「オリジナルオージェ」ウェーブがリリースするハイエンドレジンキットの秘密に迫る!
TVアニメ『重戦機エルガイム』に登場した黄金色のヘビーメタル「オリジナルオージェ」のレジンキットがウェーブから登場します。
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最終回である第54話「ドリーマーズ アゲン」に登場し、バイオリレーションシステムによる圧倒的なパワーでダバとエルガイムMk-IIを圧倒。真・ポセイダルの「ならばつまらなくしてやる!」の名言と共に多くのファンの心に残る機体となりました。
今回はそんなオリジナルオージェを豪華仕様でレジンキット化したウェーブの担当、永見浩士氏と、原型製作を担当したKuWa(FRAMEOUT MODELS)氏に、本アイテムについてうかがいました。
(右)KuWa(FRAMEOUT MODELS)…プロモデラー&原型師。電撃ホビーマガジンで連載された『マクロス・ザ・ライド』などにも深く携わる。
(左)永見浩士…ウェーブの企画担当。レジンキット全般や美少女フィギュアを担当する。
原型師・KuWaとヘビーメタル
――まず最初にKuWaさんのこれまでのお仕事について、教えてください。
KuWa:
電撃ホビーさんの読者の方にも馴染み深いところでは、メガハウスの原型で『新世紀GPX サイバーフォーミュラ』の「アスラーダGSX」と「ナイトセイバー」を手がけています。これは電撃ホビーマガジンに掲載された『サイバーフォーミュラ』特集からの縁です。また、以前にもメガハウスではD-SPECというシリーズで、『スーパーロボット大戦』のエクスバインと、『コードギアス 亡国のアキト』のアレクサンダにも携わりました。
―― そんなKuWaさんがオリジナルオージェにはどういった経緯で関わられることになった理由とは?
永見:
2015年の春頃からヘビーメタル(以下HM)レジンキットシリーズ化のプロジェクトをスタートしました。そのときに持っていたテーマが、「夏のキャラホビに原型を展示する」という目標です。このオリジナルオージェだけでなく、サンライズメカを一堂に並べるという。
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永見:
厳しいスケジュールだったので、実力のある方、仕事で信頼できる原型師さんを探さないといけない。そこで、ある方からKuWaさんをご紹介してもらいました。
実はちょうどこのシリーズのディレクション担当者が、これまでのKuWaさんの雑誌やイベントでの活躍にすごく注目していたんです。KuWaさんがイベントで出していた完全変形のゼータプラスとか見て感動して「この人、天才!」って(笑)。それで「この人に頼みたい、お願いしたい」となりまして。ただ、KuWaさんが『重戦機 エルガイム』という作品やHMについてはどれくらい造詣が深いか、そのときはまだ分からなかったんですよね。
――KuWaさんは、ウェーブからのオファーの前から『エルガイム』やHMは好きだったんですか?
KuWa:
それがね、大好きなんですよ(笑)。サンライズのロボットアニメの中でも、年齢的に一番最初にちゃんと観たロボットアニメって『エルガイム』が最初で。それ以前の作品も観ていたはずなんですけど、まだ小さかったのであまり覚えてないんです。『エルガイム』は第1話を観たときにだから、ビビッと来ちゃったんですよね。当時、プラモデルも全種類買う勢いで、当時はなかなか完成はさせられませんでしたが、その後もセット買いしたりと好きなシリーズです。特に、HMは永野先生の設定画ベースのデザインが好きなんです。今でも、少し前に趣味で放映当時の「S-HCM(スーパーハイコンプリートモデル)エルガイム」を改造したり、アローンのプラモデルにフレームや関節を入れて、フル可動にしたりして。B級HMなのでフレームがあるのはおかしいんですけどね(笑)。
永見:
……というように、KuWaさんがヘビーメタルを好きだったのは完全に偶然だったんです(笑)。でも、偶然とはいえ、これは手繰り寄せることができたんだろうな、と。結果的に厳しい条件なんですけど、引き受けてもらえました。けっこう大変だったはずなんですけど、結果的には良いものを納めて頂いて良かったな、と思っています。
KuWa:
『エルガイム』のアイテムを作るときに、第1弾がオリジナルオージェというイメージもなかったので、そこは驚きました。
永見:
理由は、『エルガイム』の大ファンである僕自身が最初に欲しいと思ったからです(笑)! 最終回にのみ登場した機体なのに人気じゃないですか。ダバとエルガイムMk-IIをまったく相手にしない強さと、金と銀だけというあのゴージャスさ。やっぱりエルガイムが好きな人なら横に置きたいでしょう、と思って。第1弾でこれは値段が心配、というのもあったんですけど、第1弾だからこそ、僕たちが自信を持てるモノからやっていこうよ、と。
