 具体的には、より“らしく”見えるよう、シワのディテールを造形しています。このあたりは特に、中国の工場に行った際も先方と綿密な打ち合わせをしましたので、ぜひお確かめいただければと思います(笑)。

 

―― さて、そんな「スティレット」ですが、今回は生産数が「轟雷」の約2倍とお伺いしました。

 

青木: いやー……まさかこんなことになるとは……という感じですが…。結構プレッシャーは感じますね。コトブキヤとしても類を見ない数字になっていますので、急ピッチで生産を進めてきました。

 

―― 実際、生産の時に一番大変なのはどこなんですか?

 

青木: 目のタンポ印刷ですね。少しズレても全然違う顔になってしまいますが、やっぱり印刷面が立体ですから、生産してる間に少しずつズレていくんですよ。で、プリントしては確認、修正……と。日産数が限られているので、生産個数が多ければそれだけ時間もかかりますから、それに合わせてスケジュールを組んだり、大変でした……。が、生産は順調ですので、10月初旬にはみなさまのお手元に製品をお届けできると思います。

 

 

■最後に

―― それでは最後に、『FA:G』ファンの皆様に一言お願いします。

 

青木: 今後のアイテムについても、今回の「スティレット」のように、いろいろと挑戦していきたいですね。また、現在予約受付中の「マテリア」(関連記事はこちら⇒『フレームアームズ・ガール』最新作は、素体をテーマにした「マテリア」が登場します!)は完全に素体としてお客さんに楽しんでいただけるアイテムとなっていますので、こちらもぜひ活用していただきまして、自分だけの『FA:G』を製作したいただければと思います。

 

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▲9月29日より受注開始となった「マテリア。」

 

青木: あと、現在『FA:G』作例コンテスト「フレームアームズ・ガール・ユニバース2015 –FAGU2015-」を募集中ですので、こちらにもぜひ、奮ってご応募いただければと思います。よろしくお願いいたします!

 

―― ありがとうございました。

 

 

<DATA>

フレームアームズ・ガール スティレット

■ノンスケールプラスチックキット

■全高:約150ミリ

■10月発売予定

■価格:4,800円(税抜)

■原型製作:清水 康智

■発売元: コトブキヤ

 

<関連情報>

コトブキヤ

http://www.kotobukiya.co.jp/

「フレームアームズ・ガール・ユニバース2015 –FAGU2015-」

http://www.kotobukiya.co.jp/page-49770/

 

(C)KOTOBUKIYA

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