スター・ウォーズの等身大マスク保冷庫 家電なのにこだわったその造形――悩みの種は保冷庫に見えないこと

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スター・ウォーズキャラクターの頭部が保冷庫となった「マスク保冷庫 ASR-MK1」シリーズが発売されました。

 

これは、ダース・ベイダー、C-3PO、ストームトルーパーの3つのキャラクターの頭部が、ほぼ等身大で再現されているもので、頭部の中に350mlの缶を保冷するスペースが設けられているという製品です。頭頂部を押すと頭部がポップアップして、保冷部が出てくるという仕組み。

 

▲ダース・ベイダーの頭を押すと、スプリングによって頭が上昇します。台座中央の丸い部分に缶をセットします(350mlの缶が入れられます)。C-3PO、ストームトルーパーも同じ仕組みなのですが、ダース・ベイダーのみ、ライトセーバー音とブレス音が鳴る仕掛けが施されています。

▲ダース・ベイダーの頭を押すと、スプリングによって頭が上昇します。台座中央の丸い部分に缶をセットします(350mlの缶が入れられます)。C-3PO、ストームトルーパーも同じ仕組みなのですが、ダース・ベイダーのみ、ライトセーバー音とブレス音が鳴る仕掛けが施されています。

 

これらの製品は、「R2-D2™型移動式冷蔵庫 ASR-RD6E」を開発した家電メーカー、アクア株式会社によるもの。R2-D2も実物大であり、さらにディテールや質感へのこだわりがある製品ですが、マスク保冷庫もやはりこだわりをもって開発したのだとか。

 

▲R2-D2型移動式冷蔵庫 ASR-RD6E。こちらもアクアの製品です。

▲R2-D2™型移動式冷蔵庫 ASR-RD6E。こちらもアクアの製品です。

 

▲R2-D2™も造形や塗装へのこだわりがあります。頭部のシルバーの鈍く光る質感や、ブルーの部分の塗装など、検討が重ねられました。

 

主に造形や塗装について、アクア株式会社マーケティング本部 コールドチェーングループ ディレクター山本陽護さんにおうかがいしました。

 

▲今回お話をうかがった、アクア株式会社マーケティング本部 コールドチェーングループ ディレクター山本陽護さん。

▲今回お話をうかがった、アクア株式会社マーケティング本部 コールドチェーングループ ディレクター山本陽護さん。

 

 

 「なんと言ってもクオリティですね」

 

 

――ダース・ベイダー、C-3PO、ストームトルーパーともサイズはほぼ実物大で、塗装も相まってモノとして迫力がありますが、苦労された点はありますか?

 

山本:なんといっても(造形面での)クオリティですね。そこに一番の時間を割きました。我々は家電メーカーで、冷蔵庫・洗濯機などを作っているのですが、嗜好品という形で“冷やす”ものを具現化できないか? と、企画をスタートさせました。

 

嗜好品というからには、スター・ウォーズファンの方に受け入れていただけるクオリティーが必要です。ウォルト・ディズニー・ジャパンさんからいただいたデータを元に、我々のデザイン部門が製品に落とし込んでいます。

 

特に苦労したのは仕上がりで、樹脂のバリやつなぎ目が見えないような成形の仕方などには、かなりこだわっています。

 

 

――たしかに、合わせ目などは分かりませんね。資料はかなりご覧になったのですか?

 

山本:はい。データはいただいたものの、そこからさらに検討するために、店頭で売られているスター・ウォーズ関連製品を買ったり、開発スタッフで何回も映画を観て「ここはこうだよね」「このあたりはこうしないとマズいんじゃない?」といったディスカッションをくり返しました。

 

 

――映画ではプロップも複数出てきますが、どのタイプをモデルにしたのですか?

 

山本:すべて『スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望』、つまり初作をベースに設計しています。どのキャラクターも、最初にストーリーに出てきた姿を再現しようとして、何度も何度も映画を観ました。

 

 

それぞれのアイテムで別の苦労が……

 

 

――では、それぞれの製品について教えてください。

 

▲マスク保冷庫 ASR-MK1(DV)ダース・ベイダーモデル。

▲マスク保冷庫 ASR-MK1(DV)ダース・ベイダーモデル。

 

 

山本:ダース・ベイダーは製品化の難易度がかなり高かったアイテムです。光沢をしっかり出していかなければならないので、傷が目立たない設計をして、さらに磨いています。

 

 

――素材はABSですよね。

 

山本:そうです。黒の樹脂で成形し、バリを取って磨きをかけて凹凸を落とし、塗装します。通常の家電製品ならば1回の塗装で終わりますが、ダース・ベイダーは黒のABSの上に2回黒を塗装し、さらにクリアーを塗装するといった工程を踏んでいます。

 