――そして、春の時点で発注して、夏のキャラホビ2015で初お目見えになった、と。
永見:
はい。キャラホビの展示では「オリジナルオージェ」以外にも「エルガイム」「ザブングル」「ブラッカリィ」「ヴェルビン」を展示したんですが、各原型師さんにはアウトラインについては最低限、ほぼ完成に見えるところまでは作り上げて欲しいとお願いしました。でもKuWaさんの「オリジナルオージェ」はキャラホビの時点でギミックもほぼ入ってましたね。
――かなりタイトなスケジュールだったんですね。
永見:
実質3~4ヶ月といえば、大変なスケジュールだと分かると思います。商品も大型サイズでしたし。でも、結果は素晴らしいもので。
KuWa:
作ってみると、予想以上に大きかったですね(笑)。
永見:
本当に(笑)。うちの他のレジンキットを横に置いて比べると「あれ、小さく見える……」っていうくらい「オリジナルオージェ」が大きかった、という(笑)。
KuWa:
肩のバインダーがあんまり大きいとバランスや保持力がやばいんじゃないの、という話はしてたんですが結局デカくなっていったんです。迫力を出すべきだからデカくしよう、と。
永見:
やるからには安い商品にならないと思っていたので、妥協しないで商品は作る、と攻めていただきました。
成形色にこだわり抜いた”オリジナルオージェ”
――この製品化直前の状態をご覧になって、KuWaさんのご感想はいかがですか?
KuWa:
本当に大きいですね(笑)……何度も途中で出力して、組み立てて……というのを繰り返しているので、大きさに関してかなり見慣れていたんですけど(笑)。あとはこの成形色の金属感が予想以上にすごいですよね。そこは本当に驚きました。
永見:
これは当社が、少し前に「EEE(Exceed Enthusiast Elite)というブランドで『蒼き流星SPT レイズナー』の「ザカール」を製品化した際に、RCベルグさんの試行錯誤から産み出されてきた成形色なんです。誰に見せても「コレはすごい!」となるモノだったので、「これをオリジナルオージェに使わずに何に使うのか!?」と(笑)。
……ただ、メタリックカラーということで、原型の表面仕上げがキモになりますから、最後の原型の磨き込みが本当に大変で (笑)。最後の納品日はKuWaさんに当社まできてもらって、うちの若手達と一緒に磨いてもらって……。
KuWa:
そのときは徹夜4日目みたいな状態で、逆に元気だったんですよね。「俺、危ないかも、これはたぶんヤバイのでは?」という感じで。仕上げ作業は想像以上に時間がかかってしまって、いろいろご迷惑おかけしてしまいましたが。その分、この成形色は本当に凄くて、成形色活かしの作例でも、本当にちょっとしかリタッチしてないんですよ。1ヶ所どうしても出てしまうゲート跡などに、似たような色を調色して部分的にオーバーコートしているだけなんですが、塗装部分と成形色が馴染んじゃうんです。
これはけっこう、面白いなと。
――このサイズなのにウェルドも見あたりません。
永見:
やはりウェルドを消すのは成形するRCベルグさんも大変だったみたいで。まずこの成形色のために、金と銀のパーツに関しては遠心型のパーツは一切無く、全て真空型になってるんです。遠心型ではウェルドが出ちゃうらしいので。(編注:レジンキットの成形方法についてはRCベルグのWEBサイトをご覧ください)
あとは、いくら発色が良くてもパーツのど真ん中にパーティングラインが走っているとしょんぼりしてしまいますし、ゲート跡の処理のためにヤスリがけしてしまうとせっかくの成形色の意味もなくなってしまいますから、金や銀のパーツはアンダーゲート化や、ゲートレス成形など、そうとう贅沢に型を作ってもらっています。
KuWa:
そのあたりの事情もあったので、バインダーは全部を別パーツにせざるを得なかったんです。最初は一体成型にしようという話だったんですが、ちょっと無理でした(笑)。
永見:
無理だったというより、ウェーブ側の考えが甘たかったんです。
「オリジナルオージェ」を作る以上、高額商品となるのは最初からわかっていました。ただ必要以上に値段を上げたくはなかったんです。そのため劇中では描写されていないし、キチンとした設定も描かれていない脚部のランダムスレートの展開はなしにしよう、と。ラウンドバインダーも頑張ればに各装甲ごとに動かすことはできるでしょうけど、コストの問題とそのギミックのせいで作り難くなることを考えると……。それで最初はラウンドバインダーを一体成形で……という話をしていたんですが、やっぱり1/100スケールの大きさだと装甲同士の重なりと隙間は重要だよね、という話になって(笑)。
