『スター・ウォーズ』3.75フィギュア、37年の歴史を振り返る!【前編】誕生秘話~ブーム到来

更新日:2015年12月21日 12:11

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『スター・ウォーズ』のフィギュアといえば、1978年にケナーが発売し、後にハスブロに受け継がれた3.75インチ・サイズのフィギュアです。もちろん最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』も商品化されており、映画の公開に先駆けて続々とリリース中。そこで今回は、37年におよぶ3.75インチ・フィギュアの歴史を振り返ってみたいと思います。

 

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文/TAKUYA KUBO

■ライター:TAKUYA KUBO……電撃ホビーマガジンでは海外映画の関連グッズを紹介するコーナー「WORLD CHARACTER TOYS」を担当。『スター・ウォーズ』に造詣が深い。

 

<1978年~1985年>

1978年から1985年にかけて、ケナーは92種類のフィギュアを発売。ルークやベイダーのライトセーバーが伸長するなど、一部のフィギュアにはギミックが存在したが、基本的には直立姿勢で首、肩、足の付け根の5カ所のみが動き、アクセサリーが1点付属した。

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『スター・ウォーズ』の第1作目『エピソード4/新たなる希望』が米国で公開されたのは1977年。では、なぜフィギュアの発売開始が1978年かというと、単純に映画公開に間に合わなかったから。実は、当時の米トイ業界には映画のフィギュアは売れないという通説があり、大手メーカーはどこもルーカスフィルムのプレゼンテーションを却下してしまったのだ。

 

そんな中、唯一興味を示したのが大手シリアル・メーカーのジェネラルミルズの傘下にあった小さなトイ・メーカー、ケナーだった(当時のフィギュアには親会社の名が刻印されている)。だが、ケナーがルーカスフィルムと商品化契約を結んだのは、映画公開の1カ月前。公開期間中どころか、年末のクリスマス商戦ですら、フィギュアを発売することは絶望的だった。そこでケナーは、クリスマスにはフィギュア4体分の代金を支払った証明書と紙製のフィギュア用ディスプレイ、ステッカーをセットにした “アーリー・バード サーティフィケート パッケージ”という商品を発売する。

 

これは同封されている証明書をケナーに送ると、翌年の2月から6月の間にルーク、レイア、R2-D2、チューバッカのフィギュアが届くというものだったのだが、要するに現物はないが代金だけは先払いをさせるという、前代未聞の代物であった。当然ながら、この商品は大量の不良在庫と化したのだが、現在ではケナーによる最初の『スター・ウォーズ』フィギュアということで、プレミアム・アイテムになっているのだからわからない。

 

■3.75インチフィギュアの誕生の経緯とは

ところで、当時のアクション・フィギュアは12インチと8インチが主流で、監督のジョージ・ルーカスやプロデューサーのゲイリー・カーツは8インチでのフィギュア化を希望していた。だが、ケナーは『スター・ウォーズ』のフィギュアはビークルやプレイセットと共に遊んでこそ楽しいものであり、8インチではそれらのサイズが大きくなりすぎてしまい、現実的ではないと説得した経緯がある(フィギュアのみで遊ぶことを前提に、12インチ前後のラージ・フィギュアという商品は全12種発売された)。

 

では3.75インチという中途半端な数字がどこから出てきたかというと、スタッフがサイズを検討していた際、ひとりが「このぐらいのサイズでどうだい?」と親指と人差し指を開いたので、別のスタッフがその間を定規で図ってみたところ、その長さが3.75インチだったから。冗談のような理由だが、後にアクション・フィギュアの定番となるサイズのひとつは、このようにして決定された。

 

こうして1978年から本格的に発売を開始したケナーのフィギュアは、メイン・キャラクターのみならず、カンティーナにいたエイリアンを始めとするモブ・キャラクターたちまでも対象とした豊富なラインナップと、ユニークなギミックを満載にしたビークルやプレイセットがウケ、世界中で大ヒットしたのだ。

 

日本では『エピソード4/新たなる希望』は旧タカラ(現タカラトミー)から、『エピソード5/帝国の逆襲』はポピー、『エピソード6/ジェダイの帰還』と全作を対象とした『THE POWER OF THE FORCE』はツクダホビーからリリースされたのだが、ビークルとプレイセットはツクダホビーのみが発売した。