▲ダース・ベイダーの説明をする山本さん。「黒のABSの上に2回黒を塗装し、さらにクリアーを塗装するといった工程を踏んでいます」。

▲ダース・ベイダーの説明をする山本さん。「黒のABSの上に2回黒を塗装し、さらにクリアーを塗装するといった工程を踏んでいます」。

 

――模型の塗装と共通したものがありますね(笑)。

 

山本:樹脂素材で光沢を出さなければならないので、とにかくたいへんでした。

 

 

――C-3POはどうですか? やはり金というところがいかにもたいへんそうですが。

 

▲マスク保冷庫 ASR-MK1(C-3)C-3POモデル。

▲マスク保冷庫 ASR-MK1(C-3)C-3POモデル。

 

山本:当初は塗装でトライしたのですが、この製品ほどの映り込みは再現できませんでした。どうしても映画に出てくる、きれいな方のC-3POにしたかったので。

 

そこで、“蒸着”という技術を使っています。あまり詳しくは言えないのですが、釜の中に素材を入れて、塗料を付着させるイメージです。この大きさの製品に蒸着を施そうとすると、国内企業しかできません。それをやってくれるパートナーを探すのにも苦労しましたね。

 

 

――メッキ処理ではダメだったのですか?

 

山本:この大きさですから、全面にメッキ処理を行き渡らせることがまず難しい。それ以前に、メッキにしてしまうと頭部にヒビが入る可能性があるので、安全面が担保できないのです。メッキは割れると鋭利な状態になりますので、(操作する部分が多いため)接触面が多い保冷庫では不安があるんですね。我々は家電メーカーですから、安全面を担保しなくてはなりません。

 

▲とにかくスゴい映り込みを見せるC-3POの光沢。

▲とにかくスゴい映り込みを見せるC-3POの光沢。

 

――家電製品でメッキ処理されているものって、小さいものが多いですもんね。

 

山本:操作パネルのフチなどしかありませんから。

 

 

――金の色味も難しかったでしょう?

 

山本:実際に色を付けたものを何種類か並べて、「黄色をどこまで入れる?」などのディスカッションをしました。

 

▲C-3POではもうひとつ。頭頂部の棒状のパーツは、グイグイ押しても折れないような構造になっています。造形へのこだわりもありますが、あくまでもまずは家電として成立された製品になっています。

▲C-3POではもうひとつ。頭頂部の棒状のパーツは、グイグイ押しても折れないような構造になっています。造形へのこだわりもありますが、あくまでもまずは家電として成立された製品になっています。

 

――そしてストームトルーパーですが、こちらはベイダーやC-3POほど特殊な質感のキャラクターではないですよね?

 

▲マスク保冷庫 ASR-MK1(TR)ストームトルーパーモデル。

▲マスク保冷庫 ASR-MK1(TR)ストームトルーパーモデル。

 

山本:実は塗装工程が一番大変なのが、このストームトルーパーでした。とにかく細かい部分の塗装が多いんです。

 

 

――この、アゴの下の奥まっている部分ですね。

 

▲プラモデルやフィギュアとしては見慣れたストームトルーパーですが、家電として見れば複雑な形状をしています。

 

山本:そうです。この内側はマスキングして塗装しているのですが、内側にきれいに塗装を回り込ませるのが大変です。スリットも、家電製品でしたらシールを貼って処理するところですが、今回はマスキングによる塗装を施しています。

 

▲ストームトルーパーの側頭部に入っているスリット。これも普通の家電ならシールで処理するところ、マスキング塗装で仕上げています。

▲ストームトルーパーの側頭部に入っているスリット。これも普通の家電ならシールで処理するところ、マスキング塗装で仕上げています。

 

――家電でここまで細かい塗り分けはないですもんね?

 

山本:ないですないです。シルク印刷をすることはありますが、ここまで細かいマスキングを施すことはありません。ですから、たとえば冷蔵庫なら1日に数百台量産が可能なのですが、マスク保冷庫はとてもそこまで作れません。

 

 

――マニアックな製品だけに、手間がかかるというわけですね。スター・ウォーズファンからの反応はどうですか?

 

山本:店頭やイベントで置かせていただくのですが、「すごくよくできている」というお言葉はいただいています。

ただ、悩みの種があって……

 

 

――はい?

 

山本:「これは一体何なんだ?」と言われるんです。

 

 

――あ、保冷庫に見えない?