KuWa:
そう言われましたね(笑)。あと、その大きさやΩ型の問題もあって、一体では生産が難しかったと思います。可動こそしませんが、パーツを分けたことで非常に立体感のある仕上がりになっていると思います。
永見:
ラウンドバインダーについては可動はしないけど動きそうに見える。模型としての演出というところで、最低限の分割はしていますね。
巨大なバインダーとサイズを支える可動機構群
――ウェーブのレジンキットといえばフル可動が売りのひとつですが、本アイテムの可動について教えてください。
永見:
まず前提として、とにかく格好いいポージング写真があると受注数が伸びるんです(笑)。なので、派手なポーズがとれるよう、スタイリングとギミックのどっちも妥協しないでお願いします、と。
KuWa:
最初は可動って「コスト面も考慮しつつ、最低限入れてくださいね」くらいのウェイトだったんです。最初の打ち合わせでこちらが「いや、可動にはこだわりたいです」っていったら、次の仕様書で「こだわりの可動!」って書いてあって「……仕様になってる!」って。あれ? サービスでいったのに、なんか凄くハードル上がったぞ! と(笑)。
いやー、好きだから良いんですけども(笑)。
――(笑)。可動はどういった部分で工夫されているんでしょうか。
永見:
可動はKuWaさんの真骨頂ですからね。まずはこのヒザ裏のパイプモールドですね。ここは軟質パーツで可動させる予定でした。でも、模型を製作される方ならわかると思うのですが、軟質といえどパーツのテンションが可動を妨げてしまいます。
永見:
そこで、ある方のアドバイスもあり、パイプが可動しながら中に収納されるギミックにすることで可動に干渉せず、しかも立てヒザをつける可動範囲を持つというところまで、KuWaさんが調整してくれました。
KuWa:
ウェーブさんから最初は「軟質素材やチューブも使います」といわれていたんですけど、曲げたときに折れてグニャッとなったり弾力で曲げきれなかったりするとやはり格好悪いので。
HMって関節や設定がしっかり描かれているから、作りやすいのかな、ってうっかり思ってしまうんです。でも、しっかり描かれているぶん、ギミックを入れるスペースが無いんですよね。そのヒザ裏のパイプも、設定画だとキレイに半円を描いているわけではなくて結構曲がっている。そんなパイプがこの小さな穴にスッと入っていくように設計するのは大変でした(笑)。でも凄く面白いギミックになったと思います。
――「オリジナルオージェ」といえば、肩のラウンドバインダーの部分がキモですが。
KuWa:
設定画ではバインダーが後ろに回ってるし、劇中では前を向いたり横に開いたり……そんな可動範囲を確保した上で、巨大なバインダーと内部のスロウランサーの重量をキッチリ支える必要があるんです。このバインダーは肩に単純に載っているのではなく、肩内部で胴体に接続されたL字のフレーム構造で支えています。バインダーの重みで肩がダランと下がってしまうのは格好が悪いので、そうはならないようにしました。
――ラウンドバインダーを支える軸と、腕部を支える軸が別なんですね。
KuWa:
だからバインダーはキッチリ固定されて、ポージングが崩れない。腕は肩外装と繋がっていて、ここが可動することで腕を上げるのにも支障はありません。L字の軸は前後に動くので、設定画にあるバインダーの後方への可動もバッチリです。ABSレジンの威力もあって、けっこうしっかりしています。
永見:
こちらは「動かしたいけど、だらーんとさせないでくださいね」といったら、実現をちゃんとしてもらった感じです。とはいえ、こちらに特にアイデアがあるわけではないので「お任せします」と……(笑)。劇中ではバインダー内にマウントされた大鎌やスロウランサーも再現しています。
KuWa:
左側のバインダーの鎌は設定画通りですね。ならば右にも入るだろう、というわけできちんと右バインダー内に収めました。あと、オージェやオリジナルオージェって、バインダーを前に向けてランチャーやスロウランサーを射撃するじゃないですか。でも、バインダーの内部にただスロウランサーを貼り付けただけだとバインダー内部のランサーが、射撃方向に向かないんです。ここはちょっとこだわって、ランサー類を取り付ける内部フレームを作り、これを射撃方向にを展開させるギミックを追加しました。
――劇中だと黒で塗りつぶされていた部分ですよね。
永見:
バババババ! と出てはいるんですが、詳細は定かでなく……。
KuWa:
このバインダー裏のギミックでさらに作業量が増えましたが(笑)。
永見:
おかげでどんどん凄い仕様にバージョンアップしていきました(笑)。鎌の大きさはどこまで大きくするのか、とかもありましたよね(笑)。
KuWa:
収納と手持ちを比べるとこんな感じですね。劇中だと接続した瞬間に伸び始めるんですよ。
