これが地上型ネオファムだ!RVV(ラウンド・バーニアン・バリエーション)ネオファムバリエーションについての考察4 【連載】電撃ロボラボPLUS Vol.15
RVV(ラウンド・バーニアン・バリエーション)、今回も地上型ネオファムのバリエーション機について引き続き議論していきます。また、NAOKIさんにより製作が進められていたROBOT魂ネオファムの改造作例もいよいよ完成状態を公開! ネオファム尽くしの内容でお届けします!!
さて、冒頭は本題「地上型ネオファム」の前に、こんな議題から――。
※これまでのバックナンバーも併せてご覧ください。
ネオファム・カスタムの名称について改めて考える
海老川兼武さん(以下:海老川):実はちょっと本題から外れますが、前の“ネオファム・カスタム”という呼称について違和感を覚えていまして。まだあくまで暫定的な呼び方とは思っていたのですが、あまり続くと定着してしまうかなと。
NAOKIさん(以下:NAOKI):確かに……。MJのスーパーメカニックガイド等でバリエーション機を見ている世代としては、新しく名称を付けられると落ち着かない部分もあるので、例えば元ネタを大河原さんのデザインから拾うものは、過去のネーミングに合わせたほうがいい気もしますね。
海老川:もちろん型式番号の整合性であったり、名称が本当に適しているか……など、色々と精査が必要となる部分も出てくるとは思うのですが……
サンライズ渋谷さん(以下:渋谷):番号等を細かく設定することは、本企画の性質的にやぶさかではないのでは思います。ただ、ひとつ決めるとなると他にあれもこれもと固める必要も出てきますし、今後の資料となるようにがっちり取り組まないといけませんので、それなりに準備がいると考えます。現状、リアルタイムでの言い合いをしているうちは二転三転する可能性が高いので、そこは今後、資料的にまとめる必要性が出た際に、しかるべきタイミングで設定……というのが理想ではないかと思いますね。
ということで、「ネオファム・カスタム」はいったん名称を「ネオファム後期性能向上型」に戻すことになりました。昔からのファンには、こちらのほうが馴染み深いと思います。
設定と名称が固まったところで、さっそく完成したばかりのNAOKIさんによる「ネオファム後期性能向上型」作例を見ていきましょう!
ネオファム後期性能向上型作例(作●NAOKI)
通常のネオファム(サンプル成形品)とのツーショット。頭部、背面ユニットを除いて基幹部分はほぼ同じパーツ形状ですが、カラーパターンの変更が加わったことで大きく印象が変わります。
バイファム(ツイン・ムーバー装備型)と並んでのバックショット。ツイン・ムーバーと似ているようでディテール等がかなり違うタンク部分など、背面ユニットは海老川さんの画稿をリサーチして徹底再現しています。
ROBOT魂ネオファムのパーツを活かして製作しているので、アクションポーズを付けることが可能。ただしヒジ関節は後期性能向上型のディテールを再現するのに可動を犠牲にして加工したため、ポーズ付けはパーツ差し替えにより対応する構造となっています。
ついにお披露目!! 海老川兼武氏によるネオファム地上改修型!!
さて、ここからは前回から引き続き、ネオファム地上改修型についてお届けします。
アニメーション設定においても存在が語られていて、ファンの認知度は高い地上用ネオファム。そこから一歩推し進めて現在、新バリエーションとして創出しているのが「ネオファム地上改修型」となります。前回は新たなパーツや機体のディテール面から、方向性を探っていきましたが、今回は生産、運用、配備といった周辺のディテールを想像しながら、このモデルのイメージを考えていきます。海老川さんによる新設定イラストは必見です!!
海老川:元々、文字設定として存在する地上用ネオファム、一部の資料ではカラー違いの設定画も見られますね。これから宇宙用の特徴が残るパーツをオミットしつつカスタム化した機体というイメージで画稿を描いてみました。この前に地上用RVとして、ディルファムが先に完成しているかも知れませんね。ただディルファムの配備数が足りてなくて、それを補うようにこちらを用意したという側面もある感じでしょうか。この機体は地上用ネオファムを現地改修し、バージョンアップさせて使おうという発想のRVです。地上用の開発系統としてはネオファム→ディルファムと移るのが本来の流れになりますが、これはネオファムから派生するマイナーチェンジ的なタイプです。
地上用ネオファムのバリエーション機として、ディルファムにも繋がるツインアンテナ、肩のシールドなど、新たな特徴を盛り込まれたネオファム地上改修型。カラーリングもディルファムに準じてグリーンを基調としたものに。こちらも後期性能向上型と同様に、“塗り”が大河原イラストタッチに。また脚部のラインがネオファム地上用カラーとされている設定画に合わせた黄色になっているのもポイントです!