 

山本:そうです。頭部を上げないと保冷庫だとはわからないので、これが保冷庫だと知っていただこうと、今はしています。もちろん、我々のストーリーとしては、家に遊びに来た人がこのマスク保冷庫を見て「これは一体ナニ?」というところを想定してはいるのですが。

 

 

――確かに、家電には見えないですよね。トビラがあれば分かるでしょうが、それもない。もっとも、トビラがないのはマニア的には嬉しいと思いますが。

 

山本:R2-D2のようにトビラを付けて開けようという話もありました。でも、マスク保冷庫の場合はそれでは造形が崩れてしまいますので、上に上げる方式にしました。それで、頭部を上に上げる機構にも苦労しました。重さがありますし、上がるスピードも、最初はスッと速く上がって、途中からゆっくりになります。そのスプリング調整も必要なのです。

 

▲R2-D2はトビラ方式ですが、意匠を崩さないようになっています。

▲R2-D2はトビラ方式ですが、意匠を崩さないようになっています。

 

――造形や塗装以外もこだわりがあるわけですね。

 

山本:台座もこだわっていて、通常の家電であればただの黒い樹脂にするところを、メタリック塗装を施して、模型の世界で言えばジオラマの台座のような形にしました。

 

 

――色合いは黒みの強いガンメタというところですね。

 

山本:さらに箱もこだわったんです。

 

 

――箱ですか?

 

山本:これも我々がデザインしたものなのですが、茶色の段ボール箱の中に化粧箱が入っています。段ボールから開けたときに雰囲気がもりあがるようにと思いました。

 

▲製品を収める段ボール。スター・ウォーズのロゴが入っています。

▲製品を収める段ボール。スター・ウォーズのロゴが入っています。

 

化粧箱は3つ並べたらディスプレイとして成り立つようなデザインにしました。

 

▲ダース・ベイダーの化粧箱。

▲ダース・ベイダーの化粧箱。

 

▲C-3POの化粧箱。

▲C-3POの化粧箱。

 

▲ストームトルーパーの化粧箱。3つとも、底面付近に冷気のようなもやがかかっているデザインになっています。

▲ストームトルーパーの化粧箱。3つとも、底面付近に冷気のようなもやがかかっているデザインになっています。

 

▲化粧箱でシブいのが側面。「STAR WARS」のロゴがドーンとはみ出し気味に、しかも薄く印刷されています。思わずオープニングを思い出してしまいます。

▲化粧箱でシブいのが側面。「STAR WARS」のロゴがドーンとはみ出し気味に、しかも薄く印刷されています。思わずオープニングを思い出してしまいます。

 

――箱も捨てられない感じですね。

 

山本:たぶん、箱もとっておいていただけるだろうと思いまして、それもあって段ボール箱と化粧箱を分けたんです。化粧箱だけですと、傷が付いたり上から伝票を貼られてしまう可能性もありますから。

 

 

――さいごに、電撃ホビーウェブ読者にひとことお願いします。

 

山本:ぜひ家に3つ並べてニヤリとしていただきたいです。5月4日にはMovieNEX(ウォルト・ディズニーのBru-rayやDVD、デジタル配信権を含めたセルパッケージ)でついに『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が登場しますので、このマスク保冷庫を横に、ご家庭で映画を観ていただけたらと思います。

 

 


 

「R2-D2™型移動式冷蔵庫」と「マスク保冷庫 ASR-MK1」シリーズの実物を店舗でも見られるとのこと。写真はスタジオ撮影をしたもので、実物の色や素材感が、その目で見たらまた違うはず。実際に見ると、その大きさや迫力、ポップアップする頭部などに「おお!」となるはずです! 実物の質感を、ぜひ確認してみてください!

 

 

取扱店

■マスク保冷庫シリーズ全3種・R2-D2™型移動式冷蔵庫取扱店

  • ヤマダ電機 Concept LABI TOKYO TEL: 03-3510-9098
  • ビックカメラ 有楽町店 TEL:03-5221-1111

 

■マスク保冷庫[ダース・ベイダー]のみ取扱店

  • 渋谷ロフト     TEL: 03-3462-3807
  • 他以下各ロフト
    東京ソラマチロフト/横浜ロフト/武蔵小杉ロフト/大宮ロフト/船橋ロフト/岡山ロフト
    ※売場や展示商品は不定期で変わりますので、来店の際は事前にご確認ください。
    ※数に限りがある商品もございますので、店頭にて売り切れの際には取り寄せにお時間をいただくことがございます。よろしくご了承ください。

 

⇒AQUAオンラインストア みんなのスター・ウォーズキャンペーン

 

 

DATA

マスク保冷庫 ASR-MK1(DV)ダース・ベイダーモデル
■サイズ:高さ 約400mm/幅 約305mm/奥行き 約325mm
■重量:約2.3kg(付属品含まず)
■素材:ABS樹脂
■発売中
■価格:オープン

 

マスク保冷庫 ASR-MK1(C-3)C-3POモデル
■サイズ:高さ 約405mm/幅 約245mm/奥行き 約285mm
■重量:約2.3kg
■素材:ABS
■発売中
■価格:オープン

 

マスク保冷庫 ASR-MK1(TR)ストームトルーパーモデル
■サイズ:高さ 約395mm/幅 約305mm/奥行き 約290mm
■重量:約2.3kg
■素材:ABS
■発売中
■価格:オープン

 

 

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