HGUC 1/144 キュベレイをプロからアマまで言いたい放題! 【プラスチックキット クロスレビュー】(第3回)
「電撃ホビーウェブ プラスチックキット クロスレビュー」は、新発売のプラスチックキットを、プロモデラーのみならず、さまざまな立場の人がレビューするコーナーです。今回は、話題の新製品「HG 1/144 キュベレイ」をレビューします。
●今回のレビューキット
HGUC 1/144 キュベレイ 発売中 価格:1,944円(税込)
続々とリリースされるHGUC 新生-REVIVE-。キュベレイはその最新キットになります。洗練されたプロポーションはもちろんのこと、バインダーを接続するフレキシブルアームの広い可動域や、バインダー裏の細かいディテール、スリットの別パーツ化による色分け再現など、優れたキットになっています。
このキットを、レビュアーはどのように評価したのか? 早速ご覧いただきましょう!
■レビュアー紹介/★はレビュアーがこれまで当コーナーでレビューを書いた回数
プロモデラー田村和久:「これこそが新生-REVIVE-」(レビュー回数:★★★)
“部分塗装までを楽しむ永遠のルーキー” 外村克也 41歳(会社員)
「大型のMSというだけあって、ボリューム感たっぷり」(レビュー回数:★★★)
「ボディ後ろに刻まれている「LMES2」の文字など、細かいところがガンヲタ心をくすぐる」(レビュー回数:★★★)
「バインダーの設計なんて、「よく考えられてるなー」と感動しちゃうレベル」(レビュー回数:★★★)
“中学生のハイレベルモデラー” 六笠詩音 14歳(中学3年生)
「素組だけでも十分にかっこよく組むことが出来る」(レビュー回数:★★★)
“小学生のハイレベルモデラー” 畑めい 12歳(小学6年生)
「MGとのミキシングでも面白いものができそうですね♪」(レビュー回数:★★★)
■レビュアー01
プロモデラー田村和久
唯一無二の美しさを持つキュベレイ。一度はこのモビルスーツを作ってみたいと思い、以前のHGUC 004で発売されたキットを手に取ったのが約8年前です。難しい曲面のデザインが上手く立体化されていたものの、細部に目を向けると、肘関節、肩バインダー基部などはポリパーツが露出してしまっていました。
妥協のない完成を目指すとなると、これら関節部の対応から進めなければならず、道程の険しさから、いったん箱に戻し、クローゼットに仕舞い込んでしまったのです。
そして年月は流れ、今回の新規設計されたキュベレイが登場となりました。最新のキュベレイは、露出するポリパーツもなく、目に見える部分の可動軸は、通常のプラ製(スチロール樹脂)となっていて、容易に加工と塗装が行えます。また、全体に色分けと装甲裏のディティール再現を兼ねたパーツがあり、これらが格段にキットの完成度を引き上げています。
腰フロントアーマーに可動軸があることも、重要なポイントでしょう。このフロントアーマーの角度で、キュベレイは印象がかなり変わります。自分の理想位置に変更できることがすばらしい。
以前のHGUCキュベレイを組み立てた事がある自分にとって、全てが格段に進化した今作キットは、本当に衝撃的でした。「新生-REVIVE-」と名付けた意味を実感しています。
電撃ホビーマガジンにて、ガンプラを中心に、スクラッチをはじめとした数々の作例を発表してきたプロモデラー。
■レビュアー02
“部分塗装までを楽しむ永遠のルーキー” 外村克也 41歳(会社員)
ガンダムタイプではないガンプラを作ったのは久しぶりです。パーツ点数が多いこともあって、組みあがるまでに1時間56分かかりました。ガンダムタイプに慣れていたので、構造がまるで違うキュベレイに時間はかかったものの、最近のHGに準じた組みやすさで、途中で飽きることなく一気に組み立てられました。
キュベレイは腕や脚が太めなので、可動範囲が気になるところです。腕は直角に、ヒザは90度以上曲がります。頭部は首の付け根が引き出せるようになっているため、かなり上のほうまで向くことができます。そのため、飛行ポーズ(巡航形態)をムリなく再現できました。肩の羽は4枚とも独立して動かせるようになっています。
指のパーツは、親指とそれ以外の指の2つに分割されていますが、切り離すことで5本とも独立して可動させることができました。
色分けに関しては、装甲のピンクのラインは成型色にて再現されているので、ホイルシールを貼らなくてもかなり満足度の高い出来になっています。全体的に白く大きなパーツが多いので、装甲の裏側が見えてしまうのですが、肩の羽根、ヒザなどの要所にはグレーやピンクのパーツが裏側に配置されているので塗装しなくても気になりません。ボディ左肩の裏側には、「2LMES」という刻印があるなど細かいなと感じました。
大型のMSというだけあって、ボリューム感たっぷり。大きなモビルスーツは、HGだと相対的にパーツの密度が少なく、素組みでは物足りなく感じることがありましたが、キュベレイの場合は問題ありません。2回りほど小さなガンダムMK-2と並べておいても、違和感は感じられませんでした。曲線が多い機体ながら、肉厚もあって満足度の高いキットでした。
プラモ歴・作り込み度:小学校のころから30年ほど。素組み~部分塗装くらいまで。永遠のルーキーです!