あれもきっとバイオリレーションに違いない(笑)。どのぐらいの大きさにしようかな、と悩んで、これくらい大きくすれば充分かな、とお渡ししたら、永見さんからはもっと大きくしてほしい、と言われました(笑)。
永見:
やはりバイオリレーションの力で大きくなったんですよ(笑)。劇中だと凄く迫力のある大きさに描写されていますが、立体物としてバランスを見ると大きくしすぎてはいけない。
ここは3Dプリンターのありがたいところで、出力してみて判断しています。○○パーセント大きくしてみよう、という調整に要するカロリーも減ったので。楽とか簡単というわけではないですが、やりやすくなりましたね。ちなみに大鎌の柄には真ちゅう線をインサートして成形していますので、これだけ大きくて長いのですが反ったり歪んだりすることもないと思います。このあたりもRCベルグさんのおかげですね。
――3Dプリンターのお話も出てきましたが、実際の開発はどのようなやりとりで進んでいったのでしょうか。
永見:
データや、実際に出力したもので確認して、KuWaさんに修正してもらって。1日おいて写真を見ると、前の日に気が付かないところに気が付いたり……そういう手順を繰り返しました。あと、設定画を眺めていると「あれ、よく見るとこんなラインが」と気付いたりするんです。その都度KuWaさんに修正の連絡をして。
デジタル造形でできることが増え、可能性が広がったぶん、原型師にはより高いクオリティを求めるようになりました。可動やバインダーのギミック、構造はたぶんKuWaさんとやっていなかったら、ここまでのクオリティは実現できなかったかなと。
KuWa:
作業そのものは大変ではあるんですが、精神的にはそうでもなかったかなと思います。指摘の内容がちゃんと的確で、こっちもそれを咀嚼する余地がちゃんとあるんで、やりやすかったです。こういう原型の場合、「こう作りたいんだ!」とドン、と出す感じではなく、お互いの目指す部分を探りながらやるほうなので、そういった指摘やアイデアのキャッチボールができるとありがたいですね。
――アイデアのキャッチボール、ですか。
永見:
前作の市野裕己さんが原型を担当した「ブラッカリィ」もそうなんですが、このシリーズについては当時の劇中イメージを大事にしつつも今のクオリティで作るというのがテーマのひとつなんです。
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永見:
やっぱり僕たちもいままでいろんな立体物を作ってきて、知らず知らず無意識と経験で染みついた部分もあります。だから「ここはこうじゃないですか?」ということをKuWaさんとやりとりしつつ、影響を与えあいながら作っています。
また、頭の透明パーツの中にシルエットがでるようにモールドを入れる、といった定番の表現も、過去の素晴らしい作品や商品にならって再現していたりとか。
KuWa:
結果として、出来上がった今回の「オリジナルオージェ」は、当時のイメージに概ね近づけたと思っています。皆さん、それぞのHMのイメージがあるとは思うんですけどね。その上で、例えば設定画とくらべてもそれに耐えうるように、そして2010年代の立体物として見た時にも十分見応えがあるようにさりげない演出を入れていく。そうしてイメージを、形にしていきました。
――あくまで、自分のイメージではなくファンのイメージを形にする……そういう意味だとHMのデザインは、とても難しいですよね。
KuWa:
そのあと、別のかたちでアップデートがされていたり。
永見:
そこもHMはあくまでHMなんだ、っていうところに開発の軸をおいていたので、間違ってはいないと思っています。エルガイムはエルガイム、オージェはオージェなんで。そこはしっかり相互理解があって、同じ価値観で同じ話ができるから、キャッチボールをするとしても、必要以上の話し合いはいらなかったですね。
“トイのような”贅沢な可動、ギミック、成型色
――しかし、レジンキットで可動やギミックの話ができる、というのも、考えてみれば凄い時代ですよね。
KuWa:
もともと僕もレジンキットでほぼ完全変形の「ゼータプラス」を作っていたぐらい可動は好きなんです。だから、こだわってみようと。面白く、実用的で、かつストレスのない可動というのはいつも考えているテーマです。今回もそれを目指してアイデアを練っています。肩とヒザは、1回か2回、可動構造を作り直してるんですよ。もうちょっと良く出来る、別の方法のほうがいいんじゃないか、と。それは試してみて、保持しにくいな、とか、こっちが丈夫だなとか、ここは動かしたほうが、とか。そこらへんの調整は出てくるので、そこの最適値を狙っています。
永見:
