“アレ”してうつる?! タランティーノも絶賛!全米震撼の新感覚ホラー『イット・フォローズ』
低予算ながら全米大ヒットとなった話題のホラー映画がついに上陸です! クエンティン・タランティーノも大絶賛といわれるこの作品、いわゆる呪いの連鎖を描く日本モノと相通じるところがあります。が、そのきっかけが、いかにもアメリカ的というか、昔なら18禁モノ? 時代も進んだな、などと、オジさんたちがしみじみしてると恐怖がジワジワきます! 誰の身近にもある状況なだけによけいに怖い。ホラー映画ファンならぜひご覧ください!
※一部解説にネタバレを含んでます。
文/百鬼
■ストーリー
今時のティーンエイジャーのジェイは、最近付き合いはじめたヒューとデートを楽しんでいた。映画館の列に並んだふたりは、暇つぶしに周囲の人々を観察するゲームをはじめる。しかし、そこでヒューが指差した女性をジェイは「見えない」と言う。突然、ヒューは青ざめた顔で映画館から出ようとジェイを誘い出す。ヒューの態度を不審に思いながらも、彼に惹かれているジェイは、車の中で始めて結ばれた。ところが、行為が終わった瞬間。ヒューは態度を一変させ、ジェイに睡眠薬を嗅がせて昏倒させてしまった。
目が覚めると、ジェイは椅子に縛り付けられていた。そして、混乱するジェイにヒューが語り始める。性行為で“それ”をうつしたと。そのために、今後はジェイに“それ”が付きまとうようになり、もし“それ”に追いつかれてしまうと死ぬことになるのだと。しかも、“それ”の姿は一定ではなく、「感染」したことのない人には見えない。
助かりたければ、一刻も早く他の人に“それ”をうつすこと。方法は、もちろん……!?
■解説
ビデオを観ると“感染”したり、とある家に関わると“感染”したりするという“感染”系のホラーは、特にJホラーのお家芸的なシチュエーションだけど、ついに出ました! たぶん、誰もが一応考えてみたことはあるけど、なんとなく封印してきた“感染源”-セックス。性交渉でのみ、“それ”がうつるという設定のホラーが満を持してついに登場!! 雰囲気的には“死”が“目に見えるカタチ”で迫ってくるという感じなので、少しだけ『ファイナル・デスティネーション』シリーズの趣きに近いかもしれない。
ただし、こちらの“それ”は基本的に人間の姿をしている。それは知人の姿かもしれないし、まったく知らない人なのかもしれない。服を着ていることもあれば、全裸もあり。共通点は“感染”した人にしか見えないことと、やたら“ゆっくり歩く”こと。追いつかれなければ一応大丈夫なのだけど、どれだけ距離を取っても必ず追いかけてくる。しかも、“ゆっくり”と……。これが怖い。
自動車で逃げようが、たとえ飛行機で逃げようが、“それ”の移動手段は基本徒歩。一見、逃げ切れそうな気もするけど、実は“徒歩最強”だったりするのだ。つまり、“ゆっくり”だけど、“確実に近づいてくる”のだ。しかも、“それ”は標的に向かって一直線にやってくる。“感染者”にしか見えない特性もあるので、関係ない人は素通りできる。ただし、“存在している”わけでもあるから、もしジャマしても、実力排除できるだけのパワーは持っていたりもする。なかなか面倒な相手なのだ。
当然、“感染者”は逃げるしかない。どこまでも、いつまでも逃げなければならない。倒す方法はないから対決しようもない。たとえ地球の裏側まで逃げようとも、“それ”は確実に迫ってくるに違いない。ならば、一生逃げ続けるしかない。
もちろん、そんなことは無理でしょう。そこで“それ”から逃れる唯一の手段が“セックス”なのだ。“感染者”がそうでない者といたせば、“それ”は標的を変更してくれるのだ。そして、新たな標的が存命の間は無事に過ごせる。しかし、もし、その新たな標的が“それ”に追いつかれて死んでしまえば、ふたたび“それ”はやってくるようになる。
とにかく、助かりたければ“セックス”するしかない。誰かにうつして、また“それ”が現れたら、また誰かと“セックス”する。逃げるかうつすか、どちらにしても永遠に続く無限地獄が待っている。
狙われたら、取り殺されるのを待つだけという『呪怨』タイプに比べて、一応回避策がある分、かえってやっかいな相手だったりもするのだ。
ちなみに、題材が題材なのでそういう方面の描写を期待して観に行こうとしているキミ。残念ながら、セックス描写自体はかなりソフトになっているので“安心”してほしい。もちろん、プラトニック過ぎるデートには向かない映画だけど、そこそこの関係だったりすれば、この作品の恐怖はけっこう身に迫るに違いないぞ。
ヒロインのジェイを演じるマイカ・モンローちゃん。今後の待機作はクロエ・グレース・モレッツちゃん主演のSF大作『フィフス・ウェイブ』と、かの大ヒット作続編の『インデペンデンス・デイ:リサージェンス』。大作映画への参加が続く、若手の注目株だぞ。
ジェイと仲間たち。もちろん、仲間たちには“それ”の姿は見えないが、ジェイと行動を共にするうちに、この尋常じゃない事態に気付き始めるのだ。ちなみに、真ん中のヒゲのイケメンが発端となったヒュー君。演じるのは『ゾンビーバー』にも出ていたジェイク・ウィアリーなのだ。
ちなみに、このカットとは関係ないけど、本作にはいろいろなホラー作品へのオマージュも散りばめられているらしい。映像だけではなく、劇中の音楽にもいろんな影響が見られるので、そのあたりも注目だぞ。
<DATA>
イット・フォローズ
監督・脚本:デヴィッド・ロバート・ミッチェル
出演:マイカ・モンロー、キーア・ギルクリスト、ダニエル・ゾヴァット、ジェイク・ウィアリー、ほか
配給:ポニーキャニオン
上映時間:100分
公開中
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<関連情報>
映画『イット・フォローズ』オフィシャルサイト
(c) 2014 It Will Follow. Inc,