レビュアー03
“ガンプラ世代の素組み派” 宮原徹 43歳(IT企業経営)
●組みやすさ
キットを見た時に「パーツが多いな」と感じたが、実際の制作時間は2時間半ほどで、かなりスムーズに組むことができた。肩のバインダーをはじめ、大きめのパーツが多いからパーツが多いように感じたのかもしれない。色分けのためのパーツのはめ込みが多いので、あまりゲート跡を気にせずにパチパチとパーツを切り出していっても大丈夫。ただし、白いパーツだけは表面がツヤツヤな分、そこだけゲート跡を気にして切り出した方が良いでしょう。
●可動
キュベレイの特徴である肩のバインダーが「グワッ!」と色んな方向に動かせるのが魅力でしょう。4枚のバインダーを個別に上方向へと開くのはもちろん、真下に下げた状態もOKです。肩も大きく回るし、膝のアーマーからつま先まで「お、ここも動くのか」というぐらい動くので、お好みのポーズで楽しめます。手先も、親指とその他の4本指を動かすことができますが、4本の指は切り離せば別々に動かすこともできるようです。可動部分を存分に楽しむにはアクションベース2が必須ですが、見た目がほとんど白なので、アクションベースも白か無色透明が欲しいところです。
●色分け
ピンクやパープル、鮮やかなブルーなど、キュベレイらしいカラーリングが楽しめます。はめ込むだけでこれだけの色分けが出来ているのは凄いかも。白いパーツの表面の光沢もグッドです。これだけ綺麗だと、むしろ墨入れなどせず、そのままの状態を楽しむのもアリかもしれませんね。
●総合
ザクっぽい動力パイプや、ボディ後ろに刻まれている「LMES2」の文字など、細かいところがガンヲタ心をくすぐります。見た目も派手なので、飾っておくにはピッタリではないでしょうか。美しい流線型が楽しめます。
プラモ歴と作り込み度:ガンプラブーム世代。ただし、あまりプラモ作りは得意ではない。PGやクリアバージョンなど、組み立てるだけでいいものを作って部屋に飾っている。
■レビュアー04
“バリバリ改造塗装派” 佐藤朋樹 32歳(フリーライター)
キュベレイ。これまた難しいMSですよね。立体化の度に「正解だ」「正解じゃない」と、ゼータプラス並みに論争の巻き起こる機体であると認識しています。
今回のREVIVE版は、ちょっとアオったアングルから見ると、にゅーっと横に長く設定画稿に似ていて、「これはひとつの正解だな」と思える素晴らしいキットです。
しかし、素晴らしいと思える反面、設定画に寄せたことに関して、ちょっと意外だなーと感じるのも事実です。というのも、以前に発売されたHGUC 004番のキュベレイも、設定画によく似ているんですよね。そこを踏まえると、今回はもっと、永野護氏がピンナップで描いた「あのキュベレイ」(あのキュベ)に寄せてくるものだと勝手に推測していました。
まあでも、アレンジを効かせて魅せるようなコンセプトのシリーズではないし、よく考えてみれば、それはないですよね……。
さて、話は脱線しましたが、キットレビューです。箱を空けてまず感じるのが、「あれ? キュベレイってこんなにパーツが多かったっけ?」ということ。これは、バインダー裏やアーマー裏など、行間を埋めるためのパーツが多く用意されているためで、組み上げるとミッシリとした“密度感”が感じられます。
可動も良好で、バインダーの設計なんて、「よく考えられてるなー」と感動しちゃうレベル。可動指の“指の股”を切ると、簡単に5指独立可動になるところや、肘関節が「ガワラ曲げ」(永野曲げ?)できるのも嬉しいポイントですね。
飛行ポーズもバッチリ決まるし、色分けも良好(ピンクのラインまで色分けされてる!)。最新ガンプラの進化を強く感じられる、素晴らしいキットです!
