『スパイダーマン』以来の注目作。製作・主演のトビー・マグワイアが今度は天才チェスプレイヤーに!

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米ソ冷戦時代、チェスの世界では米ソの対決が繰り広げられ、ロシアが連戦連勝していたそうです。そんなディープな世界は初耳、という人も多いかもしれませんが、そこに一人の天才アメリカ人が現れソ連に戦いを挑みます。でも、その天才がとてつもない変人! ドラマチックな物語が展開します。その主演を務めるのが、あのトビー・マグワイア。製作も兼ねる力の入れようで、これはファンなら見逃せない1作です!
※一部解説にネタバレを含んでます。

 

 

文/百鬼
■ストーリー
米ソ冷戦真っ只中の1972年夏、アイスランド・レイキャビク。アメリカの若き天才チェス・マスターのボビーは、世界タイトル王者でソ連のスパスキーに第1局でなすすべもなく惨敗。第2局は会場に姿を現すことなく不戦敗となった……。その20年前。ボビーは幼くしてチェスの才能を開花させ、瞬く間にグランドマスターへと上り詰める。わずか15歳だった。しかし、天才過ぎるがため、ボビーには奇行も多く、1962年の世界大会では突如棄権を言い出して姿をくらませ、チェス引退をほのめかす始末だった。その後、弁護士ポールがボビーの代理人に就任。無料で代理人を引受けるというポールは、じつは打倒ソ連というアメリカ政府の意向によって現れたのだった。だが、そんなポールや政府の思惑をよそに、ボビーの奇行はとどまることを知らなかった……。

 

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■解説
実在した天才チェスマスター、ボビー・フィッシャーの半生が題材。米ソ冷戦下で、あらゆる物事を競い合っていた両陣営で、連敗記録を更新し続けてきたチェスにおいて、史上はじめてアメリカに勝利をもたらし、一時は英雄視さえされた。

 

しかし、政治の思惑などボビーには些事過ぎたためか、その後の人生では国家反逆罪(チェスを打ちたかっただけで!?)に問われてしまい、世界を放浪。2000年からは日本チェス協会の招きで日本の蒲田に数年間暮らし、最終的には因縁の土地アイスランド・レイキャビクに市民権を得、2008年に病で没するという波乱の人生を送ったらしい。このあたりのことは、劇中では特に触れられることもないけれど、エンドクレジットで実際のボビーの写真やその後のことが紹介されるという感じ。本編は、おもに1972年のレイキャビクでの世界大会をクライマックスとしたボビーの半生になっている。

 

ところで、チェスというゲームも、将棋や碁と同じく、基本的に“定石”みたいなものが存在する。しかし、ボビーは、まさに“何事にもとらわれない”自由な天才。そこで彼が編み出したのが、誰も想像すらしたことのなかった一手、それが“神の一手”だった……という感じ。だそうだが、当然、チェスのルールなんか、たいして知りもしない人にはちんぷんかんぷんな話だ。

 

しかし、まったくチェスのルールがわからなくても、本作を楽しめてしまうはず。例えるなら、麻雀漫画を麻雀のルールに詳しくなくても、なんとなく楽しめてしまう感じにも似ている。もともと、チェスは盤面上の戦争と呼ばれるし、本作でも宣伝文句的に言うならば、「第三次世界大戦が盤上で勃発」なのだ。そんな表現も納得できる、これは盤面を舞台にしたアクション映画とも言えるかもしれない。そのくらい、チェスのシーンは緊迫感に溢れていて、ルール無用で有利不利や勝ち負けがダイレクトに伝わってくるはず。 それもそのはず、本作のメガホンを取ったのは、『グローリー』『レジェンド・オブ・フォール/果てしなき想い』『ラストサムライ』などのエドワード・ズウィック監督。最新作にはトム・クルーズ主演の『アウトロー』の続編、バリバリのアクション映画も控えている。

 

チェスの場面はもちろん、クライマックスだし、見どころには違いないけれど、決してチェスのルールを知らなければならないという映画でもないので安心してほしい。それ以上に、奇行というか、かなり狂気に走るボビーの奇天烈なキャラを楽しむ映画なのだ。
この稀代の天才を演じるのは、我らが隣人“スパイディ”トビー・マグワイア。はっきり言って、『スパイダーマン』シリーズ以降、なかなかモノになる役に出会えてない感があったが、本作では製作も兼ねて、まさに代表作を目指して本気で臨んだというキャラ作りになっているぞ。

 

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ファッションにも注目。本編で描かれる50年代~70年代を完全再現。しかも、注目ポイントとしては、当時のソ連チームのファッション。資本主義世界のモードに左右されない無骨なまでの、いわゆる“共産主義的に完璧な”ファッションセンスも緻密に再現していたりするのだ。もちろん、舞台となるレイキャビクやアメリカの都市の姿も当時を再現しているぞ。

 

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王者スパスキーを演じるのは、リーヴ“セイバートゥース(ウルヴィZERO版)”シュレイバー。情緒不安定気味な主人公ボビーを相手に、常に王者の貫録を漂わせる絶対王者感を見せつける。国の威信を賭けて戦ってきたが、数多くの海外遠征で自由主義社会の気風に憧れる開明的な人物。無理難題を持ちかけるボビーに付き合い、さらには思いも寄らない“神の一手”に敗れるが、チェスの打ち手として惜しみない賞賛を贈る。ライバルキャラだけど、実はかなりいい人。

 

 

<DATA>
完全なるチェックメイト
監督:エドワード・ズウィック/製作:トビー・マグワイア、ほか
脚本:スティーヴン・ナイト
出演:トビー・マグワイア、ピーター・サースガード、リーヴ・シュレイバー、ほか
配給:GAGA
上映時間:115分
12月25日公開予定
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<関連情報>
映画『完全なるチェックメイト』公式サイト

 

(C) 2014 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved. Photo Credit: Tony Rivetti Jr.

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