サンライズ井上さん(以下:井上):地上用ネオファムは、後継にバイファム等の存在が来ることを想定すれば当然ながら再びチューンし直して宇宙に出すような必要はないと。なので地上での稼働率を上げるのに必要ないバーニアは削除したり、他にも余分なデッドウェイトとなるものは切り捨て……という改修コンセプトなのでしょうね。
NAOKI:ディルファムよりも前の開発機体ということですけど、スペック的にはどうでしょうか? ディルファムよりは落ちる感じ。でも、なんとなく隊長機としていてほしい雰囲気ですよね。
海老川:確かにこちらのほうがカスタム感、ヒロイックな雰囲気がありますので、ディルファムより性能が上であったほうがロマンは感じられますよね(笑)。でもそうだとすると、ディルファムの後に作られたと考えるのが座りがいいのかも……。
NAOKI:ディルファムの本格生産に至るまでに幾多の開発パターンを経て、デチューンされていく部分があったものの、このネオファム地上改修型の場合はそうした部分は落とされずにいた……みたいな言い方をしたい気もしますね。そうするとコマンダー的な立ち位置もしっくり来るし。
井上:ネオファムの設計からディルファムへと向かううえでデチューンされていく……というのもちょっと違うのかなという気がしています。落とすという考え方ではなく、不要なものを省いて精度を上げていったという感じではないかと。
海老川:確かに、ディルファムは色々と削ぎ落としていった感じはありますね。ネオファムの1/100キットの解説書に、地上ではディルファム部隊の指揮をとる~という記述がありますし、特化している~みたいな考え方でもよいかもしれません。
NAOKI:ディルファムは連邦全体で生産された……というモデルではなく、あくまでベルウィック星への対応として作られたRVなんですね。例えば他の惑星環境なら、また違った方向性への進化が見られるのかもしれないですね。
井上:トゥランファムのキット付属の設定ファイルに開発事情的な話が書いてありますけど、ネオファムが完成してRVの開発は一段落し、連邦工廠ではネオファムの後継機の開発を進め、地上用配備のRVとしてラウンド・バーニアを削除したディルファム、宇宙用に機体の構造を単純化し軽量化したバイファムが開発されたと。RVが派生していくうえで基点となっているのはネオファムなんですね。
海老川:バリエーションを考えるうえでの勘所が見えてきましたね。ネオファムは最も生産数が多い標準モデルだと思いますが、ひとつのフォーマットができたところで、状況変化に合わせたカスタマイズ機種も何パターンか作られていくと思うんですよ。
井上:例えばモビルスーツだと性能が限定される地上用の試作から始まって行動範囲が広がった高性能型の開発みたいな流れがありますけど、RVは試作から汎用モデルとしてのネオファム開発から始まり、局地に合わせた派生機に向かうという流れが面白いですね。
海老川:機能特化型に向かうのは興味深いですよね。で、それを踏まえて汎用型としてバージョンアップされたトゥランファムが出てくるという。開発の流れが美しいですね。
井上:トゥランファムのファイルには、トゥランファムはバイファムのフレームをベースに……という記述も見られますね。これもこれで興味深い。
海老川:キット付属の設定ファイル、なかなか面白い設定が記されていて、これはまとめて読み返しておいたほうがいいですね」
NAOKI:MSVなどもそうですけど、貴重な情報が載っているんですよね。
以上、ネオファム地上改修型についての考証でした!
次回更新では、NAOKIさんによるネオファム地上改修型の作例をお披露目!! ベースはROBOT魂のサンプル仕様を使い、頭部やバックパックなどの追加パーツを新たに作り起こして製作しています!
<ROBOT魂担当コメント>
皆様こんにちは! オカモトです。
ついに作例公開となった 「ネオファム後期性能向上型」。完成画像が送られてきた際には、思わず見惚れてしまいました。
担当として開発の行方をつぶさに見てきたアイテムが、NAOKIさんの手でこう変わるんだ……と、新鮮な驚きと感動がありますね。お渡ししたサンプルがまだ嵌合等の甘い初期チェック用の物でして、改造の手を煩わせてしまい申し訳なく思っております。
次の作例は海老川さんによるイラスト設定が公開となったネオファム地上改修型! このヒロイックなデザインがどのように仕上がるのかご期待ください!
自分も楽しみです!(NAOKIさんよろしくです)
さて、現在受注中のROBOT魂<SIDE RV>ネオファムですが、工場サンプルをチェックした結果、肩やバストパーツのプラスチック素材にやや透け感があったので、これを軽減するために一部外装に彩色を施す仕様といたしました。
そのような感じで、ギミックや造形に加え、仕上がりの質感にもこだわり、諸々開発の詰め段階に入っております。これはぜひ、ご予約いただいた皆様のお手元に届いた際に確かめていただきたいところです!
それでは、次回をお楽しみに!!
次回「電撃ロボラボPLUS」は、2016年4月15日更新予定です!
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