プラモ歴・作り込み度:バリバリ改造塗装派。最近は一周回って筆塗り大好き。たまーに電撃ホビーマガジン、ガンダムホビーライフで作例を作ってました。ガンプラの新製品紹介ページも担当。
近況:仕事で「千年にひとりの美女」「二千年にひとりの美女」「千年にひとりの○○」にインタビューすることができました。「よっしゃ! 千年シリーズコンプリート!」とか思ってたら、「一光年にひとり」とか「四千年にひとり」とか出てきてんのね……。
■レビュアー05
“中学生のハイレベルモデラー” 六笠詩音 14歳(中学3年生)
今回のキュベレイはとても組みやすく、迷うことなく組めました。肩もグリグリ動くので自分好みのポーズを決めることができます。最近のMGは指が一つ一つ動きますが今回のキュベレイはHGながらも、親指とそれ以外の指(人差し指から小指は繋がっている)が指の付け根から動くので、最近のHGは進化してると思います。
色分けも言うことがなく目以外はほとんど別パーツでした。さらに白色パーツがキュベレイ独特なツヤが出ていると思いました。これなら素組だけでも十分にかっこよく組むことが出来ると思います。
プラモ歴・作り込み度:改造をしてエアブラシで塗装して、汚しまで。
近況:鉄血のオルフェンズが面白くて次回が楽しみです。
六笠詩音さんの受賞歴:GBWC2012、2013ファイナリスト
■レビュアー06
“小学生のハイレベルモデラー” 畑めい 12歳(小学6年生)
3回目のレビューですが「プロからアマまで言いたい放題!」というわりにはこれまでキットの良いところを褒めちぎってばかりだったので、今回はキットのダメだなぁと思うところをできるだけ探していきたいと思います。
まずは肩のバインダー。よく動くのですが、そのぶん閉じた状態のままにするのが難しいです。でも、閉じたまま立たせていることもほとんどないから、これは問題ないかも(笑)。
そして、肩の付け根の関節。ボディとの接続部分が見えすぎちゃってちょっと気になります。ここは隠しつつ動くようにするには加工が難しそう……。
さらに、前腕の外側の合わせ目。内側のようにモールド処理しておいてくれると嬉しかったです。
あとは胸の部分の灰色の平らなパイプ(?)のパーティングラインがすごく気になります。形状が複雑だし、素材的にもきれいに消すのに手間がかかりそう。
あとは、あとは……、悪いところを見つけるのって難しいですね……。
このキュベレイさん、やっぱりさすがの新生-REVIVE-リバイブシリーズで、私は組んでいてとっても楽しく嬉しくなりました!
「すごい、すごいよ!生まれ変わるって!」と、ただ組むのが楽しいだけじゃなくって進化も感じれるところが新生-REVIVIE-シリーズの素敵なところです。
前のキュベレイからの一番の進化は色分けが完璧になったこと。塗装もすごく楽になりますよね! 旧HGUCキュベレイが旧キットみたいに感じるくらいの色分けです!
あとは関節。肘関節の動き方には感動しました。この肘関節、他のキットの改造にも欲しくなります……。指もちょっと切れば一本一本の指が動くようになります。MGみたいです!
ファンネルの収納場所にも感心しました。ぎゅっとまとめて配置することでぎっしり詰まっているように見えます。なるほど、こういうふうにすればいいんだ!って思いました!
新生-REVIVE-のガンダムMk-IIと同じようによく動き、ポーズがビシッとキマリます。キュベレイはただ立っているより羽ばたいていてほしいので、これはすごく良いところだと思います。
MGとのミキシングでも面白いものができそうですね♪
プラモ歴・作り込み度:プラモ歴は5年半ほど。ウェザリングが一番好きですが、最近はプロポーション変更やディテールの追加も。
近況:GBWC2015、2位でした! あとひとつ上にいけるように努力します!
畑めいさんの受賞歴:2012年ガンプラ王小学生部門1位、2015年ガンプラ王小学生部門1位、GBWCジュニア部門日本大会5連覇(2011~2015)、GBWC2014世界大会ジュニア部門2位、GBWC2015世界大会ジュニア部門2位
以上でレビューは終了です。「HGUC 1/144 キュベレイ」は、1/144スケールながら大型モビルスーツらしいボリューム感と、白を基調とした美しいラインが、飾っておくだけでも嬉しい逸品です。こちらも、他のガンプラ同様、パチ組をして飾っておくだけでも楽しいので、ぜひ組み立ててみてください!
(C)創通・サンライズ