 

だが、『エピソード6/ジェダイの帰還』公開後にジョージ・ルーカスが映画シリーズの製作休止を宣言したうえ、メインのキャラクターやビークルを商品化しつくしたこともあり、翌年以降の商品企画を残しながら、ケナーは1985年にトイ・シリーズの継続を断念する。

 

 

 

<1995年~1998年>

1995年から1998年にかけて発売された『THE POWER OF THE FORCE』の3.75インチ・フィギュア。当初はベイダーのライトセーバーをイメージしたレッドとオレンジのカードだったが、『スター・ウォーズ』生誕20周年を記念してルークのライトセーバーをイメージしたグリーンに変更し、キャラクターの写真部分にゴールドのステッカーを追加(日本版はなし)。1998年に発売されたものには、フィルムを収めた「フリーズ・フレーム」が付けられた。

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それから10年後の1995年、『スター・ウォーズ』の3.75インチ・フィギュアは、大手玩具会社ハスブロの一部門となっていたケナーから突然の復活を果たす。というのも、この頃、それまでは子供のオモチャでしかなかったアクション・フィギュアをコレクション・アイテムとして収集する人々が増え始めた時期で、『スター・ウォーズ』はそういったファンを喜ばすには、最適なタイトルだと考えられたのだ。

 

■『スター・ウォーズ』ブームの火つけ役!?

シリーズ名は旧シリーズと同じく『THE POWER OF THE FORCE』。フィギュアは新造形で、当時流行だった筋肉を強調した逆三角形の体型にされていたが、ポーズや可動ポイントは同じ。ビークルは昔の商品を改良したものだった。

 

このシリーズは、昔からのコレクターはもちろん、初めて『スター・ウォーズ』のフィギュアに触れたファンも魅了し、映画公開時さながらの『スター・ウォーズ』人気を巻き起こした。また同時期にマクファーレン・トイズから、コレクターを対象にした初の商品といえるコミック『スポーン』のアクション・フィギュアが大ヒットしたことも追い風となり、世界中でアクション・フィギュア・ブームが巻き起こるきっかけとなった。

 

そして1997年には映画三部作の『特別篇』が公開され、新三部作の1作目となる『エピソード1/ファントム・メナス』の撮影もスタート。『スター・ウォーズ』の人気は不動のものになってゆく。なお国内では、ハスブロの日本支社であるハズブロージャパン(表記は当時)から発売された。

 

 

<1998年~1999年>

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1998年の『THE POWER OF THE FORCE』は『エピソード1/ファントム・メナス』にも登場するキャラクター、または関連するキャラクターをチョイスした。ちなみに、付属の「フラッシュバック・フォト・カード」は、下部のベロを引っ張ると『エピソード1/ファントム・メナス』のキャラクターの写真に変わるというものだ。

 

また1999年の同シリーズと『エピソード1/ファントム・メナス』のフィギュアには、ベースを兼ね、専用のリーダーにかざすと複数の劇中のセリフを聞くことができる「コムテック・チップ」が付属した。2000年に両シリーズは統合されて『THE POWER OF THE JEDI』となり、オマケはデータを掲載した「ジェダイ・フォース・ファイル」となる。

 

当初はアメコミ・キャラクターのようなマッチョな体型でリリースされた『THE POWER OF THE FORCE』だが、次第に実物に近いプロポーションに是正されてゆき、1998年には完全にリアルなものに変更、キャラクターによっては5カ所以上の可動ポイントやギミックが盛り込まれるようになる。中でも、『エピソード1/ファントム・メナス』のバトル・ドロイドには10カ所も可動ポイントが設けられ、劇中で見せた収納携帯への変形が可能になっているなど、キャラクターの魅力を最大限に生かすため、シリーズに共通する制限のようなものはなくなってゆく。これらは、国内では旧トミー(現タカラトミー)から発売された。

 


 

2002年公開『エピソード2/クローンの攻撃』から最新作『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』までの3.75インチフィギュアの移り変わりについては、後編でお届けしたいと思う。

 

※資料協力:STAR CASE

 

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