スタイリングもギミックも、ある程度までいったときにやり直す……そういう作業でも面倒くさがらずにやってもらえたからこそ、いまこの「オリジナルオージェ」が出来上がっています。設計と素材の面で、5年前ではとてもじゃないけどここまでのクオリティでの商品化は無理でしたね。いまも「レジンで可動キットは無理だよ」とか「向いてないよ」という意見はあると思うんですが実際にはここまで進化しています。その手応えがあるからこそ、こういう風に精力的に商品を作っていけるという側面もありますね。
ちなみに「オリジナルオージェ」では関節の強度が不要な所しかボールジョイントは使っていません。関節にしても足首にしても肩のバインダーにしても軸接続でしっかりとポーズを取らせることができる、そういう構造になっています。
――ボールジョイントでポーズを決めるのは意外に難しいですしね。
KuWa:
たとえば小スケールだったら、バインダーなどもボールジョイントでなんとかなるかもしれないんですが、このサイズだとまず無理ですよね。また、構造的にあまりスペースもない上、製品時の正確な重量も計算しにくいので、剛性的にはかなり慎重に考えました。
――そういった“プレイバリュー”にもこだわっているレジンキットというのも新鮮です。
永見:
最初の想定だとランダムスレート展開もないし、バインダーも1パーツで……とパーツ数も抑えられるかな、と思っていたんですが、そうこうしているうちに気がつくと全275パーツになっていました(笑)。カラーレジン成形で、真空注型も多用して……。
ただ、レジンキットってどんなにコストカットに努力しても販売価格が980円! なんてことにはならないじゃないですか。だったら努力の方向は、省力化ではなくユーザーの方に納得していただけるような“こだわり”に向けるべきだな、と。
動かして遊ぶだけじゃなくて、カラーレジンキットであれば1日で完成とは行かなくても、仮組みである程度形になる。明日も頑張ろう、少しづつ続けていこう、と作ってる途中でも楽しめるのはトイとは違う、レジンキットのプラスの部分ですよね。もちろん課題はたくさんあるので、これからもコストの問題や折り合いを常に考えています。まだまだノウハウは蓄積されている途中なので、今後も期待していただければな、と。
――それでは最後に、読者のみなさんにメッセージをお願いいたします。
KuWa:
この「オリジナルオージェ」がシリーズ第1弾というプレッシャーもありました。とても大きなキットで(笑)、その大きさがハンデにならないように、組み方や可動もちゃんと楽しめるように工夫しました。そのうえでプロポーションもこだわっています。
さらにこの美しいカラーレジンということで、かなりマシマシな仕様になっています。そういった点をぜひ見て触って、持ってみていただければと思います。それで、楽しんでもらえれば嬉しいですね。
永見:
自分はこの業界で20年選手なんですが、そのような中で思うのは、色々なことが進化しているこのタイミングで商品化出来るのは幸せだなと。その幸せのかたちを、ぜひお客さんにも感じて貰えれば、嬉しいですし、そういう商品を作れたと確信もしています。気軽に買える値段では無いのかもしれませんけれど、買っていただいた方にはきっと満足して貰える内容になっています。気になっている方にはぜひ頑張って手にしていただければと思っています。
実はHM第3弾もKuWaさんにやってもらえないかと現在オファー中なんです(笑)。商品化希望アンケートでも上位に来たアイテムなんですが……
KuWa:
いやいや、やりますよ(笑)!
永見:
ありがとうございます! 1/100スケールでさまざまなHMを並べたい、という気持ちはお客さんにもきっとあると思いますので、じっくりと、これからもシリーズを続けていきます。将来的には、A級HMだけでなくB級HMもできる限りやりたいと思っていますので。
KuWa:
ぶっちゃけアローンは作りたいですね(笑)。
――(笑)。それはぜひ実現してもらえると我々も嬉しいです! それでは、本日はありがとうございました!
ゴールドとプラチナシルバーの成形色も美しく、こだわりの仕様となっている「オリジナルオージェ」。ウェーブの通販サイトであるビージェイ限定商品となっており、予約受付は3月28日(月)23時59分までとなっています。
受注限定生産なので、この機会を逃すともう手に入らない! 本アイテム、ご予約をお忘れなく。
DATA
オリジナルオージェ
- 1/100スケール レジンキット
- 全高:約21センチ
- 原型製作:KuWa(フレームアウトモデル)
- 受注時期:3月28日(月)まで
- 2016年5月発売予定
- 価格:59,800円(税別)
- 発売元:ウェーブ
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(C)創通・サンライズ